とある外道の少年探偵   作:過労死志願

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2話・依頼内容のご確認

「でさぁ、犬神君。今回の依頼のことどう思う?」

 

「どうとは?」

 

「いや、ネギ君のフォローについてやん」

 

「愚問だな、安川。僕たちはプロフェッショナルだ。金をもらい依頼されたのなら僕たちは無言で働くだけだ」

 

 学園長から依頼を聞いたマリーと犬神はそんなことを話しながら女子校エリアを歩いていた。マリーの肩には肩車されたヒメが乗っており、その後ろをクラレンスが無音のままついていく。

 

 依頼の内容は英雄の息子、ネギ・スプリングフィールドの護衛とサポート。

 

 まだ幼いネギを最大限のサポートをするようにとのことだった。

 

「でも、いつもやったら裏の厄介ごとにはかかわろうとせぇへんやんか。なんで今回に限って……」

 

「安川……。あまり自慢できないからここだけの話にするがな……」

 

 犬神はそういうと、メガネを押し上げきらりと光らせる。

 

「僕は、親の仇であっても金さえもらえれば仕事を受ける人間だ」

 

「ほんまに自慢できひんで、犬神君!!」

 

 顔に縦線が入ってしまっているマリーのツッコミを華麗にスルーし犬神は歩き続ける。

 

「でもなぁ、犬神君。ネギ君のことなんやけどあれフォローするのほんまに大変や……」

 

 その時、マリーの隣を一人の少女が通り過ぎた。

 

 本を大量に抱え前髪で目元を隠した少女。

 

 本屋ちゃんこと宮崎のどかである。

 

「あ、安川さん学園長はどうでしたか?」

 

「ああ、なんや世間話聞かされたわ……」

 

「世間話ですか?」

 

「何をしている安川」

 

 立ち止まって会話をしているマリーに十メートルほど先行してようやく気付いた犬神はふりむき、マリーのほうへ歩いてくる。

 

「いや、犬神君。もうちょい早くに気づいてぇや。今までずっと話とったやん」

 

「失礼な僕は気づいていたぞ。ただお前ごときのために立ち止まるのが面倒だっただけだ」

 

「そっちのほうがより悪質やないか!!」

 

 本来なら絶対に入らないはずのハリセンの一撃を受け犬神のメガネが吹っ飛ぶ。いわゆるギャグ補正というやつだ。

 

「で、お前の後ろに隠れているその辛気臭そうな娘はいったい何者だ?」

 

「辛気臭そうって……もうちょい言い方ってもんがあるやん。一応私のクラスメイトなんやで?」

 

 若干顔が引きつってしまうマリーだったが、とりあえず流すことにしたのか、犬神がやってきた瞬間自分の後ろに隠れてしまったのどかを紹介する。

 

「私のクラスメイトでネギ先生の教え子の宮崎のどかちゃんや。これからいろいろあるかもしれへんのやから覚えておいたほうがええんちゃうん」

 

「それはいいのだが、なぜこいつは僕を見て隠れたのだ?」

 

「ああ……この子、男性恐怖症やねん」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「ああ、いい。別に気にすることはない。僕にとっては心底どうでもいいことだ」

 

「犬神君、その言いぐさはなおそうや……。本屋ちゃん、この人は私が働いとるバイト先のBOSSで、犬神ゲル君や」

 

「ゲルだ。覚えなくてもいいぞ」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「ああ、そんな挨拶なんてせんでええって。性格最悪やからあんま近づかほうがええよ」

 

「まぁ、そうだな」

 

「否定せぇへんの!?」

 

 そんな無駄話をしている時だった。

 

 犬神とマリーの漫才に宮崎は少しだけ笑ってしまっており、足もとへの注意がおろそかになってしまっていた。本を持ちすぎて前を見られなかったことも原因の一つだろう。

 

 とにかく、彼女は階段に差し掛かっていることに気づかなかったのだ。

 

「あ!」

 

 気づいた時にはもう遅く、彼女は階段から足を踏み外しそこから落ちてしまった。

 

「な!!」

 

「ふむ?」

 

 マリーと犬神がそれに気づいた時、二人は素早く目配せをし、体内に気を循環。二人の相方を連れて行動を開始する。

 

 犬神は素早く宮崎の体を捕まえ一緒に落下。受け身が取れるように位置を調節する。その下では素早く降りたクラレンスが二人をキャッチできるような体制で待機している。

 

 マリーは借金取りから逃れるために父親に鍛えられた俊足をいかんなく発揮し、杖を構えて何かをしようとしていた赤毛の少年に向かって駆け出す。

 

 その間、0.1秒。俊足どころか神速といっていい速さ。瞬動術である。その先ではマリーの肩から飛び上がったヒメが、少年が杖を取り出す光景を見てしまったツインテールにオッドアイの少女の前に降り立ち、その首筋に手刀を当て意識を刈り取っている。

 

「ほんま何しとんねん、じぶん!! 今のはありえへんわ!!」

 

「え、あれ、安川さん!?」

 

「安川……大丈夫か?」

 

「ああ、私は大丈夫やけど……」

 

「違う。その小僧の安否の確認だ。誰にも見られてないよな?」

 

「しょ、正直微妙やわ……。朝からなんか疑っとったクラスメイトに、ちょっと見られてもうたかもしれへん。姫ちゃんがすぐに気絶させてくれたから、あいまいな記憶となるくらいまで印象は薄められたやろうけど……」

 

「ちっ。とにかくその小僧をよこせ。宮崎は気絶させて図書館に放置するようクラレンスに命令にしておいた。目が覚めたら勝手に夢だと勘違いしてくれるだろう」

 

「明日菜は?」

 

「目撃者のことか? どこにいたのかわからんからな。薬を打ち込んで眠らせた後学園長室に連れて行く。クライアントに相談する必要があるからな」

 

「あ、あなたたち!! いったい何者なんですか!! 明日菜さんたちに何を……」

 

「少し黙れ」

 

 その言葉と同時に、犬神は掌底をふるう。それはネギが常に張っている魔法障壁をやすやすと貫通してその顎を直撃、脳を揺らし行動不能にする。

 

「ちょ!! 犬神君!? やりすぎやろ!!」

 

「安川……。今僕は仕事が失敗しそうになって非常に機嫌が悪い。意見をするなら……」

 

 そして、抗議の声を上げたマリーに対して、完全に人殺しの目となった瞳を向けてくる。

 

「命を懸ける覚悟をしろ」

 

「い、Yes・BOSS……」

 

 冷や汗をだらだらと垂れ流しながらマリーは敬礼する。

 

 犬神はそんなマリーを見て鼻を一つ鳴らすと、ネギをぐるぐる巻きにした挙句猿轡をはめて捕縛。戻ってきたクラレンスがもってきたキャリーケースにネギを押し込み学園長室まで戻るのだった。

 

「これ、完璧にどっかのマフィアの誘拐現場やんな?」

 

 マリーの疑問は完璧に無視して……。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 学園長室。

 

 そこには無言のまま怒気を垂れ流すメガネの少年。真っ青な顔で助手の少女を抱きしめる金髪の少女。そんなカオスの中でも超然としたまま立っている特徴的なひげを持つ老執事。ぶくぶくと泡を吹いて気絶している赤毛の少年。そして最後に頭を抱えるぬらりひょんがごとき長い頭を持つ老人がいた。

 

「さっそくネギ君の魔法がばれそうになったのか?」

 

「ええ。そういうわけです。ゆえに我々犬神アンダーグラウンドサーチはこのままではお客様の要望をかなえることが限りなく不可能だという決論に達しました。ゆえに契約内容の変更を打診させに来させていただいた次第です」

 

「……なぁ、犬神君そんなこと話す前にネギ君起こしたったほうがええんちゃう? なんかやばい感じに痙攣してんねんけど」

 

「黙れ、安川。僕は今不機嫌なのだ」

 

「はい……」

 

 いやいや、ひかんでくれよ、マリーちゃん。この怒気は老体にはこたえるのじゃぞ!?

 

 と、ちょっとだけ泣きそうになりつつ、近右衛門口を開く。

 

「犬神君。ばれそうになったのはいったい誰なのじゃ?」

 

「……現状は二人。こいつのクラスメイトの宮崎のどかと神楽坂明日菜です。後者は特に危険で魔法を使うところをじかに見られた可能性があります」

 

「ふむ……そうか」

 

 黙り込む近右衛門にマリーは『何考えとるんやこの爺ちゃん』と首をかしげる。

 

 そして近右衛門が出した結論に、

 

「のお。犬神君。その件に関してはこのまま放置してくれんかの?」

 

 この学園の深淵を見ることになる。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

「それは……どういうことでしょうか?」

 

「言葉どおりの意味じゃ。神楽坂明日菜の魔法ばれについてはこのまま放置。ネギ君から彼が受け持つクラスへの魔法ばれもできうる限り目をつぶろうと思っておる」

 

「な、なやそれ……。あそこにはなんもしらん生徒や、一般人として成長しとる木乃香もおるんやで!! あんたの孫ちゃうんかい!! それをなんでこんな危ない世界に引きずり込もうとしとんのや!?」

 

「少し黙れ、安川。クライアントの前だ」

 

 学園長の言に犬神への恐怖も忘れてしまったマリーは思わず怒声を上げるが、犬神はそんなマリーに殺気を飛ばし黙らせる。

 

「……なるほど。MM(メガロメセンブリア)の上から命じられた命令でしたか。悲しきは宮仕えといったところですか? あなたのご苦労はよくわかりますよ、近右衛門殿」

 

 そして、犬神はまるでそんなこと思っていないといった表情のままそんなことをのたまった。その視線の先に、血がにじみ出るほどこぶしが握りしめられた近右衛門の手があることにマリーは気づいた。

 

「おおかた、英雄の息子により良い成長をもたらすためといったところでしょう? そのためなら、こいつを含む三十二人の女子生徒がどうなろうと知ったこっちゃないと……。相変わらずいい感じに壊れていますね。僕と気が合いそうだ」

 

「あったらアカンやろ!?」

 

 殺気に萎縮してはいてもきっちりツッコミを入れるマリーに感嘆しつつ、近衛門は頷いた。

 

「そうじゃ。この学園はMM連合から援助を受けることによって成り立っておる。ナギをMM連合に紹介したのもわしじゃしな。あいつ優勝した格闘大会自体、戦争で直前だった連合に強力な兵士を送るために強者を見つけるというのが本来の目的じゃ」

 

「つまりこの学園はMM連合の完全な言いなりだと?」

 

「……ここに所属している魔法生徒や魔法先生のほとんどがMM連合出身のものやその息がかかった者たちじゃ。そうなるのもしかたあるまい」

 

「なるほど。了解しました。では神楽坂明日菜はこのまま放置させていただきます。そして、クラスメイトに対しての魔法ばれについての違約金は……」

 

「犬神君……実はそれが聞きたかっただけやろ」

 

「当然だ。僕が金のこと以外で動くと思っていたのか?」

 

「思ってへんけど、もうちょい取り繕えや!!」

 

 メガネをきらりと光らせる犬神にマリーは容赦ないハリセンの一撃を加える。

 

「発生させるつもりはない。放置してくれて構わん。ただほかの生徒たちに知られるのはまずい」

 

「それは重々に承知しています。お任せ下さい。帰るぞ、安川」

 

「ちょ、ちゃいまってぇや! 犬神君!!」

 

 そしてさっさと踵を返して帰ろうとした犬神の服の裾をつかみ、マリーは犬神を引き留めようとした。

 

 ズルズルズル……。

 

 犬神は特に気にした様子もなくマリーを引きずって扉の前まで歩いたが……。

 

「いや、とまれや!!」

 

「安川……僕はさっさと帰りたいのだ。具体的には撮りためている『仁』のドラマの再放送を見たいのだ」

 

「犬神君も好きなん!? そっちのほうが意外やわ! って、そんなこと言っとる場合ちゃうやろ!?」

 

 そして、マリーは近右衛門のほうを振り向き大声を上げてたずねる。

 

「このままでええんか爺ちゃん!! 政治屋の言いなりになって、生徒犠牲にした挙句、孫まで危険な目にあわせて……ネギ君をこのままMM連合の言いなりにさせて……それでええんか!! 爺ちゃん!!」

 

「……いわけがないじゃろう!!」

 

 今まで泰然とした表情を崩さなかった近右衛門は大声を上げて立ち上がった。クランレスはすっと重心をおとしマリーを守れる位置に移動したが、犬神は何を考えているのかわからない表情のまま夕日を反射する眼鏡越しに近右衛門を見つめる。

 

「わしが好き好んで大切な生徒を巻き込むと思っておるのか!? 平和に過ごしてほしいと思った孫を犠牲にするとでも思ったのか!? 大切な友人の息子に……アヤツを同じ過ちを犯させたいと思っているわけがないじゃろう!! しかし、わしの力はあまりに小さい……。立派な魔法使いともてはやされたこともあったが……所詮わしはMM連合の手のひらからは逃げられん、小さな男なのじゃ」

 

 眉毛に隠れた瞳の奥から涙を流し、老人とは思えないほどの覇気を流す近右衛門にマリーはにやりと笑いかけた。

 

「せやったら……うちらに依頼せぇへん?」

 

「?」

 

「おい安川。僕たちは託児所の職員じゃないんだぞ?」

 

「犬神君は黙ってて!!」

 

 マリーの言に若干額に青筋が浮かぶ犬神。マリーは怖いのでそれを必死に見ないようにしている。

 

 なかなか恰好がつかない二人であった。

 

「うちらは探偵やけど金さえもらえれば何でもやるで!! さいわい、この中にはMM連合の息がかかった人なんておらへんし、犬神君くらいの実力があったらMM連合も文句はいわへんやろ? どういう教育するかはあっちからのオーダーはきてへんのやろ? せやったら私らがここでのネギ君の保護者になる!!」

 

「し、しかし……君たちを巻き込むわけにはいか……」

 

「クライアント」

 

 そこで、犬神はようやく会話に介入してきた。メガネをきらりと輝かせながら、マリーを後ろに下がらせ、黒い笑みを浮かべる。

 

「僕たちは金さえもらえれば何でもやります。むろんそれ相応の報酬をもらいますが……いったん報酬をもらった以上裏切るようなマネはしません。万難を排して依頼を完遂させてみせます」

 

 だから金をよこせよ。言外にそう言っているのはこの二年で犬神の思考回路を熟知したマリーにはわかったが、近衛門にはわからなかったようだ。

 

 まぁ、わかろうとわからなかろうと……彼が出す結論は、マリーと近右衛門双方が望むところだった。

 

「犬神アンダーグラウンドサーチに依頼の追加じゃ」

 

 そして、近衛門は速筆で一枚の契約者を書き上げ犬神に渡した。

 

「クラスへの魔法ばれの極力阻止。ネギ・スプリングフィールドへの滞在先提供。および、ネギ君があらゆることに対して自分で考え、意見を言えるように、経験と知識を与えてやってくれ」

 

「御意。お任せくださいクライアント」

 

 ネギの運命が大きく動いた瞬間だった。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 3-A教室。そこにはすべてのクラスメイトや、高畑、しずな先生が集合しネギの歓迎会を開こうとしていた。

 

 そんな時に、明日菜がバタバタと教室に駆け込んできた。

 

「どないしたん? 明日菜」

 

「こ、木乃香!! ネギは……あのガキンチョは来ている!?」

 

「来てるって……明日菜が買い出しのついでに呼びに行ったんやんか?」

 

「ああ……そうだったわね」

 

 だったらさっきのは、夢?

 

 実は先ほどまで明日菜は下駄箱で倒れていしまっていたのだ。状況からみてどうやら靴を履きかえようとしたところで突然気絶したらしいのだが……。

 

 明日菜は先ほどまで自分が見ていたあまりにリアルな夢を思い出す。

 

 長い棒にまきついていた包帯のような布が飛び散り姿を現した杖。そして何か呪文のようなもの唱えようとしてマリーに飛びつかれ阻止されていたネギ。そして自分に向かってくる長い前髪に片目が隠された小学生ぐらいの少女。

 

「あれは……夢?」

 

 その時、教室のドアが開き、みんなが一斉にクラッカーを鳴らす。

 

「ようこそ!! ネギ先生!!」

 

「ふぉ!? な、何の騒ぎじゃ!!」

 

「あれ、おじいちゃん!!」

 

 教室に入ってきたのはネギではなく、長い頭の自分の祖父だと分かり木乃香は慌てて駆け寄った。

 

「うわぁ、そうやん。わかっとこうや、私。このクラスが歓迎会せぇへん訳ないやん……」

 

「ふむ。これはすべてタダなのか?」

 

「割り勘にきまっとるやろ!! っていうかなんでついてきトンねん!! ここは女子中学やで!」

 

「依頼のために決まっているだろう。このガキは目を離すと危ないということは今日十分に知ったところだ」

 

「あわわわわ!! す、すいません」

 

 そして後から入ってきたネギとマリーの隣を歩く見慣れない人々に、クラスメイトたちは警戒心をあらわにした。

 

「あなたたちだれですの? ここは男子禁制の女子中ですわよ?」

 

「ああ。いいのじゃよ、雪広君。彼らは今日からネギ君の家主になる人たちじゃ。これからいろいろあるじゃろうから挨拶してもらおうと思っての」

 

 みんなを代表してそう質問しに行く雪広に学園長は慌ててフォローを入れた。

 

「ごめんな~あやか。このひと達、私のバイト先の社長と社員やねん。今日だけは堪忍してくれへん?」

 

「まぁ、マリーさんがそういうのなら……」

 

 申し訳なさそうに手を合わせるマリーに雪広はしぶしぶとひきさがった。クラスのストッパーとして活躍するマリーには雪広も一目置いているのだ。

 

 そして始まるパーティ。人の波はネギ先生に群がるチームと犬神に群がるチームに分かれる。

 

 ネギのほうには昼間質問したりなかった姦しい一般生徒たちが。犬神のほうには普段めったに裏にかかわってこない犬神の参戦をいぶかしんだ裏の関係者が集まる。むろんその中にはタカミチもいた。

 

そしてマリーのほうにも……

 

「ねぇマリー。あんた私になんか隠していない?」

 

「ぶふぁ!!」

 

 明日菜が突然そう尋ねてきて、マリーはあからさまな狼狽を示す。

 

「え、え? な、何の話?」

 

「た、たとえば……あんたには笑われるかもしれないけど……ネギが超能力者とか!!」

 

 杖見たのに何でその思考に行きつくんや!! とツッコミを入れてやりたかったが、マリーは必死に我慢する。ここでそんなこといってしまえばすべてが台無しになってしまうからだ。

 

 だが、

 

「知りたいか神楽坂明日菜?」

 

 マリーの努力は……

 

「だったら明日の放課後。僕の会社に来るといい」

 

 そういって、明日菜に名刺を渡した犬神の手によって木端微塵に打ち砕かれた。

 

 

 

後日談というか、学園長と木乃香の会話。

 

「あれ、おじいちゃん。ネギ君私たちのところに泊まるんちゃうん?」

 

「ふむ。事情が変わってな。あっちのほうが部屋数も多いし、スペースもあるということじゃから泊めてもらえることになったのじゃ」

 

「そうなんや。ちょっと残念やなぁ。ネギ君おったらいろいろ楽しくなる予感がしたんやけど……。具体的には魔法使い的な事件に巻き込まれるような……」

 

 自分の孫の勘の良さに、近衛門は戦慄を覚えたのだった………。

 

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