ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~ 作:畜生ペンギン
まずはキャリバー編で食事デートを確約されたシノンからです!どうぞ!
「つっかれたぁ・・・」
「そうだな、俺達は嫌ほど走らされたな・・・」
夏休みが終わり、新学期を迎えた俺達は相も変わらず野球に精を出していた。
もっとも、俺と翔は下半身強化の為のランメニューばかりで今日に限っては陸上部なんじゃないかと思うほど走らされ、帰路に向かう足は重かった。
「明日も午後部活からだから疲れは残さないでね2人共。」
「あぁ、木綿季、今日前も言ったけどさ。」
「詩乃とALOでご飯でしょ?」
そう、今日はエクスキャリバー取った日に詩乃と約束をしたアルンでの食事の日。
詩乃と前もって段取りは決めていて、後30分後にはゲーム内で合流予定だ。
「ボクはいないけど・・・詩乃とえっちしたりキスしたらボクすぐ分かるから即刻処刑だよ?」
「す、涼しい顔で処刑宣告するなよ・・・」
「琴音とかに何回えっちなことしたと思ってるのさ!」
「あ、あはは・・・私は気にしないけど、詩乃とそんなことしたら私も怒るからね!」
「肝に銘じます・・・」
木綿季と琴音からも釘を刺され、家に帰った俺はユニフォーム等を洗濯して即座にALOにログイン。
待ち合わせ場所はアルンの噴水近く。
直ぐに向かうとそこには既にシノンが立っており、数人の男に声をかけられていたようだった。
「シノン、待たせたな。その人達は?」
「テツヤ!」
俺を見たシノンは即座にその場から離れると、俺に抱きついてきた。
「いぃ!?」
「言ったでしょ、彼氏持ちだって。」
どうやらナンパを受けていたようで、それに辟易としていたであろうシノンは若干耳が逆立っていた。
「ね?テツヤ♪」
「あ、あぁ。俺の彼女になんか用か。」
シノンのALO初ログイン時の反省を活かし、即座に彼氏として偽ることにして彼女を抱き寄せるようにすると、男達は俺にガンを飛ばしながらどこかへと去っていった。
「全く、誰が好き好んであんな男達の所について行くのよ。」
「ま、まぁまぁ。可愛いプレイヤーが1人でいたらああする奴がいるのも分かるだろ?」
「そ、そう・・・可愛い・・・/////」
「よし、んじゃあまずは買い物だ。行くぞシノン。」
「買い物?」
「どうせドレスコード必要だろ?今の装備のままじゃ入れないだろうから、服代も俺が出してやっから。」
「い、良いの?だって今日だって私と貴方合わせて40万ユルドもするんでしょ?」
「気にすんなよ、尻尾握った分の詫びだ。」
「ふーん・・・なら貴方には今後も握らせてあげようかしら。そうすればいっぱい奢ってくれるんでしょ?」
「辞めんか、それだと身体売ってる奴と買わんねぇぞ?」
「テツヤ限定よ、キリトやクラインに握らせるわけないじゃない。」
「それはどうして?」
「・・・・・・い、いいから行くわよこのスケベ。」
そう言うとシノンは俺から離れ、手を握ってきた。
「エスコートよろしく、死神様。」
「了解、女神様。」
こうして、俺とシノンは食事前のドレスコード用の服を買いに行くことになった。
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「たっけぇ・・・タキシード1着10万からってなんだよ・・・」
無事に買い物は済ませ着替えも済んではいるが、タキシードのあんまりな値段設定にゲンナリしていた。
カノンからの毎週送られる給与が振れ幅はあるが約25万。
シグルド討伐したボーナスでカノンだけでなく色んな領主の人達から込で100万を貰ってはいるがユウキとのデートやら皆での付き合いとかで手持ちはタキシード代引いて丁度100万。
「40万確実に飛ぶこと考えると残金50万・・・物価高ぇよ・・・」
「お、お待たせ。テツヤ。」
金勘定に悩んでると、丁度シノンが現れた。
彼女に似合う淡い緑色のドレスだったが、気になったのは右足はドレスで隠れているが左足は全く隠れてない少しセクシー寄りなドレスだった。
「ど、どうかしら。似合う?」
「あぁ、シノンらしいドレスだけども・・・その、やっぱシノンってどっかしら防具に露出部いないと落ち着かなかったりする?」
「ど、どういうことよこのスケべ!!!/////」
シノンは猫の威嚇のように俺に怒ってくる。
可愛らしいのだが目のやり場に若干困る。
「だ、だってGGOだってALOの普段の装備だってさぁ・・・と、とりあえずシノン、代金幾ら?」
「そ、その・・・ごめんねテツヤ・・・」
「え?」
シノンが手渡してきた領収書を見ると、そこにはなんと30万の数字が。
「っ!?しゃっ、しゃんじゅう万!?」
「い、一応最安値がこれだったのよ・・・入った以上出る訳にも行かないし・・・て、テツヤ。払えなかったら私身ぐるみ剥がされて下着の状態になるんだからね?」
「シノンの下着取るか30万払うかか・・・とほほ・・・」
領収書の支払いボタンを押して、きっちりドレス代金を払いこれでシノンが街中で下着になることは無いが残金20万・・・
「はぁ・・・デートでこんなにかかるとは流石女神様・・・」
「そ、その・・・やっばり私も払おうか?」
「いいや、払うと言った以上は払うさ その分何かでお返ししてくれ。予約時間もそろそろだ、行くよシノン。」
俺はシノンの手を引き、アルンの最高級のレストランへと足を運んだ。
~アルン・高級商店街~
「す、凄いのね・・・皆ただの装備じゃなくてドレスコードしてる・・・」
「だろうな、俺だってここ足踏み入れるのは始めてだ。」
「へぇ、ユウキですら連れてきてないのね。」
「ユウキは質より量だからな、第一こんな所であんな莫大な量飲み食いされたら俺のアカウントは一生皿洗いの為になっちまう。」
シノンと手を繋ぎながら歩いていると、目的のレストランに到着
改めて襟やネクタイを軽く正してから、店のドアを開けた。
「いらっしゃまいせ、ご予約は。」
「この時間で予約したインプのテツヤです。」
「テツヤ様ですね、お待ちしておりました こちらへ。」
店員さんに連れられ予約してた窓際の席に案内され、俺とシノンは席に着いた。
「よ、予約なんてしてたの?」
「そりゃな、今日はシノンとのデートだからな。」
「で、デート・・・/////」
「でも・・・不安なんだよな・・・フルコースなんて今まで食ったことないし・・・」
フルコースとなると所謂テーブルマナーも問われるだろう。
だがこれまでの人生でそんなこと経験したこともない俺が無事マナー良く終われることが出来るのかが懸念だった。
すると、突如俺とシノンの前にコンフィグが現れた。
そこには、テーブルマナーやフルコースの食べ方の説明が分かりやすく羅列されていた。
「す、凄いわね。これがあるなら私も大丈夫そうね。」
「見る限りどのフォークやナイフを使うのかも乗ってるな、なら一安心だ。」
2人で胸を撫で下ろすと、所謂食前酒が出てきた。
「シノン用にはノンアルにしといたから安心して。」
「良かったわ。酔い潰されたことを襲われるなんてことにならずに済みそうね。」
「この前1杯で『テツヤぁ・・・なんで3人もいるのぉ・・・?』とか言ってた癖に・・・」
「し、仕方ないじゃない・・・あれが初めて飲んだお酒なんだから・・・!」
「んじゃシノン、乾杯。」
2人のグラスを軽く合わせると綺麗な音色が響く。
一口含むと軽い口当たりの凄く呑みやすいシャンパンだった。
「美味いなこれ、シノンはどう?」
「私もよ。それにしてもこんな夜景を一望しながら貴方とこうやって食事が出来るなんて、幸せね。」
「そうか、シノンが楽しんでくれればいいんだ。」
こうして、俺達のフルコースディナーが始まった。
前菜やスープにパンと、それぞれが物凄く美味いもので目の前にいるシノンも嬉しそうに舌鼓していた。
「凄く美味しいわね、値段相応ね。」
「そりゃこんな大金出してその辺の物出されたら困るよ・・・でも美味いと酒が進むなぁ・・・♪」
「だ、大丈夫なの?」
「平気平気、SAOの頃からクラインとかと呑んでたからこの世界においては割と強い方だと自負してるよ。とは言っても、シノンがログインするまで酩酊する訳にはいかないから嗜む程度にするさ。」
「そ、そう。言っとくけどこの後の散歩にも付き合ってもらうからね。」
「今日はなんでも聞くよ。」
その後も魚料理や口直しらしいソルベを頂き、いよいよメインの肉料理。
「お待たせしました、ケットシー領で育てられたA5ランク和牛のフィレ肉です。」
「へぇ、さっきの魚はウンディーネ領付近で取れて、今回はケットシーか。やっぱ世界観に忠実だな。」
「そのようね、それにしてもそんなこともしてるのねケットシーって。」
「アリシャさんに今度聞いてみようかな。」
「アリシャ?」
「あぁ、シノンは知らないっけ、ケットシーの領主だよ。俺やキリト、レイにユウキが知り合いだな。」
「てっきりまた『俺が君を守る』って言って口説いた人かと思ったわ。」
「なんでそんな俺の声真似で寄せるんだよ・・・」
「私を守ってくれるって言ったのだから覚えてて当然でしょ?一体何人の女の子がテツヤに騙されたのか・・・」
「騙すって俺ちゃんと守りきったじゃないか・・・!?シノンこそ地雷爆発した時に俺の名前呼びながら絶叫してた癖に・・・!」
「しょ、しょうがないでしょ・・・あんなの受けて生きてると思えなかったんだから・・・!」
「まぁとにかく、無事こうしてお前と一緒にいられるんだ。終わりよければすべてよしってな。」
「それもそうね、どっかのスケベのお陰でこうして美味しい料理を楽しめてるわけだし。」
「もっかい尻尾握ったろか・・・!?」
こうして、俺とシノンはフルコースディナーを堪能した。
シノンと交わす他愛の無い話は、GGOでの一件なんて遠い過去のように、幸せな時間だった。
「すいません、お会計頂いていいですか?」
「お会計でしたら既に済まれていますよ、テツヤ様。」
「え?いや、俺まだ払ってませんけど・・・」
「いえ、"あちら"の方からです。」
ウェイターさんが手を伸ばした時には、元気よく手を振るケットシーのプレイヤーの姿があった。
だが、若干距離があり俺には視認できなかった。
「・・・ダメだ、この距離じゃ俺には分からん。」
「小麦色の肌をした女の人みたいよ。またアンタの浮気相手?」
「違うわ!?って小麦色の肌ってまさか・・・」
席を立ち、その女性の元へ近づく。
近づけば近づくほど、俺の予想は確信に変わっていた。
「やっぱり。貴女だったんですね、アリシャさん。」
そう、どうやら俺達の支払いをしてくれたのはアリシャさんだったようだ。
「やっほーテツヤ君!元気にしてる?」
「え、えぇ。それにしても、なんでわざわざ俺達の分の支払いを?」
「ケットシーの女の子とデートしてくれてるんでしょ?それなら領主の私が払わないと♪」
「テツヤ、その人がさっき話してた人?」
「あぁ。紹介するよ、ケットシー領主のアリシャさんだ。アリシャさん、この子はシノン、俺がGGOで出会った仲間です。」
「噂には聞いてるよ!GGOナンバーワンスナイパーだって!よろしくね、シノンちゃん♪」
「は、はい。よろしくお願いします。」
「それでそれで?二人はどんな関係?まさかユウキちゃんの次の相手だったり・・・!?」
「違います!?第一そんなことしたらユウキに殺されます!」
「何言ってるのよ、人の尻尾握ったお詫びで今日ここに連れてきたくせに。」
「っ!?て、テツヤ君!?ケットシーの尻尾を握るっていうのは重罪なんだよ!?特に異性の尻尾を握るなんて・・・いくら君でもセクハラはダメだよ!?」
「はい・・・肝に銘じます・・・」
「それじゃあカノンちゃんレイちゃんには内緒でケットシーの用心棒よろしく♪お昼寝付きで過ごしやすいと思うよ?」
「れ、レイに怒られそうなのでよく話してからってことで・・・と、とにかく本当に支払い良いんですか?」
「良いの良いの♪シノンちゃんとのお近付きの印ってことで♪」
「そ、それじゃあ申し訳ないすけど甘えさせてもらいます。この借りはいつか必ず。」
「うん!待ってるよテツヤ君♪またね、シノンちゃん。」
「は、はい。」
今日の支払いをアリシャさんに任せてしまったが、無事シノンが領主であるアリシャさんと出会えてなによりだ。
店を出た俺達は、すぐ側にある湖に向かっていた。
「いやぁなんか悪いなぁ・・・40万払わせちゃって・・・」
「気前がいいのね、領主って。もしかして皆あんな感じなの?」
「皆が皆そうじゃねぇよ。あの人は特別陽気な良い人なんだ。熱烈スカウトを毎度してくるのは若干疲れるが・・・」
「結局女の子に懐かれてるんじゃない。」
「やかましい。とにかく、これでこの前の分については満足してくれたか?」
「えぇ、充分過ぎるほどにね。」
「そりゃ何よりだ。んで?散歩って湖の傍でいいのか?」
「テツヤが良ければね。疲れてない?」
「全然、ちょいと昔話に花咲かせるか?」
「昔話って、私達あってまだ数ヶ月しか経ってないのよ?」
「そうだっけか。なんか、シノンとはSAOの頃から仲間だって位濃い時間を過ごしてるから感覚が狂ってるな。」
「そうね、女神と死神のタッグなんて、ゲームでも早々見れない組み合わせね。」
「それに、俺とお前の場合は出会い方もな。考えられるか?偶然雨の日に出会った俺達がゲームの中でも出会って、命を預けあったなんてさ。」
「非現実的ね。それでも、私はあの日あの時、あの場所にいた事はここ数年で一番の幸運だと思うわ。」
シノンはそういうと、俺の左手を握ってきた。
「私にとっての憧れの人と、こうして一緒にいられるきっかけになってくれたんだから。」
「そうか、それなら何よりだよ。」
ただ静かな湖畔の周辺を、会話をしながらゆっくりと散歩をする。
時折シノンがこっちを見ては顔を逸らしてきているが、俺の顔に何か付いているのだろうか。
「テツヤ、前も言ったけど今度こそ全力で私と戦いなさいよ。翔龍双牙だって、虚化だって出さず戦ったなんて許してないからね。」
「お前からの挑戦なら何時でも受けて立つさ。だが、そう簡単には負けねぇぞ?」
「こっちこそ。死神の心臓に風穴を開けれるのは、女神の私だけよ。」
そう言うとシノンは俺の胸元に軽く拳を当ててきた。
「言うじゃねぇか。その時を楽しみにしてるぜ、シノン。」
「この世界でもすぐ追いついて見せるから、待ってなさいよね、テツヤ。」
「おう。ま、最悪シノンが本気を出す時の荒療治があるさ。」
「荒療治?」
「おう。尻尾握りゃ─」
冗談で言ったつもりだったが、シノンに背負い投げをされると俺はそのまま湖に叩きつけられるように着水した。
「ぶはっ!?な、何すんだこの野郎!?」
「安心しなさい、アンタ一人殺るくらい他愛もないのよ?」
「言うじゃねぇか・・・だったら!」
湖にいる利点を活かし、俺はシノンに向けて多量の水をぶっかけた。
見事命中したことで、シノンも水浸しになっていた。
「やってくれたわね・・・!」
「はっ!かかって来やがれシノン!水遊びでも俺は負けねぇぞ!!!」
「だったら行かせてもらうわよ!」
その後、俺とシノンは時間も忘れ、水の掛け合いの戦いを演じた。
死に怯えていたシノンとは大違いな、可愛らしく楽しんでいる姿を見ると、GGOでの一件の苦労も報われた気がした。
気づけば俺のタキシードも、シノンのドレスも水浸しになるほど、俺達は水の掛け合いに夢中になっていた。
「全く、せっかく買ってくれたドレスが台無しじゃない・・・」
「楽しんで水ぶっかけてきたくせに何言ってやがる・・・」
「・・・テツヤ、またこうして貴方と遊んでもいいかしら?」
「そんなの当然だ。俺とお前は唯一無二のタッグだろ?」
「ユウキに聞かれたら殺されるわよ?」
「っ!?い、いや待て!?その、ユウキはもう俺にとっては殿堂入りな訳よ!?シノンはその次点と言うか・・・!?」
「フィリアやリナ、レイだっているのに?」
「うぐっ・・・」
次々と仲間の名を出され、言い淀んでいるとシノンはくすっと笑っていた。
「・・・ありがとう、貴方のナンバー2を担えるよう頑張るわ。」
「そうか、期待してるぜ、相棒。」
俺とシノンは拳をぶつけ合った。
それにしても、死神と女神のタッグ・・・我ながら出来すぎな異名コンビだな。
「貴方のハートも、私が狙い撃つんだから。」
「ん?なんて?」
「うるさいわよスケべ。行くわよ。」
「へいへい。」
シノンが何を言ったのかは知らないが、こうして楽しそうにしてくれるのが何よりの幸せだった。
食事デートも無事終え、夜のアルンでゆっくりと散歩をする二人。
テツヤのナンバー2の座は、このままシノンが射止めるのか。
だが、忘れてはいけません。
シノンはテツヤ大好き同盟としてフィリアと組んでいることを。
次回はそんなフィリアのお話です、お楽しみに!