少し修正を入れました。
帝都ーー宮殿内
そこは宮殿内にある皇帝の謁見の間より1階下に存在する、大臣の私室。
宮殿より下、帝都の街並みが一望できるその一室にて丸い机を挟み、向かい合う人影が二つ。
分厚い肉をむしゃむしゃと貪る様に食べながら大臣、オネストは自らの目の前にいる存在に目を向ける。
とても、美しい人物だった。
身長は160㎝程。
処女雪の如く、白く穢れの無い肩甲骨の辺りまで伸びた白髪。
左目を覆う真紅の布眼帯。
翡翠の様に何処までも透き通った、何処か無機質で虚ろなエメラルドアイ。
肌はいっそ病的と言っても良いほどに白く、青白いとすら感じる。
はぁ、とオネストは溜息をつく。
何故ーーこんなに美しい人物が何故に
彼は強く、美しい。
もし、目の前にいる存在が女性であったのなら自分の息子の妻にしても良いとさえ思える程の美貌である。
ただ、どちらかと言えば彼の美しさは少女の様な儚さと言うよりも無機物的な神秘性を帯びている、と表現するほうが適切な気がする。
と、そんな事をいつまでも考えていては仕方ない、とオネストは思考を切り替える。
いつもの様なニヤニヤといやらしい笑みが顔に張り付く。
「とりあえずおかえりなさい、と言っておきましょう」
「んあ? やっと話し出しましたね… 。いっつも話し始めるまでが長ぇんですよ、オネストの旦那は」
声変わり前の少年のような、いっそ少女のものと言っても良いような綺麗で穏やかな響きを持つ声。
それでいて、何処か適当な、軽いと言っても良い様な、人をからう様なその口調と声音は容姿とは酷くアンバランスに思えた。
(半分は、貴方の責任なんですけどね…)
「まぁ、良いでしょう」
「ん? 何がです?」
「何でもありません。では、本題に入りましょう。」
「ほいさー」
カチャリと紅茶のカップをソーサーに戻し、青年は表面上だけの真剣な態度を貼り付ける。
それも彼らの中ではいつもの事なのだろう。オネストは気にする素振りを一切見せずにそのまま話し続ける。
「最近、帝都の治安が悪くなる一方でしてね」
「ああ、なんかいっぱい居やがりましたねぇ…。実際に盗賊とかに帰ってくる途中に襲われましたし…」
「ほぉ。命知らずもいたものですな。して、その盗賊は何処に?」
「今頃は三途の川でも渡ってんじゃねぇですか?」
「なるほど、賊の討滅、どうもありがとうございます」
「良いですって。ボクもこの国には色々とお世話になってますしねー。ある程度の事ならウェルカムです」
「そうですか。では、ついでと言ってはなんですが……帝都警備隊隊長を一ヶ月程で良いので勤めて頂けないでしょうか?」
おずおずと、オネストには似合わないような謙虚な態度に何処か不気味さというか、気味の悪さを感じながらも、その青年は怪訝な表情で聞き返す。
「警備隊? 彼処ってオーガさんが居ませんでした?」
「はい。ですがこの前、ナイトレイドの襲撃を受けて…」
「あぁ、消されちゃったんです?」
納得した、とばかりに右の拳を左の掌にぽんと置く。
「はい。それで警備隊の指揮系統はメチャクチャに。義憤に駆られた一部の警備員が暴走する始末でしてねぇ、困っていたんですよ」
「りょーかいです。全く、西の小競り合いの次は帝都の治安維持って…。ボク、働き過ぎじゃ無ぇですか……?」
「それなりの報酬は用意させて頂きますよ」
「あいあい、了解です。一ヶ月で良いんですよね? ボク、本当に一ヶ月しかやらねぇですよ?」
「十分ですよ。あとは私の手の者にやらせますので」
「そんじゃ、ボクはコレで失礼するです。久々の帝都のですから」
「はい。よろしくお願いします、ハツナさん」
ハツナと呼ばれた青年は壁際に立てかけてあった全長が1m程の二振りの刀を左右の腰に差すとヒラヒラと後手に手を振りながらその部屋を後にした。
「フフフ。将軍と比べても劣らない戦闘力。だか、そこまで高くない地位。いゃあ、彼にはいつも助けられてばかりですねぇ……。フフフフフ…」
誰もいなくなったその部屋で、大臣オネストは不気味に笑った。
✳︎
はあー…。やっと終わりましたねー……。
ボクは大臣の部屋の外でんーーっと大きく伸びをする。
あそこに居るとなんかすっげー疲れるんですよねぇ、何故か。
まぁ、十中八九あのデブ狸が理由なんでしょうけどね、わかります、ハイ。
さて、帝都の街でも巡るかなぁ、と思いつつ宮殿を出て歩を進めます。
さて、皆さん!
帝都の甘味どころと言えば! 『甘えん坊』しかないでしょぉぉ‼︎
と、言うことで久しぶりの帝都帰りなのでボクはココのアイスを食べて行こうかなぁなんて考えます。
超、久しぶりなんでドキドキです!
「にしても帝都警備隊ねぇ…アイツがいるし嫌じゃあねぇんですけどね…」
アイスのお金を払っているボクの頭に浮かぶのはもうかれこれ6年近い付き合いになる元気で明るいあの少女。
いや同い年なんですけど、なんとなく幼い感じがするんですよ。彼女は。
まぁ、警備隊の詰所に行けば会えるかなぁと考えながらアイスを齧る。
ん…相変わらず美味いな、コレ。
そうだ、お土産に買って行ってやろうですかね! と思い至ったボクは更に追加で購する。
カチャリと歩くたびに背中で音を鳴らす大剣を背負いながら、ボクは上機嫌で帝都の喧騒の中に紛れていく。
此方をじっと見つめる視線に気づかないままにーーー
✳︎
現在、ボクは可愛い女の子に抱きつかれています。
詰所の扉を開けて、「うぃーっす」とかふざけた挨拶をかましながら足を踏み入れること数歩。
ボクと目が合った彼女は、此方を幽霊でも見る様な呆然とした顔で見つめていたが、状況に認識が追いつくと、「ハツくん‼︎」ともの凄い勢いで飛びついてきたんです。
いや、彼女に対しては昔から好意を持っていましたよ?
ぶっちゃけると、普通に好きです。まあ、人として、ですが。
だから今の状況はとても嬉しいんですよ? 嬉しいんですーーがーーー。
「セ、セリュー……。く、クル…しぃ……。し、死ぬぅ……」
「ハツくん!! どぉして帰って来る前に連絡の一つも寄越さないんですか! しばらく手紙も無かったし! まったく、私がどれだけ心配したか!」
その、なんですか。
ハグが凄すぎて息が出来ないです。もう、半分くらい意識が朦朧としていてヤベぇ、です。ハイ。
幼馴染の少女、セリュー・ユビキタス。
それが今、ボクに抱きついている少女の名です。
軽いハグならばそれなりに大きい、胸部装甲の成長度合いを堪能して、あわよくば揉みしだこうなんて考えもあったりなかったり、なくなかったりしたんですが……。
なんの因果か、いや罰ですかね? もうなんか押し付けられてるのは分かるんだがそれよりも身体中が締め付けられて堪能するどころの騒ぎではないんです!
こんなささやかな贅沢も許され無いなんて……。神は死んだ! いやまあ最初からそんなもん信じてないんですけどね?
嗚呼…だんだんと意識が薄れていく……。
せめて死ぬら揉んでから死にたかったです。
揉まずに死ぬよりも、揉んで殺されたかった……。
「む、無念…です……」
「あれぇ⁉︎ ハツくん⁉︎ どうしたんですか⁉︎」
ボクの意識は暗い闇に飲み込まれて行った。
やべぇ、ホントに死んだかもしれねぇ…です……。
ふと、唐突に故郷の幼なじみであるアタルの事を思い出していました。
彼は今、どうして居るのだろうか……。いや、ぶっちゃけどーでも良いんですけどね?
元気でやっているのだろうか? つーか生き残ってんですかねぇ?
彼と最後に会ったのは12歳の時、ボクが帝都で働きに出ようと北にある街、スノーランドを出ようと思った時です。
スノーランドとは帝都の北の外れにある街で、ほぼ一年中雪がハラハラと舞っている街です。
帝国最強と名高いエスデス姉さん程北では無いが帝国からは1番離れている北の" 街 "なんですよ!
エスデス姉さんの" 村 "はもっと北にある……らしい、です。
本人から聞いた限りではそうらしいのだが、ぶっちゃけボクの故郷よりも北側って相当に過酷な環境の気がするんですが、そこを生き抜いている民族の娘ならあの強さと帝具の相性も頷けるというものです。
姉さんとは一時期同じーーというか姉さんに拾われて帝国の軍属になったんですよ、実は。だから大臣の直属として動いている今でも、軍籍はエスデス軍にあるんです。
ボク個人としても北国トークができる人間は帝都では殆ど見つけられなかったので、部隊が変わり異動した今でも姉さんと慕っているーー慕わせてもらっている? んですけれど。
まあ、話を戻そう。姉さんとのあれこれはまた今度に。
今は既に忘れている人も居るかも知れないくらい非常にどーでもいいが幼なじみのアタルの話です。
奴は簡単に言うとバカ、アホ、ドジ、マヌケ、おたんこなす、お前の母ちゃん出臍! みたいな奴です。
ああ、これが女の子だったらアホの子属性でまだ良かったのかもしれない。だが、男のアホの子とかもう誰得だよ? 的なかんじなんです。
まぁ、そんな奴だがボクにとっては大事?(笑)な幼なじみです。
ボクが帝都に出るとなれば彼が付いてくるのは確実、自明の理と言っても過言では無いーーいや、過言ですね。自分で言ってて気持ち悪くなってきやがりました。
12歳で学校を卒業。ボクは帝都行きを決意し、アタルもそれに便乗したです。なんでコイツはボクに付いてくるんだ? キモーーげふんげふん。意味がわからないです。
余りにも念入りにバックの中身の確認を繰り返していたせいか徹夜になったみたいで、馬車の中でアタルは眠ってしまったんです。
だから、ちょっとした出来心で北の地方最大都市ノースフィールドで帝都行きにの馬車に乗り換える筈の予定を変更して、このまま眠っていたいであろうアタルのためにより長く馬車で揺られる事のできる帝国の南へ行く馬車に乗せてあげる事にした……様な気がする。
南行きの馬車の荷台にアタルを括った後、そのままボクは何食わぬ顔で帝都行きに乗り、無事に到着する事が出来て、エスデス姉さんやセリューと出会いかくかくしかじかあって今に至るというわけなんです。
アイツ、方向音痴な上にバカだから南の最大都市サウスフィールドを帝都と思い込んでるかもしれねぇですね。
うん、十分にあり得るです……。
閑話休題。
目を覚ますとセリューが上から覗き込んでいた。
「知らねぇ天井ですね……」
何故だか、こう言わないといけねぇきがしたんです。
何故なんです?
神様教えて下さい。
あ、神は死んだんだんでした。
ここから続くかは決めていませんが、暇な時やインスピレーションがわいた時に唐突に投稿するかもしれません。
いやホントまじでアタルくんのくだり要らなかったですね。