学園生徒の腕に覚えがある者たちに各々武器が支給され、生徒たちがそれぞれの防衛拠点へと配置を済ませた時だった。
イベント開始までまだ時間がある。だがしかし、準備ができている敵を待たせて白けさせるのも良くないだろうと、超は不敵に笑いながら手を振りおろした。
それと同時に湖面を切り裂き、姿を現す大量の、グラサン装備をした機械仕掛けの兵士たち。工学研の汗と涙の結晶!! T‐ank‐3αこと田中さんが強大な重火器をもって出現したのだ!!
『おぉ!? 何だあれ!?』
『おいおい、今年のイベントかなりガチだな!!』
『あれが火星のロボット軍団!?』
生徒たちは突然現れたロボットたちに驚きながら、各々しっかりと魔法具を構え迎撃の態勢をとっている。それでこそ麻帆良の生徒だと、超はその光景を見て笑った。そんな時、彼らの声を切り裂くように一つの張りのある声が麻帆良全土に響き渡った。
『お~っと!! 敵の火星ロボット軍団がイベント時間を無視して奇襲を仕掛けてきたようだ!! 麻帆良を守り市戦士たち、武器を取れ! 賽は投げられた!!』
その声は武闘大会や、魔法暴露に関してのあおり報道を入れることで協力体制を築いていた朝倉だ。だが、今回の彼女はこのイベントの進行を務める司会者。それはつまり……麻帆良の防衛戦に、司会者という観点からある程度の戦略的に手を貸すということを示しており、
「ふむ……。朝倉はやはり寝返ったか。まぁ、仕方ないね。こういうイレギュラーはイベントにはつきものネ」
超はそういうと不気味な笑みを浮かべながらホログラムのスイッチを入れる。
…†…†…………†…†…
「動いたようだな」
「うわ、でかっ!?」
学園祭最後の巨大イベントが始まるさなか、6つの魔力だまりのどこにでもすぐに駆けつけられるように学園中央の尖塔の上に立っていた犬神とマリーは、湖面に突如出現した巨大な超のホログラムを見て声を上げる。
『やぁ、麻帆良防衛軍の諸君。お初にお目にかかるネ。私が今回火星軍のラスボスを務めさせてもらう超鈴音だ。さて、大体のルール説明は主催者側からすんでいると思うが、こちらもいくつかルールの追加をさせてもらおうと思う。まずそこにいる我が尖兵のロボット兵士たちがだが、』
超が話し始めた時に激突が開始された!
「
の掛け声とともに無数の魔力弾が田中さんに降り注ぐ。しかし、敵は魔法先生との戦闘にもある程度耐えられるように調整されたターミネーターだ。2500体という数もあってかその進軍はしっかりと続けられ着々と麻帆良防衛隊へと近づいていく。そして、
『lock-on!! 狙い撃つぜぇえええええええええええええええ!!』
『ヒーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーハァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
『ファッキュー!! ファッキン!! サノバビッチ!! ストイコビッチ!!』
やたらテンション高めな声とともに、田中さんが持っていた重火器から無数の弾丸は排出された!
「ぐぁあああああああ!?」
「な、なんだ!?」
弾丸が地面に突き立つ衝撃によって湖周辺の浜の砂が巻き上げられ一瞬煙幕に近い状態となり、防衛隊の視力を奪う。
そして、砂煙が落ち着いたとき……そこにあったのは!!
「な!?」
「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」
「「「「みんなぁあああああああああああああああああああ!!」」」」
パンツ一丁に剥かれた男子生徒と、下着一枚まで服を吹き飛ばされた女子生徒の群れだった。
当然男子の何人かは涙を流しその光景を拝み倒すが、それを見た女子生徒たちによって袋叩きにあうという同仕打ちが続出。戦線は見事に崩壊する!!
『――そのロボットが使う攻撃のすべては学際期間中噂になっていた脱衣光線。いわゆる『脱げビィイイイイイイイイイイム!! ( ̄∇ ̄)vドヤッ』だ。けがをする危険はないから安心してくらってクレ』
「うぉおおおおおおおお!? なんてことしやがる麻帆良最高の頭脳!! 腐れありがとうございました!!」
「さすが超鈴音!! 俺たちにできないことを平然とやってのける~!!」
「そこにしびれる憧れぶっ!?」
女子からの粛正である……。
『続いてのルール追加は私の発見者ボーナスだ。今回このイベントのラスボスである私はこの麻帆良学園都市のどこかに身を潜めている。それを発見できたものには金一封を……そして、撃退できたものにはこの戦いの順位を決めるポイント……10000点を差し上げよう!!』
「おぉ!?」
「ずいぶんと太っ腹だな、おい!!」
「これはやる気がわいてきた!!」
『だが諸君……私もタダで負けてやるつもりはないぞ?』
「「「っ!!」」」
まるで飴のように甘い追加ルールを聞き、一気に戦意を向上させた生徒たちだったが、次いで超が告げたその言葉を聞くと同時に氷に突っ込まれたかのように固まった。
それは魔法関係者たちも同じで、犬神がたたずむ尖塔の下に設置された本部からその映像を見ながら、各々真剣な顔で超の言葉を待っていた。
『イベント開始からしばらくすると私はとある秘密兵器をこのイベントへと投入する。そのタイミング・使用法はすべて私の裁量に任されているネ。今から全力を出して戦っているようでは、手痛いしっぺ返しを受けることを心得てほしいネ』
黒幕らしい不気味な笑みを浮かべてすごむ超に、麻帆良生徒たちは息をのむ。だが、
『あ、追加ルールの実施については私が最近開発した新技術――どういう原理で表れるのかわからない不思議なテロップ――通称『謎テロップ』にて流れるので見逃さないように注意してネ?』
今度は一気に軽くなった発明品の説明に思わずずっこけた。
『さて、最後に諸君……』
そんな風に場を和ませた後、すーっと空中に溶けるように消えながら、超は最後に言い残した。
『いつから私の初期戦力が――この程度だと錯覚していた?』
「なん……だと!?」
ノリのいい生徒たちが何人かその言葉を返すと同時に、
空中に消えた超の代わりに、ホログラムのスクリーンが姿を現した!
そしてそこに映っていたのは、
…†…†…………†…†…
そこは、どこかで見たことがある発令所。
人類○完計画とかそういった感じの計画を担っているらしい、人類最後の砦かもしれない発令所だ。
そこのオペレーター席に座るのはヤッパリどこかで見たことがある制服を着た、葉加瀬・茶々丸の二人。
その背後には赤いジャケットを着て髪を下した超がたたずんでいた。
後ろに流れるBGMはかの有名なあれだ。
「冷却終了」
葉加瀬がブラインドタッチで操作端末をたたきながら、状況を開始する。
「右腕の再固定完了、ケイジ内全てドッキング位置」
「了解、停止信号プラグ排出終了」
「了解、エントリープラグ挿入」
「脊椎伝導システムを解放、接続準備」
「プラグ固定終了」
「第一次接続開始」
「エントリープラグ注水」
「主電源接続」
「全回路動力伝達、問題なし」
「了解。第二次コンタクト――入ります」
「A10神経接続、異常なし」
「LCL転化率は正常」
「思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス、初期コンタクト全て問題なし。双方向回線開きます、シンクロ率平均41.3%!! ハーモニクス全て正常値、暴走ありません」
「いけるナ」
そこまでの報告を茶々丸と博士から聞き、赤いジャケットを着た超はにやりと不敵に笑う。
「発進、準備ダ!」
「発信準備。第一ロックボルト解除」
「回路確認、アンビリカルブリッジ移動開始!」
「第二ロックボルト解除。第一拘束具、除去します」
「同じく、第二拘束具除去。一番から十五番までの、安全装置を解除!」
「解除確認、現在零号機より陸号機の状況はフリー」
「外部電源、充電完了!!」
「外部電源接続、異状なし」
「了解、エヴァ零号機から陸号機、射出口へ。進路クリア、オールグリーン。発進準備完了しました、超さん!! いつでもいけます!!」
葉加瀬がとうとう告げた発進準備が整ったという報告に、超はキリッとした顔をしながら、指令を下す!
「エヴァンジェリオン! 発進!」
その言葉と同時に場面が切り替わり、どういうわけか制服やら、ゴスロリやら、スク水ネコミミやら不可思議な衣装を着た巨大な――
地上へ行く間に、エヴァンジェリンたちの体に各所から延びたアームが巨大な鎧を着せていき、最後には巨大な鬼神の姿へと早変わり。それと同時にホログラム画面が消え、
ゴッ!! という轟音とともに、巨大な鉄のケースが6つ、湖の中から姿を現した!!
それと同時にケースの前に設置されたシャッターが開き、6体の鬼神がその中から姿を現す!!
…†…†…………†…†…
その光景を上空で見ていた箒にまたがった吸血姫は、ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!! と、まるでどこかの人型決戦兵器みたいな雄たけびを上げるそれらを見て、思わず、
「エヴァ違いだぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」
怒声交じりのツッコミを入れた。
…†…†…………†…†…
その頃、それを間近で見ていた麻帆良勢にも動揺が走っていた。
「なんだと……。まさか、まだあんな隠し玉が!?」
「まて!? あの中にパツキンコスプレ幼女がいるだと!? だめだ……おれもう戦えないよ!!」
「何言ってんだ……。あいつらに踏みつけられるってことはつまり巨大なヨウジョに踏みつけてもらえるのと同じなんだぜ!? ここで戦って踏みつけてもらわなくてどうするんだ!!」
「っ!? ごめん……おれ間違ってたよ。おれ……ここで力の限り戦うよ!!」
「よくいった!! それでこそおれたちのどう、ぶっ!?」
女子からの粛正である……。
そしてそれをカメラで見ていた超は、
「いや~、苦労してとったかいがあったな~!!」
「まったく……あれだけ自然にあのセリフ言えるようになるまで、何度リテイクさせられたことか」
『名演技でしたよ、博士』
飛行船の中でプチ打ち上げをしていた……。