ソードアート・オンライン~死神と呼ばれた剣士~ 作:畜生ペンギン
今回はオリジナル展開です
ではどうぞ!
シリカとピナを助けてから約三ヶ月が経過していた。
「いっけない!待ち合わせに遅刻する!」
ユウキは今日、エギルの店で行われる次回ボス攻略の打ち合わせに参加することになっていた。
そこにはアスナ、ショウ、キリト、そしてテツヤもいるのだが、クエストに時間を食ってしまい予定よりだいぶ遅れていた。
無論ユウキは急ごうとしたが─
「んぎゃぁぁ!?」
「っ!?誰かがまずい状況みたいだね・・・助けなきゃ・・・!」
ユウキの向かった先には、小柄な男性プレイヤーがオオカミ型のモンスターに襲われていた。
「ひぃ!?お助けをぉ!?」
オオカミが少年を噛み砕こうとしたその時、ユウキがオオカミを一刀両断。
無事少年を助けることができた。
「た、助けてくれてありがとうございます・・・」
「大丈夫?あ、ボク急いでるからごめんね!」
「あの!せめてお名前だけでも・・・」
「ボクの名前はユウキだよ!それじゃあね!」
ユウキは片手剣を鞘に収め、手を振りながら去って行った。
「ユウキ・・・さん・・・」
「やばーい!?アスナに怒られる~!?」
ユウキは焦りながらも全速力でエギルの店へと向かう。
予定時刻より三十分遅れたが、ユウキは勢いよく店の扉を開いた。
「ごめん!遅れちゃった!」
「大丈夫だよユウキ、今から始めるから。テツヤ君が待ってやろうって言ってくれたの。」
「そうなんだ・・・ごめんね、皆。」
「良いって事よ!さて、ユウキも来たから始めるとしようぜ。次の階層のボスはどんなやつなんだ?」
テツヤが隣のショウへ目配せする。
ショウは頷くと、事前に配られていた資料を開いた。
「ええっと・・・植物型のモンスターで、触手の攻撃を受けるとスタンや出血状態になるらしい。」
「ショウ君の言う通り。だから基本的には触手に気をつけて、危なくなったらスイッチでいけると思うんだ。」
「な、なるほど?」
「おい。分かったような顔してるけど、本当に分かってんのか?」
「わかっとるわ!?」
「テツヤは戦闘になると作戦忘れて前に出るからな。」
キリトが苦笑する。
「突破口を作ってくれるのは助かるけど、合わせるこっちは結構大変なんだよ?」
「そうだよテツヤ?次また一人で突っ込んだら晩ご飯抜きだからね?」
「えぇ!?」
「お前にはそのくらいのお灸が必要だよ。たまには作戦通り動け。なぁエギル。」
「全くだな。」
「んだよ~!皆して~!」
「ま、まぁここで再度情報も確認できるし、テツヤにも情報を伝えられるし。せっかくだし有意義に使おう。」
「そのつもりだ。それで他にはだな・・・」
その後も、テツヤを含めた全員で次回の攻略手順を確認していった。
「とにかく、次回のボス攻略は一週間後。触手攻撃には注意して、危なくなったらスイッチ。そして作戦は絶対厳守!分かった?テツヤ君。 」
「おう!よく分かった!」
「いいか、今回も死人は出さずに行くぞ。」
ショウの一言に、一同が頷きで答えた。
「それじゃあ・・・解散にするけど皆この後どうするの?」
「俺は久々にエギルとフィールドに行ってくる。なまってたらボス攻略が大変だからな。」
「俺は家に戻るよ。」
「ボクは買い物に行くよ!」
「ユウキも?それなら一緒に行こうよ!」
「うん!アスナとなら大歓迎だよ!」
「なら俺はショウについていこうかな。キリト、お前も来いよ。」
「え?」
「ずっとソロだったんだろ?たまには皆で行こうぜ。」
「・・・それなら、俺も行かせてもらおうかな。」
「キリトは長い間ソロだったからな。たまにはこうしてパーティー組まないとな。」
「よろしく頼むぜ、キリト。」
「じゃあ私とユウキは行ってくるね。」
「テツヤ!また後でね!」
「おう!気をつけろよ!」
「じゃあ俺達も行くとするか。」
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街中に出ていたユウキとアスナは、食材を買っていた。
「すいません、これ三つください。」
「あいよ!1200コルね!」
ユウキがNPCの店員に言われた分をきっちり支払い、大きな肉を三つ購入した。
「大きいお肉だけどそんなに使うの?」
「うん。テツヤはたくさん食べるからね。このくらいはストックしとかなきゃ。」
「ふふっ、すっかりユウキはテツヤ君のお嫁さんだね♪」
「にゃっ!?ちょちょちょっとアスナ!/////」
「冗談♪早くテツヤ君と付き合えると良いね♪」
「もう・・・アスナったら・・・」
ユウキが頬を膨らませる背後で、がさごそと音がする。
ユウキが振り向くも、そこには誰もいなかった。
「どうしたの?」
「いやぁ何か目線のようなもの感じてさ・・・」
「もしかしてストーカー?だったら私が・・・」
「ストーカーでは無いと思うんだけど・・・勘違いかな?」
「それにストーカーだったら私より、テツヤ君に守ってもらわなきゃね。」
アスナはくすっと笑いながらそう言った。
「もう!アスナってば!」
「・・・ユウキさん・・・」
一方、男性陣は50層のフィールドでレベリングを行っていた。
「はァ!」
テツヤの斬月から、三日月型の衝撃波が放たれると、群がる雑魚モンスターを一掃していた。
「あいかわらずすごい威力だな。月牙天衝だっけ?」
「大半の敵は1発だもんな・・・どっかのウニ頭の言葉を借りるなら、チートやチーターやってか?」
ショウの言葉にキリトが苦笑いを浮かべる。
テツヤが斬月を納刀しながら息を吐いていた。
「これでも使いこなすのには何ヶ月もかかったんだぜ?」
「話はそこまでだ。またおいでなすったぞ。」
「よし!今度は俺が!」
キリトはソードスキル、バーチカル・スクエアでリポップした敵を攻撃。
一連の動作で敵は一瞬で倒されていた。
「流石はソロプレイヤーだな。ところで、なんでソロなんだ?」
「それは・・・」
「言いたくないなら良いさ。でもこれからはたまにはこうして俺達とパーティー組まないか? 」
「あぁ、キリトなら大歓迎だぜ。」
「それに、何事も1人じゃ厳しいからな。仲間がいた方が安心できるだろ?」
「皆・・・ありがとう。今後ともよろしくな。」
「よろしく!んじゃあキリト、親睦もかねて今から俺と勝負しねぇか?」
「勝負?」
三十分で、どっちが多く敵を倒せるか勝負しようぜ。ショウとエギルのレベルも上がるしここなら安全だろ。」
「面白いじゃないか・・・乗ったぜ、テツヤ。」
「なら、負けた方は一日タダ働きしてもらうぞ。」
「そうだな、負けた方には罰ゲームだな。」
テツヤとキリトは睨み合っていた。
互いの闘志が燃え盛っていた。
「それじゃあ・・・スタート!」
ショウの合図で、二人の勝負が始まる。
30分後─
「キリト・・・お前幾つ倒した?」
「・・・50だな・・・」
「うぐっ・・・俺は49・・・負けた・・・!」
「それじゃあ罰ゲームはテツヤだな。」
エギルの手がテツヤの肩に優しく置かれた。
「しっかり働いてもらうからな。」
「くっそ・・・負けは負けだ、やればいいんだろ。キリト、お前も何か食いに来いよ。俺が奢ってやるよ。」
「そうか?ならご馳走になるよ。」
「じゃあそろそろ戻るか。」
「あーあー!まだまだ俺も実力が足りねぇなぁ!」
「大丈夫だ、お前はキリトに比べてバカだ。」
「褒めてねぇじゃねぇか!?」
「は、はは・・・相変わらず賑やかだな、お前は。」
テツヤとショウは、帰り道でも相変わらず言い合っていた。
その後ろを、エギルとキリトが苦笑しながらついていく。
四人はそのまま、第50層の店へと戻っていった。
数日後─
ユウキは背筋の凍る感覚に襲われていた。
「・・・なんだろう・・・この冷たい感覚・・・」
「・・・」
拭いきれない気持ち悪さから逃げるように、ユウキが走り出す。
すると、背後からユウキを尾ける足音が聞こえてきた。
「・・・やっぱりかぁ・・・」
一方、その頃のエギルの店では、テツヤがウェイターとしてバイトをしていた。
「いらっしゃいませ!ってキリトとアスナじゃないか。」
「こんにちは、テツヤ君。」
「テツヤ、ウエイター姿も似合ってるぞ。」
「こんにちはアスナ。褒めてくれてありがとなキリト。さぁ、こちらの席にどうぞ。」
テツヤの案内され、席に腰掛ける二人。
ショウは適当な仕事をすんじゃないかと危惧していたが、むしろ器用にこなすテツヤを見て感心していた。
「思ったよりやってくれるな、アイツ。」
「あぁ、普通に店員として欲しいくらいだ。」
「メニューお決まりになりましたらお呼びください。あ、ユウキ見てないか?二人とも。」
「ユウキは見てないけど・・・」
「俺も見てないな。」
「そっか、悪いな邪魔して。」
「兄ちゃん!水おかわり!」
「はい!ただいま!」
「大変そうだな、テツヤのやつ。」
「ユウキもいれば良かったのにね~」
「どうしてだ?」
「ユウキは喜びそうじゃない?ウエイター姿のテツヤ君。」
「そ、そうかな?」
キリトが水を口に含んだ時、店の扉が開いた。
テツヤが出迎える前に、店に入ってきたユウキが彼の右腕に抱きついた。
「た、助けてテツヤ!?」
「ゆ、ユウキ!?急にどうしたんだ!?」
「そんな事より店の前にいる人追い払ってよ!」
「店の前?誰かいるのか?」
「行ってみようよ、キリト君。」
テツヤとユウキ、キリトとアスナが揃って店の外へ出る。
入口の前には、小柄な男の子が立っていた。
ユウキが怯えてるのを見たテツヤが、恐る恐る声をかけた。
「あの・・・どうかしましたか・・・?」
「・・・ユウキさんを・・・」
「え?ユウキを?」
「ユウキさんを僕にください!お願いします!」
少年は、テツヤに勢いよく土下座した。
それを見たアスナは唖然としていた。
「えぇ!?ど、どういうことなのユウキ!?」
「ボクも訳がわからなくて・・・て、テツヤ?どうにかしてよ!」
「いや俺に振られても・・・んで?ユウキが欲しいってどういう了見だ?」
「はい・・・僕はあの時死ぬと思っていました。しかし、そこをユウキさんに助けられてそれから僕はユウキさんに一目惚れしてしまい、日々追いかけていました。」
「・・・へぇ・・・さらっとストーカー宣言ね・・・」
テツヤは何故か怒りが湧いたため、ストレージから斬月を取り出そうとしたが、それをキリトに止められていた。
「ま、まぁまぁ!まずは話を聞こう!」
「僕にはもうユウキさん以外ありえないのです!だから彼氏さん!僕にユウキさんをください!」
「・・・テツヤがボクの・・・彼氏・・・/////」
ユウキは何故か顔を真っ赤にしていたが、テツヤはそれに気づくことはなかった。
「まず彼氏じゃねぇよ俺は。それに、仮に彼氏だったらてめぇなんかにユウキをやるか。」
「ならユウキさんを・・・!」
「だが俺にユウキを欲しいって言ったってユウキが承諾しなくちゃ駄目だろ?」
「確かに・・・ならユウキさん!僕と付き合ってください!」
少年はすぐさまテツヤに告白をしたが、ユウキに届くわけも無かった。
「テツヤが・・・ボクの・・・やるかだって・・・えへへ・・・/////」
「ダメみたい・・・ 完全に自分の世界に入ってるね・・・」
「、ユウキ?大丈夫か?」
「はっボクは何をしてたんだっけ・・・?」
「ユウキさん!僕と結婚を前提としたお付き合いをしてください!」
「え!?ふぇぇぇぇ!?結婚!?そんなのボクは・・・ボクはテツヤとしか・・・」
唐突なことに驚いたユウキだったが、次第に小声になりまた彼女の顔が真っ赤になった。
「ゆ、ユウキ?大丈夫か?」
「はっ!?ぼ、ボクは君とは付き合えないよ!」
「そんな!何故ですか!?」
「だってボクの好きな人は・・・」
ユウキは横目でテツヤを見ていた。
「そうですか・・・それならデュエルで決着つけましょうよ!負けたら僕は潔くユウキさんを諦めますが勝ったら付き合ってもらいますよ!」
「デュエルって、ボクと?」
「いいえ!僕がデュエルするのはあなたです!」
少年が指を指したのはテツヤだった。
「へ?俺?」
「そうです!あなたです!」
「な、なんで?」
「それはユウキさんがあなたの事を」
「っ!?言ったら勝っても付き合わないよ!」
「それは嫌ですね・・・とにかく僕はあなたにデュエルを申込みます!」
「あ、あぁ・・・今日明日は忙しいから三日後でいいか?」
「はい!構いません!」
「じゃあ場所はここの前で、君の名前は?」
「僕の名前はルークです!」
「了解。俺の名前はテツヤ、よろしくな。」
「3日後ユウキさんは僕の物になりますからね・・・!今の内に話しておくと良いです・・・!」
勝って当然というように、ルークはテツヤに対して闘志を燃やしていた。
「は、はぁ・・・」
「じゃあ3日後会いましょう、ユウキさん。」
そう言ってルークは去っていった。
一同は嵐が過ぎ去ったかのような静寂に包まれていた。
「なんだったんだあいつ・・・」
「テツヤ・・・負けないよね・・・?」
「俺があんなのに負けると思うか?」
「思わないけど・・・」
「なら安心して見守ってくれ。」
不安な表情を浮かべるユウキの頭に、優しく手を置くテツヤ。
そっと撫でられると、ユウキは安心するように笑っていた。
「うん!頑張ってね、テツヤ!」
「デュエルの日までも俺がずっとユウキと一緒にいてあいつの事見張ってやるよ。」
「う、うん、ありがとう。」
「どういたしまして。さて、とりあえず俺の腕から離れてもらえないかなユウキ?ずっとくっついてると腕が痺れてくる・・・」
「へ?あわわ!?ご、ごめんねテツヤ!」
顔を赤くしながら慌てて離れるユウキを見て、周囲の人達もそれを茶化すように声援を送っていた。
「こりゃ何が何でも負けられないな、テツヤ。」
「任せとけよキリト。俺の実力、見せてやる。」
「テツヤ、頼んだよ!」
「おう!どーんと構えてろユウキ!」
「厄介な事になったなテツヤ。さ、そろそろ仕事に戻るぞ。」
「へいへい。大人しく雇われ従業員してやるよ。」
「テツヤ!ボクケーキ食べたい!」
「はいはい、キリト達の席が1つ空いてるから一緒に座りな。」
それぞれ店内に戻っていき、ユウキはアスナの横の席に腰掛けていた。
「良かったねユウキ、テツヤ君に守ってもらえて。」
「あはは・・・まさかテツヤに申し込む人がいるなんてびっくりしたよ・・・」
「テツヤならきっと大丈夫さ、負けるはずがないよ。」
「当たり前でしょ!テツヤには絶対勝ってもらうんだから!」
「ふふっ、テツヤ君も大変だね。」
その後、テツヤは約束通りユウキと共に行動をした。
警戒していたルークが来ることはなく、約束のデュエル当日を迎えていた。
「テツヤ、来たみたいだよ。」
「おう。サクッと勝ってくるわ。」
店の扉が開く音がすると、そこには自信満々のルークが立っていた。
「さぁ!ユウキさんをかけて勝負です!」
「んじゃあ、いっちょやるとするか。」
テツヤとルークは街中の広場に向かうと、既に大勢の観客たちが集っていた。
「ルールは初撃決着。初撃は俺がわざと外すからそっからスタートだ。」
「ふふっ、どっからでもかかってこいや!です!」
テツヤがデュエル申請を送ると、ルークは勢いよく受諾のボタンを押した。
「目に浮かびますよ・・・あなたが僕の前に跪くさまがねぇ・・・!」
「言ってろ。」
ルークは片手剣を取り出し構えたが、テツヤからしては隙だらけの構えだった。
「ふふっ、最後のお別れは済ましたのですか?」
「んなもんいるかよ。」
テツヤが背負う斬月を抜刀すると、ルークに切っ先を向けた。
「こんなストーカー野郎に負けるかよ。」
「ふっ、まぁ見てなさい。あなたに勝ってユウキさんは頂きます!」
「好き勝手言うのは構わないが、この勝負・・・俺が勝つ!」
デュエル開始の宣言が鳴ると同時に、テツヤは初撃をわざと外していた。
「そりゃ!」
なんら変哲の無いルークの横一閃。
テツヤはそれをスウェイで躱すも、ルークはたて続けに連続攻撃をしかけてくる。
「ほらほらほらほらほら!」
「テツヤ!」
「心配すんなって!黙って見てな!」
テツヤは斬月の刀身で攻撃を防いだ。
確かに素早い攻撃ではあるが、対処できない攻撃でもない。
「どうしたんです、早く攻撃してきなさい。」
「なぁに、俺には奥の手があるんだ。それ使ったら一瞬で終わっちまうんだよ、お前のレベルだとな。」
「なんですって?」
「一瞬でケリ付けたらお前の強さが分からねぇからな。万が一にも負けたらお前にユウキを預けなくちゃならねぇんだ。そいつが弱いなんて言ったら話にならねぇからな。」
「そんな余裕があるのですかあなたには!」
「良いからさっさと攻撃してこいよ。」
テツヤは挑発するように手招きをしていた。
「もう怒りましたよぉ!あなたがユウキさんに対する気持ちはそんなものですか!それなら僕が倒してユウキさんをもらいます!あなたの言う強さって物を、見せてあげますよ!」
ルークがそう言うとソードスキル、バーチカルを放つ。
テツヤの身体にダメージエフェクトが刻まれると、ユウキは身体を強ばらせていた。
「テツヤ・・・本当に大丈夫なの・・・?」
その後もテツヤとルークのデュエルは、テツヤが何もせず、ルークがただひたすらにテツヤを攻撃し続けるワンサイドゲームになっていた。
「ふふっ、あなたのHPもあと少しで半分。その瞬間あなたは負ける・・・それがどうなることか分かるますか?」
「・・・・・・」
「言葉も出ませんか・・・それでは、これでおしまいです!」
ルークがテツヤに対し剣を振り下ろした。
それが決定打になる─そう思われたが、ルークの攻撃はテツヤの斬月で止められていた。
「頃合だな・・・やっぱお前にはユウキは任せられねぇな・・・!」
「ふふっ無駄な事を、あなたはもう・・・負けるのですからね!」
「それはてめぇだこのストーカー野郎!」
隙だらけのルークの脇腹を、テツヤは全力で蹴り飛ばした。
体勢が崩れたルークに対し、テツヤはホリゾンタル・スクエアを叩き込む。
テツヤが愛用する水平に切りつける四連撃は、それだけでこれまでのダメージレースをイーブンにしていた。
「ふんっ!僕のHPが減りましたがあなたは硬直に入─」
「誰が硬直があるって言ったんだ。」
「なにっ!?どういうことですか!」
「いくぜ・・・!」
テツヤが斬月を握りしめると、刀身に蒼白のオーラが纏い始める。
「月牙天衝!!!」
月牙天衝。
三日月型の高威力の衝撃波がルークを襲うと、ルークのHPは半分以下になり、デュエルはテツヤの勝利で幕を下ろした。
「ば、馬鹿な・・・なんでですか!?チーターですか!?」
「あらかじめ月牙天衝が撃てるようにしてから、他のソードスキルを撃つ。その直後に月牙天衝を放つことにより硬直が無くなる・・・斬月専用の戦い方だ。まぁ、このシステムに気づくのに何ヶ月もかかったけどな。」
「そ、そんなバカな!?」
「それに、これはある程度の敏捷性と筋力パラメーターがいる。この武器を使いこなすのにも度かなさる練習が必要だ。」
「くっそぉ・・・!あと少しでユウキさんは僕の物だったのにぃ・・・!」
地団駄を踏むルークだったが、そんな彼の胸ぐらをテツヤが掴んでいた。
「いいか・・・2度とユウキに近づくんじゃねぇぞ・・・次ユウキにちょっかい出したら・・・タダじゃおかねぇぞ・・・!」
「ひっ!?い、命だけはお助けくださぃぃ!」
ルークはそう言うと、走っえどこかに行ってしまった。
テツヤが呆れるように斬月を納刀すると、ユウキが全力でテツヤに飛びついた。
「っと。どうだユウキ、宣言通り勝ってきたぜ。」
「もう!負けるかと思って心配したんだからね!」
「ユウキがかかってるんだ、負けるはずねぇだろ?」
テツヤがユウキを優しく撫でると、彼女も次第に落ち着きを取り戻していた。
「全く・・・でもかっこよかったよ、テツヤ♪」
その様子は、周囲のプレイヤーからはカップルと捉えられて当然。
あるプレイヤーが
「絶剣とお似合いだな兄ちゃん!絶剣と付き合ってるのかい、」
と言ったことで、テツヤはきょとんとした顔をしていた。
「え?俺とユウキが?」
テツヤがユウキに視線を下ろすと、彼女は顔が真っ赤になっていて頭から湯気が出ていた
「ちょ!?ユウキ!?」
「あ、あはは・・・ユウキも照れ屋さんだね・・・」
「お、おいアスナ手伝ってくれ!?ユウキがヤバイ!?」
「にゃう・・・テツ・・・ ボクと・・・/////」
「目がうずまきみたいになってる・・・こんなの初めて見たわ・・・」
その後、アスナの協力の元ユウキはエギルの店に運ばれて行った。
ユウキが目覚めたのは、数十分後のことだった。
「・・・ん・・・あれ・・・ボクなにを・・・」
「お、起きたかユウキ。」
「テツヤ・・・ボク何してたんだっけ・・・?」
「俺とルークのデュエルを見ていて、その後に急に気絶したんだよ。」
「そうだっけ?でもとにかくテツヤが勝ってよかった♪」
「お前は心配症だな・・・さて、エギル達が飯作ってくれてるから早く行こうぜ。」
「そうなの?じゃあ行こ!」
テツヤとユウキが下の階にいる皆の元に戻ると、店内には多くの料理が並んでいた。
「え、エギルが全部作ったのか?」
「アスナの協力のおかげだ。さぁ、デュエル明けで疲れただろ、たらふく食ってけよ。」
「ありがとエギル!早く食べようよテツヤ!」
「はいはい。」
無事勝利したテツヤは、その美酒を味わうように料理を堪能した。
「美味い!?あ、アスナすげぇな!?」
「ありがとうテツヤ君。料理はまだあるから焦らないでね。」
「いや、ユウキがこう見えて結構大食いだから油断してると・・・」
「ボクそんなに大食いじゃないもん!?」
「この前俺が買ってきた飯全部一人で平らげた癖に何言ってやがる!?」
アスナはそんな二人の会話に小さく笑っていた。
食事を共にしていたショウやキリトも合わせて、和気あいあいとした雰囲気が流れていた。
「ん?おいキリト。お前顔赤いけどどうした?」
「なんかこの飲み物飲んでから様子が変なんだよ・・・」
キリトがグラスを不思議そうに手に持つと、エギルがそれを取り上げていた。
「どうやらアルコール飲料が少量混ざったようだな。これは俺が片付けておく。テツヤとショウは平気か?」
「俺は平気。ショウは?」
「同じく。」
「それなら良かった。悪いな変なもん飲ませて。」
「気にすんなよ。それにしてもさっきからユウキ見ねぇな・・・どこ行ったんだ?」
テツヤが周囲を見渡す中で、唐突に視界が暗闇に覆われた。
「だーれだ!」
「っ!?な、なんだ!?アスナか!?」
「私じゃないよ?」
「な、ならユウキか?」
「ピンポンピンポーン!テツヤせいかーい!」
視界がクリアになったテツヤが振り向くと、頬を赤く染めたユウキが嬉しそうにしていた。
「ど、どうした?顔が赤いし・・・ま、まさかユウキも酒か?」
「ボクはお酒なんて飲んでらいよ〜テツヤが飲んれたのを少しもらっはらけ〜!」
「つまり酒じゃねぇか!?完璧に出来上がってるぞ!?」
「へぇ〜しょうなの〜?まぁ細かいことは気にしなーい!」
「と、とりあえずキリト君は私が見てるからユウキの事見てあげて、テツヤ君。」
「あ、あぁ。といったものの、どうするか・・・」
「にゃはは〜テツヤ〜!」
ユウキは嬉しそうにテツヤの頬を指でつついていた。
「こいつ酔うとめんどくせぇな!?」
「むぅ!しょんな事言うテツヤにはお仕置きだよ!」
ユウキがテツヤの指を口に含むと、そのまま甘噛みしだした。
「いっ!痛い痛い!?やめんか!?」
「えへへ〜♪やーめない♪」
その後も、テツヤは酔ってしまったユウキに絡まれ続けた。
30分が経過しても、ユウキが酔いから覚めることはなかった。
テツヤは永遠とユウキに頬ずりをされていた。
「はぁ・・・悪い気はしねぇけど・・・」
「キリト君はだいぶ落ち着いて家に戻って行ったけど、ユウキはどう?」
「見ての通りさ・・・一向に離れようとしない・・・」
「あぁ〜アスナだぁ〜」
「ほら、テツヤ君も困ってるよ?離れてあげなきゃ・・・」
「やだ!」
ユウキは頬を膨らませると、テツヤの首筋に抱きついた。
「うおっ!?」
「テツヤと離れたくない!今夜は一緒に寝るの!」
「わ、分かった!一緒に寝る!寝るから!?」
「わーい♪」
「だ、大丈夫なのテツヤ君?」
「多分離れたら大泣きし出すと思うしユウキに従うさ・・・」
「上の部屋、使っていいからな。」
「サンキューエギル。ほらユウキ、上行こ?」
「お姫様抱っこしてくれたら良いよぉ〜」
「ったくしょうがねぇなぁ・・・」
テツヤがユウキをお姫様抱っこすると、彼女は嬉しそうに笑っていた。
「えへへ~♪」
テツヤがユウキを抱えながら上の階の部屋へ向かう。
ユウキをベッドに寝かしつけると、テツヤもユウキの横でベッドに入る。
「テツヤと一緒♪テツヤと一緒♪」
「ったく、電気消すぞ。」
「はーい♪」
テツヤが電気を消すと、ユウキは安心したように即眠りについた。
それを見届けたテツヤが離れようとするが、ユウキが彼を離すことは無かった。
「大人しく寝るしかねぇか・・・」
「テツヤ・・・どこにも行かないでね・・・」
「ここにいるから、安心しろ。お休み、ユウキ。」
テツヤはユウキの頬をひと撫でしてから眠りについた。
日中のデュエルと少量のアルコールのお陰で、驚くほど快眠ができていた。
その翌朝。
小鳥の囀りで、テツヤが目を覚ます。
「もう朝か・・・」
「むにゃむにゃ・・・」
「ほらユウキ、朝だぞ。」
身体を優しく揺さぶれたユウキは、目を擦りながら起き上がっていた。
「おはよ、ユウキ。」
「おはよ〜・・・ってなんでテツヤがいるの!?」
「まぁいろんな事故でユウキは酒を飲んでな・・・」
「ボクなにしてたの!?」
「えぇっと・・・俺の指噛んだり、頬ずりしてきたり・・・」
「っ!?ぼボクそんな事・・・/////」
「まぁその酒の勢いってやつだから心配すんな。誰にも言わないからさ。」
「・・・れて・・・」
「へ?」
「忘れてぇ!!」
ユウキはテツヤの腹に渾身の右ストレートを叩き込んだ。
「ぐぼっ!?」
その数十分後、様子を見に来たエギルが目撃したのは、倒れ込むテツヤと頬を赤らめたまま照れてるユウキの姿だった。
「見なかったことにしよう・・・」
今回出たルーク君の登場は1回きりの予定 今後何度かこうゆう人出すかもしれません
デュエルシーンはまだまだ書き方がよくわかりません これから何度かこういったシーンは出していくので成長を期待してください
次回もお楽しみに!
※2026年10/9日 改稿