IS インフィニット・ストラトス ~未来をパラドックス~   作:智明

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冬はHELL。


六話 ~ゴーイング・マイ・ウェイ~

 場所は篠ノ之家の仮家の前、今現在そこは修羅場と化した。片方は黒を基準としたスーツの二人組の男・・・そしてもう一方は黒色のISに身を包んだ謎の人物。二丁の拳銃は二人の男に向けられ、場の空気は最悪に緊張していた。まだ昼間だというのにまるで深夜の様な静けさ。

 

「な・・・何者だ」

「・・・」

 

 黒服の男は黒いISに質問をしたが答えない・・・いや、答える気はない。変わらず銃は二人に向けられたままである。そして・・・膠着状態が10分も経過した。通行人が未だに一人も現れていないのは奇妙な事だが気にしている場合ではない。そしてこの状況に痺れが切れそうな黒服達だが先に口を開いたのは・・・。

 

「お前達にやって欲しい事がある」

 

 それは黒いISの方だった。

 

「・・・やって欲しい事?」

「ああ」

 

 黒服達はお互いの顔を見合わせた、そして男か女とも区別できない声で呟く黒いIS操縦者を睨む。ヘルメットで顔は隠されているがまだ膨らんでない胸と未熟な体格からして相手はまだ幼い少女だろうと勝手に納得した。とはいえ相手はIS、黒服達は無茶な要求をされないか冷や汗をかいている。

 

「そう警戒するな・・・別に難しい事ではないから」

「・・・わかった、とりあえず話だけ聞こう」

 

 相手は国をも滅ぼせる超兵器だ、相手が話し合いを望んでいるのならそれに全力で答えるべきだろう。でないと下手に相手を刺激でもしたらここ周辺が消し飛びかねない。黒服達は身の安全を保証されてない今の状況に内心焦っていた。

 

「なに・・・そう無茶な話でもないさ・・・そうだね、篠ノ之一家に掛けられてる重要人物保護プログラムを解除して欲しいのだ」

「・・・」

 

 黒いISはいきなりストレートに要求を述べた、まるで長々と会話なんてしたくないとでも言うかの様に。

 

「・・・悪いがそれは出来ない」

「それは何故だ?」

「あの一家は既に世界中で名前を知られているVIPだ・・・行方不明の束博士は勿論、その家族も丁重に守らなければならない・・・博士が身内を大切に思っているのは我々でも把握している、ならば仮にその身内に危険が迫ったらどうなる?誘拐でもされて博士を脅されればそれは我が国にとって不利益をもたらす可能性がある、だから・・・」

「だが箒はまさに昨日誘拐された筈だが?」

 

 黒服達にとってあまり指摘して欲しくない言葉を黒いISは容赦なく述べた。

 

「・・・何故それを知っている」

「うん?それはこの私が彼女を守ったからだよ」

「守る?一体何故その様な事をお前がする必要がある、お前と彼女達との関係は何なのだ!」

「それを貴様達が知る必要はない、大切なのはこの私が箒達の為にここにいる・・・ただそれだけだ」

 

 ヘルメットで顔の様子がわからないがその声からしてあきらかに黒服達を見下しているのがはっきりと分かる。

 

「理解したか?君たちの自慢の保護プログラムなんかいなくても私がいれば充分なのよ」

「しかし我々とてちゃんと準備をすれば・・・!」

「迅速に駆けつけない時点で不要なのよ、もし目的が誘拐ではなく暗殺だったらどうするつもりなの?」

「それは・・・」

 

 黒服の男はそれ以上喋らなくなった。

 

「なら彼女達を常に監視すれば!」

 

 今度はもう一人の黒服が声を上げた。

 

「箒達を監禁するつもり?なら私が黙っていないよ・・・」

 

 威勢良く高らかに叫ぶも黒いISに威圧されて黙ってしまった。

 

「守る力も、技術も、気配りも出来ないのなら・・・後は私に任せてくれないか?」

「・・・はぁ・・・何処のISかは分からんが今のこの状況では我々に逆らうだけ力はない、好きにするがいい」

 

 黒服は諦めたかの様に溜息を漏らす。先程は黒いISの所属を疑問視する声が上がったが大方篠ノ之束が家族を守る為に派遣したボディガードって所だろうと黒服の男が勝手に納得する。

 

「ほう・・・随分と物分りがいいな」

「ただし、我々だけで判断するわけにはいかない、まずは上司に報告し、その後は政府に承認を得ないといけない・・・少なくとも一月はかかる」

「いや、そんなまどろっこしい事はしなくてもそのまま政府に直接言えばいいだろう・・・そうだな、今日中に解除しなければ国会議事堂を吹っ飛ばすとでも伝えろ」

「ほ、本気か!?そんな事すれば・・・」

「白騎士事件より派手な事件でも起こしてやろうか?」

 

 そしてそれ以上のやり取りもなく・・・黒服達は車に乗り、急ぎ真っ直ぐ東京へと向かった。そして車が遠くへと去っていくのを見計らい、黒いISの操縦者が身にまとっていた鋼の鎧が青く光りだし、そしてそこには変わらずの全身タイツの秋葉原夕霧がいた。少しだけ語ろう・・・この時代ではISが待機状態になる際はアクセサリーの様な形で収まるが遠い未来ではナノサイズまで小型化し、人間の体内で待機するようになった。夕霧がやたら手ぶらなのはこれが理由である。尚、ただ待機してるだけでなくそのままISのマシンパワーを肉体とリンクさせてその力を使うことも可能。夕霧が驚異的な身体能力を発揮させていたのはこれが理由である。

 

「よし」

 

 夕霧は車が走った方角を眺めながら満足そうに頷いた。

 

 時刻は夕方の5時を過ぎた。篠ノ之箒は重い足取りで道を歩いていた・・・その理由は夕霧である。先日は箒自身が危険な目に会い、そして夕霧に助けられた。それがキッカケで夕霧と共に暮らす事になったのだが・・・どうやらその話を撤回しなければならないようだ。

 

「はぁ・・・気が重い・・・」

 

 昨日今日で住まわせたばかりだというのにもしかしたら直ぐにでも別れるかも知れない。そんな相手をガッカリさせる様な真似をするみたいで箒は当然不満である。政府が指定した重要人物保護プログラムで夕霧が含まれるはずがない。つまり夕霧はこの街に残り、箒と母親の普だけがこの街を出る。箒は既に過去3回も転校を繰り返しており、厄介事が起こると決まって黒服達が現れて箒達を彼方此方へと連れ回した。だが・・・箒に逆らうだけの力がなかった。そして考え事をしながら歩いていると箒は既に家に到着していた。

 

「・・・あまり気は進まないが・・・言うしかないな・・・」

 

 意を決してドアノブを取る。

 

「ただいま・・・」

「・・・おかえりなさーい」

 

 箒が帰宅した時の挨拶を済ませたら以外な人物からの返事が返った。声はリビングの方から聞こえる。箒がリビングへ向かうと・・・案の序、返事した張本人・・・秋葉原夕霧がソファで寝転がっていた。

 

「・・・くつろいでるな」

「おう、こんなに安心して休めるのは久しぶりだからな、とても貴重な時間さ」

「そ、そうか・・・」

 

 箒は台所の方を見る・・・普段からこの時間帯に料理の支度をする普の姿が見当たらない。

 

「えっと・・・母さんは?」

「買い出し、出て行ったばかりだからすれ違わなかったのか?」

「あ、ああ」

「ふぅん・・・そっか」

 

 そして会話が止まる。言うべき事を言わなくてはいけないのにと心の中で頭を抱える箒。自分から言わなくちゃと口を開こうとするが緊張しすぎて声が出ない。

 

「あ、そうそう・・・実は箒に報告したい事があってな・・・」

「・・・奇遇だな・・・実は私もだ」

 

 夕霧の方から切り出したので何とか喋れた箒。若干声が裏返ったが彼女は気にしない。

 

「あー・・・ゆう、話をするなら、その・・・私の部屋でしよう」

「ん、いいよ」

 

 大切な話をするなら二人っきりになれる所が望ましい。リビングでも充分二人っきりなのだが普がいつ帰ってくるか分からないのでやはり却下。夕霧達は箒の部屋がある二階へと上がった。

 

「へぇ・・・」

 

 箒の部屋へ入り、真っ先に思い浮かぶ感想は・・・普通。白を基準とした至って普通の部屋。ぬいぐるみといった女の子らしい置物は一切なく、かと言って和式っぽさがあるわけでもない。仮住まいとはいえ、普通部屋とは自分の心を映し返す鏡の様なもの。部屋が散らかっていると効率で物事を考える人とか思われたり、洗濯カゴが部屋に置かれてると実は色々溜め込むタイプだとかそんな感じ。

 

「面白い物はないが・・・それでもあまりジロジロ見るな」

「おっと失礼」

 

 そして二人共はベッドで腰掛ける。

 

「それで話というのは」

「いや、先にゆうからで・・・」

「ん、俺は後でいいよ」

「そ、そうか・・・」

 

 まだ緊張してるので先に夕霧から話を聞いてからにしたかったが箒は観念して自分の話を始める。

 

「その、ゆう・・・私は君に謝らなければならない事があるんだ」

「謝る?」

「ああ、私は君に住む場所を与える事によってゆうへの恩返しになると思った・・・事実ゆうは満足してるし、私もこれでいいと思った・・・だが私はそれを撤回しなければならないと思う」

「・・・まさかと思うが・・・箒の心配事は例の保護プログラムのせいで箒達は遠くへ行ってしまい、そして俺がハブられてこの家を出るからなのか?」

「あ、ああ・・・なんだ、知っていたのか・・・」

「知ってたってか、予想してた・・・かな・・・でもそれならもう心配ないぜ、もう解決したから」

「解決?一体何の事だ」

 

 夕霧はポケットから一枚の紙を取り出してそれを箒に見せる。しかしそれはただの紙ではない、それは政府から何かしらの伝言がある時に送られるFAXだった。内容を簡単にまとめると篠ノ之家にかけられてる重要人物保護プログラムを解除とするそうな。ちなみにFAXが送られてきたのは一時間前と書かられている。

 

「・・・ゆう・・・お前は何かしたのか?」

「あー、やっぱ分かっちゃうんだ・・・いや、別に大した事はしてないよ?ただ昼間に来た黒服の人達にちょっとだけ頼み事をしたんだよウン」

「・・・話を聞く限りゆうがISを使って相手を脅した様にも聞こえるが・・・」

「ギクッ・・・そ、ソンナコトナイヨ・・・」

 

 思わず目を逸らす夕霧。

 

「ちゃんと私の目を見て言え」

 

 お互い軽口を言う。そこで箒はふと考える、自分はまた助けられた・・・と。命だけでなく居場所までも。彼のやり方は多少無茶で乱暴だが・・・それでも彼のそれまでの行動が『箒』の為と思えばそれすらも愛おしく思えてくる。

 

「まったく、君は男なのに堂々とISを使って・・・バレたらどうするつもりだったのだ」

「まぁ・・・そこは上手く偽装したから性別がバレたとは思わないが・・・」

 

 昨日もそうだが夕霧はあまりにも慎重さに欠ける。箒がちゃんと見ていないと心配になるぐらいのレベルで。そして箒は自分の気持ちに不思議に思えてくる。あれだけ一夏で一杯だった心が今は夕霧の存在一つで満たされていた。一夏に告白した訳でもないので浮気という訳ではないがそれでも箒は複雑な気分である。しかし・・・この気持ちに気づいてしまった以上、いつまでもその思いを隠すことなど出来ない。今は大丈夫でもいつまで共にいられるかなんて箒には分からない。一番辛いのは気持ちを伝えられないまま離れ離れになる事だから。

 

「ゆう・・・お前に話がある」

「話ってさっきで終わりじゃないのか?」

「今思い出した、話はもう一つだけあった」

 

 箒は姿勢を直し、夕霧へと向き直る。

 

「ゆう・・・私は・・・」

 

 手に汗が滲む。大丈夫・・・今度は言える。自分にそう言い聞かせて箒はまるで大きな声を上げるかの様に、しかしその声は静かで・・・まるで秘密を明かすかの様に箒は語った。

 

「私・・・私はお前が好きだ」

 

 そして少女は告白した。

 

「突然何を言い出すかと驚いてるかもしれんがそれでも聞いてくれ・・・私と君が出会ってからまだ日は浅い、思いを育むのに接した時間も少なく、さらにお互いは知らない事だらけだ・・・唯一、私が君に心を動かされた要因があるとするならそれは・・・ゆう、君に救われた事だ」

「え、それだけ?理由としてはあまりにも・・・」

「弱いか?だが、私にはそれで充分だ」

「充分って・・・いくら何でもチョロすぎないか?」

「フッ、確かにな・・・だが惚れたのだ、どうしようもない」

 

 窓から差し込む夕日のお陰で箒の頬が紅潮して見える、その光景に夕霧は不覚にも見惚れていた。しかし惚れた、か・・・箒は確かにそう言った。この事実に対し夕霧は思わず頭を抱えたくなってきた。この流れはまずいと心の中で夕霧は思った。

 

「ゆう、聞かせてくれ・・・君の答えを」

「えっと・・・お断りです」

 

 その後、目にも止まらん速さで箒のチョップが夕霧の頭に直撃する。鈍器に殴られるよりも数倍の威力のあるチョップに夕霧は思わず頭を抱えながらベッドから転げ落ちてジタバタする。その様は半端な力加減で叩かれて半殺しにされたゴキブリの様だ。

 

「痛いじゃないか!」

 

 当然の批判である。

 

「すまん、幻聴が聞こえたせいか思わず勝手に手が出た」

 

 何ということでしょう・・・しかしこれは夕霧が悪い。乙女が勇気を振り絞って愛の告白を告げてるのに言葉を選ばずに断るからこうなる。しかもさっきのやり取りのせいで肝心のムードがぶち壊された。

 

「さて、一応何故断ったのか聞いておこう」

「いや、単に興味がないっていうか・・・」

「ゆうは私の事が嫌いなのか?」

「いや、別に嫌ってはないが・・・」

「なら付き合うだけでもいいと思うが?」

「付き合う・・・つってもお互い知らない事だらけじゃねぇか」

「付き合ってからお互いを理解しあう事も出来ると思うが?」

「いやでも・・・俺たちまだ子供じゃん」

 

 夕霧は見た目が子供なだけでその正体は26歳の大人何だがな。

 

「それがどうした?」

 

 手詰まりである。これはまずい、非常に・・・。夕霧はとある理由で箒と付き合えない事情がある。勿論それは未来を変えるという使命もあるが実は別の理由もある。いっそうのこと嫌いだとはっきり言えば箒も諦めてくれるだろうが夕霧には出来ない。たとえフリでも良心がものすごく痛むからだ。しかし、うまいかわし方が思いつかない・・・いや、一つだけあるのだがこれは言っていいものなのだろうか・・・だめだろうな。夕霧が色々と悩んでるその姿を箒が見てると彼女は思わず溜め息を吐く。

 

「はぁ・・・そんなに私と付き合うのが嫌ならはっきりとそう言えばいい、別に私は強制してる訳ではないのだから・・・」

 

 怒りと落胆。ようやく幸せになれるかもと思った矢先にまさかの拒絶。思わず涙が出そうになったがグッとこらえる。そしてそれは夕霧の目に留まった。仕方ないと思いつつも夕霧は少しだけ覚悟を決めた。これを言ってしまえば多少どころか未来がかなり大きく変わる・・・が、もとよりそれが夕霧の使命な訳で・・・。

 

「あの、箒・・・言っとくけど俺は別に箒の事が嫌いな訳じゃないよ・・・むしろ、そうだな・・・好きだよ」

「ゆう?」

 

 夕霧の言葉に反応し、ゆっくりと顔を上げる箒。

 

「でも・・・だからこそ付き合えないんだよ」

「どういう事だ?」

「俺は・・・俺は未来人なんだよ」

 

 夕霧は意を決して自分の正体を明かした。それに対し箒の反応は・・・。

 

「お前は一体何を言っているんだ・・・」

 

 常識人としての当然の返しだった。これに夕霧はズッコケそうになったがこらえた。

 

「私をフッた理由でも喋ってくれると思ったが・・・」

「いや箒まず俺の話を聞いて!俺は本当に未来から来たんだ!俺には大事な使命があってなによりもそれを優先しなければいけないんだよ!」

「・・・その話、真面目に言ってるのか?」

「言ってます!」

「冗談ではなく?」

「マジだ・・・その証拠に俺は男でありながらISが使えてる、これは未来でようやく実現出来た技術でこの時代にはまだ無いはずだ」

 

 勿論5年後には織斑一夏というイレギュラーが歴史通りに表舞台に登場する訳なので男がISに乗れるからって未来から来た証拠にはならないがこの箒は当然その技術を未来の産物として受け入れる。

 

「・・・ふむ」

「で、でだ・・・」

 

 夕霧は全てを語った。500年後の未来の事、その世界に生きる人達の事、戦争の事、それに使われる発明や兵器の事。

 

「事の発端が何なのかは最早誰にも分からない、何故あんな事になったのか。俺はそれを突き止めて止めなければならない・・・でなければ未来は変えられない・・・勿論手がかりはある、束博士が死んでからそれまで複雑に絡められた伏線が一気に爆発したかの様に表面化したからな・・・調べるならそこからになるだろう・・・」

「えっ・・・姉さんが・・・死ぬ?」

 

 夕霧はハッとなって思わず口を抑えたが時すでに遅し。

 

「あ、いや・・・死ぬつっても・・・病死だからねっ!」

「え、姉さんは病気なのか?」

「病気つうか・・・未来で発見された未知のウィルスなんだよ・・・勿論今は平気だけど」

 

 勿論それは嘘なのだ。

 

「そ、そうか」

 

 箒はそっと胸をなでおろす。束が暗殺されたのはまだ幼い箒が知るべき事実ではない。

 

「よかった・・・でも姉さんはやはり死ぬのか?」

「まぁ人間いつかは死ななきゃな・・・たくさん生きたからこそ返さなきゃいけないのさ」

「返す・・・とは?」

「・・・俺達人間は神様から命を借りてるのさ、そして寿命が尽きたら命を神様に返さなきゃいけない・・・不老長寿だの永遠の命だの、そんなものは借金を返さず堂々と踏み倒すろくでなしと同じだよ・・・だからいつかは死ななきゃだめだ」

「そっか・・・」

 

 とはいえ夕霧自身は一度は死んで復活してるし、彼のやろうとしている事はまさにその神に逆らう行為な訳なのだが。

 

「ゆう・・・ゆうが未来から来たのは私なりに理解した、勿論君の目的もだ・・・」

「ああ・・・分かってくれたか」

「未来の事がかかっているなら私も手伝うべきだろう」

「いやいやいやいや・・・箒を危険な目に合わせられないって!」

「だがその前に一つだけ分からない事がある」

「お、おう・・・それは何だ」

「結局の所・・・未来と私に何の関係がある、何故私達は付き合えない?」

 

 つまり話のポイントは恋人になる、ならないかについてである。

 

「え、いやだから俺には未来を変えるという使命があってだな・・・」

「だから手伝うと言ってるだろう」

「危険な目に合わせられないって・・・」

「人はいつかは死ななきゃ駄目と言ったのは誰だ?」

「・・・俺です」

 

 正体を明かしてまでなんとか上手く誤魔化そうとしたがこれも失敗に終わった。仕方ない・・・これだけは言いたくなかったがここまで来たら後は皿までだ。

 

「箒・・・その、理由はあるんだ・・・ちゃんとね」

「理由?」

「俺と箒が付き合えないのは、その・・・俺の出自、ていうか家族に関係してるんだ・・・よね」

「え、しゅつじ?」

 

 箒にとっては聞きなれない単語だが夕霧は気にしない。

 

「その・・・俺の父のは名前は秋葉原有五なんだが・・・んで母の名前は・・・その、篠ノ之桜・・・なんだよね」

「・・・ん!?」

 

 今度は聞いた事のある名前に反応し思わず冷や汗をかく箒。しかし、夕霧はもう止まらない。

 

「母さんから聞いた話何だけど・・・500年前の俺らの先祖の名前なんだが・・・篠ノ之一夏と・・・篠ノ之・・・箒・・・デス」

「・・・」

 

 箒は顔を真っ赤になりながらプルプルと震えていたがそうとも知らず夕霧が最後とばかりに爆弾を投下する。

 

「えと・・・つまり俺は9世代も離れた君の子孫、ていうか子供ってことになるんだよね」

「・・・ふ」

「ふ?」

「ふざけるな!!!」

 

 その声は隣の家にまで届く程である。

 

「つまりなにか?私は実の子供に対して恋をしてたというのか!?」

「だから言いたくなかったのに・・・」

 

 未来から来た事実よりそっちの事実の方が深刻とばかりに顔を手で隠す夕霧。

 

「しかも私の夫が一夏だと!?」

「ああ・・・婿入りしてたね」

「う、うむ・・・確かに一夏らしいが・・・て違う!!」

 

 箒は夕霧に詰め寄り、その胸倉を掴んだ。

 

「ゆう!貴様、一体私はこの気持ちをどうすればいいのだ!」

「どうするったって諦めるしかないじゃないすか・・・」

「いや、確かにその通りなのだが・・・ぐぬぬ・・・」

 

 箒は夕霧の胸倉から手を放した。そして部屋の済に寄り、体育座りで腰を下ろした。そして箒が落ち込んでから5分。まるで残念なものを見てる様で夕霧は声をかけずにはいられなかった。

 

「えっと・・・あのさ、元気だしなよ・・・一応一夏さんと結婚する事は決まっているし・・・」

「・・・本当にそう思うか?」

「え?」

「確かに私は一夏が好きだ・・・その飄々とした性格ながら、決してその信念を曲げない所が私は好きだ」

「・・・」

「だがそれとこれとは話は別だって今さっき気づいた・・・」

「え、どういう事?」

 

 箒は立ち上がる、そしてその真っ直ぐな瞳で夕霧を睨む。

 

「確かに私は一夏が好きだ・・・しかし、今の私はお前の方がもっと好きだ!」

「・・・え!?」

「確かに私の子孫だと聞いた時は取り乱すぐらいに驚いた・・・しかし、よくよく考えたらゆうは未来を変える為に戦っている・・・なら歴史通りに事が進むとは限らないのでは?」

「え、アレ!?」

 

 頭が混乱して思考が追いつけてない夕霧だがそんな彼を箒は置いてけぼりにする。

 

「ゆう、何も馬鹿正直に歴史をなぞって生きる必要なんてないんだ・・・私は自分の道を突き進む、たった今そう決めた!」

「いや、ちょっとまて!俺はアンタの子孫だぞ!?」

「知るか!私は・・・お前が大好きなんだ!!」

 

 こうして様々な重大事実が発表したにも関わらず未来人と現代人は相変わらずドタバタしていたのであった。そして秋葉原夕霧にとっての長い戦いの真の幕が開けたのであった。




とりあえず何とか書ききれました。次回からは時間が飛んでIS学園編になります。冬の間は忙しいので完成は1月になる予定です。
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