トランスフォーマー目が覚めたらデストロンガー!?   作:オカタヌキ

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候補生の心

 

ガガガガガガッドーーン!!!

 

瓦礫の中から何かが削れるような音がしたと思うと、大きな音を立てて瓦礫が吹き飛んだ。土煙が晴れると、そこにゲルシャークの姿があった。

 

「ゲルシャーク!無事だったのか!」

 

バンブルビーがゲルシャークに駆け寄る。

 

「どうやって助かったんだ?!」

 

「ああ、こいつのおかげだよ」

 

そう言ってゲルシャークは左手を挙げる。そこには、アンカーアームの上にドリルモードになったパートナーマイクロンのバロが装着されていた。

 

「まず、手裏剣モードのバロを盾代わりにして瓦礫の直撃を防ぎ、次にドリルモードに変形したバロをアンカーアームと連動させて瓦礫を吹っ飛ばしたって訳だ。ありがとな、バロ。」

 

「バロッ!」

 

バロは一鳴きするとドリルから手裏剣に変形しゲルシャークの右腕に装着する。

「ゲルシャーク、無事で何より……」

 

「ム!」

 

「あぅ……」

 

ストロングアームがゲルシャークに声を掛けようとするが、バンブルビーに睨まれて言いとどまる。

 

「君が勝手に突っ走ったせいで待ち伏せ作戦はもう使えない!ゲルシャークたちの追っていたディセプティコンも含めて短期決戦しかない。仲間を待ってる余裕もないぞ!」

 

「……どのみち彼らは来ません。あの後、フィクシットに応援は要らなくなったと言ってしまったんです。スプリングロードを逃がしたくなかったので……」

 

「何だって!?」

 

バンブルビーは声を上げて振り替える。

「君は軽はずみな行動をした上に、上官である俺に嘘をついていたのか!?後一歩間違えばゲルシャークが、仲間が生き埋めになる所だったんだぞ!?」

 

「ストップ、ストップ!!」

 

ヒートアップするバンブルビーにゲルシャーク割って入る。

 

「バンブルビー、俺のために怒ってくれるのは嬉しいが、今はそれどころじゃないだろ?」

 

「クアア、一刻も早くスプリングロードとラナバウトを捕まえないといけない。」

 

ゲルシャークに続いてスワープも彼を説得する。

 

「それに、少しはストロングアームの気持ちを酌んでやったらどうだ?こいつはな、早く見習いを卒業して一人前になりたいんだよ。お前にだって解るだろ?上官に認めて貰いたい気持ちが」

 

「ム…」

 

ゲルシャークに指摘され、バンブルビーは唸る。かつてオプティマスプライムとともにいた時のことを思い出したからだ。

 

「お願いです隊長!もう一度だけチャンスを下さい。必ずかたをつけるので見守っていて欲しいんです!もう無謀な真似はしませんから!」

 

ストロングアームの真剣な申し出を聞いて、バンブルビーはじっと彼女の目を見る。

 

「……一度だけだぞ」

 

バンブルビーはそう言って遺跡の奥へ進んで行った。

 

「ッ!…ありがたいございます!」

 

「クアア、急ぐぞ」

 

「は~い、ダーリン♥」

 

スワープとフィルチも遺跡を進んで行き、ゲルシャークもそれに続く。

 

「……ありがとう、ゲルシャーク」

 

ストロングアームが呟いた一言が届いたのかはわからないが、ゲルシャークはニヤリと微笑んだ。

 

 

◆エンブレムターン◆

 

「教えてケロ、ドラドスの守護神たちよ!一生のお願いケロ!失われた都市は何処にあるんだケロ!」

 

遺跡の奥の広間で、スプリングロードは石像に必死にドラドスの有りかを問いかけていた。

 

「うるっせーなさっきから!なんだてめえは!?人のアジトでワケわからんこと喚きやがって!」

 

するとそこスプリングロードの声を聞き付けたラナバウトが表れた。

 

「ゲロ!?何者ケロ!?」

 

スプリングロードは飛び上がって話しかけて来た方へ振り向く。

 

「あぁ?俺はラナバ…」「ゲロ!さては遺跡荒らしケロ!?あっしからドラドスへ行き方を横取りするつもりゲロね!」ってテメェ人の話を聞きやがれ!ってかドラドス?何言ってんだおめぇ?ドラドスなんてただの伝説だろ?そもそもここはサイバトロン星じゃ……」

 

「問答無用ゲロ!アチョー!!」

 

「ぐおぉ!!?」

 

スプリングロードは喋りかけのラナバウトに飛び蹴りを食らわせ、それをまともに受けたラナバウトは吹き飛び壁にぶつかる。

 

「てってめぇ……もう許さねぇ!ディセプティコンのテロリストにして爆発物取り扱いスペシャリストのラナバウト様をなめんなよ!!」

 

ラナバウトは拳銃を取り出しスプリングロードに乱射する。

 

「ゲロッ!ゲロッ!そんなもん当たらないケロ!ベロりンチョ!」

 

スプリングロードは壁や天井を飛び回り弾丸をかわし、長い舌を伸ばしラナバウトの拳銃を弾き飛ばす。

 

「ゲーロゲロゲロゲロリンチョ!お前みたいなボンクラに負けるあっしじゃないケロ!」

 

スプリングロードはあかんべーをしてラナバウトを馬鹿にする。

 

「て、テんメぇ……!!調子にのんじゃねえええぇ!!!」

 

ラナバウトは怒号を上げると背中のバックパックから巨大なロケットランチャーを取り出した。

 

「ゲロ!?どうやって出したケロ!?お前ネコ型ロボットだったのケ!?」

 

「んな訳あるか!!俺のどこをどー見たらネコじゃ!?俺のバックパックはトランスワープチャンネルで俺専用の武器庫に繋がってんだよ!」

 

ラナバウトはロケットランチャーをスプリングロードへ向ける。

 

「ッ!!?ゲロやばっ!トランスフォーム!!!」

 

スプリングロードはピックアップトラックに変形して慌てて走り去る。

 

「待てやこのカエル野郎!!ケツに爆竹捩じ込んで唐揚げにしたらあああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

◆エンブレムターン◆

 

 

「やつはこっちに向かったはずだ」

 

バンブルビーたちは逃げ去ったスプリングロードの後を追っていた。

 

ブロロロロロ!!!

 

すると前方から車のエンジン音が聞こえてくる。一同が奥に目を向けると、緑色のピックアップトラックがこちらに走って来た。

 

「ケロッ、ドラドスよ!何であっしを苦しめるんだケロ!?」

 

「悪いけど、ドラドスは今出掛けてるの。伝言があれば聞くけど?」

 

ストロングアームが皮肉を効かせてスプリングロードに話しかける。

 

「ケロケロ!?まさかそんな、あり得ないケロ!生き埋めになったはずケロ!?」

 

スプリングロードはストロングアームたちを見て驚愕する。全員瓦礫の下敷きになってお陀仏になっていると思っていたからだ。

 

「もしかして……お化け?そうケ?ボンクラどもは死んでもあっしの邪魔をするつもりケロ!?ハハハハハ!!そうはさせるケッ!!」

 

おかしな勘違いをしたスプリングロードは大きくジャンプしてゲルシャークたちを飛び越し壁に張り付く。

 

「トランスフォーム!!!バイバイケロー!」

 

スプリングロードは再びビークルモードに変形して走り去る。

 

「逃がさないわよ!トランスフォーム!!!」

 

ストロングアームとバンブルビーはビークルモードに変形してスプリングロードを追いかける。

 

「まぁぁぁてぇぇぇやあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

すると今度は、目を血走らせ全身に重火器を担いだラナバウトが銃を乱射しながら走って来た。

 

「なっなんだぁ!?」

 

「カエルゥゥゥゥゥ!!!ぜぇったいに逃がさねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「ッ!?やっべぇみんな逃げろ!!」

 

面食らったゲルシャークたちだが、すぐに我に帰り全力で逃亡する。おかしなおいかけっこが始まった。

 


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