「野菜の様子がおかしい?」
「せや」
犬神からのミッションである賞金獲得を済ませ、右手に綿菓子、左手にたこ焼き、頭にお面、着ている服は浴衣です。と、完全にお祭り装備で夜の学園祭を楽しんでいたマリーからの報告に、同じく男性用の浴衣を装備して縁日風の区画の射的で商品を根こそぎ制覇。屋台のおっさんを号泣させていた犬神は首をかしげながら、クラレンスへと視線を向ける。
「そうなのか?」
「確かに、ネギさまはいつの間にか忍術を覚えておられたようですが」
「え? 忍術?」
「はい。今日は世界樹の警備を龍宮さんとしていたかと思うと、違う場所で宮崎さんとデートを行い、さら同時刻に観光船の上で夕映さんと一緒に恋ヴァナをしていたようですが」
「あぁ、なるほど。だからクラレンスはネギが影分身したものだと思ったんだな」
「……いやいや、それ以前にクラレンスさんはそんだけの人数のネギ君どうやって確認したんよ?」
「それはまぁ、このようにして」
瞬間、クラレンスの周囲にズラァアアアアと現れる50人近いクラレンス達。周囲の客たちはぎょっとした顔で立ち止まり、客にまぎれていた魔法関係者たちは思わずため息をつき天を仰ぐ。
「安心してください、CGです」
「普通ならそれではごまかしきれへんねんけどな」
マリーがあきれるさなか、クラレンスがシレっといった言葉を真に受け
「まぁ、あいつが影分身を覚えていようが水分身を覚えていようが、朧分身を覚えていようが僕にとってはどうでもいいな」
「あぁ、やっぱり?」
「きっちり賞金も取ったみたいだし、なんら問題はないだろう?」
それよりも、だ。と、犬神は言いながら最後の射的用の銃にコルク玉を込めながら、声を小さくする。
「僕にとって重要なのは、これから始まる大会だ」
「あぁ、麻帆良格闘大会? でもあれ、体育祭のウルティラ麻帆良と比べたらめっちゃちっさい大会やん? 賞金かてたかが知れてるみたいやし」
それだったら、まだマリーが今朝勝ち抜いたツッコミ大会のほうがいい賞金を出していた。漫才研究会は意外と大きなサークルだったりするのだ。
「ん? 何だ安川、まだ知らなかったのか?」
「え?」
犬神がそう告げると同時に気力で強化されたコルク玉が最後の商品を見事に爆散させ「ん? 気を強くこめすぎたか」と犬神の首を傾げさせ、射的屋の店主の顔を青くさせている傍らで、50人近い分身を煙のようにかき消したクラレンスが一枚のチラシをマリーへと出してくる。
「こちらでございます」
そう言ってクラレンスが差し出したチラシにマリーは目を通し、
「なっ!?」
その激変具合に、驚きの声を上げた。
書かれていた大会の内容はまぁいい。格闘大会だ。どこまで行っても大した違いはない。だが、問題はその賞金で、
「これはっ……」
賞金、1000万。通常の学園祭では考えられない規模と金が動く麻帆良祭であっても、ちょっと考えがたいほどの金額を提示してきた格闘大会。
パワーアップどこの騒ぎではない、明らかな異常事態だった。
そしてその主催者は、
「ちょ、犬神君……これっ!?」
超包子オーナー、超鈴音。学園祭前に学園長から「なんか起こすかもしれんから注意してね♡」と言われて思わずイラついてしまった原因を作った彼女の同級生だ。
つまり、この大会は確実に超の何らかのたくらみである可能性が高くて、
「ちょ、犬神君!? やばいってこれ!! 絶対なんかあるって、やめたほうがええって!!」
あわてて犬神を棄権させようとするマリーだったが、
「安川、一体何の話をしている? やめる……だと?」
犬神の瞳は、
「むしろその逆だ馬鹿者、この大会は何としてでも僕たちが勝つ。そうすることによって超の計画を事前にたたきつぶせるかもしれないのだぞっ!! すべては麻帆良のため、この学園祭を守るために行うのだっ!!」
「そういうまじめなセリフは目の形を『¥』から戻してからいえや!!」
完全にお金にくらんでしまっていた。
…†…†…………†…†…
結局犬神を止めることかなわなかったマリーは泣く泣く格闘大会予選会場へと現れていた。
「それにしても、全員参加やないなんて、犬神君にしては珍しいやん? いつもやったら『というわけで安川、全員参加だ。ベスト8がぼくたちの名前で埋め尽くされるまで負けることは許さん』とかいいそうやのに」
「ふむ、本当ならそうしたいところだったんだがあいにく受付時間を過ぎてしまっていてな……。参加できたのは事前登録しておいた僕だけだ」
「あれ? クラレンスさんは? 確実を期すためやったら事前登録しているもんやと……」
「あいつには麻帆良執事選手権に出場させている。あちらも一応賞金は100万ぐらいあるからな」
「そんな大会あったんや!?」
相変わらず予想の斜め上を行く麻帆良クオリティに若干慄くマリー。そんな彼女をしり目に電車の混雑のせいで大会開始ぎりぎりに到着した犬神ご一行は、即座に舞台へと駆け上がり予選会場へと足を踏み入れる。
予選の内容はA~Hのグループに分かれてのサバイバルマッチ。別れたグループ内で生き残った二人が本選へとコマを進めることができるらしい。
「あれ?」
「マリー」
そんな犬神たちをしり目に、今回は観客サイドへと回ったマリーは楽しい娯楽ができたと喜びつつ格闘大会の観客席へと歩を向けたのだが、
「ヒメちゃん。どないしたん? 『ネギに暇ができたらしいから一緒に回ってくる』って言うとったのに?」
「そのネギがあそこにいる」
「え!?」
マリーがあわてて格闘大会の舞台へと視線を向けると、
「はっ!!」
裂帛の気合とともに、強烈な蹴りの一撃で自分の身長の数倍はある巨漢を吹き飛ばすネギの姿が見えて、
「って、おぃいいいいいいいいいいいいいいいい!? なんでいんの!? 明らかにチャオがやばいってわかってるやん!?」
「ほかにも……いるよ?」
「なっ!?」
驚いたマリーがほかの舞台にも視線を向けると、
「ほあちゃー!!」
「いや~、楽でいいな~」
華麗に舞う古菲が鮮やかな一撃で格闘男子たちを吹き飛ばすのを龍宮がのんびり眺めていたり、
「おらぁああああああああああああ!! これでどないやぁあああああああああああ!? 6つ身分身!!」
「おぉ、なかなかやるようになったようでござるな。では次は12人で♡」
「くぅ!? おれはまだ8人が限界やぁああああああ!?」
明らかに格闘対決していない楓とコタローがいたり、
「でりゃあああああ!!」
「神明流徒手空拳術基礎・活身衝」
気力と魔力で強化された、セーラー服の見知った同級生たちが無双していたり、
「ぐぁ……」
「さすが……デス眼鏡」
「ははは、その呼び方はやめてくれないかな?」
「ふははははは、いいぞタカミチ。もっとやれ」
マリーには見えない遠距離攻撃によって次々と学生を沈める大人げない広域指導員と、吸血鬼がいたり、
「……めっちゃ豪華な布陣やん!?」
正直これだけの戦力が同時に会することなど、実力者が多い麻帆良にしても珍しいことなのでは? と思ってしまう。
「って、そんなん言ってる場合やなかった!? ネギくーん!! みんなっ!!」
マリーは一瞬茫然とした後、あわてて会場のほうへと声を上げる。
「あれ? マリーさん?」
「な~にマリー? あんたも観戦に来たの?」
絶対優勝するからね~や、クラスのほうどうなった? とか、思い思いの声をあげてくる知り合いたちの言葉を完全に無視して、マリーは力いっぱい声を張り上げる、
「今すぐその大会棄権するんやっ!!」
「「「「はぁっ!?」」」」
何言ってんだこいつ? と知り合い連中が首をかしげた瞬間、
「その大会……悪魔が参戦しとる!!」
マリーがそう絶叫した瞬間、格闘大会の会場に、
ゴバァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
という、通常ならちょっと考えられない衝撃音とともに激震が走った!!
その震動に唖然とする参加者一同。そんな彼らをしり目に、
「安川」
激震の震源地であるAグループの会場から、ぞっとするような冷たい声が聞こえてきた。
「その悪魔とは、僕のことではないだろうな?」
「自分の胸に手を当てるまでもないやん!? 周囲見てからそういう不満は漏らしてぇや!?」
マリーが思わずツッコミを漏らすさなか、どういうわけか水しぶきに包まれていたAグループ会場の飛沫は晴れ、その会場の惨状を表した。
犬神が立っていた。それはいい、どちらにしろそれほどの実力者が見えないAグループでは当然の結果と言える程度の出来事だ。だが問題なのは、
「ふん、この程度でばらばらになるとは、軟弱な舞台め」
おそらく何らかの打撃を食らったと思われる舞台が、犬神が立っている場所を残して根こそぎ崩壊していたのだ……。
そして、その下に張ってあった水の中に浮かぶのは死屍累々となった格闘男子たち……。全員きれいに目を回して気絶していた。
メィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!? という悲鳴が違う舞台から聞こえてきたところ考えると、おそらく一緒に大会に参加した友人が、その衝撃に巻き込まれたのだろう……。
「っ!?」
それを見た大会に出場していたメンバーは思わず絶句する。
別に犬神と同じことができないとは言わない。むしろ、実力的にできるメンバーはそこそこ存在していたりする。だが、ここは一般人も参加する公共の大会。そんな中でここまで非情な攻撃を繰り出せる人間は少ない……。
つまり、何が言いたいのかというと……。
「さて、貴様ら……僕の賞金を奪い取ろうとするやつは、僕にけられて死ぬがいい」
割と敵に回してはいけない人間が、本気を出して敵に回ったということで……。
「「「は、はははははははははは………………」」」
眼鏡をきらりと輝かせて人殺しの笑みを浮かべる犬神に、ほかの参加者たちはもう笑うしかなかったのだった……。
…†…†…………†…†…
そして本選の組み合わせが決まる。
Aブロック
田中 VS 高音・T・グッドマン
ネギ・スプリングフィールド VS 高畑・T・タカミチ
Bブロック
神楽坂明日菜 VS 桜咲刹那
山下慶一 VS エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル
Cブロック
犬神ゲル VS 村上小太郎
大豪院ポチ VS クウネル・サンダース
Dブロック
長瀬楓 VS 佐渡ヶ 島サディスト
龍宮真名 VS 古菲
…†…†…………†…†…
そして、その後なんやかんやあって学園祭二日目を迎えたネギは、
「実家に帰らせてもらいます……」
「またんかい」
「諦めんの早すぎるやろ……」
杖を片手に舞踏大会本戦会場から尻尾を巻いて逃げようとするネギをあわてて止めるマリーと小太郎。そんなメンバーをあきれた目で見つつも「気持はよくわかるよ……」と言わんばかりの顔で、麻帆良の裏の関係者たちは大きく頷く。
「でもネギくん。何もしないで諦めるのは男らしくないんじゃなかな?」
と、とりあえずタカミチが人生の先達としてたしなめてみるが、
「何言ってるんだよタカミチ!? 命あっての物種だよ!?」
「……きみ一体ゲル君にどんな教育されたんだい」
ネギからの痛烈な反抗を受け、思わずゲルにネギを預ける決定を下した学園長を呪う。
とはいえ、このままネギと闘えないというのは若干惜しい気がした彼は、
「後ネギくん、実はこれは噂なんだが……この大会の最後に優勝した人物は、イギリスからやってきた赤毛の10歳の子供――ナギ・スプリングフィールドという少年だったという話だ」
「っ!?」
ちょっと汚いかな~と思いつつも、ネギが必ず食いつくであろう情報を提供しておく。
「だから、ちょっとがんばってみることも悪くないんじゃないかな?」
「……」
タカミチのその言葉に、ネギは思わず握り締めた自分の拳を見つめる。
「……」
そしてしばらく思い悩んだ後、
「そう……だね。ゲルさんにぶつかったら即座に棄権すればいいだけだし」
「……」
やる気は出たようだが地味に弱腰は治っていないネギに、タカミチは思わず顔をひきつらせた。
…†…†…………†…†…
とまぁ、会場外でそんな事が起こっていることなどつゆ知らず、犬神ゲルは選手控室にふつうに訪れ、
「ん?」
「お?」
割と因縁深そうでありながら、出会った本人たちの性質上実はそうではない人物と再会を果たしていた。
「貴様は……」
金色の髪に、眇められた瞳。その手に持つのは先端のが曲がった特別性金属(その強度から考えるにおそらくガンダリウム製・もしくは未知の金属)バット。
「おぉ!? 久しぶりだね犬神君! 相変わらず君の悪名はきっちりこっちまで轟いているよ?」
彼の名前は佐渡ヶ島サディスト。以前は世界一巨大な暗殺者集団の組織として知られていた《帝国》に所属していた暗殺者で、その内部でおこった帝国のトップ《
そしてその際に、自分の育ての親である帝国を裏切った暗殺者を処刑して回っていた《処刑人》ジルドレを殺した凶悪犯。
「……」
そんな凶悪犯を見て犬神は、
「ふむ、ちなみに教えておくとお前の情報はもう学園長に売っておいたぞ」
「しょっぱなからその話題か!? 相変わらず変わってないな!!」
なんというか……平常運行だった。
「にしてもあったのはジルドレの事件以来だったな。うちのヒメさんが無茶しちゃって……ごめん」
「まったくもってその通りだ。処刑人一人の死体を片すためにまさか事務所ごと爆破されるとは思っていなかったぞ。弁償しろ」
「いやいや、あれはもう君の管轄だし……さすがに弁償は今の帝国的にちょっと……」
帝国の暗殺者たるもの、死してなお痕跡を残すべからず。という、教育をヒメが実行した結果ダイナマイトを全身にまかれて爆発四散させられた自分の師匠の葬送方法を思い出し、サディストは思わず顔をひきつらせる。
「最近帝国あてに依頼がなかなか入ってこなくてさ~。うざい人だったんだけど、カイザーが優秀だったんだな~と思い知らされる日々が続いているよ」
「弱音か?」
「まさか。暗殺者は道具だぞ犬神君」
珍しく驚いたような犬神の言葉にサディストはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ふざけきった態度で肩をすくめる。
「おれたち暗殺者は拳銃と同じさ。ただ殺せと言われた対象を殺す道具。そこに私情はないし、信念もない。ただ対象が真っ白になるまで殺すだけさ」
「そうか。ではとりあえず一言だけ言わせてもらうぞ」
「ん? なんだ?」
そして犬神は鋭く目を細めて、
「僕の仕事のじゃまをするなら……それ相応の覚悟をもってこの学園祭に臨むといい」
「仕事って?」
「最優先事項としてあげられるのは……」
貴様らによる殺人の阻止。犬神が教えた依頼内容にサディストはほーと感心したような息をもらした。
なるほど、うわさ通りこの学園はかなり優秀なようだと……。自分たちが侵入したことを割り出すだけでなくもっとも最善と思われる人材にすでに動きを封じるように命令しているとは……。
だが、
「了解。わかったよ……。今回人は殺さない。マゾミちゃんにもそう言っておく」
サディストは意外とあっさりと、まるで何のこだわりも持っていないと言わんばかりに犬神の脅しをあっさりと飲んだ。
「?」
今度こそ本当の驚きの表情を顔に浮かべる犬神に、サディストは苦笑を浮かべながら立ち上がる。
「おいおい、俺らは暗殺者だぜ? 快楽殺人犯とはちがう。依頼されなきゃ殺しはやらんさ」
「ではなぜ貴様ら、こんなところにいるんだ?」
犬神の問いに、立ち上がったサディストは背を向けながら一言、
「企業秘密」
とだけ答えて、さっさと控室を立ち去った。
そんなサディストの意味深な態度に首をかしげていた犬神だったが、
「ん? まてよ? あいつが殺ししないというのならば僕は何もしなくてもこの依頼分の金が転がり込んでくることに……」
そこまで考えた後、やたら機嫌の好さそうな顔でにやりと笑った。
どうやら犬神にとってはサディストが黒幕に命令されていることよりも、自分の手元に楽に金が入ってくることのほうが重要だったらしい……。
…†…†…………†…†…
武道大会の予選が始まった。
真っ先に戦うことになったのはCブロック第一戦。
犬神ゲル VS 村上小太郎
その対戦カードを見た瞬間犬神を知るメンバーたちは、
「小太郎君! 今すぐ棄権するんだ!!」
「若い身空で命を無駄遣いすることはないわよ小太郎君!!」
「いいですか小太郎少年!! 人は生きていないと強くなれない……だから、時には逃げる勇気も必要なんです」
「応援の言葉言う前に一斉に棄権進めてくるとかどんな神経しとんねんお前ら!?」
上から、ネギ、明日菜、刹那とジェットストリームアタックバリの連携で小太郎に棄権を進めてくるメンバーたち。そんな失礼な態度をとる彼らに小太郎は思わず怒声を上げる。
そんななかマリーは、
「小太郎君……墓石は御影石でええかな?」
「すでに葬式の準備されてる!?」
あんたツッコミ役ちゃうかったんか!? といきり立ちながら、小太郎は龍宮神社内に設置された木製のリングに上った。
「どうやら僕の知り合いたちにかなり失礼な態度をとられたらしいな」
「ほんまやで。あんだけ言われるとか一体あんた何したんや?」
「大したことはした覚えはないぞ? 僕はビジネスをしただけだ」
シレッと大ウソをつく犬神の態度に若干納得いかないものを感じながら、小太郎は我流の構えをとる。
「あまぁええわ。おれは決勝でネギに会うって約束しとんねん。悪いけど瞬殺させてもらうで」
「あいにくとぼくにも負けられない理由がある」
具体的にいうと金のために……。
割と最低な理由で負けられない犬神だったが、金が絡んだ犬神は常時界王拳状態だ。モチベーションですら小太郎のはるか上を行っている犬神に負ける要素は一切ない。
「とはいえ、今の僕はちょっと機嫌がいい小太郎少年……」
犬神の機嫌の向上は、先ほどの働かなくても金が入ってくるという事実を知ったおかげだったが、さすがにそれを知らせるのは小太郎にも、会場にいる接戦を期待している観客にも酷な事実だろう。
「だから、三分ほど遊んでやろう」
そう言って犬神が構えたのは、
「なっ!? あれは……八極拳!? しかもかなり構えが整ってるアル!?」
専門家である古菲が思わず感嘆の声をもらすほどの美しく完成された八極拳の構え。
「こい、我流では絶対に越えられない壁を見せてやろう」
「はっ……上等!!」
瞬間、いつの間にか審判を担当していた朝倉の「始めっ!!」の言葉と同時に、小太郎の姿が瞬時に掻き消え犬神の目前へと再出現する。
圧倒的に格の違う、二人の『イヌガミ』の戦いが幕を開けた。