D.Gray-man 《エクソシストで陰陽師》 作:四宮 (陽光)
評価によっては連載したいですけど、まぁ無理な気がします。
お目汚しになるかもしれませんが、よろしければ目を通してもらって
作者に文句を投げつけていってくださいm(_ _)m
仮想十九世紀末 フランス――パリ郊外
AM 2:00
「師匠、見送りはここまでいいですよ」
「そうか」
日本では丑三つ時と呼ばれる時間。
パリの郊外にあるこの通りも、昼間の賑やかさとはうって変わって閑散としていて道の両脇に並べられた街灯だけが揺らめきながら通りを照らしている。
そんな町に人影が二つあった。
「師匠もフロアさんのことを馬鹿に出来ないくらい心配性なトコありますよね?」
「ぐっ……。まあ、貴様は私の弟子だからな」
「ハハハッ。顔赤いですよ」
「うるさいぞッ!」
「キキッ」
「ラウもそう思うかい」
「まったく……」
訂正。正確には二人とは一匹だった。
女性に青年。共通点は左胸の部分に銀の十字架の入った黒のコートを着ていることだろうか。
女性―――クラウド・ナインは闇の色に反発するような金髪を纏めた頭を振り、嘆息している。その整った顔には大きな傷があり、雰囲気からも幾つもの修羅場を潜り抜けてきたことが分かる。
そしてもう1人。青年―――土御門 晴也《つちみかど せいや》。闇夜に溶けるような漆黒の髪にまだ少し幼さの残った顔立ち。その首にはコート姿に素晴らしい違和感を奏でる数珠が下がっている。
その肩には猿に似た動物―――ラウ・シーミンが晴也と顔を見合わせ笑っている。
「じゃあ、そろそろ行きますね」
「うむ」
晴也は肩のラウの頭を別れの挨拶に一撫でし、クラウドに渡し口を開こうとしたところでふと、止まり笑みを消す。
「……無粋だなぁ、師匠と弟子の涙の別れだってのに」
「貴様も私も泣いていないぞ」
「キキッ」
「ぐぅ……雰囲気ですよ、雰囲気ッ」
師匠と一匹の白い目にタジタジな晴也。
そして、そんな彼らの周りにはいつの間にか数十人の人間がおぼろげな足取りで近づいてきていた。目の焦点は合っておらず、時折呻き声を漏らしている。
そんな周りを一回見渡すと晴也は先程の慌てを消し、真剣な表情に戻る。
「師匠とラウは動かなくてもいいですよ。見たところ全部レベル1ですし自分一人で十分です」
「まぁ、そうだな。元帥候補の貴様ならそれくらい当然だ。1分で片付けろ」
「はいはい。心配性の師匠が手を出す前にやりますよ」
「ちッ、ちがッ……」
冗談ですよ、と笑い晴也は周りの人間―――いや、元人間に向き合い前に出る。その手にはいつの間にか数枚の札が握られていた。
「……エク、ソッ……シストッ!」
バキバギッ、と静寂な街に聞くに耐えない醜く気持ちの悪い音が鳴り響く。
晴也たちの周りの元人間が表面の人間の皮を破りその本性を現していく。
音が止み、夜空の月を隠すように浮かび上がった姿は巨大なボール型の機械。中心に顔があり、いたるところから砲身を突き出しているAKUMAと呼ばれるソレは、機械でありながら妙に生き物を感じさせる。
ジャキッ。
晴也に向けられる無数の砲身。しかし、向けられている本人は飄々とした顔で言い放つ。
「それじゃあ……始めるか」
ドドドドドドドドドドドドドンッ!!!
刹那。発射される弾丸弾丸弾丸。当たればたちまちウイルスで生物を死に至らせるソレが容赦無く晴也に降り注ぐ。無慈悲に、冷徹に一人の人間を殺すためにAKUMAは撃ち続ける。
辺りを更地に変えたところでAKUMAたちはその豪雨を止める。レベル1には自我は無いが、それでも対象を仕留めたと思ったのだろう。
しかし、その考えは外れていた。
「あ~、それで終わりかAKUMA共? と言ってもあと二十秒しかないから、もう終わらせるわけだけど」
煙の中からゆったりと姿を現す晴也。その体には埃一つ付いておらずまるで散歩をするような気軽い足取りでAKUMAに歩み寄る。
そして再び敵を認識したAKUMAたちが銃口を向けるよりも早く、晴也が手の中の札を空中に放り投げる。
「五行火の術―――炎波」
晴也が言葉を紡ぐと宙に浮いた札から炎が津波の如く流れ出し一瞬にしてAKUMAたちを飲み込む。
「……安らかに逝け」
ドンッ!
断末魔をあげる暇も無く消えていくAKUMAに軽く黙礼すると、晴也は振り向かずにそのまま闇へと歩き始める。
「それじゃあ……行ってきます、師匠」
「ああ、しっかりな」
「キキッ」
そんな会話を最後にその街道には、壊れた町並みを除いて何もいなくなった。
―――――仮想十九世紀末
人の悲劇や悲しみから生み出されたAKUMAと戦う者がいた。
その者たちの名はエクソシスト。
コレはその一人 陰陽師 土御門 晴也 の生き様を綴った物語。