IS インフィニット・ストラトス ~未来をパラドックス~   作:智明

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全てはここから。

一応全部書き直す事にしました。


プロローグ 【Back to the Past】

ロクに変えようとも思わない電球のせいで薄暗い通路を『俺』は歩いていた。

自分で言うのも何だが俺は子供だ。

と言っても幼い少年とかそういう話ではなく見た目だけの話。

俺は何故か若返ってる。

年齢を誤魔化してるショタ爺とかじゃなく何故か若返ってる。

 

そう若返ってるのだ。

 

本当は酒とオーガニック鳥ささ身をこよなく愛するアラウンド・サーティーの傭兵なのだがな。

今の俺の年齢は適当に分析して八歳から九歳の子供だろうか。

だがその風貌はまるで数多の戦場を渡り歩いた戦士そのものだった…なんて言ってみたり。

だって俺、子供の癖に貫録あり過ぎるもん。

あ、言葉遣いまで若返ってる…やりずらい。

さて、今の俺は頭部以外はISスーツで蔽われてる。

その様、例えるなら…まだ海があった(・・・)頃、潜る際に使用されていたダイバースーツの様だった…俺は見た事ないけど。

あれこれ考えながら歩いているといつの間にか俺は目的の場所についた。

俺はノックもせずそのまま部屋に入る。

 

「おい姉さん!俺の体はどうなってやがる!」

 

部屋の奥でモニターを眺めながらカタカタッとキーボードをリズミカルに叩く人物は我が姉、秋葉原由奈(アキハバラ ユナ)である。

とりあえず精一杯怒鳴ってみた。

 

「………」

 

だが何事も無かったかの様にこちらに背を向けながらひたすら作業を続る。

うん、知ってた。

まぁスルーされるのはいつもの事だが今回は自分の体が大問題を発生してる為出来れば反応が欲しかった。

 

「…はぁ」

 

その思いが通じたのか無気力にも椅子を回転させてこちらと向き直る。

 

「何さ騒々しいわね」

「俺のこの姿を見て何か言う事は?」

「…うん、愛らしい」

「違うわ!何で俺は子供になってるんだよ!」

「ハッハッハッ…ぃやー…ちょっと失敗しちゃってね」

 

何故俺がこうなってしまったのか。

その経緯を少しだけ語ろう。

あ、ついでに昔話もしよう。

 

△▼△▼△▼

 

俺の名前は秋葉原夕霧(アキハバラ ユウギリ)

インフィニット・ストラトス…通称ISと呼ばれるパワードスーツを運用し戦う軍人だ。

元々俺はパシフィック・ユニオンの偵察部隊に所属していた偵察兵だったのだがアジア連合軍の中規模のIS部隊に待ち伏せされて偵察部隊は壊滅。

三名程MIAが出ておりその内の一人が俺だった。

俺は行方不明をいい事に軍を抜けた。

そして離れ離れになってしまった姉を捜す為に俺は世界中を旅した。

 

「天才がモグラ暮らしをしている」

 

どこで拾った情報だか忘れてしまったが俺は天才がいると思われる太平洋の真下…アンダーグラウンドシティーに行く事にした。

天才と言えばISの生みの親である彼女の呼称なのだがこの時代に生きる人にとって天才と言えば俺の姉の事である。

案の定、姉である由奈を簡単に見つけた。

色々話し合った後は姉と共に暮らす事となった。

それが五年前の話。

 

そして一年程前に昔の仲間を集めて傭兵稼業を始めてみた。

傭兵と言ってもイリーガルなものも含めてのではなくあくまでクリーンがモットーな傭兵チームだった。

今の時代に華麗事に意味があるとは誰も思わないだろうが…それでも俺はこだわった。

俺達はそれなりに稼げた。

柄じゃないが仕事にも熱心に勤しんでいた。

毎日が充実していたのだ。

だがその全てが終わりを迎えた。

三日程前に俺達は全滅していた。

簡単な護衛任務になる筈だった。

イレギュラー。

たったそれだけで当たり前だったものが簡単に狂ってしまう。

こうなってしまった以上、もう…諦めるしかないのだ。

さて、俺達は全滅した。

文字通り死を経験した。

なのに俺は生きている、これはおかしい。

さらに見た目が子供、あきらかにおかしい。

そして今に至る。

 

△▼△▼△▼

 

「実は作業が中々進まなくって人手が欲しいと思った処に昔作ったクローン装置の事を思い出してね」

 

ふむ。

 

「十体程クローンの量産に成功してね、おかげで念願のタイムマシンが完成したのよ!」

 

ふむふむ………ん!?

 

「クローン装置を片付けようかなと思った時にゆう達が全滅したというAIからの報告を受けてね」

「…何だか聞捨てならない物が聞こえた気がするのだが今は置いとこう…えっと、つまりここにいる俺はクローン体?」

「体はね、後遺症や欠陥とかは無いから安心してていいよー」

「じゃあこの記憶は何なんだ?」

 

記憶を引き継ぐなんて普通はありえない。

 

「あぁそれね、回収したゆうの頭、脳をかなりいじったけど詳しく聞く?」

「いや、気持ち悪くなるからいいや」

「ナハハ、冗談冗談いじってないから…まぁ実際は脳からあらゆる記憶、知識、五感、その他諸々を出来るだけ多くデータ化して新しい体に移したっていう話だけどね」

「それを出来るアンタは何なんだ…にしても俺よく生きているな」

「実際普通のIS戦だから助かったけどね…頭が粉々になったり跡形も無く蒸発したとかだったらアウトだけどな」

 

マジでか。

 

「えっと、じゃあこの体は何なの?」

 

俺が言ってるのはこの見るからにザ・たんぱんこぞうの様な見た目だ。

 

「あ、あぁ…それか、あー実はクローンの作り過ぎてクローン体様の材料が足りなくなってね、ゴメン!で、でもでも!時間も無かったし手遅れになる前になるべく早くゆうの新しい体に取り掛かる必要があったしそれから…」

 

珍しく由奈が慌てている。

とはいえ由奈のおかげで何とか助かった。

仲間達は皆死んだが俺だけが何とか生きてた。

見た目は子供だが…。

まぁ、体は確かに小さいが言う程不便と言う訳でもない。

むしろ由奈は命の恩人だ。

確かに不満はあるがだからと言って恨む筋合いは無いだろう。

これはしばらくの間は由奈の頼み事には逆らえないだろうな。

さて、いろいろスッキリしてきたし。

いよいよ例のアレについて聞いてみよう。

 

「ところで先程言ったタイムマシンって何だ?」

 

気になったので聞いてみた。

 

「…私の夢」

 

夢?

 

「ゆうはさぁ…この世界を変えてみたいと思わない?」

 

由奈の言いたい事が分る。

IS…宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ。

女性にしか動かせないという欠陥を持ち、この世界に女尊男卑社会をもたらした一番の原因でもある。

ISは当初の開発目的から大きく脱線した。

今ではISの存在はただの兵器として成り下った。

戦車や戦闘機に代わる戦争の道具として。

そうさせたのはだれか?

政府?

軍?

それとも謎に包まれた秘密組織?

少なくとも開発した本人にも罪はある。

例え求めていたものは小さな幸せだったとしても。

 

「思う」

 

俺の答えは決まっていた。

その為に俺は戦い続けていた。

ISが誕生してから既に五百年余が過ぎた。

戦争が始まって以来、人類の八割方が死滅しその内六割が女性という最悪の結果を出した。

更に事態を悪化させた要因が他にもある。

約二百年前、開発者を悩ませたであろうISのとある欠陥をある者が解明し、ISを男性にも動かせるようにした。

この後どうなったかは火を見るより明らかだろう。

国を背負った戦乙女達の戦いに男共が加わったのだ。

戦争は更に増大し、死者は増え、資源は遂に枯渇する。

極めつけは対国級戦略兵器ラグナロクによってこの星の生命の源である海を一滴も残さずこの星から全て無くなった。

地球は死の星と化したのだ。

そして俺こと秋葉原夕霧はそんな最悪な時代に生まれたのである。

 

「ゆう…世界を救いたい…今でもその気持ちは変わらない?」

 

それは俺の子供の頃からの目標…いや夢だった。

戦争を終わらせて、世界を平和にする。

子供っぽい夢だと笑われるだろうが俺はこれを支えに今まで生きてきた。

 

「その為の手段がようやく完成した」

「その手段がタイムマシン…」

「そ、でも一人用で片道切符という欠点があるんだけど…ゆう」

 

由奈が俺をじっと見つめる。

まるで何かを訴えるかの様に。

 

「私は行かない…だから代わりにゆうが行ってきて」

「…俺が」

「行って、五百年前に…そして世界を救って」




由奈「ちなみにゆうの頭はちゃんと保管してあるよ」
夕霧「…俺の頭だけど捨てなよ」
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