ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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今回は前回の通りテツヤvs辻斬りのお話です!

果たして、テツヤは無事勝つことができるのか
そして、辻斬りの正体とは一体誰なのか。

それでは、ご覧下さい!


Part144 テツヤvs辻斬り~その正体は~

「す・・・すげぇ・・・!!」

 

「両者1歩も譲ってねぇ・・・!」

 

「な、なんなんだこの戦い・・・こんなの生でしかも金も払わないで見て良いのかよ・・・・・・!?」

 

周囲のギャラリーの声がざわつく それもそのはず、戦いが始まって20分 ユージーンはこの時点で敗北を少女に告げていたが、テツヤと彼女は両者譲らず拮抗していた。

 

「やるじゃねぇか・・・・・・!!!キリトをやったって噂は伊達じゃねぇんだな・・・・・・!!!」

 

「お兄さんこそ・・・・・・こんなにも面白く戦える人初めてで震えが止まらないよ・・・・・・!!!」

 

鍔迫り合いの最中での会話だったが、そんな中でも互いに攻撃を止めることは無かった

 

テツヤの一太刀を少女は軽く片手剣で受け流し、そのまま反撃に転ずるが彼もまたスウェイで避ける その一連の流れはあまりにも優雅で、見るもの達を圧倒していた。

 

「やっぱりお兄さん選んで正解だった!私の最終目標にね!」

 

「そりゃ嬉しいな!!!俺もここまでの実力者に選んでもらえて光栄だ!」

 

だが、テツヤはどこか違和感を感じていた 確かに強い だがユウキ程かと言われると少し物足りなさがある

 

その違和感を確かめる為、敢えてテツヤは隙だらけの状態で攻撃をしかけた。

 

「お、おいテツヤ!?何を!!」

 

「いや、アレはアイツなりの作戦だろう。」

 

キリト達の元に何者かが現れる、その正体は辻斬りの最初のターゲットになったユージーンだった。

 

「わぁ!?ゆ、ユージーン将軍!?なんでここに!?」

 

「テツヤとあの女がやり合うと聞いてな それより見てろユウキ あの女の真価はここからだ。」

 

ユージーンの発言通りと言うべきか、テツヤの初心者並みの攻撃を避けると、そこから流れるような連撃が始まった

 

地上に立ったままテツヤの腕、腹部、腰部、足を切りつけ、体制を立て直させないように彼の肩を借りて飛ぶと、背面をバツ印を着けるように切りつけ着地すると、その着地の勢いをも活かしバツ印の中心を狙うように剣先を突きつけた。

 

この動き、テツヤにとってはアスナが似た動きをするので身に覚えはあるがそれをレイピアではなく片手剣でやってのけたのだ その自由な動きはユウキとアスナの融合と言ってもいい。

 

「お兄さん隙だらけだよ?そんなので私は倒せないよ~!」

 

「やるじゃねぇか辻斬りの姉ちゃん!」

 

「頑張ってくれよ!」

 

「えへへ~褒められちゃった♪さ!お兄さんはどうする?続ける?と言っても、お兄さんに降参は許さないよ リメインライト化するまで続けるからね!」

 

片手剣を向けながらそう告げる少女だったが、今のでこの子に手加減は無用 寧ろしてはならないと理解したテツヤは先程の連撃でふらついた身体を支えるために斬月を地面に突き刺した。

 

「冗談抜きにユウキより強えかもな・・・まるでユウキとアスナ両方を相手取ってる見てぇだ・・・そんな相手に手加減なんざしてられねぇ!!!!」

 

斬月を引き抜くと同時に、テツヤは詠唱破棄で風魔法を唱えると、その風に対して月牙天衝を放ち、周囲の視界を奪った。

 

「わ、わわ!?な、なんで詠唱しないで魔法打てるの!?」

 

「ま、前が見えない・・・!!」

 

「テツヤ君は・・・!?」

 

周囲の皆も必死に目を開けていたが、耳を劈くような金属の音が響くと同時にその風は収まっていた

 

その地に降り立っていたのは、妖精から死神へと姿を変えた 本気モードのテツヤだった。

 

「悪いな、アンタに対して手加減してる暇はねぇみてぇだ。」

 

「うわぁ~それがお兄さんの本気モード、アロンダイトだね!」

 

「あぁ・・・俺をここまでさせた女の子は数少ない 俺はお前を本気で倒すと決めた。」

 

天鎖斬月を振り下ろしながら告げるテツヤ 皆が息を呑む中、その姿を何時も特等席で見てるはずのユウキですらメロメロだった。

 

「見て見てアスナ!やっぱりテツヤが1番かっこいいよね!?ね!?」

 

「そ、そうだねユウキ・・・」

 

「お兄さんの彼女さん、随分とお熱みたいだね。」

 

「あぁ、自慢の彼女でユウキが女のプレイヤーじゃ最強かと思ってたが・・・悔しいがそれも更新かもしれねぇな!!!」

 

「そう思って貰えて光栄だよ!!!」

 

会話を終えたテツヤは瞬時に少女の元にまるで瞬間移動かのように近づき天鎖斬月を振るうが、少女はまるで見切っていたかのようにそれを防いだ。

 

「っ!?初見で俺の速度を・・・!?」

 

「だって本気でもまだ本気中の本気じゃないんでしょ?早く見せてよ!お兄さんの本気!!!!」

 

「なら見せてやるよ!!!!英雄の戦い方って奴をな!!!!!」

 

力任せに天鎖斬月を振り抜くテツヤ、流石の少女もそれに体制を崩し立て直した時には、テツヤの姿は見てなくなっていた。

 

「あ、あれ?どこいっちゃったの?」

 

「こっちだ!」

 

テツヤの声がする方を振り向くがそこには少女の腕に傷が入った以外何も無く、姿が見えないのに次々と少女に傷が入っていく様子は、まさに死神にロックオンされた魂だった。

 

「お、おいアイツどこいんだよ!?」

 

「んなの俺に言われたって知らねぇよ!?」

 

「で、でもよ・・・次々にあの子に傷がついていくあの感じ・・・」

 

「あぁ・・・まるであの子の周りに死神にが降り立ってるみてぇだ・・・!!」

 

何時も傍に居るユウキ達ですら視認は出来ないのだ、初見のギャラリー達が見れる訳もなく、寧ろテツヤの剣戟を初見で見切った少女が異常だ。

 

「す、凄いや・・・やっぱりテツヤ君は凄い・・・でも・・・そんな君だから倒したい!!!」

 

少女はそう言うとその場で魔法を唱え始めた、テツヤも見たことの無い魔法だったが 詠唱を終えると少女の持つ片手剣が金色に光り始めた。

 

「な、なにあれ!?アスナわかる!?」

 

「私も分からない・・・あんなの見たことない・・・!」

 

「さぁお兄さん・・・出ておいで!!!」

 

少女が片手剣を頭上にかざすと、周囲に6つの金色の液晶の物が彼女の周囲に落ちたかと思うと、武器を持つ右手が振り下ろされると同時に少女を囲うように霆が迸った

 

テツヤのスピードは殺さざるを得ず、少女の目の前に降り立った。

 

「す、すげぇな 魔法であんなことが出来るんだな・・・」

 

「やーっと姿が見えたねー!お兄さん、私の本領発揮はここからだよ!」

 

少女は腰の鞘に1度剣を収める 抜刀術かと思いテツヤは身構えたが、普段クラインのするソレとは踏み込み速度から違い、慌てて状態を逸らしかろうじて避けることには成功したが、テツヤの髪の毛が何本かハラハラと落ちていった。

 

「まだまだ!!!」

 

避けるテツヤの先を読むが如く攻撃を続ける少女、持っているのは片手剣1本なのは確かだが、絶え間ない連続攻撃は2本、3本持っているのではと錯覚させるのには当然の動きだった。

 

「チッ!!!」

 

その状態に堪らずテツヤは1度離脱、少女の後ろを取り頭を鷲掴みにすると、顔を地面に叩きつけた。

 

「ひ、ひでぇ・・・!」

 

「お、女の子相手に・・・惨すぎる・・・」

 

「あ、ありゃ妖精じゃねぇ・・・死神だ・・・ガチの死神がいる・・・!」

 

普段のテツヤを知らぬ皆から見たら例え相手が可憐な少女だろうと手加減しない冷血な男に見えたのだろうが、ユウキからしてみればそれはテツヤの中の考え方が分かったと思わせるには充分な物だった。

 

「ユウキ?どうかしたのか?」

 

「テツヤの行動に引いたのか?」

 

キリトとユージーンの問いかけに首を振り否定するユウキ

 

「あのね・・・テツヤって何時も女に手を挙げるのは嫌だって言うでしょ?体術も女の子相手には基本的にボクと戦う時だけ使ってるの そうでしょアスナ。」

 

「うん・・・確かにテツヤ君とデュエルする時にあんなことされたことない・・・」

 

「多分テツヤにとってもうあの女の子は唯の女の子じゃなくて、男の子、それこそキリトと戦うつもりじゃないと勝てないってシフトしたんだ あれはボクやキリトと戦う時の本当の本気のテツヤだと思う。」

 

ユウキの推察は的中していた、持てるもの全てを使わないと彼女には勝てない そう思ったテツヤは彼女を無理やりに立たせると、木に押し付けた

首を腕で押さえつけ、足で上手く右腕も抑え身動きが出来ないように。

 

「がっ・・・す・・・すごいね・・・本気出してくれた・・・?」

 

「あぁ・・・お前に対して手加減とか女の子とか考えてる暇はない・・・SAOのテツヤとしてお前は倒す。」

 

2人にしか聞こえない声量での会話だったが、それは彼女にとって感激の極みだった。

 

「なら・・・・・・私も・・・・・・お兄さんに応えなくちゃね・・・・・・!!!!!」

 

「何?」

 

少女がテツヤに対して頭突きをし、唐突な行動で虚をつかれたテツヤは反動で彼女を離してしまった。

 

だが、身構えた割には少女は何もせず 必死に呼吸を取り戻そうとしていた。

 

「はふぅ・・・危なかった・・・危うく窒息死するところだった・・・」

 

「こ、この・・・ユウキみてぇなことしやがって・・・!」

 

「さぁお兄さん、おいで 私の本気の本気 見せたげる。」

 

少女はそう言うとメニューを開き出した 何をするのかと思いきや、左腰部にも刀の鞘が現れた

 

「な、なに!?まさかお前二刀流!?」

 

「そのまさか!でも私のは厳密には違うよ!」

 

そう言う少女は2本の刀を引き抜くと、柄の部分を連結させると、片手剣とは思えぬ長さの剣になった。

 

少女はその剣を確かめるように1度振り、何ら違和感が無いことを確認すると動きを止めてその繋げた剣を構えた

 

足を開き腰を落とし、一本の軸が地面から天へと向かうようにしたその姿はとても少女が扱う武器とは思えず、初めて見る武器にテツヤは度肝を抜かれた。

 

「な、なんだそれ!?」

 

「私の特注武器♪でも対人戦で見せるのはお兄さんが初だよ!お兄さんの本気に応えるために私も全力で!」

 

「そうかよ・・・なら後で泣くんじゃねぇぞ!!!」

 

テツヤの持つ天鎖斬月は、月牙天衝の放たれる前兆の黒いオーラを纏いながら、少女に接近するのだった。

 

~~~~~~~~~~

 

「はァ!!!!!」

 

テツヤは肩に担いだ天鎖斬月を真っ直ぐ振り下ろすが、少女の連結した剣がそれを阻みVRの世界だと言うのに火花の散る感覚が彼の手に残る

踏み込んで力押ししたい だが彼女の持つ剣が振るう訳でもなく、彼の動きを殺していた。

圧倒的リーチはテツヤに苦戦を強いていた。

 

「どうしたの!お兄さんならもっとやれるでしょ!!!」

 

「お褒めの言葉ありがとよ!!!」

 

少女の薙ぎ払うような一撃を、テツヤは先程と同じくスウェイで躱す。

だが、それは彼女の読み通りだった。

 

間髪入れず、もう片方の剣が死角から襲いかかる。

テツヤは天鎖斬月を無理やり差し込み、その一撃を受け止めた。

 

受け止めはした、だが、刃が重く 自由が利かない。

彼にとっては、あまりにも珍しい防戦だった。

 

「やるねぇ!そう来なくちゃ!」

 

「クソ・・・槍とも違う両手剣とも違う・・・厄介だなコイツは!!!!」

 

テツヤは後方に飛びながら片手を前に出すと、インプならログインしたてでも使える闇魔法を3発放つ、詠唱破棄出来るテツヤならではの特権だが 彼女も飛ぶことでそれから避けたが、先程彼女が狙ったようにソレもテツヤの狙い通り。

 

先程まで距離があったと言うのに、即座に距離を詰めたテツヤは彼女の隙を付き腹部を斬り付けていた。

 

「やばっ!?」

 

空中で放たれる一撃だが、テツヤはそこでは止まらない

そのまま月牙天衝を放ち、一気に彼女からダメージをもぎ取った

 

「やるね!でもお兄さんも・・・」

 

「俺は堕ちねぇ!!!!」

 

通常ならそこで終わる攻撃だが、月牙天衝を放った後にテツヤの取った行動はソードスキルモーションへの移行。

 

「わわっ!?そこからソードスキル繋げられるの!?」

 

「SAOの頃考案した俺の技だ!とくと味わいな!!!!」

 

高速戦闘をもたらす天鎖斬月 そしてテツヤのみ許された翼のない状態での連撃 それはたった1人の少女を死に追いやらんとする死神の連撃だった。

 

「流石・・・でもそれは見切った!!」

 

5連撃目となる月牙天衝を彼女はテツヤをクリンチすることで無理やり撃たせないようにした

 

「なら!!!!」

 

テツヤはその状態で1度宙返りをすると、勢いを活かし地面に叩きつけようとしていた

 

無論それは下手をするとテツヤにとっても諸刃の剣。

だが彼女を倒すのに手段を選ばないと決めた以上躊躇いはなかった。

 

「あぁもう!!!この戦い終わらせたくない!!!」

 

少女はそう言うと手に持っていた剣を地面に突き刺し、テツヤの動きを再度無理やり止めた

 

反撃を恐れたテツヤは即座に離れ、勢いを殺すために天鎖斬月と己の手を地面に着きながらスピードを押し殺していた。

 

「くぅ~!!!!もうお兄さん大好き!!!!私の想像以上!!!!」

 

「お生憎様だが俺には彼女がいるんだ その告白は受け取れねぇな。」

 

「なら私も彼女に立候補する!!!」

 

「断る!!!!」

 

接近してくる少女に対して冷静に対処しようとしたテツヤ

だが、彼女は地面に自身の武器を突き刺し、持ち手の部分を両手で掴みその勢いで回転し始めた その様は鉄棒の大車輪にも似ていたが、地面に刺さるのは鋭利な刃。

 

数度回転して勢いを最大限に生み出すと、剣を地面から離して回転と共にテツヤに突撃した。

 

「な、なんだよそれ!?」

 

「人間大車輪!!!!!」

 

見たことの無い奇想天外な攻撃の数々 それはユウキとの戦いを思い起こさせテツヤは戦ってる最中なのに遂笑みを零した。

 

テツヤは真っ向から向かってくる少女を身体を逸らしてかわしたが、彼女はまるで自分をブーメランのように扱い戻ってきていた。

 

「笑ってる暇は無いよ~!!!」

 

「んなのアリかよ!?」

 

地面スレスレ テツヤの足を狙った攻撃を飛んで避けるが、長い戦いの中で彼女はテツヤの回避動作の癖を盗みきっていた。

 

「やっぱり!君ならそうするよね!!!」

 

少女は回転していた状態から片方の片手剣をテツヤに向けて放り投げていた

咄嗟の事でテツヤは避けきれずに左肩に突き刺さった。

 

「なっ!?」

 

左肩が機能しなくなった事で体制を崩し、顔を歪めながら墜落するテツヤ、その様子に少女はどこか誇らしげだった。

 

「ふふっ 後一撃だね♪」

 

テツヤのHPバーはレッドラインに乗り、絶体絶命だったがそれは彼女も同様だった。

 

「な、なんなんだよ・・・・・・アイツら本当に人間か・・・・・・!?」

 

「し、知るか・・・・・・でもよ・・・・・・もうどっちが勝っても俺は嬉しいぜ・・・・・・!?」

 

「おう!辻斬りも死神も頑張りやがれ!!!」

 

最後の一撃で戦いは終える 周囲からは辻斬り死神コールが巻き起こっていた。

 

「さっきまでインプって呼ばれてたのにもう死神って呼ばれてる・・・やっぱりテツヤ君はどうなろうと死神なんだね・・・・・・」

 

「あぁ・・・・・・初めてアイツの戦い方見るやつなら皆そう言うだろうさ・・・・・・!」

 

アスナとキリトは懐かしい感覚に襲われていたが、ユージーンは冷静に戦況を見極めていた。

 

「だが、互いに虫の息だ、テツヤが負けても、あの辻斬りが負けてもおかしくはない。」

 

「でも・・・・・・テツヤなら・・・・・・!」

 

ユウキは両手を祈るように重ねていた、テツヤの勝利を信じて。

 

「さぁお兄さん!次で最後・・・泣いても笑ってもね!」

 

「その・・・ようだな・・・!」

 

「でも、そんな物刺さってちゃ自慢のスピードも殺されちゃうんじゃない!」

 

少女のその一言にテツヤは左肩に視線を移す 突き刺さった片手剣の影響でもう小指1本まともに動かせはしなかった。

 

・・・・・・役に立たない

そう判断したテツヤは天鎖斬月で左肩を切り落とした。

 

「ふぇっ!?お、お兄さん!?」

 

「こんな使いもんにならねぇ肩引っさげたままお前に勝てるとは思えねぇ なら切り捨てるだけだ。」

 

切り落とした左肩は地面に落ちると即座に耐久値を無くすと共に、テツヤは片腕で天鎖斬月を強く握った それを見た少女は右腰に備わっている鞘に剣を収めた。

 

「へぇ・・・どこまでも私を本気で捉えてくれるんだね・・・テツヤ君・・・!」

 

「あぁ・・・俺はお前を殺す気でやる・・・・・・!」

 

2人の会話の後沈黙が流れる、この場に集まった数多のプレイヤーもその空気を壊さない為に呼吸すら躊躇っていた。

 

だが、唐突にその沈黙も終わる 先に動いたのは少女だった。

 

「終わりだよテツヤ君!!!」

 

先程よりも素早い抜刀術 確かに彼女は片手剣を振りぬいた

 

だが、少女の目にはテツヤは映らず、天鎖斬月の黒い刀身のみが映っていた。

 

「や・・・やっぱ強いや・・・お兄さん・・・」

 

少女の呟きと共にHPが尽きた少女はその場でリメインライト化、デュエルの勝利はテツヤの物になった。

 

またも訪れる静寂、それを破ったのは天真爛漫なユウキの嬉しそうな声だった。

 

「テーツーヤー!!!!!」

 

「なっ!?ちょ、ユウ・・・!?」

 

急に抱きつかれた為処理出来なかったテツヤはその場で倒れた、だが それと同時に頭を打った為もう本の数ミリしか残ってなかった勝者のテツヤも少女に続きリメインライト化してしまったのだった。

 

「はりゃ?」

 

その様子を見て周囲の静寂は大爆笑へと変わっていた。

 

「えぇ!?て、テツヤぁ!?」

 

「ま、待って!今助けるから!!」

 

その状況に堪らずアスナが駆け寄り、2人同時に蘇生できる魔法を唱えテツヤと少女は復活した。

 

「あ、ありがとうアスナさん・・・あぁん負けちゃった~・・・」

 

「サンキューアスナ・・・おいコラユウキ!!!HP死にかけのやつにいきなり勢いよく抱きつく奴があるか!!!!案の定死んだじゃねぇか!?」

 

「うぅ・・・・・・ごめんなさい・・・・・・テツヤが勝ったのが嬉しくてつい・・・・・・」

 

「おい!良かったぞ辻斬り少女!また見せてくれよな!」

 

「死神も良かったぞ!!ナイスデュエル!!!」

 

「俺はこんなデュエル生で見れて光栄だ・・・・・・!!!!!」

 

先程までは笑いに包まれていたが、今度は歓声と拍手に変わっていた

テツヤと少女は互いに顔を見合わせると笑い合い、互いの手を繋ぎその場で高らかに手を挙げた。

 

「ふんっ・・・お前が勝つのならそれでいい・・・」

 

「お、おい お前はいいのかユージーン?」

 

「俺はアイツを超えるためにいる 貴様らと仲良しこよしをする為に来た訳では無いのだ さらばだキリト。」

 

ユージーンはそう言うと人並みを掻き分けてどこかへと去って行った。

 

「ったく、素直じゃない奴。」

 

キリトもテツヤ達の元に近づき、テツヤと顔を合わせ互いに笑みを零すと勢いよくハイタッチで勝利を祝した。

 

「さて、これで満足ですか?辻斬りさん。」

 

「いやぁ負けちゃったか~・・・お兄さんには勝てると思ったんだけどなぁ~・・・」

 

「いや、今回は俺が勝てただけですよ、強いていえば運が味方した そんだけです。」

 

「さっすがお兄さん!じゃあ今度は私に勝たせてね♪」

 

「えぇ、今度も俺は負けませんよ。」

 

テツヤと少女の会話を聞いていた3人は、どこか違和感を感じていた。

 

「ね、ねぇテツヤ君?その、なんでさっきまで私達と同じように接してたのに急に敬語に・・・?」

 

「もしかしてこの人の弟子になりたいとか~?」

 

ユウキは笑いながらそう言っていたが、テツヤはそんな彼女の頭に手を置き、優しく撫でていた。

 

「そうだな・・・この前の答え合わせと行こうか、ユウキ。」

 

テツヤの言ったことに理解ができない中ではあったが、5人は1度この場を離れ再度インプ領のテツヤ家へと向かったのだった。

 

~~~~~~~~~~

 

「それで、さっきの答え合わせってどういう意味なの?テツヤ君。」

 

「そうだな・・・・・・俺の口から言います?」

 

「もう気づいちゃってるんだね、流石はテツヤ君♪」

 

「そりゃあんな長時間やり合えば何となくね・・・まさかALOにいるとは・・・」

 

テツヤと少女の会話を聞いても何もピンと来なかったユウキ

だが、2人はユウキの事を微笑みながらじっと見つめ、テツヤは右の頬に、少女は左の頬に手を触れた。

 

「こうしてこっちでもユウキに会えるなんて・・・・・・嬉しいなぁ・・・・・・」

 

「そうですね・・・・・・俺もです・・・・・・」

 

「???」

 

何も知らないユウキだったが、何時も感じるテツヤの大きな手は変わらずだが、少女の触れた頬もどこかで触れられた事のある感覚があった

 

その時、ユウキの見る少女の面影がある大切な人とダブって見えたのだ

 

そう、ユウキの姉 藍子と。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?ま、ままままままさか!?まままままさかまさかまさか!?!?!?」

 

ユウキは酷く驚き目をまん丸にしていた、思わずその表情を見た2人は吹いてしまっていた。

 

「ど、どんな顔してんだよユウキ・・・」

 

「全く・・・こっちでも相変わらずなんだから♪」

 

「え、あの、ユウキ?この人が誰か分かったのか?」

 

「私達も知ってる人?」

 

「え、あの、ゆ、ユキ!?」

 

ログイン時からずっとお昼寝をしていたユキの事をユウキは優しく呼ぶと、寝ぼけなまこを擦りながらユウキの髪の中から姿を表した。

 

「うわっ!?な、なにこれ!?」

 

「なぁにぃお母さん・・・ユキお昼寝の時間なのに・・・」

 

「そ、その!!!ここ誰かに見張られてたりしない!?」

 

「ううん・・・それがどうかしたの・・・?」

 

「じゃ、じゃあ!!!あの・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・?」

 

少女の事を恐る恐る指をさしながらそう言ったユウキ すると少女は正解とでも言うようにユウキの事を抱きしめていた。

 

「正解♪お姉ちゃんだよユウキ♪」

 

そう、謎の辻斬り少女の正体はユウキの姉 藍子だったのだ。

 

「えぇ!?ゆ、ユウキのお姉さん!?」

 

「て、テツヤもユウキも知らなかったのか!?」

 

アスナとキリトも驚きを隠せずにいた、何しろ、2人にとっては藍子との初の出会いなのだから当然だ。

 

「あぁ、この前VRMMOやってることは聞いたけどなんのゲームやってるかは教えてくんなかったんだよ・・・・・・まさか本当に藍子さんだとは・・・・・・」

 

「ねぇ、テツヤ君はなんで私だってわかったの?」

 

「いや、俺をSAOクリアに導いたって知ってたのと、俺をテツヤ君って呼ぶ それとユウキに対してどこか藍子さんっぽい対応・・・後はフィーリングですかね、ユウキとは何度も戦った その、ユウキと戦ってる気持ちにさせてくれたんです 後はそれを当てはめて、唯一ゲーム内で会ったことない人としたら?と思ったら 貴女しかいなかったんです。」

 

「ふふっ、流石はテツヤ君だね♪」

 

「じゃ、じゃあさっきまでずっとずっとテツヤとお姉ちゃんデュエルしてたってこと!?」

 

「あぁ、そうなるな。」

 

「えぇ~!?ずるいずるいずるい~!!!!ボクもボクもボクも~!!!!!!」

 

ユウキはその場で駄々を捏ね始めた、ユウキの頭上にいたユキは必死に髪の毛にしがみついていた。

 

「でぇい駄々こねるな!!!子供か!!!!」

 

「お、お母さんやめてぇ~!?」

 

「お母さん・・・・・・えっ!?じゃ、じゃあ2人共ゲームでまさか・・・・・・私も叔母さんってこと・・・・・・?」

 

「あ、いやそれはまた追々話します・・・ユキ、一旦俺んとこでお昼寝しな。」

 

テツヤにそう言われたユキは彼の肩に移動すると、その場で身体を猫のように丸くして再度昼寝を始めた。

 

「あ、え、ええっと、何時もユウキさんと仲良くしてるアスナって言います・・・」

 

「同じくキリトです・・・先日はどうも・・・」

 

「ユウキから話は聞いてるわ キリト君 この前はデュエルしてくれてありがとう♪アスナさんも今度は私ともやりましょう♪」

 

「そ、そういえば藍子さんってプレイヤーネームはなんですか?流石にリアルネーム呼びは不味いので・・・」

 

「それじゃあ改めて、ユウキの姉の紺野藍子です プレイヤーネームはラン ユウキやテツヤ君と同じインプ属なんだ これからもユウキ共々よろしくね♪」

 

藍子・・・いや、ランさんはそう言うと俺達に対して頭を下げてきた

 

「こちらこそお願いします、ランさん。」

 

「それにしても凄いですね!キリト君に勝ててテツヤ君ともあんな戦い出来るなんて!」

 

「リハビリ用に始めたゲームでここまで動けるとは私も思えなかったわ♪それより、テツヤ君と戦ってる時はなるべくユウキらしく喋ろうと思ってたんだけど、どうたったテツヤ君?」

 

「いや、ユウキそっくりでしたよ あんな公衆の面前で大好きだって言われるとは思いもしませんでしたけどね。」

 

「あれは本音♪あんなに熱くさせてくれるテツヤ君がもっと好きになっちゃったわ♪」

 

「えぇ~!?て、テツヤはボクの~!!!!お姉ちゃんでもダメー!!!」

 

ユウキはそう言うとあの日の病院のように俺を取られないようにと抱きしめてきた こんなの幸せなデジャブもそうそう無いだろう。

 

「でも本当に強かった・・・ユウキとアスナを足してそのままみたいな・・・」

 

「そうそう!片手剣でアスナみたいなことやってくるし動きはユウキみたいな自由奔放で読めない・・・マジで強かったぁ・・・・・・」

 

「ありがとう♪でも、その強さもそろそろお別れかもしれないの。」

 

「へ?なんで?」

 

「メディキュボイドで今はログインしてるからさ、お陰であんな動きできるけど、あれなしならどこまでやれるかは私も自信がないんだ。」

 

「確かナーヴギアより数倍出力高いんでしたっけ それでもあんな動き出来るのランさん以外いませんよ 過去の相手の中でぶっちぎりで強かった ユウキ お前よりもね。」

 

テツヤはそう言うとユウキの事を抱き締め返していた。

 

「あぅ・・・ボクも自信あったのに悔しいなぁ・・・でもでも!お姉ちゃんの言うそれって本当に本退院が近いってことでしょ!なら、ボクがお姉ちゃんにいっぱい訓練してあげる♪」

 

「あら、じゃあお願いしようかしら♪テツヤ君達もお願い出来る?」

 

「ええ、俺で良ければ。」

 

「テツヤより弱いかもしれませんが、二刀流なら俺も経験あるので任せてください!」

 

「私もあの動き教えて欲しいです!お願いしますランさん!」

 

「でもその前にボクとお姉ちゃんでデュエル!!!ほら!いこいこ!」

 

「お、お姉ちゃんテツヤ君と全力で戦いすぎちゃって疲れちゃったから休ませて欲しいな・・・・・・」

 

「えぇ~!?じゃあ変わりにテツヤ!」

 

「俺もだ、大体まだ左肩復活まで時間かかる 隻腕でユウキに勝とうなんて無理だ。」

 

「むぅ~・・・じゃあキリトかアスナ!」

 

「よし!ならやるぞユウキ!!!」

 

「よし!じゃあキリト倒せたら一旦テツヤ>お姉ちゃん=ボクだよね!よーし頑張るぞ~!」

 

ユウキはキリトの首根っこを引っ張り外へと出ていった。

 

「お、おいユウキ!?」

 

「ゆ、ユウキにキリト君!?」

 

それに続くように、アスナも外へと出ていき残ったのはテツヤとランだけになっていた。

 

「さて、俺達も行きますか あのヤンチャな子の為に。」

 

「えぇ、それより左肩平気?」

 

「後30分もすりゃ回復するでしょうし大丈夫ですよ、お気遣いありがとうございます こちらこそごめんなさい ランさんと知らず顔地面に叩きつけたり窒息させようとしたり・・・・・・」

 

「良いのよ、私嬉しかったの 本気も超本気のテツヤ君と渡り合うことができて 幸せだった。」

 

「でも、なんであんな強いのに俺達に隠してたんですか?」

 

「だってただ合流するよりこうした方が楽しいでしょ?でも、退院までは自由にログイン出来るのも限られるからもう暫くは限定的参加になっちゃうけどね。」

 

「それでもランさんとこうしていられるなら大歓迎ですよ。」

 

「はぁ~でも悔しいなぁテツヤ君に勝てなかったの・・・あ、さっき言ったのは本音だよ?私もっともっとテツヤ君のことが好きになっちゃった♪」

 

「え?それって・・・」

 

そう言いってランがテツヤに近づくと、初めて出会った日のように頬にキスをした。

 

「なっ!?」

 

「今回のは私に対して全力を出してくれたお礼♪ありがとうねテツヤ君 君がユウキの旦那様になって 私の義理の弟になってくれて本当に嬉しい♪」

 

木綿季は可愛い系、藍子は綺麗系だと思っていたテツヤだったが、ランの見せた笑顔はユウキにも負けないくらい、とびきり可愛い物だった。

 

「そう言ってもらえて光栄です ランさん。」

 

「それじゃあユウキのところにいこ♪あ、今度渚ちゃんにもこっちで合わせてよ。」

 

「もちろん、4人なら怖いもん無しです!」

 

こうして、ALOを束の間震撼させた辻斬り事件はテツヤの勝利を持って終わりを迎えた

 

ユウキとラン、木綿季と藍子 2人の姉妹はより一層楽しい日々を過ごせることだろう。

 

ユウキにとっての将来の旦那様、藍子にとっての義理の弟のお陰で。

 

「テツヤ!お姉ちゃん!」

 

ユウキはランに飛びつき、テツヤはそんな2人を優しく抱きしめていた

それは幸せな家族の様相そのままで、ユウキに付き合わされたキリトとアスナもその様子を見て微笑んでいたのであった。

 

~~~~~~~~~~

 

「『ALO内で暴れ回った美少女辻斬り 死神の前に敗れる!!』って、これお前の事だよなテツヤ。」

 

「あぁ、おかげさまなのか知らんが、死神の名がALOでも浸透することになっちまったな。」

 

その日の翌日、ALO内でクラインと2人で軽く呑んでいた俺は先日の出来事の記事をクラインに見させられた。

 

「美少女辻斬りってよぉ、まさかレイちゃんシノンちゃんみてぇに俺が知らぬ間に友達になったわけじゃねぇだろうな?」

 

「仲間というか、俺にとってはユウキや姉ちゃんと同じくらい大切な人だよ その内会えるだろうけど、手出したらガチで殺すからな クラインだろうが。」

 

「ユウキちゃんやリナちゃんと同じくらい大切な人って、再婚して妹でもできたか?」

 

「勝手に俺の両親離婚させんな!?だけど、そんくらい大切だ。」

 

「にしてもオメェもリナちゃんの前でもそんくらい言ってやれよなぁ?喧嘩してるのも2人らしいけどよ。」

 

「うっせ、人前でそんなことできっかよ。」

 

「おぉ?ってことは2人だけの時は甘えてんのか!?」

 

「想像に任せる。」

 

「んじゃあ俺はリナちゃんの前ではめちゃくちゃ甘えたがるお前を想像してやる!」

 

「前言撤回だ二度とそんな妄想すんなこの髭侍!!!!」

 

2人で言い合いながらも、それすら肴に酒が進む。

 

その時俺は気づかなかった。

俺とランさんの戦いの記事に紛れる黄金の剣

そう、"聖剣エクスキャリバー"発見の記事を。




辻斬り少女の正体が明かされ、遂にテツヤ達の元にユウキの姉であるランも加わる。

果たして、この先の物語でラン そして藍子はどのような活躍を見せるのか・・・それは、今後も当作品を呼んでいただければと思います。
恐らくランの活躍も今後は増えるとは思うので、私もラン含めた15人を埋もれさせないよう、頑張りたいと思います。


さて!この話の最後の通り、次回からエクスキャリバー編に突入いたします!

基本的には現状通り月曜更新の予定ですが、一つだけ先立ってお詫び致します。
来週がエクスキャリバー編の1話目ですが、今現在開催されているWBCに熱中している影響でまだ満足に添削できてない状況です。

その為、翌週は投稿できずに次週に持ち越しになる可能性があることを、ここでお伝えすると共にお詫び致します。

ただ、その分も皆様に当作品ならではのキャリバー編の展開をお見せできたら何よりでございますので、次回以降もどうぞよろしくお願い致します!
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