ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

166 / 170
いよいよ新年度が始まった今日この頃ですね。

私の友人も異動で少し遠くに行ってしまって寂しくはなりますが、皆様も新生活や気温の変化等には充分に気をつけてお過ごし下さい。

それでは、本編をどうぞ!


Part147 下層へ~タイムリミット迄に~

トンキー・トトに連れられ遂に城の入口まで来た9人は、神妙な面持ちでいた

その中でも、ユイが先程から思考を巡らせてるようで 父親であるキリトが彼女に声をかけた。

 

「ユイ 一体何かあったのか?」

 

「・・・・・・皆さん 推測の域を出ないのですが聞いてください このALOは他のザ・シード規格のMMOと違う点があります それはカーディナルシステムがソードアート・オンライン SAOの頃に使用されていたフルスペック版の複製と言う点です。」

 

「フルスペック・・・何が違うのかい、ユイちゃん?」

 

「本来のカーディナルシステムにはクエストの自動生成機能があるんです。」

 

クエスト自動生成

それはネットワークを通じ過去の伝説や伝承、それだけでなくオカルト話や都市伝説をもかき集め 一つ一つの話をストーリーとして構築し、幾つかのパターン違いもあるがクエストを生成し続ける物

 

アーサー王伝説、伝説の海賊、ロンドンの連続殺人鬼、百年戦争等、誰もが知るような伝説や過去の話からマニアックな人でないと出典元が不明な物からその数はユイを持ってしても計り知ることは出来ない。

 

「つうてことはよ?このクエストもカーディナルが作ったってことになるのか?」

 

「先程のNPCの挙動からしてその可能性が高いです ですが、それ即ちストーリー進行具合によっては行き着くところまで行ってしまう可能性も・・・」

 

「ウルズやスルム・・・恐らく北欧神話が出典元・・・だがそうなると・・・」

 

「えぇ、ムスペルヘイムや炎の巨人・・・そして最後に起こる神々の黄昏(ラグナロク)・・・」

 

レイとシノンの言葉にユイも賛同する、だが それ即ち世界の崩壊を表していたのだった。

 

「で、でもそんなこと可能なのかい?本当に今僕達が言ったことが真実ならゲームのマップすら崩壊されかねないんだよ?」

 

「実はオリジナルのカーディナルシステムにはワールドマップを破壊する権限を保有しています、旧システムの最終目的とは浮遊城 アインクラッドの崩壊なのですから・・・」

 

「と言うことは本当にこのALO自体壊されちゃうかも・・・・・・ってことよね・・・・・・」

 

「あ、あたしのお店・・・アイツからまだ取り立ててないのに・・・!」

 

「俺はァ運命のお相手ともまだ出会えてねぇのに・・・」

 

「まだ起こると決まってないのに悲観するなよリズクライン・・・でも、ラグナロクが起きてもバックアップから回復させる手段は取れないのか?」

 

「それも難しいと思われますパパ・・・自動バックアップ利用で回復できるのはプレイヤーのデータのみ・・・フィールドは除外されます・・・」

 

「あ、ならGMに問い合わせりゃ良いじゃんか!ちょいと待ってな皆の衆・・・」

 

クラインがメニュー画面を開く中で、シリカが申し訳なさそうに声を上げた。

 

「いえ、実は私が前もって試してみたのですが今の時間人力サポートは丁度応答不可になってしまっているようで・・・」

 

「きゅる・・・」

 

「なにィ!?なんだってこんな事態でやってねぇんだ!?」

 

「確かお盆時期に対応に追われてたとかで、この8月末に休みをって話だった気が・・・」

 

「なんだってこんな時に休み取ってんだ!不眠不休とは言わねぇが時と場合考えろ!?」

 

「とにかく希望は俺達に託されたって訳だ さっきレイの言った通りだ、俺達に不可能は無い!」

 

「あ、ちょっと待ってキリト。」

 

カッコつけていたキリトだったが、シノンの待ったでその勢いは止めざるを得なかった。

 

「な、なんだよシノン・・・」

 

「いや、今回の話は北欧神話が元な訳でしょ?ならなんでアーサー王伝説のエクスカリバー・・・ここではエクスキャリバーか、それとウルズはアロンダイトを求めていたのかしら?」

 

「恐らくですが自動生成されたクエストなので一部入り乱れているのでしょう ですがそれを持ってしてもアロンダイトの保有者を求められたのは気になりますが・・・」

 

「ね、ねぇお兄ちゃんリナちゃん 時間が・・・」

 

リーファはそう言うと2人にメダリオンを見せた 先程までは全て綺麗なエメラルドグリーンだったが、この短時間で黒が入り交じった物に変わっていた。

 

「悠長にしてる暇は無さそうね・・・皆、改めて行くよ!!!」

 

~~~~~~~~~~

 

「せりゃァ!!!!!」

 

1頭の金色の牛型モンスターに対して斬撃を繰り返すキリト達一同、だが 相手のHPバーは目視では確認できない程に 本当に減っているのか分からないほど堅牢な物だった。

 

後方には両手を合わせ何かを練り込んでいるもう1頭の黒色の牛型モンスターもいるのだが、シノンが弓を放とうが前衛の金の牛にその弓を防がれ状況は停滞していた。

 

「チッ・・・テツヤがいてくれれば月牙天衝でアイツの腕切り落としてくれるのに・・・!」

 

「でも月牙天衝でも物理攻撃なんじゃないのか?こんな時に魔法使えるメイジがいりやぁなぁ・・・」

 

「いや、魔法を使える者がいようと魔法耐性の高い後者が出てきて乱戦になるオチだ 僕達が脳筋パである以上まずはあの前衛を倒すのみだクライン。」

 

「あぁ・・・こんな時にユウキちゃんもいてくれりゃあ助かるのによォ!!」

 

クラインも抜刀術からの連撃で追撃をかけるが、金色の牛はまるでもっとやってみろと言わんばかりに片手の人差し指を2度3度自身に向け曲げていた。

 

「挑発するとはいい度胸じゃない・・・リーファちゃん、アレやるよ!」

 

「おっけー!」

 

左右から挟み込むように走り出すシルフの両名はログイン当初からでも使える風魔法を相手の眼に放ち視界を一時的に潰すと、リナが上半身 リーファが下半身を狙い一刀両断の勢いで切りかかり、それを見たシリカとレイの2人も続き短剣特有の連撃を繰り返すが、それでようやくHPバーが若干減ったのを確認できた位だった。

 

「えぇ~!?今のでこれっぽち~!?」

 

嘆くリナだったが、相手の視界が回復すると自ら挑発したというのに猛り狂っていた。

 

「来るぞリナ!リーファもシリカも1度下がるんだ!」

 

「衝撃波来ます!3.2.1・・・!」

 

ユイの合図で皆は回避行動を取るが、その一撃は凄まじく盾を持っていたリズ以外の前衛達はHPバーがレッドラインになっていた

 

だが、後方にいたアスナが回復魔法を唱え 何とか戦況は維持をできていた。

 

当然相手はこちらのHP残量なんて知る由もない、即座にキリトに攻撃を仕掛けると彼は2本の剣で相手の斧の攻撃を防いでいた。

 

「キリト君!ショウ君がいない今MPの消費量が桁違いに大きいの!何度も食らって回復してのゾンビ戦法は今回厳しいかも・・・!」

 

「お、お兄ちゃん!メダリオンもう7割以上黒くなってるよ!死に戻りも無理そうだよ!」

 

「なら・・・良いか皆!隙はでかいが魔法属性を持つソードスキルでコイツをぶった斬るぞ!一か八か、コイツをここで倒す!!!!」

 

「全く減らない時はどうすんのよ・・・!?」

 

「それは・・・・・・死神にでも祈れ!!!!」

 

「テツヤに祈ってどうすんのよ!!!!!あぁもう!こうなったらやったるわよ!!!!」

 

「おっしゃ!最年長の意地見せたるぜ!!!!」

 

「その意義だ!シリカにピナ、カウントで泡を!」

 

「はい!行くよピナ!」

 

「きゅる!」

 

シリカに対して指を3本出すキリトが2本、1本と減らし、0になったところでピナのバブルブレスが金牛に襲いかかる それは眠気を誘う魔法属性の泡のようで相手の動きが止まった。

 

「よし今だ!」

 

キリトの合図で皆が魔法属性が付与されたソードスキルを発動

キリトとクラインが炎属性

リナとリーファが風属性

リズが雷属性

シリカが水属性

レイが闇属性でそれぞれ敵に攻撃を仕掛けると同時に、シノンの放つ弓矢も氷属性が付与されており 敵のHPバーはキリトの目論見通りかなりの量が減っていた

 

通常ならここでソードスキル後の硬直が起こる・・・が、何故かキリトはもう片方の片手剣で氷属性のソードスキルを使用し、追撃をしていた

 

そのキリトの攻撃の間に皆の硬直も解除されていた。

 

「改めて行くよリーファちゃん!」

 

リナとリーファ 2人のシルフが織り成す華麗な風属性のソードスキルのコンビネーション連撃は強力の一言。

 

「さぁ行くよシリカ!」

 

シリカとレイ 短剣の使い手のみに許された手数の多い素早い追撃もまた強力で闇と水属性ダメージの両方のエフェクトが敵に現れていた。

 

「なら俺も!飛天御剣・・・」

 

「嘘言わんで真面目にやらんか!」

 

「はい・・・」

 

リズに突っ込まれたが、クラインも炎属性の抜刀術で攻撃し、その隙をリズが雷属性のメイスで脳天一撃。

 

接近していたシノンが華麗に頭上まで駆け上ると、氷属性の矢を放つと共に それに繋がるようにキリトが再度炎属性のソードスキルで腹部に剣先を突き刺し、爆発が起こる

 

ここまでやったのだ きっと倒れてるはず

そう思っていた皆だったが相手のHPバーはほんの数ミリだけ残ってしまい、硬直の起きていた皆にあの斧がまた襲いかかる その時だった。

 

「はァ!!!!」

 

後方で待機していたアスナが聖属性の4連撃を繰り出すことで、遂に堅牢だった金の牛は倒れたのであった。

 

残るは魔法に対して耐性のある黒い牛型モンスターだったが、そんなのこのメンバーからしたらご馳走に過ぎなかった。

 

「さて、先程までは手こずったからね・・・」

 

「そうねぇ、あたし達がこんなに手こずるとは・・・でも・・・」

 

「あの牛なら俺達で・・・!」

 

「ボッコボコにしましょう!」

 

リーファのその一言により、9人全員でタコ殴りにされた黒い牛の出番は10秒持たずだった。

 

「いっちょ上がり!」

 

「やったね!」

 

「いえーい!」

 

リーファとリナはハイタッチを交わした 喜びを表す面々の中にどうしても今の戦いの中の疑問を解消したい男 クラインがキリトに詰め寄っていた。

 

「なぁなぁキリトよぉ、今のは一体なんなんだ?」

 

「い、言わなきゃ駄目か?」

 

「たりめぇだ!メンバーのスキルや得意な行動、武装構成把握してこそ各々の最高の動きができるんじゃねぇか!」

 

「凄い・・・クラインがごもっともなこと言ってるわ・・・」

 

「流石は元風林火山のリーダーだね♪」

 

「え?彼もリーダーだったのかい?」

 

「そうなんだレイちゃん、普段はどこか頼りない人だけど いざとなった時はキリト君やテツヤ君にも劣らないんだからね♪」

 

「ほ、褒められてんのか・・・俺は・・・?って、そんなことどうでもいいんだ!さぁ教えろ!」

 

「わ、わかったよ・・・システム外スキル 剣技連携(スキルコネクト)だよ。」

 

「な、なんだそりゃ テツヤの詠唱破棄や二重詠唱とはなんかちげぇのか?」

 

「あぁ、お前も知っての通り最近ソードスキルがALOにも追加されたろ?でもその時俺の二刀流やヒースクリフの神聖剣のようなユニークスキルは未実装のままだ。」

 

「でも、先程君は両手で片手剣を扱ってなかったかい?」

 

「いや、今のは二刀流とは厳密に違うんだ 片手剣ソードスキルを両手で交互に発動させていたんだ ディレイ無しで繋げられるのは今のとこ最大4回が限度だ。」

 

「はぁ~やっぱお前もすげぇなぁキリの字!目指せテツヤ越え!」

 

そう言いながらクラインはキリトと肩を組んだのだが、アスナはどこかで似たような物を見た気がしてならなかった。

 

「うーん・・・」

 

「どうしたのママ?」

 

「いや、今のどこかで見た気が・・・・・・デジャブったと言うか・・・・・・」

 

「そ、そうか!?さ、さぁそんなことは置いといとさっさと先に・・・」

 

「あぁー!?お、思い出した!!!テツヤ君だ!!!!」

 

アスナの一言で、キリトの動きがピタリと止まった。

 

「テツヤがキリト君より先にスキルコネクト使ってたの?」

 

「厳密に言えば違うのだろうけど・・・ほら、キリト君も覚えてるでしょ?テツヤ君がまだユウキと付き合ってない頃、SAOでユウキと付き合いたいって男の子とデュエルした時のこと!」

 

「あ、あぁ・・・」

 

「その時テツヤ君もホリゾンタル・スクエアを使って本来なら硬直で動けないのにそれを月牙天衝で上乗せして見事勝利を飾ったの!今の動き、その時のテツヤ君まんまだった!」

 

「いえ、先日のランさんとのデュエルでも使用してましたよママ 恐らく初出はテツヤさんのアレですね。」

 

「ってことは・・・まんまテツヤの動きパクったって訳!?」

 

「ち、違う!俺はパクってなんかいない!確かにディレイ無しで5連撃してたようだがアイツだってそれはつい最近のはず・・・!」

 

「ええっと・・・別にキリトを追い詰めるわけでも無くテツヤを弁護する気もないのだけど発言良い?」

 

「はいシノのん!」

 

「その、前テツヤとユウキが話してたのを聞いたのだけど・・・」

 

『ずるいずるい!!!ソードスキルからの月牙天衝はルール違反!!!』

 

『勝てばいいんです勝てば~♪』

 

『それに!ソードスキルの硬直を月牙天衝で消すのは見たことあるけどその後またソードスキルに派生させるのボクも見たことないんだけど!?』

 

『だってだいたいの敵ソードスキルからの月牙天衝で倒しちゃうんだもん・・・今のはユウキ戦だけの特別待遇だよ♪』

 

『ちなみに今のっていつからできたの?』

 

『うーん・・・明確には覚えてないけど卍解訓練と並行して特訓した時には一連の流れを5回は使えたかな?でも大変だったんだぜ?ホリゾンタル・スクエアから月牙天衝の打ち終わりのモーションをまたソードスキル開始モーションに持ってかなきゃならねぇからもう頭の中パンク寸前よ・・・』

 

『えぇ~!?じゃ、じゃあボクが死にかけた時の青い牛もあんな危険犯す必要無いし団長とのデュエルとか余裕で勝てたじゃんか!?』

 

『だってあの牛の時はユウキが殺されかけた怒りでそんな細かいことに頭行かねぇし・・・団長戦はぶっちゃけあれ負け戦覚悟だったのもあるし・・・』

 

『もぉ~!!いつもボクの為に無茶して~!!!!』

 

『痛い痛い!だって大好きなユウキが傷ついてんだぞ!?それにその後月牙天衝を打たずにその威力を持たせながら攻撃する手段も思いついたんだからいいの!』

 

「って言う話をこの前してて・・・どうやらテツヤはあの頃からディレイ無し5連撃は達成してたみたいよ・・・?」

 

「お兄ちゃん・・・本当にテツヤ君からパクったの・・・?」

 

「パクってない!?模倣したと言え!お、俺だってあの戦い方参考になるなと思ってSAO時代から幾度となく試し続けてこの前のアップデートでやっっと身を結んだんだ!だいたい俺は明確にスキルからスキルのチェインだ!テツヤの場合月牙天衝は恐らくどんなポーズどんな体勢でも打てる!俺のとは厳密には違う!」

 

「まぁ良いじゃない、あの馬鹿はそこまで初出云々気にしないわよ スキルコネクトはキリト君専用、アイツのはまた別種 それでいいんじゃない?」

 

「ありがとうリナ・・・!」

 

「とりあえずテツヤさんが皆さんに与える影響は多いんですね♪ね、ピナ♪」

 

「きゅる~♪」

 

「つうか今のシノンちゃんの話がマジならユウキちゃんだけの特別待遇とか言ってないで使えってんだ!なぁキリの字!」

 

「まぁアイツは出し渋るからな・・・奥の手・・・その癖俺には使え使えって・・・だからこそ先日のランさんとのデュエルが異質なのだろうけど・・・」

 

「所で、ランって一体誰のことよ?またユウキちゃんにとっての敵?」

 

「そ、それはテツヤから多分説明あるからその時までは内緒で・・・」

 

「さて、私がテツヤ君の話しちゃったのも悪かったけど、悠長にしてる時間は無いんじゃないかな、リーファちゃん メダリオンの様子は?」

 

「今のペースだと後1時間程度かと・・・確かにお兄ちゃんとテツヤ君の話は後回しにして次に行くべきです。」

 

「全3層の内1層はクリアしましたので 残すは後2層です。 最後の3層目にボスが待ち構える構成です、パパ ママ。」

 

「ボス戦に30分は欲しい・・・普段とはパーティが違う分余裕は持ちたい なら後30分でボス部屋に辿り着かないとな。」

 

「ま、もうここまで来たら当たって砕けろよ!ボスだろうがなんだろうがあたし達でボッコボコにしてやるわよ!」

 

リズはそう言うとキリトの身体を押し、体勢を崩したキリトはその場で尻もちを着いた。

 

「お、お前テツヤに似てきたか・・・!?」

 

「まぁずっとテツヤの相談を請け負ってりゃ影響されるわよね・・・」

 

「ふーん・・・私もリズちゃんくらい信用してくれれば良いのに・・・」

 

「やっぱり寂しいんでしょ、リナちゃん。」

 

「ふんっ!知らないわよあんなおっぱい星人!」

 

「とにかく先を急ぎましょう HPやMP回復させて次行くわよ!」

 

~~~~~~~~~~

 

次の層にはムカデのような足をした一つ目の不気味なモンスターが相手だったが、先程の時同様にソードスキルを駆使し、シノンの援護も光り、そこまでの苦戦はしていなかった

 

「行くよシリカ!キリト!僕達の後に!」

 

「了解!」

 

残りのHPは僅か 敵の攻撃をピナの陽動で撹乱すると、レイとシリカがそれぞれ敵の足を切りさき、物理的に動けなくしたところでキリトの炎属性の一太刀が動体に命中し、敵は崩れ去って行った。

 

「ありがとうシリカにピナ 良い連携だ それにすまないキリト 先程から君ばかりに重荷を背負わせて。」

 

「良いんだ レイもありがとう 俺達の指揮も担ってくれて さぁ!残すはラスボスだ!行くぞ!」

 

キリトの言った通り、残すは大トリであるスルムのみ。

皆で氷の城を走り移動していると、道中に氷の牢があった

 

その中には、淡い緑色のロングヘアを持つ美しい女性が囚われていた。

 

彼女を見た途端、クラインの中でピンク色の雷が落ちたのだった。

 

「どうかお願いです・・・私を・・・・・・ここからお出しください・・・・・・」

 

あまりの美貌の持ち主に、別に状態異常にかかった訳でもないクラインは彼女の元へ向かおうとしたが、キリトが彼の首根っこをつかみ止めた。

 

「罠だ。」

 

「罠よ。」

 

「罠だね、こんなの引っかかるのお人好しのテツヤ位よ。」

 

キリト、リズ、シノンの3名が彼女の存在を罠と断定 クラインも分かってはいたが目前の少女を前に目が泳いでいた。

 

「はぁ・・・ユイ?」

 

「はい、あの人はNPCです ウルズさんと同様の言語エンジンを保有していますが、彼女にはHPバーがあります。」

 

「HPを持つってことは・・・戦闘になる可能性もあるな。」

 

「罠だよ。」

 

「罠ですね ねピナ。」

 

「きゅる。」

 

「罠だと思うよ。」

 

アスナやシリカ、リーファも同様に罠を主張。

 

「罠じゃない可能性もあるが、それは可能性の範疇だ 1秒が惜しい 早く行こうクライン。」

 

「そうですよクラインさん、こんな見え見えの罠引っかかるのはアホのテツヤ位ですよ。」

 

「そうだ、それにこんな見た目をしているんだ スケベなテツヤ位しか引っかからない、貴方はそんな人じゃないでしょう クライン。」

 

リナやレイはテツヤを貶しながらもクラインに対し罠だから早く行こうと声をかけるが、クラインは迷いを吹っ切ることが出来なかった。

 

「お願い・・・助けて・・・!」

 

静かな城の中にその声が反響する そして、涙がこぼれ落ちる音すら響き、そこでクラインは足を止めた。

 

「く、クライン?」

 

「・・・・・・罠だって分かってんだ・・・・・・でもよ・・・・・・俺はこう見えてSAOの頃からテツヤの兄貴分やってんだ・・・・・・例えこの罠に引っかかるのが馬鹿でアホでスケベでド変態で浮気性のどうしようもねぇお人好しのテツヤしかいねぇのかもしれねぇ・・・・・・!!!!」

 

「いや誰がそこまで言ったのよ。」

 

「でもよ・・・・・・アイツの兄貴分がここで助けねぇで何が兄貴だってんだ!!!!ここで罠でクエミスになっちまったとして・・・・・・この先クリアした時にテツヤの野郎に女の子を見捨てたなんて言ったら・・・・・・あの野郎と二度と杯は交わせねぇ!!!!これは俺の・・・・・・いや!武士と死神が交わした杯にかけて!!!!俺はあの女性を助ける!!!!!」

 

最もらしい御託を述べ罠と分かりつつも女性の捕まる牢を叩き切るクライン 彼女に手を差し出していたクラインの姿は普段の三枚目の姿とは変わり、ほんの少し輝いて見えた。

 

「ありがとう、妖精のお侍様。」

 

「へっ、立てるか?怪我は無いか?」

 

「なんかやってることどっかで見たことあんのよねぇ・・・」

 

「うん・・・」

 

「もしかして彼が浮気性なのって・・・」

 

クラインの今の姿は、8人全員からテツヤの姿とダブって見えていたのだった。

 

女性がクラインの手を取ろうとしたが、体制を崩してしまったところをクラインは受け止めていた、彼女の胸を腕に当たるようにして。

 

「うわっわざとらし・・・」

 

「テツヤが巨乳好きになったのって・・・」

 

「多分影響されてるわね・・・」

 

シノンとリナは自身の胸に手をやると、その場でため息を付いた。

 

「お嬢さん、俺達は行かなきゃならねぇところがある だから先に逃げててくれ。」

 

「いえ、私も逃げる訳には行きません!スルムに盗まれた我が一族の宝物を取り返すまでは!お願いします!私も共に連れていってください!」

 

「なーんかきな臭い展開だねキリト君・・・」

 

「だな・・・」

 

「こんな時テツヤならどうするよ・・・アイツなら・・・!」

 

クラインは目を閉じ数秒考えた所で、彼女に対してこういった。

 

「よっしゃ!俺に任せとけ!袖振り合うも多生の縁!アンタは俺が守る!!!俺の魂に誓って!!!!」

 

「な、何決めてんのよあの髭侍!」

 

「まぁまぁ・・・こうなったらこのルートで行くしかないだろリズ・・・テツヤがいたらいたでどうせこうなってるんだし・・・」

 

「て言うか完全にユウキさんに対してのテツヤさんの言動ですねあれ・・・」

 

「きゅる・・・」

 

「ありがとう侍様・・・!」

 

クラインに対して抱擁で恩を感じさせる女性、豊満な胸が当たってることでクラインの顔は緩みまくってた。

 

「は、はひぃ・・・!あんの野郎いつもこんなのをフィリアちゃんやシノンちゃんで感じやがって・・・!」

 

「あれじゃあテツヤがいたところでユウキにしばかれるのがオチだね・・・」

 

「そうね・・・まぁ、それもテツヤらしいといえばらしいけどね。」

 

だが、彼女が明確に仲間入りの意志を見せたところでキリトの前にNPCからの仲間の加入要請の通知が現れ、それに対して〇ボタンを押したことでNPCが仲間入りした。

 

「フレイヤ・・・MPがアスナより高いとは・・・」

 

「く、クラインと申します!」

 

「まぁ、素敵なお名前ですね♪フレイヤと申します、クライン様♪」

 

「よ、よし!フレイヤさんは俺が守る!」

 

「全く・・・リーファちゃん、メダリオンの様子は?」

 

リナの声掛けでメダリオンを見る一同、ほぼ黒1色に染まりきりの物は猶予は残り少ないことを表していた。

 

「よし、一悶着あったがあの階段を降りれば多分ラスボスの部屋だ 小細工抜きで正面衝突 リズの言う通り当たって砕けろだ。」

 

「そうだね、序盤は攻撃パターンが読めないからそれを掴むまでは防御メイン 反撃タイミングは僕とキリトで指示するが、それぞれの指示が噛み合わなかった時にはキリトの合図を優先して欲しい。」

 

「それと、ボスの体力ゲージで行動パターンも変化するだろうから注意しよう さぁ泣いても笑ってもラストバトルだ!!!俺達の底力 ふんぞり返った王様とやらに見せつけてやろう!!!!!!!」

 

キリトの号令でより一層の気合いが入る

果たしてフレイヤは罠なのだろうか それとも・・・

そして、無事ラスボス スルムを撃破することはできるのだろうか?

 

~~~~~~~~~~

 

「し・・・新庄先生・・・出来すぎ・・・ですか・・・」

 

「出来すぎなんかもんじゃない・・・今日のアイツを打てるやつは全国探しても早々見つからない・・・!」

 

凛と新庄がマウンドに立つ哲也を見ながらそう言っていたが、無理もない

 

現在9階回の表 奪った三振は18個 四死球0 被安打0 無失点・・・・・・

 

そう、完全試合達成間近だったのだ。

 

「哲也、緊張は?」

 

「馬鹿にしてんのか?別に打たれても死なねぇんだ こんなのSAOの頃に比べたらぬるま湯だ。」

 

「そうか、俺もお前信じてサイン出す ここまで来たら達成しようぜ お前の大記録。」

 

「おう、お前の高校一号ホームランに対して最高の結果で返してやる。」

 

今まで哲也がここまでのピッチングを記録したこともなく、木綿季や琴音も大緊張だった。

 

「こ、琴音ぇ・・・て、哲也が完全試合出来たらボク哲也と結婚しゅりゅぅ・・・」

 

「私も・・・て、哲也が完全試合したらいっぱいちゅーしてあげたい・・・」

 

「な、なんでマネージャーが綺麗なフラグ建てるのよ!?」

 

「で、でも新井君だってぇ・・・!」

 

そう、1塁を守る新井も大記録達成を前に身体が震えていたのだ。

 

「た、頼む哲也・・・三者三振で頼むぅ・・・俺はお前見てぇにSAO生還者でもねぇからプレッシャーに弱えんだ・・・・・・!!!!!」

 

「さて・・・・・・いっちょ大記録達成と洒落込むか翔!!!!!」

 

「あぁ!!!!!!」

 

完全試合達成を残すところ3人で迎えていた哲也

無事大記録達成となるのか・・・・・・!?




いよいよラスボスを残すのみのキリト達。

クラインが救うことになったフレイヤは、果たして罠なのか・・・

そして、哲也達は残り3アウトを目前にした完全試合を達成することが出来るのか!

次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。