とある外道の少年探偵   作:過労死志願

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40話・不死身。不老不死! スタンドパワーッ!!

 一部のネーム度田中の手によって劣勢に追い込まれている麻帆良ヒーローユニットたち。

 

 そのヒーローユニットの一部である、明日菜と刹那も

 

「くっ!? 何よ、この敵は!?」

 

「斬ってもすぐ復活してくる!?」

 

 苦戦を強いられているヒーローユニットの一つだった。

 

『貧弱! 貧弱ぅ!!』

 

 金色の服をまとい、逆立った金髪をひるがえす田中は、そんな明日菜たちをあざ笑いながら、

 

『WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!』

 

 そのコブシを明日菜たちに向かって振りかぶる!

 

「明日菜さん!」

 

「わかってる!」

 

 刹那と明日菜は今までの戦闘経験から、そのコブシをくらってはいけないことを知っていた。

 

 故に彼女たちはその場を勢いよく飛びずさり、そのコブシの範囲外へと飛び出す!

 

 そして、よけられた田中のコブシはそのまま地面へと叩きつけられ、

 

「「っ!?」」

 

 コブシがたたいた場所を中心に、大地を――瞬く間に凍りつかせた!

 

「気化熱制御による、瞬間氷結能力!!」

 

「面倒な能力ね」

 

 先ほどのこの攻撃を武器に受けてしまった明日菜は、危うく大剣を自分の腕ごと凍りつかされそうになったことを思い出しほぞをかむ。

 

 そして、

 

『おれは……人間をやめたぞ、JOJOぉおおおおおおお!!』

 

「ジョジョって誰!?」

 

 先ほどからなぜかこの田中が連呼する摩訶不思議な名前に、明日菜は思わず突っ込みを入れた。

 

 なぜか刹那が盛大に目をそらしている気がするが、些細な問題だと思いたい……。

 

 そんな時だった、

 

「苦戦しているようだネ。明日菜さん、刹那さん」

 

「「っ!?」」

 

 突如響いてきた聞き覚えのある声に、明日菜と刹那は思わず目を見開く。

 

「あんた!?」

 

「超鈴音!!」

 

 そしてその声が聞こえてきた方向を振り向くと、そこには不敵な笑顔を浮かべた超がたたずんでいて、

 

「おっと。ここで私と戦おうとしても無駄だヨ。これはホログラムだからネ。攻撃は一切効かない……」

 

「このっ!! よくもネギいじめてくれたわね!?」

 

「天誅天誅!!」

 

「って、相手が痛がらないからって好き放題殴るのはさすがにやめてくれないか!?」

 

 サンドバック扱いカ!? と、割と容赦ない嫌がらせをしてくるクラスメイト達に若干ひきつつ、超はドヤ顔で解説に入る。

 

「君たちが今戦っている機体こそが、私たち(・・)が作り上げた(私は関与していませんよ!? と後ろで葉加瀬の抗議の声が上がった)、最強にして、最終の田中!! その名も《はきけをもよおすほどのじゃーく》ネ!!」

 

「ちょっと? さっきから思っていたんだけど、なんでそこで幼児発声なのよ……」

 

 かっこ悪いわよ? と、おせっかいな忠告をしてくる明日菜に超はため息交じりに肩をすくめつつ、

 

「まったく明日菜……。お前が、おまえみたいな馬鹿レンジャーにもちゃんと読めるようにした私の配慮を馬鹿にするのカ?」

 

「ちょ、どういう意味よそれ!? さすがに私だってこの程度の漢字ぐらい読めるわよ!?」

 

「では、《吐き気を催すほどの邪悪》って書いてみるといいネ」

 

「見ときなさいよ!!」

 

 ――吐きけをもよおすほどの牙悪。

 

「「惜しい!!」」

 

「あれ、違った!?」

 

「ちなみに、これが今他の場所を攻めている田中の機体名なんだが……」

 

 そう言って、超が手で示したところには、再び青枠謎テロップが、

 

“おれがガンダムだ!!”

 

「間違えたね」

 

「「どうやったら間違うんだ(のよ)!?」

 

「こっちが正解ネ」

 

“阿修羅をも凌駕する存在”

 

「さて明日菜! お前にこれが読めるかっ!!」

 

「……」

 

“あすなはめをそらした!!”

 

「ちょっとだけポケモンの技に見えますね」

 

「《にらみつける》食らった時の反応はむしろこれにしたほうがいいと思うネ」

 

 冷汗をダラダラ流しながら必死に超の追及をかわす明日菜を生温かい目で見つつ、刹那と超の二人は漸く本題に戻る。

 

「先ほども言ったようにその機体は最強だ。私が持てる技術力のすべてをその機体に注ぎ込んだ。故にその機体のスペックは」

 

 瞬間、今まで超の後ろでおとなしく待機していた田中が突然JOJO立ちでポーズを決める!!

 

『不死身!!』

 

『不老不死!!』

 

『スタンドパワー!!』

 

「を、完備した機体となっているね!!」

 

「「そんなの再現できるならもっと他のもの作れたでしょうが!?」」

 

 究極の才能の無駄遣いね!? と明日菜は思わず絶叫する。

 

「これに勝つにはそれこそ高畑先生級の実力者でないと無理! だが、その高畑先生はすでに脱落済み。犬神は帝国の暗殺者によって足止めされているし、他の実力者たちも他のネームド田中によって抑えられているね! 援軍は絶対に臨めない!!」

 

「くっ……」

 

「君たちは決してこの機体には勝てない!!」

 

「そんなことっ!!」

 

 やってみないと、わからないでしょ!? 明日菜が自分を奮い立たせるために、そう絶叫しようとしたときだった、

 

(モンキー)が人間に追いつけるか――!! お前はこのDIOにとってのモンキーなんだよぉおおおおお!!』

 

「……」

 

 明日菜は一瞬絶句し、

 

『明日菜ぁあああああああああああああ!!』

 

 そこだけしっかり自分の名前を叫ぶDIO田中に、

 

「っ!!」

 

 ブチィッ!! と、盛大な音を響かせながらキレる。

 

「誰が猿だぁああああああああああ!? ていうか、なんでそう呼ばれているの知ってんのよぉおおおおおおおおお!!」

 

「あ、ちょ、落ち着いてください明日菜さん!?」

 

 “むろん超さま監修だからですが、なにか?”という謎テロップの存在は、怒りの沸点を振り切った明日菜と、それを必死に止めようとする刹那には認識されなかった……。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 そのころ、麻帆良中央時計塔では、

 

「はっ!!」

 

「ん」

 

 凄まじい速度で激突と、離脱を繰り返す二つの影の激闘が、繰り広げられていた。

 

 無論、その陰の正体は犬神とサディスト。

 

 暴走していた処刑人を殺すためにタッグすら組んだことがある二人が、今は己の力を出し切り、敵を撃滅するためにそのコブシを、

 

「おい、ちょっとたんま」

 

「ん? どうした?」

 

「いや、ちょっとお得意さまからの依頼の電話だ。ハイ。いつもご利用ありがとうございます。犬神アンダーグラウンドサーチです」

 

「またぁ? これで五回目だよ? 早めに終らせてね?」

 

「イヤ、攻撃せえや!?」

 

 ち、力を出し切って戦っていた?

 

「そんな調子でもう六回目やん!? 戦闘やめんの!? 君ら本気で戦う気あるん!?」

 

 塔の頂上で盛大なツッコミを入れるマリーに対し、塔の壁面へと気で両足をはりつかせたたずむ二人は、やれやれといわんばかりに肩をすくめ苦笑いを返す。

 

「おいおい、マリーちゃん。そりゃ俺たちは仕事に対してはいつでも真面目だよ。でもさ、俺犬神君の相手をしろとは言われているけど、犬神君を倒せとは言われてないんだよね」

 

「こちらも同じだ。麻帆良防衛に協力しろとは言われているが、こいつを倒せとは言われていない。むしろこいつ級の戦力をここで貼り付けにしている時点で、今回払われる労働の対価には十分な働きだと思うが?」

 

「仕事に対して真面目なんちゃうんかい!?」

 

 明らかにめんどくさいといわんばかりの返答を返した二人の顔面に、マリーの豪気功によって固められたハリセン(アーティファクト)がめり込む。

 

 めがぁあああああああああ!? とサディストあたりは壁面でのた打ち回っているが(何気に高等技能)、犬神の方は豪気功であっさり防いだのか、いつものように眼鏡を吹っ飛ばすだけの結果で終わった。

 

「何をする安川。正直お前の豪気功最近形になり始めたから、そのツッコミ僕じゃなかったら軽く頭がザクロになるクラスの威力は秘めているぞ」

 

「こわっ!? えっ!? わたしいつの間にそんな成長した設定になってんの!?」

 

 メタな発言はやめろ……。と、犬神がわずかに呆れた様子で鼻を鳴らし、涙をぼたぼた流しながらも何とか復帰したサディストに視線を戻す。

 

「まぁ、というわけでだ、今回はお互いの利害も一致したし大人しくこのままバトって時間切れまで待つか」

 

「そ、そうだね。そっちの方がお互いの為だね。君と戦うのは割と本気で怖いし」

 

 君の恨みかうと後々なにされるかわからんし……。と、割と本気で呟いているように聞こえるサディストの肯定。

 

 正直マリーとしては、世界最高の暗殺者にここまで言わせる犬神の方に多大な問題がある気がしてならなかったが、

 

「いや、でも下でみんなあんな頑張ってんのに……」

 

「知らんな」

 

「犬神君だけ、って、はやいっ!? 私の抗議一蹴すんの早すぎるよ犬神君!?」

 

「給料分の仕事はしている。そういったはずだ安川」

 

「おぅふ……」

 

 そういやこういうやつやった……。と、いまさらながらに自分のボスの本性に絶望するマリー。

 

 ごめん、みんな……。私ではこの鬼畜外道を説得することはできひんわ。と、さめざめと泣きながらマリーは心の中でこの戦いを潜り抜けているクラスメイト達に詫びた。

 

 だが、

 

『麻帆良祭運営員会からの重大なお知らせ!! 超鈴音を発見・打倒した方には一万ドルの賞金が授与されます!! なお、これには一般の方――ヒーローユニット(・・・・・・・・)の皆さんも参加が可能です!!』

 

 瞬間、時計塔に凄まじい激震が走り、その長大な塔を真っ二つにへし折った。

 

 豪殺居合拳による打撃だ!

 

「「えっ……」」

 

 当然その突然の事態に驚いたのはマリーとサディスト。

 

 そして、二人の視線はそのとんでもない事態を引き起こした悪魔へとカーソルされ、

 

「事情が変わった、サディスト」

 

 その瞳が、

 

「貴様をここで半殺しにする。きびきびあのエセ中国人の居場所を吐いてもらう」

 

 $に変貌しているのを、しっかりと確認した。

 

 

 

…†…†…………†…†…

 

 

 

 明日菜は身を低く沈め疾走する。

 

 ほとんど地面についているように見えるほど、低く身を落とした疾走は、彼女の体にまとわれる咸卦法のエネルギーによって爆発的な加速を得て、瞬時にDIO田中へと到達した。

 

 私だって……私だってこの学園祭期間中、何もしなかったわけじゃないのよっ!! と、明日菜はずっと積んできた訓練の成果を確かに感じつつ、自分たちでは絶対に勝てないと、超に言い切られた田中に牙をむく。

 

 だが、

 

『そんなねむっちまいそうなのろい動きで、このDIOが倒せるかぁああ!!』

 

 だてに最高の性能を持つ機体の称号を持っているわけではないのか、ほかの田中では反応できないほどの速度で疾走する明日菜に、DIO田中はしっかりと反応し、自分の腕を突き出す。

 

 瞬間、疾走の勢いを保った明日菜がその勢いを利用し、背中に背負うように構えていた大剣を振りぬいた!

 

 DIO田中を真っ二つにせんと、振り下ろされた大剣。しかし、その剣はつきだされたDIO田中の腕に阻まれ、

 

「っ!?」

 

 その腕を縦に一刀両断! だがしかし、鋼の体で編まれたその腕が生み出す凄まじい抵抗で、その体験はDIO田中の本体まで届かず腕のひじ辺りまで食い込んだ後完全にその勢いを殺された。

 

 そして、

 

「それ一体どんな機能なのよっ!?」

 

『最高にハイってやつだぁああああああ!』

 

「『最高にハイ』? 変わった名前ね?」

 

「明日菜さん! それ技名じゃない!?」

 

 真っ二つに切断された腕の切断面から無数のコードが伸び出し見る見るうちに、反対側の切断面へと癒着。あっさりと元の形状に戻っていく光景を見て、明日菜は思わず舌打ちし、

 

「っ!? しまった……剣が抜けない!!」

 

 そのコード達の拘束によって、微動だにしなくなった大剣に思わず悲鳴を上げる。

 

『JOJOォ……おれがおまえならいつまでもおれの手に触れていないがね』

 

「っ!?」

 

 瞬間、DIO田中の腕にとらえられていた大剣が、瞬く間に真っ白に染まり始めた。気化熱による瞬間氷結現象。それは、大剣を持つ明日菜すら食らおうと、大剣を見る見るうちに侵食していく。

 

 だが、

 

「かかったわねアホが!!」

 

『なにっ!?』

 

「明日菜さんそれ死亡フラグ!?」

 

 アスナのあんまりなせりふに丁寧にツッコミを入れつつも、いつの間にか姿を消していた刹那が天空から飛来し一直線にその刀を振り下ろす!

 

 その背中には純白に羽。それによって、人に不自由を強いるはずの天空であるにもかかわらず、刹那はまるで鳥のような爆発的な加速を得て、矢のように一直線にDIO田中に襲い掛かる!!

 

 アスナの大剣をとらえているせいで今度はDIO田中の動きが阻害される!

 

 DIO田中はもはや、刹那の一撃をよけられるタイミングを逸していた!!

 

「これで終わりよっ!!」

 

 ようやく、ね!! と、自信たっぷりに自分や刹那を馬鹿にしまくったこのムカつく田中に引導を渡せると、明日菜はにやりと笑みを浮かべる。

 

 だがその笑みは、

 

『マヌケが。知るがいい……』

 

「「っ!?」」

 

 刹那の絶対当たるはずだった斬撃が空を切り、

 

『DIO田中の真の能力は……世界を支配する能力だということを!!』

 

 聞き覚えのある耳障りな声が、背後から聞こえてきたことによって凍りついた。

 

 ウソ……。あたったはず、あたらないといけないはずなのに!? と、冷や汗を流しながら明日菜は慌てて声が聞こえた方向を振り返る。

 

 そんな明日菜の耳に、刹那の「そんな、バカな……本気であの能力まで再現しているのかっ!?」という驚愕の声が聞こえた。

 

 その背後では青枠の謎テロップが“ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ”と、謎の効果音を演出しているが気にいしたら負けっぽいので明日菜は無視する!

 

 そして、

 

『《世界(ザ・ワールド)》!!』

 

 “バ――――――――――ンッ”という効果音謎テロップを背後に従えたDIO田中の胸に輝く、学園祭期間中しこたまお世話になった見覚えのある時計が埋め込まれているのを見て、二人の絶望の予感は――確信へと変わった。

 




 自重しなかったらできるよね……。理論的には。
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