とある外道の少年探偵   作:過労死志願

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35話・踊る麻帆良大防衛線!! 世界樹魔力だまりを封鎖せよ!!

 湖上に6体のエヴァンゲリオンならぬエヴァンジェリオンが射出されたとき、麻帆良学園結界維持班では。

 

「第七障壁突破されました! 信じられません……人間離れした速度でこちらのシステムを侵食されています」

 

「36782ケタのパスワード解析されました! 最終防衛ライン強制的に開かれます!!」

 

「馬鹿な……連合のハッカーは化け物かっ!?」

 

「「ふざけている場合ですか明石教授!!」」

 

 サポートをしてくれていた魔法生徒二人からステレオの説教をくらい、たははは~と明石教授は苦笑を浮かべる。

 

「とはいっても、鬼神を使うってわかった時点である程度ここが落とされるのは分かっていたしね。おまけに相手は麻帆良最強の頭脳と、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真――もとい、あの葉加瀬だよ? 科学サイドに多少の魔法要素をくみこんで尋常じゃない防御力を誇るうちも、さすがにあの二人が全力出してハッキング仕掛けてきたら分が悪いって」

 

「で、ですが!?」

 

「それに安心して……。ここはもとから落とされても問題はないところだから」

 

「「え!?」」

 

 驚く二人をしり目に、明石教授はいつものようににこやかな笑顔を浮かべて背後に座ってだらけている女性教員に視線を向けた。

 

「だったよね、リリィくん?」

 

「だとしてももうちょっと頑張ってほしかったですけどね……」

 

 おかげで私の出番が速くなったじゃないの……と、その女性教員――初等部のサボリ魔リリィはだるそうにあくびをしながら、オペレーター二人にが座る場所の中央に歩み寄り、

 

「よっと」

 

「「っ!? なにするんですか!?」」

 

 なんと、この場所からネットにつながるコードを何のためらいもなくひきぬき、そのうえ主電源のコンセントまで抜いてしまった。

 

「うっさいわね……。これからここから指示出すんだからいつまでもネット回線につないでおくわけにもいかないでしょう? ハッキングされて私の策が相手に流れたらどうすんのよ?」

 

「え? え?」

 

「それじゃあ、明石先輩――私はいつも通りやりますんで、フォローお願いします」

 

「わかったよ、軍師殿」

 

 苦笑を浮かべながらも、明石がきちんと了承したという言質を取った後、リリィは完全に魔力で動く広域念話通信補助用の魔法具を起動させる。

 

「さぁて、麻帆良の裏関係者のみなさ~ん。こちら学園結界維持班で~す。皆さんもお気づきだと思いますが、先ほど我らが頼り切っていた学園結界が落とされてしまいました~。これにより湾岸に現れた鬼神――通称エヴァンジェリオンは自由に学園内を闊歩することができるようになります」

 

 そんな絶望的な状況を語っているにもかかわらず、リリィの声はいつも通り平坦なままだった。

 

「だけど……まさか本気でこれで終わったなんて考えている人はいませんよね?」

 

 そして、その後リリィがつづけた言葉に、麻帆良裏関係者たちの無言の同意が返ってくることを、オペレーターの二人は感じた。

 

「だったら話は簡単ね。徹底抗戦よ、捨て駒ども、私がこれから指示を出すからその通りに戦い、その通りに敵を倒し、その通りに守って、その通りに死になさい――代わりに私が」

 

 そこでリリィは言葉を切り、凶悪な笑みを浮かべて絶対的な一言を告げる。

 

「あんたたちに勝利を、もたらせてあげるわ」

 

『『『『了解!!』』』』

 

 念話から聞こえてくるのは、怒りではない圧倒的な信頼の声。

 

 普段は同僚をからかったり愉快犯的犯行に使われるリリィの策略は、その実軍隊式にすら応用できるほど高度なものだった。

 

 彼女は自分や周囲の人間の言動をほんの少しいじるだけで、目的の人物の一挙手一投足、言動一つに至るまで制御可能な天才的策士。ゆえに麻帆良裏関係者たちは、彼女がさぼってフラフラしていても文句が言えないし――こういう非常事態においては圧倒的信頼を寄せる。

 

「さぁて、私の手のひらで踊りなさい……超鈴音」

 

 麻帆良最高の頭脳と……麻帆良最高の軍師の水面下での激闘が、いま幕を開けた。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 戦闘でじっと待機していた犬神だが、先ほど念話通信でようやくリリィからの指示が回ってきた。

 

「な、なぁ……犬神君。本気でやんの?」

 

「あの不良軍師がいいと言っているのだ。やっていいに決まっている。それにやったところでぼくには一切責任来ないしな」

 

「君ホンマ最低やな……」

 

 その指示を傍らで聞いていたマリーは今から犬神がやることに不安を覚えながら、平常運航の犬神に顔を引きつらせる。

 

 だが、もはや依頼という形で麻帆良の指揮下に入った犬神は止まらない。

 

「いけ……」

 

 リリィからの指示を実行すべく、犬神はポケットに両手を入れ、

 

「飛沫弾道・落星居合拳」

 

 麻帆良中央の時計塔から、180度――全方向に、犬神の豪気功纏った居合拳が麻帆良沿岸線を砲撃する!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 麻帆良沿岸線を防衛していた生徒たちは、じりじりと自分たちが押し込まれていること感じていた。

 

 ただでさえエヴァンジェリオンの砲撃で大規模に戦力を削られてしまった彼らだ。元より数において圧倒的に押されている上に、地力が違う鬼型決戦兵器まで出てこられては、不利な戦いになるのは自明の理だった。

 

「くそっ!! なんとか……何とか押し返せないか!!」

 

「左舷! 弾幕薄いぞ、なにやってんの!!」

 

「うるせぇ!! 人手が足りてねぇんだよこっちは!!」

 

 そんな風にうまくいかない状況に、生徒がじりじりと焦れ始めたころだった。

 

「おい、学園都市のほうから何か……」

 

「「「「っ!?」」」」

 

 一人の生徒が何かに気づき、何か嫌な予感を感じ取った(この麻帆良学園生徒は特別な訓練を受けています)生徒たちは本能的に前線から逃げ出し、田中たちから距離をとる。

 

 AI制御の田中たちは特に何も考えず、追撃を仕掛けるために逃げ出した生徒たちを追おうとするが――その時だった、

 

 ゴッ! とも、ゴガッ!! とも取れる轟音が、麻帆良湾岸線すべてを揺らす!!

 

 犬神の居合拳が麻帆良湾岸線を広範囲にいたって、熱烈に打撃したのだ!!

 

「!?」

 

 味方であるはずの生徒たちの背筋にすら震えを走らせる強烈な不可視の打撃。当然それの対象だった田中たちも無事では済まず、見事に粉砕さればらばらの破片になって辺りに飛び散る。

 

 そして、それと同時に学園都市各所に現れる、魔法関係者たち。

 

 彼らは信じられない超常的力をふるい、次々と生徒たちを苦戦させていた戦力を駆逐していく!

 

「な、なんだ!?」

 

 突然の、桁外れの実力を持つ存在たちの救援に、学園生徒たちは目を白黒させる。その時、

 

『さ~て皆さんお待ちかね!! ヒーローユニットの登場だ!! ヒーローユニットに関しては先行配布されたパンフレットをご参照ください!!』

 

 司会の朝倉はそう叫びながら、先ほどの砲撃を行った人物として犬神を大写しでモニターに映す。

 

「ヒーローユニット?」

 

「なんだそれ?」

 

「まって、今パンフレット開くわ!!」

 

 と、次々とパンフレットを開きヒーローユニットの実態を確認していく学園生徒たち。

 

 いわく、イベント開始後、ピンチになったときに現れる学園防衛最高戦力。

 

 いわく、彼らは一騎当千の実力を持ち自分たちを助けてくれる。

 

 いわく、彼らはあくまで開催者サイドなのでポイントは入らないので安心してください♡。

 

 などなど……。とりあえずそれでヒーローユニットに関しての知識を手に入れた学園生徒たちは、

 

「うぉおおおおおお!? すげぇえええええ!!」

 

「さすが学園祭ラストイベント! 味な真似してくれるぜ!!」

 

「うぉおおおおおおお!? 刀子女史じゃねあれ!? おみ足ゲットぉおおおおおおおお!!」

 

「あの人らについていけば万全だな!!」

 

「ばか、あんな化け物連中の近くにいても点数は稼げねぇ!! 他いくぞほか!!」

 

 一気に勢いを盛り返し始めた!!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

『というわけで、私たちは点数取らないから安心してくれていいわよ?』

 

『では明日菜さん、行きましょう』

 

『オッケー!!』

 

 クラスメイト達に事情説明を終えたメイド服の剣士と、鎧をまとった美少女剣士が天を舞い、破壊の嵐をロボットたちにまきちらしながら着地するのを見て、超は不敵な笑みを浮かべる。

 

「やはり出てきたか……学園戦力」

 

 そのほかにも、各所に現れた魔法先生や魔法生徒たちが瞬く間にロボットたちを一掃していた。

 

 おまけにその魔法使いたちは、ある程度の戦力を削るとまるで煙か霞のように姿を消し、ピンチになると絶妙なタイミングで現れるということを繰り返している。どうやらかなり優秀な軍師が、チャオの奥の手とやらを警戒して戦力の温存を図っているようだ。

 

 まさかここまで用兵技術にたけているとは……。あの人本当になんでこんなところにいるんダ? と、しょっちゅう自分の店にさぼりに来る不良教師の顔を思い出しながら、チャオは映像を葉加瀬にかえした。

 

「どうしますかチャオさん? どうやら敵は持久戦に持ち込んでタイムアップを狙うみたいですよ? おまけに、この後は犬神さんの砲撃の第二波が待っていますし」

 

 葉加瀬が次に渡してきた映像には静かに気を高め、再び砲撃体制に入る犬神の姿があった。

 

 狙いはおそらく鬼神。あれを削ってしまえば超の計画は著しい打撃を受けることになる。敵もそのことは分かっているのだろう。確実に一撃で鬼神を撃滅できる犬神の砲撃で、一気に勝負を決めることを狙ってきた。

 

 だが、

 

「まだまだ……甘いネ、学園都市」

 

 超がそうつぶやいた瞬間、犬神が突然砲撃体制を解き飛び上がる!

 

 それを見て画面の端に移っていたマリーが驚いた顔をしていたが、次の瞬間どこからともなく飛んできた何かが、尖塔の屋根に着弾し屋根を粉砕! 辺り一帯を粉じんで見えなくするのを見てその驚きをさらに深めた。

 

 そして、粉じんが晴れたころには、

 

悪の幹部(ヒール)ユニット――佐渡島サディスト推☆参!!』

 

 ぱちりとうウィンクしながらチャオたちが見ている映像に向かってカメラ目線を送る、インカムを付けた暗殺者の兄が立っていた。

 

 チャオはそれを見て小さくうなづきながら、葉加瀬に新たな指示を出す。

 

「こちらも対応させてもらうとするネ。ヒールユニット。全部出せ」

 

「了解!」

 

 超の命令を聞き、端末のタッチパネルを高速でたたいた葉加瀬は最後にエンターキーを押し、

 

悪の幹部(ヒール)――ネームドTANAKA、発進!!」

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

「まさかこのタイミングで来るとはな……。いや、超鈴音の味方をするなら、むしろこのタイミングで来ることぐらいは予想しておくべきだったか?」

 

「そういうこと~」

 

 バットをふるい自分に向って突き付けてくるサディストを冷たい目で見つめながら、犬神はフンと鼻を鳴らす。

 

 一度目は暗殺者とターゲットとして、二度目は暴走していた処刑人を殺すための共同戦線の相手として、いろいろと因縁が深いが、本人たちの性質上実はそんなに因縁深くなかったりする二人は、無言のまま敵と相対する。

 

 いつも通りの超然とした様子で、世界最高峰の暗殺者に狙われているにもかかわらず微塵も動揺した様子を見せない犬神。そんな彼に、サディストは思わず苦笑を浮かべた。

 

「君は本当に相変わらずだね。今回割とガチだから、前回みたいにおれたちの依頼者ぼこぼこにして依頼取り下げさせるなんて真似は出来ないよ?」

 

 犬神の暗殺依頼を受けた際のお話だった。

 

『おれたちは拳銃だ。おれたちを止めたいのならそれを使っている依頼者に、止めてくれって頼むんだな』といつもの決め台詞をサディストがはいてみたところ、『ふむ、ではそうしよう』と答えられて、三分ほど戦闘をした後犬神はまんまとサディストから逃走。

 

その数時間後半死半生の体になった依頼者から『い、依頼中止じゃ!? 犬神様を怒らせてはならん!!』と泣きながらの依頼中止宣言があったという――誰にとっても損にしかならない(サディストたちはただ働き、依頼者は殴られ損。唯一犬神だけがその依頼者から迷惑料として大量の金をせしめたそうだ)思い出したくもない事件だった。

 

だが、今回それは通じない。超は上空数3000メートルの位置を飛行する飛行船の中、そこに行くためにはかなりの手間と労力が必要だ。だが、犬神と相対する自分は以前のように油断することなく、犬神を逃がすつもりはない。

 

だが、

 

「いいのか? 真っ先に僕のところに来て?」

 

「なんだって?」

 

麻帆良(ウチ)には僕クラスの実力者があと――4人いるんだぞ?」

 

 犬神が告げたように、現状麻帆良には彼に比肩しうる能力者たちが4人在籍している。

 

 AAA所属。高畑・T・タカミチ。

 

 犬神アンダーグラウンドサーチ所属。クラレンス。

 

 学園都市男子中等部所属。スパルタンⅥこと六重トウジ。

 

 同上・広域殲滅型魔法使い。猫谷コースケ。

 

 犬神だけにかかわっている暇はない。そいつらが本気を出せばあの程度の霊格の鬼神なら、瞬殺とは言わなくとも、危なげなく倒すことができるはずだ。

 

 だが、

 

「はっ! それこそ心配ご無用だぞ、犬神君」

 

 しかし、そんな犬神の揺さぶりを受けてもサディストの不敵な笑みを変らなかった。

 

「うちの雇い主はちゃんとそのあたりのことも考えているから」

 

 その言葉を言い放つと同時に、サディストの姿が消え、

 

「っ!? 犬神君!!」

 

「ん?」

 

 マリーが警告の声を上げると同時に、犬神の背後にバットを振りかぶったサディストの姿が現れた!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 麻帆良学園都市第三の魔力だまり。

 

 ここを担当していたⅥと猫谷は、Ⅵの圧倒的な暴力と、猫谷の圧倒的火力によって次々と田中さんたちを粉砕していた。

 

「は~っはぁあああああああああ!! この程度かロボットども! これで麻帆良に喧嘩売ろうとか片腹痛いで!!」

 

「Ⅵお前先行しすぎだ!! 僕は詠唱に時間がかかるんだからもうちょっと僕を守ることも考えろ!!」

 

「ええやろ、ええやろそんなこと! どうせお前近接でもそこそこできるんやから、この程度の相手にやられたりせんやろ?」

 

「油断するなと言いたいんだ!」

 

 二人がそんなことを言い合いながらそれでもやはり危なげなく、田中さんたちを掃討していた時だった。

 

「おいお前ら、なんか来るぞ!」

 

「「っ!?」」

 

 学園生徒の一人が忠告の言葉を飛ばしてくれたのを聞き、二人はその生徒が指さした方向へと視線を向ける。

 

 そしてそこにはっ!

 

 

『我々は、力あるものが、力なきものをものを襲うとき、現れるであろう。たとえその敵がどれだけ大きな力を持っているとしても!!』

 

 巨大な多脚戦車に乗った、フルフェイスの仮面と漆黒のマントで身を包んだ細身の田中さんの姿があった。その戦車の周囲にはどこかで見たことあるというか、その格好の人物の周りになんかいないといけないと思ってしまうバイザーを付けた普通の田中とはちょっとだけ見た目が違う田中たちが数体いて……。

 

『力あるものよ、我を恐れよ。力なきものよ、我を求めよ。世界は我々黒の騎士団が裁く!!』

 

 そう言って格好をつけた田中がばさりとマントを広げその体をさらす。それと同時に現れる、超がいっていた謎テロップ!!

 

 田中の胸に書かれた文字は《あくぎゃくこーてー》というヘロヘロの文字。

 

 謎テロップにはきっちり漢字で書かれた“悪逆皇帝”の文字。

 

 それを見たⅥと猫谷は思わずこう絶叫する、

 

「「なんか変なの来たぁああああああああああああああああああああああああああ!?」」

 

 ネタが分かるものにはわかる、完全な趣味に走ったスペシャル版TANAKAが戦場に降臨する!!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 そしてそれは一体だけではなかった。

 

 麻帆良第一魔力だまりを守っていた刹那たちのまえにも、

 

「刹那さん!」

 

「っ!?」

 

 天空から何かが飛来し、彼女たちの前にすさまじい衝撃を走らせながら着地した!

 

 それはまるで某殺人機械みたいな体勢で着地姿勢を取った後、すっと立ち上がりDIO式ジョジョ立ちを決める!!

 

『敬意を払え、JOJOォ!!』

 

 その胸に書かれた文字は《はきけをもよおすほどのじゃーく》と謎テロップに出る文字は“吐き気をもよおすほどの邪悪”と書かれたその個体は、

 

「こ、これはまさか!?」

 

「知っているの刹那さん?」

 

「超鈴音め……なんてことを、あいつは自重という言葉を知らないのか!?」

 

「??」

 

 首をかしげる明日菜とは対照的に、どうやら刹那はあの奇妙な冒険を知っているようだった……。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 麻帆良第二魔力だまり。

 

「いったいなんだ!?」

 

 空から飛来し、突然自分に襲いかかってきた、目元を隠す鬼の仮面をかぶった田中の猛攻をガンドルフィーニは何とかしのいでいた。

 

 先ほどまで軽々と倒せた田中とは違う、明らかに異常な機動をするそれは、ガンドルフィーニの詰問にやたらと自信のあふれる声でこう答える。

 

『あえて言わせてもらおう……グラハム・エーカーであると!!』

 

 胸の文字は《あしゅらをもりょうがするそんざい》。謎テロップは“阿修羅をも凌駕する存在”。

 

 変態機動の代表格が、ガンドルフィーニに猛威をふるう!!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 麻帆良第四魔力だまり。

 

 葛葉刀子は自分の前に現れた奇妙な田中に無言になっていた……。

 

 つぶらな瞳に、小動物のようなω口。逆立つ髪からはどこかで見たことあるような白い長い耳が伸びていて……。

 

 胸に書かれた文字は《QB》。謎テロップは“インキュベーター”

 

『僕と契約して魔法少女になってよ』

 

「わ、わたしもう20代なんですが……まだなれますか!?」

 

 と、盛大にサバを読んでみるが、田中はその言葉にしばらく考える様子を見せると、

 

『僕と契約して魔法熟女になってよ!!』

 

「………………」

 

 刀子は無言で刀を抜いた。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 クラレンスは隠密行動を行い敵の首領をたたこうと、一人裏路地を歩いていた。、

 

 本来なら見つかるはずはない。圧倒的な隠密機動。音すら立てず、呼吸すら止め、気配を完全に殺した彼は、常人なら決して見つけられるわけがなかった。

 

 だがしかし、敵が人間とは違う視覚――たとえばサーモグラフィーなどを持つ敵ならば、話は別だ。

 

「やはり、そうやすやすとは通していただけませんか」

 

 彼が向かった先に立っていたのは、やたらと手足が長い一体の田中。その口には今までの個体には見えない凶悪な赤い歯が生えていた。

 

 胸に書かれた文字は《せかいのちゅーしんであいをさけんだけもの》。謎テロップが示す名前は、

 

“世界の中心でアイを叫んだけもの”

 

『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!』

 

 狂ったように絶叫を上げ、突撃を開始するそれにクラレンスは迎撃態勢を取った!!

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 全体の防衛の補助を任されていたタカミチの前に現れたのは、どこかで見たことがある、ある人物に似せられた田中だった。

 

 白い髪に、彼の師匠が好んで着ていたスーツ。腰には本、右手には野太刀、左手には節くれだった大きな杖。色黒のボディーはやたらと筋肉質に感じるフォルムをしていて、かなりの威圧感を感じる。

 

 そう、それはまるで、

 

「赤き翼を鍋でドロドロになるまで煮込んで融合させた挙句、無理やり形成して5で割ったような――」

 

 なんて悪趣味な……と、タカミチが言う前にその田中はぴしりと指をタカミチに突きつけて一言、

 

『クルト――それは僕たちでやるんだ』

 

「…………………!?」

 

『いいじゃんか、今日のとこはさ……ハッピーエンドってコトで』

 

「なんでそれ知ってるんだぁあああああああああああああああああああああああ!?」

 

 

 A:超監修だからです。

 

『今日のとこはさ……ハッピーエンドって』

 

「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!?」

 

 若き少年時代のかっこを付けたセリフを連呼され、羞恥心に悶えたタカミチは何の手加減もなく豪殺居合拳をぶっ放す!

 

 しかし、田中はそれを軽々とよけ、お返しとばかりに、

 

『雷の斧!』 っぽい、電撃を放った!

 

 胸に書かれた名前は《こずもえんてれけいあー》。謎テロップは“完全なる世界”。

 

 完全な内輪ネタだったという……。

 




 ネームド田中たちはネタをまき散らせながら戦いますので、ご留意ください。
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