神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新   作:薬売り

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ポッキーの日にもっしー(模試)


LOSER その1

浄夜「ハッ…ハッ…ハッ…」

 

俺は今、走っている。山の中、木や大きな草を避けながら。

藻部政義、奴に聞くことにする。文の新聞の人気を奪ったのはお前か?と。

 

??「待ってください」

 

俺は、不意にかけられた言葉を聞き、止まる。

聞いたことのある声。この声は…

 

椛「どうなされたのですか?」

 

椛だ。犬走椛。

 

浄夜「どうもしてないさ……いや、聞きたいことがある。藻部さんは何処だ?」

椛「藻部さんですか?でしたら、あそこを右に曲がって……あー、急いでいるようでしたら案内しますよ?」

浄夜「助かる」

 

今、俺が急いでいる理由を知ったら、どのような反応をするだろう。

怒りで急いでいる。そして、一刻も早く文の新聞が人気になってほしい。

 

浄夜「なあ、藻部さんの地位ってどの程度だ?」

椛「えーと……すいません。あの人は分かりません」

浄夜「え?」

 

分からないとは、一体……?

 

椛「新聞部の部長なんですが、多分表向きです」

浄夜「表向き?」

椛「恥ずかしながら、天狗というのは自慢が大好きで、部長なんかの地位に就くと自慢しちゃうんです」

浄夜「椛もか?」

椛「あ、あはは…まぁ、えぇ」

 

意外だな、そんなイメージはなかった。

いや、こうやって自分の中だけでその人の性格や人格を決めちゃあいけないな。人の悪い癖だ。

 

椛「でも、藻部さんは自慢をしなかった。誰一人にも」

浄夜「……」

椛「皆は謙虚だとか、面白くないなとか、笑ってたんですけど」

浄夜「けど?」

椛「つい先日、偶然聞いちゃいまして……」

 

気になる。藻部には何がある。

その何かは分からないが。

 

椛「老いた天狗様方が『やはり、ここは藻部様に任せた方が良い』と話していたんです。」

浄夜「それは……」

椛「普通、老いて経験を積んだ者が、若い者に様を付けますかね?」

 

異様だ。

なるほど、だから『分からない』か。

 

椛「もしかしたら、新聞部の部長より良い地位に居るのかもしれない」

浄夜「だから、自慢しない…か」

椛「まぁ、全て私の憶測ですけど…」

浄夜「強ち、間違いじゃあないかもな」

 

そうだとすれば、偽の証拠を作る程の地位だとすれば、文々。新聞のことも、納得はできる。

 

浄夜「話が変わるが、文の新聞。どう思う?」

椛「面白いですよ。なんで人気がないのか分からない程」

浄夜「そうだよな」

 

よかった、椛は分かってくれる妖怪だ。

 

??「あら?どうしたの椛?そこの男性は?」

椛「え、あぁ。どうも、はたてさん。こちらは樹条浄夜さんです」

はたて「あぁ、噂の…」

 

噂…ねぇ。どんな風な噂なんだか。

 

はたて「良い身体してるじゃない。うわ、腕硬い!!」

浄夜「あの、なんですか?」

 

いきなり身体を触ってきた。しかもベタベタと。諸君、羨ましく思うか?勿論、いつもの俺は鼻の下を伸ばしていただろう。

が、今は状況が状況だ。先に進みたい。

 

浄夜「急いでいるんで、退けていただいても?」

はたて「けち」

 

なんでそうなるんでしょう。

 

はたて「『姫海棠はたて』よ。はたて、でいいわよ」

浄夜「じゃあはたて、離れてくれ」

はたて「いいわ。この筋肉の硬さに(まんじ)て離れてあげる」

浄夜「免じろよ、卍んなよ」

 

心底鬱陶しい奴だ。

少し呆れたが、ちゃんと離れてくれたのでよしとしよう。

 

はたて「ところで浄化された夜くん」

浄夜「やめろ、名前の中二病感が増す」

椛「増すというところに自虐を感じるッ!!」

 

こんなことしている暇はないのに、早く退けてほしい。

 

はたて「あら?その顔、私が邪魔くさいように感じているわね?」

浄夜「分かっててやってんのかちゃんと殺すぞ」

はたて「逆に中途半端に殺されるってなによ…まぁ、その感情も消えるわ」

浄夜「あ?」

 

どういう意味だ?

 

はたて「んで、さっきモブがどうとか言ってたわよね?」

浄夜「え、あぁ…せめて藻部と表示しろ」

はたて「ほれ、あそこ」

 

はたては、たくさんの木の中を指差した。

正直、木しか見えないのだが?

 

椛「あ、ほんとだ」

 

うそーん。俺が人間だから?格差社会は此処にも……

はやく妖怪になりたーい!!(人間妖怪ジョウヤ)

 

まあ、あの方向にいるわけだな。

 

浄夜「ありがとう、はたて、椛。あとは一人でいい」

椛「そうですか?分かりました。今度何か奢って下さいね」

浄夜「分かった分かった、それじゃ」

 

さて、藻部さんは白か?黒か?

それはまだ分からないが、確かめる必要がある。

 

浄夜「ん?」

 

ポケットにてを入れた瞬間、違和感を感じた。

これは、紙?

取りだし、広げてみた。

 

『藻部政義はスタンド使いである はたて』

 

浄夜「なッ!?」

 

どういうことだ!?はたては何者だ?

振り向くが誰もおらず、樹だけが視界に入っていた。

 

もしかして、身体を触って来たのはこの紙をポケットに入れる為?

じゃあ、最初から俺が藻部さんを訪ねると分かっていた?

 

??「おや?どうしたんだ?こんなところで……」

 

不意に声がした。振り向く。

そこにいたのは当たり前のあの人だ。

 

浄夜「藻部……」

藻部「お前の家はこっちじゃあないだろう?」

浄夜「質問があるんです、貴方に」

藻部「質問ねぇ、いいぜ。言いな」

 

遠回しにもせず、ストレートに聞く。

 

浄夜「文の新聞に、何故デマを流した?」

藻部「……っと?よく分からないなぁ。デマを?部下の?んなわけないだろう?」

 

しらを切るか。予想通りだ。

 

藻部「確かに、部下の新聞の評判が最低になったのは残念だが、正直、嘘の内容を書いたのなら自業自得だよ」

浄夜「……」

藻部「てかさ、俺の新聞がその後に有名になったから、疑ったんだろ?」

浄夜「質問を変えよう」

 

浄夜「お前は何者だ?」

藻部「俺は天狗だ。新聞部部長のな。それ以外に何が…」

浄夜「偽の証拠を作り上げる程の地位にいる天狗」

 

瞬間、藻部は沈黙した。こいつ、どこまで知っている?と、眉間にしわを寄せてある。

 

藻部「変に穿った見方をしているようだが、偽の証拠?何の話だ?」

浄夜「文々。新聞の話さ」

藻部「チッ……」

浄夜「舌打ちしたが、それは何故?」

藻部「めんどい、あぁ、そうだよ。俺が潰した」

 

何があったかは分からないが、認めた。

めんどいと言ったが、そんな理由で認めるとは、以外と弱い根性なのかもしれない。

 

浄夜「つまり、お前は敵だな?」

藻部「お前には冥土の土産はやらねぇ。手ぶらで行ってこい」

 

はたてによれば、こいつはスタンド使いだ。

どういう能力だ?

 

藻部「オラァァァァッ!!」

 

藻部が殴り掛かってきた。のだが……

え?違和感、それを感じる。

 

浄夜「……ほい」

藻部「ッ!?」

 

軽く殴ってみた。すると藻部は死ぬような痛みを感じているかのような表情をした。

正直に言うと、弱い。それも、凄く。

 

浄夜「え?えぇ……」

藻部「がぁ……ゴホッ!!」

 

弱すぎる。あんな強敵感出してこれ?拍子抜け、構えて損した。

 

浄夜「おい、話してもらうぜ」

藻部「負けた……」

浄夜「あぁ、負けだ。お前は……」

藻部「負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けた負けたアアアアッ!!」

浄夜「んなッ!?」

 

何があった?急に壊れ始めた。

が、藻部はいきなり負けたの連発を止め、笑いだした。とうとう狂った。

 

藻部「ひひひひひひひひ、はははははっ!!」

浄夜「気味が悪い……」

 

俺はスタープラチナになり、藻部を殴ろうとした。がッ!!しかしッ!!

 

浄夜「……それが、お前のスタンドか」

 

人型の何かが、それを拒んだ。

 

藻部「『LOSER』、俺の敗けだ。負け犬さ」




スタンド名『LOSER』

能力は次回

元ネタ~米津玄師作詞作曲、2016年発表

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