私は1歳児用離乳食を幾つか購入し、家路に着いた。
腕の中ではナルトが寝息を立てていた。
「ふふ、もう夕方だもんね、少し疲れたよね」
1人つぶやきながら家への道を歩いていく。
夕焼けに照らされたナルトの髪の毛は美しく輝いていた。
玄関の鍵を開け部屋に入る。
「ただいまー」
誰もいないとわかってはいてもこの言葉はなぜか出てきてしまうのだから不思議だ。
眠りこけてしまっているナルトをベッドに寝かせ布団をかけてあげた。
「んー、今日のご飯何にしようかしら」
冷蔵庫を開けると中には肉や野菜がいっぱい入ってはいる。
我ながら買いすぎではないだろうか。と感じる。
「とりあえずご飯を炊いておいて、アスマが後で来るって言ってたっけ?じゃぁ今日はオムライスにしましょう」
独り言を呟いたのちに玉ねぎ、人参、鶏肉を出し、手際よく切っていく。そしてそれを炒めておく。
そしてしっかり火が通った頃に皿に移して置いておく。そうすれば食べる時にあとはご飯と一緒に炒めて味付けをして卵を焼くだけ。
実に手間がかからなくていい。
コンコンコン
ドアをノックする音が聞こえる。きっとアスマだろう。
「空いてるから入っていいわよ!」
声をかけるとドアが開いた音が聞こえた。そして足音が聞こえてくるがその足音は1人じゃないようだ。
「アスマ?他に誰か来たの?」
覗き込むとそこには荷物を抱えたアスマとカカシ、手ぶらのアンコの3人がいた。
「アスマはいいとしてなんであんたたちがいるのよ。アスマの分しかご飯準備してないわよ?」
私の言葉に2人は返す。
「いやー、面白そうだから来ただけだしご飯はいいよ?出前とるし」
「それにすぐに帰るつもりだしね」
カカシの言葉に正直イラっとしたがここで叫ぶとナルトを泣かせてしまう可能性があるため諦めることにした。
そしてアンコはソファに座ると近くの本棚から本をとり読み始める。
「アンコ、きたならナルトのこと見てて頂戴よ。私今まだご飯の準備で手が離せないし」
アンコはしょうがないというように立ち上がるとナルトを寝かしてあるふ布団のほうに近づいていった。
「紅、布団とか、いりそうなものは全部買ってきたぞ。着替えとか紙おむつとか離乳食とかいろいろ買ってきたけどどこにおいたらいいんだ?」
その言葉を聞いてアスマが将来いいお父さんになるんだろうなと想像して微笑んでしまう。食事をさらに盛り付けながらアスマに返事をした。
それなら隣の部屋空いてるからそこにおいてあげて。布団は私の部屋のベッドの隣ね。離乳食はテーブルの上でいいわ!」
綿足の言葉に返事をしたアスマはベッドのある寝室と隣の部屋にてきぱきと荷物を置いていっている。こちらでできることはカカシがやってくれていた。
なんだかんだ言いながら困ったときは手助けしてくれる皆に少しだけ感謝していた。
「カカシ、そこの電話の下の棚に出前のメニューがいろいろあるから勝手に見て注文しておきなさいよ。悪いけど今日はあんまり買い物してないから作ってあげられないからね」
カカシはうなずくと部屋にアンコを呼びメニューを見ていた。
「あれ、アスマは?」
こちらの部屋にアスマが帰ってこないので問いかけるとアンコが私の寝室を指差していた。
キッチンに盛り付けた皿を置いたまま寝室をのぞくとナルトを優しく見つめベッドの隣に腰を下ろすアスマがいた。
その姿に少しだけときめいてしまったのだがそんなことはぜったに口にしない。なんか癪だし。
「アスマ、晩御飯できたわよ。ナルトも起こしてあげて。離乳食も暖めておいたから」
「あぁ、わかった。ナルト、起きろ。ご飯の時間だぞ~」
ナルトを抱き上げゆすり起こすアスマ。ナルトは眠そうな目を少しだけ明けアスマを見つめていた。
「おはよう、ナルト」
「おぁお!!」
アスマの顔を認識するとナルトは笑顔を見せ元気に返事をしていた。その愛らしいナルトの姿を見て抱きしめたい衝動に駆られるが抑えてアスマの隣に立ちナルトの頬をつつきながら話しかける。
「ナルト~、ご飯でしゅよ~」
「はぁい~!」
私の言葉に反応するとナルトは手足をじたばたしながらアスマに抱かれていた。
「じゃぁアスマ、私はお皿並べてるからね、ナルトを連れてきて頂戴ね」
アスマはうなずき部屋を出て行く。私はキッチンに行きお盆に載せたおかずとご飯を入れたおひつを持ち皿の並べてあるテーブルに置く。
アスマがなにやら持ってくる。子供用のテーブルつきの椅子であった。
「ほら、ナルト。お前はここだぞ~」
私の座椅子の隣にナルトの椅子を置きそこにナルトを座らせる。ナルトは新しい自分の椅子に座り上機嫌になっている。
「良かったわねぇ、ナルト~!アスマパパにありがとうしないとね」
「あいあと~!」
私の言葉にナルトはうれしそうにお礼を言う。アスマはニコニコ笑顔でナルトの頭をなでていた。
「食器も買ってあるからあとで洗っておいてやってくれ。明日から使えばいいだろ?」
アスマの言葉に私はうなずき、もってきたご飯を茶碗に注ぎ、味噌汁とおかずをアスマ用の座布団のあるところの前と私の席に置く。
ナルトの前にある小さなテーブルに離乳食を並べる。そしてナルトを見つめながら話しかける。
「ナルト、ご飯にしましょうね!手を合わせて?」
ナルトの前で手を合わせて見せるとナルトは私のまねをして手を合わせた。なんともかわいらしい姿だ。写真に収められないのが残念だ。
「いたたきます」
「いただいまう」
「いただきます」
私の後にナルトが続いて言う。そしてアスマも自分の席に着き復唱していた。ナルトの前だからか普段よりも少し丁寧にやっているのに少し笑いそうになる。
ナルトの隣で食べながらナルトにスプーンで食べさせていく。
「はいあ~ん」
「あ~ん!!」
ナルトは大きな口を開けえさをねだる雛のように待ち受ける。そんな姿を見ていたい衝動に駆られるがちゃんと食べさせてあげた。
「おいしい?ナルト」
「うん!おいいい!」
ナルトは準備してあった離乳食を全部平らげ、満足そうに椅子に座っている。その前でアスマはなんともいえない緩んだ表情をしていた。ナルトのかわいさに私もアスマも当てられていた。
「あれ?もう食べちゃったの?」
カカシとアンコが出前のどんぶりを持って部屋に戻ってきた。
「あら?どこにいたの?」
私の問いに答えたのはアンコだった。
「玄関にこれを受け取りに行ってたのよ。それまでは飲み物とか買いに行ってたんだけど。これあんた達に差し入れ」
アンコが差し出した袋の中にはさまざまな飲み物が入っていた。もちろんお酒も。
「ありがと。でもナルトを預かってる間この家での飲酒は禁止よ。破ったらたたき出すから」
私が冗談めかしつつも少しだけ本音を混ぜて話したこの言葉。そのときあんことカカシの手には既にあいたビールがあり、さらに口につけていたのだった。
「「ごめんなさい」」
2人が謝ったのはほぼ同時。だが私の表情は多分ナルトに見せられないものになっていたと思う。まぁナルトからは見れない角度になっているからこそだが。
「アスマ、食器をシンクに運んでおいてもらえるかしら。私はゴミの片付けやっちゃうから」
指をぽきぽきと鳴らしながら近づいた行く私を見たとたんカカシが駆け出す。それもとんでもない速さで。
「あ、ずるい!おいていくなんて!」
アンコもそれに続いて逃げ出した。そして部屋の外に出て行った二人を歩いて追いかけるともう既にそこにはいなかった。そしてご丁寧に出前の入れ物も全部消えている辺りさすがである。
「はぁ、、、」
ため息をつき部屋に戻るとアスマは洗い物をしていた。
「アスマ、私がやるからいいわよ?」
「いや、今日は俺がやるからナルトの面倒見てやれ。お風呂も入れてやらねぇとだめだからな。お湯はもう溜めてあんだろ?一緒に入ってこいよ」
アスマの言葉に返事をしナルトの座る椅子の前にしゃがみこむとナルトは短い手を伸ばし私に抱きつこうとしていた。あぁ、だめだ。かわいすぎて変になりそう。これは早急にカメラを買わないといけないわね。
「ナルト、お風呂に入りましょうか?」
ナルトを抱き上げながら言うとナルトは今さっきまでの笑顔がうそのように顔をしかめ暴れ始める。
「やぁ~!!おうろいやぁぁ!!」
ナルトは激しく身体をじたばたさせるも私の腕の中から逃れられないでいた。
「だめよ?ナルト。お風呂に入らないと汚くなっちゃうんだからね?」
バスタオルを2枚取りお風呂場へむかう。
ナルトは何とか逃げようと身体をよじり続けていた。
「こら、ナルト。暴れちゃだめよ~」
ナルトの服を器用に脱がせていく。ナルトは暴れながらも少しずつ諦めてきたのか疲れたのか抵抗がなくなってきた。
ナルトを脱がせ終わると私も服を脱ぎハンドタオルとやわらかいボディスポンジをもち浴室へ入った。
そしてアスマが買ってきたナルト用の大きな桶に風呂桶からお湯をいれナルトの身体をつけてみる。
「ほらナルト。怖くないわ。気持ちいいでしょう?」
ナルトはお湯の中で恐る恐るといったように腰を下ろし座り込むとちょうど胸の辺りまでつかるようになっていた。
そして少しおどおどしながらもお湯の中で身体を動かしながらナルトは辺りを見回していた。
私も身体を流し湯船につかりながらナルトに手を伸ばすとナルトは手を掴んで離さない。
「ナルト?あったかいね!きもちいい?」
私の問いにナルトは首をかしげながらむずむずとしはじめた。そしてそのままそこで手足をばたばたとして水遊びを始めてしまう。
「いきゃい!うぃぃ!」
「あらあら、さっきまでお湯が怖かったのにもう大丈夫なのね。ナルトは強いのね」
ナルトの手を握ったまま呟き、ナルトを眺める。お湯の中で手足を動かし、水しぶきをあげるナルト。その姿は元気いっぱいといった感じで楽しそうに見えた。
「ナルト、そろそろ頭を洗おうね」
湯船から上がりナルトの桶からナルトを抱き上げひざに座らせる。そしてアスマが用意していたシャンプーハットをナルトの頭に装着し、シャンプーをあわ立てる。頭につけて洗い始めるとナルトはくすぐったそうに目を細めていた。
「ナルト、目を閉じてなさい」
シャワーから少しぬるめのお湯を出し熱さを確認しながらナルトに言うとナルトはぎゅっと力を込めて目を閉じた。なるほど、かわいい。
ナルトの表情に微笑がもれる。頭にお湯をかけるとナルトはびくっと身体を震わせていた。だが次第に気持ちよさそうに頬を緩めていた。
「はい、おしまい!ナルトえらかったね!頭きれいきれいできたね」
「はぁいぃ!!」
私の言葉にナルトは目を開け笑顔で返事を返した。
「次は身体ね。じゃぁ洗っていくわよ」
ナルトを前に座らせスポンジを泡立ててから身体に優しくこすり付ける。ナルトはむずがゆそうにしていたが、最後までおとなしくしていてくれた。
身体を流しもう一度桶に身体を疲らせるとドアを開けてアスマを呼ぶ。
「アスマ~、ナルトを先に上がらせたいの。お願いしてもいいかしら」
私の声に反応しアスマは浴室のドアを開ける。
「じゃぁお願いね」
「あぁ、わかった。ナルト気持ちよかったか?」
私がナルトを抱きかかえるとアスマはバスタオルでナルトの身体を優しく包みこみナルトに離しかけながら浴室から出て行った。
私は頭と身体を洗うと少しだけ湯船につかり一息ついたあとにお風呂を出た。
「アスマ、ありがとう。アスマも入ってらっしゃい。お湯足しておいたから」
私が上がるとナルトは緑色のカエルの着ぐるみのようなパジャマを着ていた。なぜカエルなのかは置いておいてかわいいからよしとする。
「あぁ、サンキュー。もうオムツも穿かせてあるし、少しだけりんごジュースを飲ませていたし歯磨きもしておいたから後は布団に寝かせてやればいい。紅も先に寝てていいぞ」
そう言うとバスタオルを1枚取り、着替えを持って浴室に入っていった。
その言葉のとおりに私はお茶を飲み歯を磨くと床に座っているナルトを抱き上げ寝室へ移動する。
「ナルト~今日はもう寝ましょうね」
「ふぁいぃぃ」
少し眠そうに返事をしたナルト。目をこすりながら腕の中でおとなしくしている。アスマが用意してくれた子供用の布団にナルトを寝かせると3分もしないうちに寝息を立て始める。私はそんなナルトの顔を見ながらアスマが来るのを布団の中で待っていた。
アスマは寝てていいって言ってくれたがやはりアスマが来るまでは起きていることにした。
30分ほどしてドアが開き、アスマが入ってくる。私はナルトの顔に向けていた目をアスマに向ける。
「起きてたのか?」
アスマは私の隣に寝ながら問いかけてくる。
「ええ、ナルトを見てたの。この子はクシナさんと4代目に似てるわね。2人の子供だし当然だけど」
アスマが伸ばしてきた腕の上に頭をおきながら話しかける私。いつもの定位置にやはり少し安心する。
「そうだな。あの2人の子だ。強くたくましく成長するだろうな」
アスマは私の頭を優しく包み込むようにし、私の耳元で話す。ナルトを起こさないようにしてくれているのかただ奏したいだけなのかはわからないが。
「ええ、楽しみだわ。あの子の成長した姿」
私は目を閉じナルトが成長した姿を想像する。元気で、優しくて強い忍びになった姿が想像できた。
「ああ、俺もだ。紅。お前があの子を育てるって決めたなら俺はいくらでも手伝ってやる」
後ろから抱きしめられアスマは言葉をかけてくれる。その優しいところが本当にうれしい。アスマのこういうところに私は惹かれたのかもしれない。
「ありがと。アスマ」
私はアスマのほうに振り返りあごにキスをし笑顔で言った。
「明日アスマは任務でしょう。今日はもう寝ましょう。朝ごはん作ってあげるからね」
私の言葉にアスマがうなずき身体を離すとアスマは仰向けになり寝始める。私もアスマの腕枕の上でゆっくりと目を閉じた。