神様から授かった能力 ~スタンド使いが幻想入り~ 不定期更新 作:薬売り
「妖夢が迷惑かけました」
「いえいえ、そんな」
俺は今、白玉楼の中、魂魄妖夢が仕える主人の『西行寺幽々子』の屋敷にて、その西行寺幽々子とパルスィと俺で鼎談している。
妖夢?彼女はミイラみたいに包帯巻いて、隣の部屋で寝ているよ。
「彼女…妖夢に『遺体』とやらを授かってから、とても被害妄想をするようになってたの。誰かが私を殺しに来る、とか」
「ふむ…」
妖夢は恐らく、俺や今まで遺体を持っていた人達に比べて、信頼できる人はこの人だけだった。しかし、彼女はこの人に仕える身として、相談などがてきなかったのだろう。
「その、突然遺体を手に入れましたか?」
「え?」
この質問は今まで持っている人達にはしていなかったのだが、大体は異変時に手に入れていた。いや、言い方に語弊がある。異変時には、絶対的に遺体を持っている人がいたのだ。
もしかしたら、遺体を手に入れるキッカケがあるのかもしれない。
「そうねぇ……特にないかしら。紫が遊びに来た程度よ」
「…なるほど」
紫はこっちサイドの者だからあまり関係はないだろう。友人の家に行くのも何ら不思議ではない。
やはり、ただの偶然か。
「ありがとうございます、俺らはこれで失礼させていただきます」
「えぇ、お気を付けて」
「あ、そうだ」
俺は妖夢が寝ている部屋へ入り、腕を『クレイジー・ダイヤモンド』にして、彼女に触れる。
するといつものように傷は直ぐに治っていき、目こそ覚ましはしないが、表情は憑き物が取れたかのような、清々しいものとなった。
「妖夢に言っておいてください。俺は君の敵ではない、とね」
*
「といった感じだった」
「なるほどなぁ…妖夢も遺体を持ってたのは驚いたぜ」
「本当、いつも慌ててるような、あの妖夢がね」
俺は博麗神社で霊夢と魔理沙に、白玉楼での出来事を話していた。
彼女と一緒に。
「あの妖夢ってなんですか!?私だって、少なくとも貴女達よりはちゃんとしてますよ!!」
魂魄妖夢と。
「ハイハイ、寝言は寝てから言ってね」
「んなッ!?」
「落ち着けって、怪我は治ってても貧血気味なんだから」
「誰の所為だと思ってるんですか!?貴方ですよ貴方!!」
誰だ?俺の方角を指差すので、俺は後ろを振り向く。
「樹条浄夜だってんですよォォォォォッ!!」
「オレェ?正当防衛だろ」
「傷を治してからまたぶん殴るのッ!!どこがッ!!正当防衛なんですかァァァァァッ!!」
見ての通り、すっかりと元気になったようだった。あれからずっと心配だったんだよ。チルノの遊びで凍らされる蛙の次に心配だった。
「落ち着けって、お前にも非がある。命を取られそうになったのに、お前は生きてる。全然責められないな」
「うぅぅぅぅ!!許しませんからね!?」
「結構だ」
さてと、無駄話は置いておき、本題に入るとしよう。
「妖夢、お前が遺体を手にしたとき、遺体はお前に何を囁いた?」
「えっと…地面に地図が浮かび上がった後に、ストーンフリーが『
「とーあすぐらてえす?」
「またラテン語か…恐らく『君は自由だ』って意味だ。全く自由じゃなかったがな」
「へぇー、よくラテン語とやらを知ってるわね」
「あれ?そういやなんでだ?」
何故、俺はラテン語を知っているんだ?分からないな…
どうでも良いか。別に気にする程のものでもない。
「その、地図が浮かび上がったって言ってたな?どこを指していたか、分かるか?」
「確か…妖怪の山だったはず。守矢の西側」
「え、マジ?」
灯台もと暗しとはまさにこの事だ。住所のすぐ近くにあるじゃあないか。
「あの地図ってなんなんですか?」
「次の遺体の場所だよ」
「なるほど…」
「細かい位置とか分からんし、案内してくれないか?もしかしたら、闘うことになるかもしれないが…」
「構いませんよ、私に斬れないものなどあんまりありませんから」
あんまり、なんだ…
少し不安になったんだが、大丈夫だろうか?