神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
ストーンフリー
「さ、着いたわ。私はスタンドがないからここまでね」
「ありがとう」
紫のスキマで一気に冥界までたどり着いた。夢るだけで物臭に感じる程に長い階段があり、頂点には小さく枯れ木が見える。
しかし、この距離でこの大きさならば、さぞ間近で見れば大きいのだろうなと、少しこれから闘うかもしれない者としては頼りない思考を巡らしていた。
「こんなに大きい屋敷……妬ましいわ」
「確かに羨ましい」
「いや、妬ましいわ」
…………
「羨ましい」
「妬ましい」
「いいや!羨ましいね!」
「いいや!妬ましいわ!」
「「お前のそれは違うだろォォォッ!!」」
もう頭に来たぜッ!!妬ましいくない、羨ましいんだァァァ!!
「早く行け」
「「イテ」」
*
「着いたな」
「そうね」
頭に、紫が作った瘤を二人で乗せて階段があと一歩登れば頂上というところまで来た。
なんというアホ面だろうか?二人揃ってアホだ。
「さて、早速出迎えが来たようだ」
こっちに歩み寄ってくる白い髪の毛をした少女が、腰に付いてる日本刀の柄に手を掛けて、今かと抜きような勢いの形相だ。
「何者でしょうか?」
「スタンド使い」
「……つまり、私の『聖なる遺体』を盗る気なわけですね?」
予想通り、彼女は遺体を持っている。あとは誰の遺体か。まぁ、それは、結局闘うのだろうから、その時だな。
「盗る気ではないが……取り合えず、君自身の現状を知ってほしいんだ」
「私の現状は私がはっきりとわかっています。なんせ、私なのですから。私は私、当然でしょう?」
俺は一段登ろうとして動いた瞬間、彼女は刀を抜いた。それに驚きつつ、動きを止める。
「一段、それは死への一歩。ここは冥界ですから、覚悟はありますよね?」
自身の持つ『遺体』の為に、人を殺すのを躊躇わない。そんな眼差しを向ける。これは、確かに死を覚悟しなければならない、重い重い一歩。しかし……それは疾うにできてる。
俺は足を、一段に乗せた。
「……?」
「では、攻撃を始めましょう」
すると、踏み入れた一段に違和感を感じる。重力に対する抵抗を、足の裏に感じる。
これは……『糸』?
「はッ!?『ハウンド・ドッグ』ッ!!」
パルスィは俺の2m程の右に向かってスタンドを放つ。すると、爆発が起こり、なにかが飛び散った。
「イテ……刃物?」
「斧ですよ、糸でトラップを作っていたんです」
「糸か……つまり君の遺体は『空条徐輪』だな?」
反応はない。それは『Yes』を意味する。俺は飛び散った刃物の破片によってできた切り傷等を『ゴールド・エクスペリエンス』になった腕で治し、そのまま刃物の破片を妖夢に投げつける。
「下らないですね、そんな攻撃」
妖夢は慣れた様に刀でそれを弾き、地面に落ちた。予想通りだ。
「なッ!?」
その破片が落ちた場所から木が生えてくるッ!!刺さると致命的だ!!
妖夢は即座に糸でできた網を作り、枝の成長を物理的に止めつつ、すぐにその場を離れた。
枝が糸を破り伸びきる。大体後ろの枯れ木と同じ位だろう。妖夢の指からは血が滴る。彼女はそれが流れ出る元の傷を、糸で止血する。
「オラァッ!!」
なんとッ!!妖夢はッ!!刀を投げたッ!!
戦いにおいて、自分の武器を投げて攻撃をするのは最終手段だ。それを彼女は、切羽詰まった訳でもなくッ!!容易くそれを投げたのだッ!!
「あっぶねぇ!!」
右手で刀の側面を殴り、左へと飛ばす。がしかし、妖夢の攻撃は終わっていない。
「フッ……」
妖夢が何故か回転をした。不思議に思うと次の瞬間ッ!!刀が妖夢の周りを、いや、先程浄夜が生み出した木の幹を軸に一周して、また刀が俺を攻撃するッ!!
「うおッ!?」
咄嗟にしゃがむが、回転が速く、すぐに襲い掛かるッ!!
ジャンプ、しゃがむ、ジャンプ、しゃがむ……しかも、そのスピードは元が速いのに、更に加速していくッ!!
しかし、次第に範囲は木を中心としているので、狭くなる。俺はやっと苦しい避けゲーを脱出した。
「はぁ……はぁ……」
「もう一度ッ!!」
妖夢が糸を引っ張るッ!!今度は逆回転だッ!!
流石に体力が持たないッ!!
「うおおおおおッ!!『アヌビス神』ッ!!」
日本刀を『アヌビス神』で受け止めるが、衝撃が強く、果して手首を骨折した。
「うぐッ!?」
「おや?手首が折れましたか。まぁ、関係ありません。貴方のその行動を『待っていた』んですよッ!!」
驚く間もなく、俺は糸に拘束されたッ!!
その後にやっと理解した。刀に付いていた糸が俺を拘束したんだッ!!刀を受け止めることに気を取られ、糸の動きに気が付かなかったのだッ!!
「それにしても……貴女、一体何をしに来たのですか?」
「ッ!?」
「私に怖じ気ついて…フン、滑稽です。膝、笑ってますよ?」
パルスィは恐怖していた。彼女の言う通り、今までにない以上に、恐れていた。
妖夢は勝ちを確信して、パルスィを拘束するために歩み寄る。
しかし、彼女はここで気付くべきだったのだ。パルスィが『一歩も退かない』時点で。
「貴女…その、浄夜に使ってる糸が切れたら、腕一本消えるんじゃあないの?」
「まぁ、そんな事態は起きませんがね」
「そうかしらッ!!」
すると、パルスィは『ハウンド・ドッグ』を投げた。悪足掻きのように。当然、先程の斧の破壊を見てしまっては避けるのは当たり前だった。
「私が誤って弾こうとするとでも思いました?安直、滑稽、愚行ですよ?」
「いやぁ、貴女、丁度良い!ン~ッ!!妬ましいぐらい、丁度良いわ!!」
「は?」
気でも狂ったか、パルスィは奇妙に感じる程、恐怖が消えていた。それはパルスィ自身も、心の中で驚いていた。
「ホント、妬ましい。けど、羨ましくはないわね。そうでしょ?浄夜」
「あぁ、今回ばかりは、丁度良過ぎて妬ましいな、羨ましくはないがなァ!!」
妖夢は訳が分からなかった。取り合えず急いでパルスィを拘束しようと糸を出したその瞬間ッ!!後ろから爆発音。
「貴女は狙ってない。私が狙っていたのは『貴女の後ろの木』よッ!!」
妖夢は急いで刀を取りだし、木を斬る。パルスィや浄夜も、それには驚いた。しかし、驚いただけであった。
ブチッと、なにかが切れる音。
「ッアアアアア!!?」
「浄夜を取り巻いていた糸、切れちゃったの?貴女が私と木の対角線上に『丁度良く』いてくれたからよ」
妖夢の手首が離れ、多量の血が溢れる。
浄夜を拘束していた糸はほどけ、その瞬間、妖夢の手首も元に戻っている。
「あ、あれ?手がある?でもさっきなくなって……」
「俺が治したんだよ」
彼が……樹条浄夜が崩れ落ちた彼女の前に、既に立っていた。彼の表情は……ブチギレていた。
「過度な運動は嫌いなんだよ。それをお前、面白がってたなぁ?」
「あ、いや、その、ですね?なぁんていうか……わ、私も悪かったなぁて思ってます。ほ、本当に」
「で?」
「ゆ、許して、ください?」
浄夜は息を大きく吐いた。そして首を鳴らし、指を鳴らす。
「無理だね」
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!!
「ぶべらッ!?」
「女の子を殴るのは、心が痛むぜ……」
「絶対、思ってない」
最初の頃の浄夜は、女子が腰を抜かしただけで自身の行動を強く呪った。
しかし、いつしか幻想郷に慣れてしまい、その感情は薄れていったのだッ!!
「いやいや、ホントホント!ハッハッハッ!」
「ハァ~やれやれだわ」