ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~   作:畜生ペンギン

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今回から原作沿いになっていきます
台詞は変えていきますが内容は同じようにします
それではどうぞ!


第一章 ソードアート・オンライン~アインクラッド編~
part1 2人の出会い~死のゲームの開幕~


「リンクスタート!」

 

その言葉と共に、哲也の意識は現実世界から切り離されていく。

 

次に目を開いた時、哲也の前に広がっていたのは真っ白な空間だった。

 

《Welcome to Sword Art Online!》

 

目の前に文字が浮かび、続いてプレイヤーネームの入力画面が現れる。

 

「プレイヤーネームねぇ・・・そういうの考えんのめんどくせぇから、テツヤでいいや。」

 

迷うことなく、《テツヤ》と入力する。

 

続いて表示されたのは、顔のパーツや輪郭、髪型などを設定するアバター作成画面だった。

 

「うへぇ~・・・長そうなの来ちゃったよ~。」

 

いつもなら適当に済ませるところだが、今回はそうもいかない。

 

これからこの世界で使い続ける、自分自身の姿になるのだ。

 

「目はこんなんで・・・髪はちょい短め。鼻と耳は普通でいいかな。顔は・・・こんなもんか。」

 

普段のがさつさからは想像できないほど、一つ一つ真剣に選んでいく。

 

「よし、決定!」

 

最後に現れた《GAME START》の文字。

 

「ゲームスタート!」

 

勢いよくボタンを押した瞬間、テツヤの身体が光に包まれた。

 

「うはぁ~!すげぇ!!これがゲームかよ!」

 

テツヤが降り立ったのは、《はじまりの街》。

 

石造りの建物。

 

行き交う大勢のプレイヤー。

 

現実とほとんど変わらない空気や音。

 

初めて体験する仮想世界に、テツヤは子供のようにはしゃいでいた。

 

「え~っと・・・確か翔が、ゲーム始めたらここで待っとけって言ってたっけか。」

 

今日はβテスターだった翔から、この世界について教えてもらう約束になっている。

 

テツヤが落ち着きなく周囲を見回しながら待つこと五分。

 

「おっす、テツヤ。」

 

聞き慣れた声に振り返る。

 

そこには一人の男性プレイヤーが立っていた。

 

頭上に表示されている名前は《ショウ》。

 

「おせぇよ~!何やってたんだよ。」

 

「シャワー浴びてた。練習後は汗落とさなきゃ汚ねぇからな。」

 

「はぁ・・・まぁいいや!それより早く戦い方教えてくれよ!」

 

「その前に武器だ。お前、今何も持ってねぇだろ?」

 

「武器?どうやって見んの?」

 

「まずメニュー開け。こうやってな。」

 

ショウが右手の人差し指を軽く振る。

 

その動きに合わせて、目の前へ半透明のウインドウが現れた。

 

「こうか?」

 

テツヤも真似して指を振った。

 

「うお!出てきた!すげぇ!」

 

「それくらいで騒ぐな。」

 

初めてのテツヤにとっては、こんな些細なことすら新鮮だった。

 

「体みたいなマークがあるだろ?そこ押してみろ。」

 

「これか?」

 

ショウに言われた通り操作する。

 

「・・・何もねぇぞ?」

 

「やっぱり初期装備は無しか。金はあるだろ?」

 

「この《コル》ってやつか?1000って書いてある。」

 

「それだけあれば、この辺の安い武器なら買える。行くぞ。」

 

「おう!」

 

二人は武器を求め、《はじまりの街》の主街区へ向かった。

 

《はじまりの街・主街区》

 

「武器ってどんなのがあんの?」

 

「片手剣、短剣、両手剣、槍、斧・・・色々あるぞ。」

 

「へぇ~。お前は何使ってんの?」

 

「俺は片手剣。動きやすいし、初心者なら扱いやすいと思うぞ。」

 

「んじゃ俺もそうすっかな~」

 

店内を見回していたテツヤの目が、一振りの剣で止まった。

 

《スチールブレード》。

 

ごく普通の片手剣だ。

 

「おっちゃん、これいくら?」

 

「そいつなら500コルだ。」

 

「んじゃ一本頼む!」

 

代金を支払い、スチールブレードを受け取る。

 

テツヤは早速腰へ装備すると、満足そうに笑った。

 

「片手剣ゲットだぜ!」

 

「んなことやってねぇで、買ったんならフィールド行くぞ。」

 

「お!ついに戦闘か!」

 

二人が店を出ようとした、その時。

 

「あの~・・・すみません。」

 

背後から声を掛けられた。

 

「はい?」

 

振り返ると、そこには一人の少女が立っていた。

 

紫色の長い髪に、赤いカチューシャ。

 

少女は少し申し訳なさそうに二人を見る。

 

「今からフィールドに行くなら、ボクも連れて行ってもらえないかな?初めてログインしたから、この世界のことがよく分からなくて・・・戦い方を教えてくれる人を探してたんだ。」

 

「俺は大歓迎だ!お前もいいよな、ショウ?」

 

「まぁ、二人教えるのも三人教えるのも変わらねぇしな。いいぜ。」

 

「ありがとう!二人とも!」

 

少女は嬉しそうに手を差し出した。

 

テツヤもその手を握る。

 

「俺はテツヤ!こっちがショウだ。よろしくな!」

 

「テツヤとショウだね?ボクはユウキ!よろしく!」

 

こうして三人は出会い、そのままフィールドへ向かった。

 

《はじまりの街・西フィールド》

 

「いいか。この世界じゃ前だけ見てりゃいいってもんじゃない。敵はどこからでも襲ってくる。周囲には常に気を配れよ。」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

「じゃあ手始めに、あいつを倒してみろ。」

 

ショウが指差した先には、一匹の《フレンジーボア》。

 

猪型の低レベルモンスターだ。

 

「猪か・・・だったら突進がメインってとこか?」

 

「正解。突進さえ気を付ければ初心者でも倒せる。」

 

「よーし!頑張るぞ!」

 

「腕が鳴るぜ!」

 

「じゃあまずユウキ。危なくなったら俺が入るから、思い切ってやってみろ。」

 

「分かった!よーし、勝負だ!」

 

ユウキが剣を構え、フレンジーボアへ向かっていく。

 

最初こそ攻撃を避けるだけで精一杯だったが、次第に動きを読めるようになっていった。

 

そして数分後。

 

「やったぁ!倒せたよ!」

 

ポリゴン片となって消えていくフレンジーボアを前に、ユウキが両手を上げる。

 

テツヤとショウも笑いながらハイタッチした。

 

「初めてにしてはかなり良かったぞ。ユウキ、結構センスあるな。」

 

「ユウキすげぇな~!俺も負けてらんねぇ!」

 

「えへへ♪ありがとう!テツヤも頑張ってね!」

 

「ちょうど次も湧いたな。次はテツヤ。」

 

「おうよ!来いや猪!」

 

数分後。

 

「まぁ、ざっとこんなもんかな♪」

 

「・・・どんな倒し方してんだよ、お前。」

 

ショウが呆れ果てた表情をしていた。

 

「でもテツヤも倒せたじゃん!すごいよ!」

 

「いや、ユウキ。あれは見習うな。」

 

「えぇ~!?ダメだったか!?俺!?」

 

「どこの世界に猪の突進を飛んで避けて、そのまま追い回して疲れて止まったところを仕留める奴がいるんだよ!」

 

「仕方ねぇだろ!本当はビシッと決めたかったのに、あいつが逃げ回るんだからよ!」

 

「逃げてんじゃなくて、お前が追いかけてんだよ!」

 

「まぁまぁ・・・二人とも落ち着いて。」

 

ユウキが苦笑しながら二人の間に入る。

 

「ったく・・・このバカには後でもう一回教えるとして、次は《ソードスキル》だ。」

 

「ソードスキル?」

 

「このゲームの醍醐味の一つだ。決められた予備動作を取ると・・・」

 

ショウが片手剣を構える。

 

直後、刀身が淡い光を放った。

 

「そら!」

 

鋭い斬撃がフレンジーボアを斜めに切り裂く。

 

HPは一瞬で消し飛び、その身体が無数のポリゴン片となって砕け散った。

 

「すげぇ・・・!」

 

「今のが片手剣ソードスキル《スラント》。熟練度を上げれば威力も上がるし、もっと色んな技を使えるようになる。」

 

「あれ覚えれば、もう猪追っかけなくて済むのか!?」

 

「だから追っかけたのはお前がバカだからだ!」

 

「でも、色んなソードスキルを覚えれば戦い方も増えるんだね!」

 

「そういうこと。ただし、熟練度上げるのは結構大変だぞ。」

 

「それがあってこそのゲームだろ~!」

 

「やり込み要素があるのは嬉しいね!」

 

「よっしゃー!頑張るぞぉ!」

 

「じゃ、次行くぞ!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

それから二時間ほど、ショウによる初心者講習が続いた。

 

武器の扱い方。

 

ソードスキル。

 

アイテムやメニューの操作。

 

一通りの説明が終わる頃には、テツヤとユウキもかなりこの世界に慣れていた。

 

「よし!これで授業終了!」

 

「やっと終わったー!」

 

「もう教えることも大してねぇよ。」

 

「ねぇテツヤ!今からどっちが敵を多く倒せるか勝負しない?」

 

「望むところだ!」

 

「お前ら元気だな・・・って、その前に時間見ろ。」

 

「時間?」

 

テツヤが時刻表示へ目を向ける。

 

「・・・もうすぐ六時か。」

 

「じゃあボク、一回ログアウトしてからまた来ようかな。」

 

「んじゃ一旦解散だな。」

 

「そうすっか。」

 

三人はメニューを開く。

 

だが、テツヤの動きが止まった。

 

「どうしたの?テツヤ。」

 

「ログアウトボタンが・・・ねぇ。」

 

「え?」

 

ショウとユウキもすぐに自分のメニューを確認する。

 

だが、どこを探しても見つからない。

 

《ログアウト》の文字だけが、存在しなかった。

 

「なんだこれ・・・バグ?」

 

「いや・・・そんなバグあったら大問題だぞ。」

 

「サービス開始直後だから、人が多すぎて不具合でも起きたのかな・・・?」

 

「アーガスがそんな初歩的なミスするか・・・?」

 

「まぁ、悩んでてもしゃあねぇだろ。」

 

テツヤは腰の剣へ手を伸ばした。

 

「テツヤ、どうするの?」

 

「バグならそのうち直るだろ。それまでレベル上げでもしようぜ。」

 

「だったらボクも!」

 

「お前らのんきだな・・・」

 

ショウが呆れながらも二人の後を追う。

 

「お!あそこにいるぞ!」

 

「よーし!テツヤより先に倒す!」

 

「させるかぁ!」

 

二人が駆け出そうとした、その瞬間。

 

突然、三人の身体が青白い光に包まれた。

 

「なんだ!?」

 

「強制転移か!?」

 

「二人とも!離れるな!」

 

「一体どうなってるのぉ~!?」

 

次の瞬間、三人の姿はフィールドから消えた。

 

《はじまりの街・主街区》

 

「ここは・・・?」

 

「主街区だな・・・」

 

気がつけば三人は、先ほどまでいた《はじまりの街》へ戻されていた。

 

しかも転移させられたのは三人だけではない。

 

次々とプレイヤー達が広場へ現れていく。

 

「みんな集められてる・・・」

 

「やっぱ不具合の説明でもあんのか?」

 

その時。

 

空が赤黒く染まった。

 

巨大な警告表示が空一面を覆い、そこから血のような液体が滴り落ちる。

 

やがてそれは、一人の巨大な人影を形作った。

 

赤いローブに身を包んだ、顔のない存在。

 

「・・・なんだ、あれ。」

 

「巨人・・・?」

 

「違う・・・と思う。」

 

三人が見上げる中、それは静かに口を開いた。

 

『プレイヤー諸君。私の世界へようこそ。』

 

広場が静まり返る。

 

『私の名前は茅場晶彦。今や、この世界をコントロールできる唯一の人間だ。』

 

「茅場・・・晶彦・・・!?」

 

「なんで開発者が・・・?」

 

ショウとユウキの顔から笑みが消えた。

 

茅場は淡々と告げる。

 

現在、《ソードアート・オンライン》からログアウトできない状態にあること。

 

そして―

 

『これはゲームの不具合ではない。《ソードアート・オンライン》本来の仕様である。』

 

「・・・・・・は?」

 

テツヤの口から、間の抜けた声が漏れた。

 

次の瞬間、広場中から怒号が上がる。

 

「どういうことだよ!」

 

「ふざけんな!」

 

「今すぐログアウトさせろ!」

 

しかし茅場は一切動じない。

 

『諸君がこの世界から解放される条件はただ一つ。アインクラッド第100層へ到達し、最終ボスを倒すことだ。』

 

100層。

 

その言葉の意味を、始めたばかりのテツヤにはまだ実感できない。

 

だが、隣にいるショウの表情を見れば分かった。

 

尋常ではない。

 

そして茅場は、さらに告げる。

 

この世界でHPがゼロになれば、現実世界に存在するナーヴギアによって脳を破壊される。

 

ゲームの中で死ねば、現実でも死ぬ。

 

「・・・嘘だろ・・・」

 

テツヤの喉から、かすれた声が漏れた。

 

周囲から悲鳴が上がる。

 

ナーヴギアを外すこともできない。

 

外部から強制的に外されても、その瞬間にプレイヤーは死亡する。

 

もはやこれは、遊びではなかった。

 

『最後に、私から諸君へプレゼントがある。』

 

プレイヤー達のストレージへ、一つのアイテムが送られる。

 

「・・・手鏡?」

 

テツヤが取り出した、その瞬間。

 

「うわぁ!?」

 

「なんだ!?」

 

「ショウ!ユウキ!」

 

広場の至る所で光が弾ける。

 

三人の身体も、同じ光に包まれた。

 

「ショウ・・・?」

 

「テツヤ、お前・・・その顔・・・」

 

光が収まったことで、互いの姿を見た二人が息を呑む。

 

ゲーム開始時に作ったアバターではない。

 

現実世界の自分自身の顔になっていた。

 

「ユウキは!?」

 

テツヤが慌てて周囲を見る。

 

その時、服の裾を誰かに掴まれた。

 

振り向く。

 

そこには一人の少女がいた。

 

「・・・もしかして、ユウキか?」

 

少女が小さく頷く。

 

「テツヤ・・・」

 

声は間違いなくユウキだった。

 

だが、その身体は僅かに震えている。

 

「ユウキ、大丈夫だ。」

 

テツヤはできるだけ落ち着いた声で話しかけた。

 

「今は無理に喋らなくていい。一旦落ち着こう。」

 

「・・・ありがとう、テツヤ。」

 

空から茅場の声が響く。

 

『これで《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る。』

 

そして巨大な赤いローブは、空へ溶けるように消えていった。

 

しばらく、広場には不気味な静寂が落ちていた。

 

「いやぁぁぁぁぁ!!」

 

だが、一人の悲鳴を皮切りに、広場は一瞬で混乱へ包まれた。

 

「ふざけんなぁ!!」

 

「ここから出してくれ!!」

 

「死にたくない!!」

 

怒号。

 

泣き声。

 

悲鳴。

 

それらが入り混じり、街中へ響き渡る。

 

「ぁ・・・」

 

テツヤの隣で、ユウキが再び震え始める。

 

「二人とも!一旦ここから離れるぞ!」

 

ショウの声に、テツヤは頷いた。

 

「ユウキ、行くぞ。」

 

「・・・うん。」

 

三人は混乱する広場を離れ、人の少ない路地まで移動した。

 

「ここまで来れば・・・少しはマシか。」

 

ショウが壁へ背を預ける。

 

テツヤはユウキを見る。

 

「ユウキ、落ち着いたか?」

 

「うん・・・ごめんね。迷惑かけて・・・」

 

「謝ることじゃねぇよ。」

 

「あんなこと聞かされたら、誰だってそうなる。」

 

ショウもそう言うが、その表情は険しい。

 

「それで・・・どうすんだよ。」

 

テツヤが尋ねる。

 

「100層だぞ・・・」

 

ショウが拳を握り締める。

 

「そこまで攻略するのに、どれだけかかると思ってんだ・・・!」

 

普段は冷静なショウが、明らかに動揺している。

 

その姿を見て、テツヤもようやく事の重大さを実感し始めていた。

 

「テツヤ・・・ショウ・・・」

 

ユウキが不安そうに二人を見る。

 

「ボク達・・・本当に死んじゃうのかな・・・」

 

テツヤはすぐには答えられなかった。

 

死なない。

 

そんな保証はどこにもない。

 

それでも、テツヤはユウキを安心させるために優しく声をかけた。

 

「大丈夫だ。」

 

「テツヤ・・・?」

 

「俺もショウもいる。」

 

テツヤはユウキへ笑いかける。

 

「三人で生き残ろうぜ。そして絶対、現実に帰るんだ。」

 

ユウキはしばらくテツヤを見つめると

 

「・・・うん!」

 

ようやく、いつもの笑顔を見せた。

 

「テツヤの言う通りだ。」

 

ショウも頷く。

 

「今は前へ進むしかない。少しずつでも攻略していけば、いつか必ず終わりは来る。」

 

「よし!」

 

テツヤが立ち上がる。

 

「だったらまず目指すは第一層突破だ!」

 

「うん!三人で頑張ろう!」

 

「おう。」

 

こうしてテツヤ、ショウ、ユウキの三人は、この世界を生き抜くため共に歩き始めた。

 

この日は、三人が出会った日。

 

そして同時に、一万人のプレイヤーを巻き込んだ《ソードアート・オンライン》というデスゲームが始まった日でもあった。




とまぁこんな感じで1話は終わりです
6000文字書くのはなかなか骨が折れますね・・・

次回は第一層のボス攻略を予定しています! お楽しみに!

※2026年8/21日 改稿
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