そして今更ながら会話文まで字下げしていたことに気がついて、とりあえず空を見上げてます()。今回から直していきますね。
今回は短い上にストーリーの進展ほとんどないです、設定掘り下げてます。飛ばして次回の見ても問題ないとは思いますが幾つかフラグ散りばめたので見た方が面白いかも?
では相変わらず拙い文章ではありますが良ければ見ていってくださいな。
「失礼します」
「入れ」
静かな個室に鳴り響く扉を叩く音。それに直ぐ様反応したのは、その声の主を信頼しているからなのだろうか。次いで、扉を開く音。その先に圧倒的な存在を放つのは、“前を向いた”中年男性の姿であった。
しかし、入室した男はそれにたじろぐ様子はなく、むしろ自信や誇りといった、そういう感情に包まれているように振舞った。
「彼に特別なポケモンを渡したということですが」
「――ああ。それに何か? アポロ」
アポロと呼ばれた水色の髪をした青年。自分の行った行為について触れられることに対し、念を押すように、威圧するように名前を呼ばれた彼の顔立ちは凛々しくあり、その表情を決して崩すことはなく話を続ける。
「何をお考えですか? ボス。彼に価値を見出すその意味をお聞かせ頂きたい」
ボスと呼ばれた中年男性は、一瞬、ほんの一瞬表情を強ばらせ、少し考えた様子で口を開いた。
「メタモンだ。彼に渡したのは――。まさに“かわりもの”にはちょうどいい」
その返答を受け、アポロという青年も考える。何故メタモンなのか。本来、ロケット団では使用できるポケモンをある程度定めていた時期があった。毒を扱うのが得意なタイプなどの使用を主に許可していたが、新たなるポケモンが続々と発見されていくうちに、いつの間にやらその規定はなくなっていた。だが、それでもその時期からいた団員は皆その規律を重んじているし、ましてや“プリン”のようなポケモンを使う団員は今でもほとんどいない。その規定を作ったのは他ならぬボスであり、そのボスが入りたての下っぱに対し特別に特別なポケモンを支給するなど、最早あってはならないのだ。そのボスが何故メタモンを渡したのか――見えない。
そんな彼を見て、中年の男性は笑みを浮かべる。そして再び、口を開く。
「君はルカリオというポケモンを知っているか?」
「ルカリオ……ですか。シンオウ地方に生息する、鋼と格闘を合わせもったタイプのポケモンですよね」
読めない質問。何故ここでルカリオというポケモンの話が出てくるのか。彼は、その問いかけが知識を尋ねるものではないことを分かっていながらも、そう返答するしかなかったのだろう。
「格闘でありながら、格闘が弱点なんだよ。面白いだろう?」
ボスと呼ばれた中年の男性はそういうと、椅子を回し後ろを向いた。その何気ない行為がどういう意図を示すのかを察したアポロは“見えていない”頭を下げ、何も言わず退室したのだった。
――何故僕なのか。入りたて、簡素な説明しか受けておらず、経験もなければ知識もない。ましてや人生において経験がある訳でもない。なのに何故僕が黒い指令を渡されたのか。指令の本意を確かめるべく、確認したい状況ではあったが、指令メールの発行は支部ではなく全て本部で行われる。情勢に興味のない若者であっても、ロケット団という組織、そしてそれが“カントー”地方にあることは既知の事実であり、それは今から向かうには途方もない時間がかかることを指し示していた。
しかし、それは僕にとって好都合ではあった。例えこの任務が誤って送信されたものであっても、僕が成功させることでロケット団内での評価が大きく上がることは間違いない。そうでなくとも、知名度は鰻登りだ。焦ってはいけない、ここはチャンスと捉えるべきなんだろう。
意識を離している内に険しい表情をしていたのだろうか、チョロネコはいつの間にか肩から降りていて、どこか心配しているとも取れるような表情でこちらを見ている。ポケモンという生物は人の気持ちにも敏感に反応する。僕は何気なしにチョロネコを抱き上げる。
「そういえば名前をつけてなかった。そうだな……君はミント。紫だから、ミント。どうかな」
僕が一人チョロネコに言葉を投げかけていると、不思議そうな表情でこちらを見つめるチョロネコは、少し満足気な様子で鳴いた。
「とりあえず、バトルの練習しなきゃなぁ……このままじゃ、とてもジムリーダーになんて勝てないし」
シャラシティ。海に隣接した街で、規模自体は大きくないものの自然と共に育まれた環境は多数の観光客を誘う、美しい街並みだ。そんな街にもトレーナーの実力に応じて力量を指し示すバッジを進呈する、トレーナージムは存在する。僕がいちばん懸念しているのは、初任務による不安、ジムリーダーとの力量差ももちろんではあるが、最も気にかかっているのは、シャラシティのジムでは格闘を司るタイプのポケモンをメインに使用していることだ。格闘というタイプは例外もあるが、所謂“せいぎのこころ”に満ち溢れたポケモンや、フェアなバトルを楽しむポケモンが多い。対して、チョロネコは悪を司るタイプのポケモン。狡猾だったり、暴力的な戦術を得意とするこのタイプは相対する戦い方を好む格闘タイプに滅法弱い。対抗策がないではないが、チョロネコの強さを現すレベルは大変低く、とてもじゃないが真っ向から勝負して勝てるはずがない。その現状に反して、時間は限られている。僕はその状況を少しでも打破する未来を作り出すべく、チョロネコと共に外へと繰り出すのだった。
今更言うことでもないが、ミアレシティは都会である。カロス地方の中心に位置しており、様々な施設やお店、はたまたビジネスに至るまで高度に発展しており、日々様々な人達で満ち溢れている。そんな訳で、多種多様に富んだトレーナーが存在しレベルも定まってはいない。それではチョロネコを戦わせるには少し厳しいものがあるだろうと考えた僕は、野生のポケモンが住む道路へと足を運ぶことにした。
秋晴れの様相、太陽の光が心地よく、僕の肌をやんわり照りつける。チョロネコも上機嫌なようで、足取りは軽く、道中に転がる様々なものに反応しては、僕の元へ帰ってくる。こんな無邪気に遊ぶ姿を見ていると、悪タイプのポケモンのようには思えない。引き締めたつもりだった表情も思わず綻んでしまいそうになるが、ここは草むら。大多数の野生ポケモンが好む特殊な植物の上を進む僕らは、いつ遭遇してもおかしくない。と噂をすればほら――。
「ホルビーが あらわれた!」
と、ポケギアの表示。ホルビーというポケモンはノーマルというタイプで、タイプ的な特徴が薄いのが特徴といえばそうなのかもしれない。だが、ホルビー自体は“進化”をしていないポケモン。戦闘能力自体はチョロネコとそこまで変わらないし、成長させるにはうってつけの相手だ。
ここで、僕はふとポケギアに映るチョロネコの技を見る。そもそもポケモンは四つの得意技があり、戦闘時にはその得意技を使って相手を攻撃する。当然、レベルが低い内は得意技が少なく、あっても非実用的な技ばかりなのだが……。
どうやら僕は大事なことを忘れていたらしい。そう、このチョロネコには親がいた、ということだ。僕を尻目に、ミントが笑った気がした。
まあこんなものだろうか、数多の野生ポケモンを倒し、見て取れる程度にチョロネコは成長した。まだまだジムリーダーと対戦するには程遠いレベルではあるが、きっと何もしないよりはマシだろう。そして、このチョロネコは僕が思っているよりもずっと可能性を秘めたポケモンなのかもしれない。活路が少し、見えた気がした。
とりあえず、このまま行くには僕もチョロネコも体力が心許ないので、一旦自宅で休むことにしようか。帰路につくと、先ほどまでやや疲れた様子を見せていたチョロネコも一転、再び無邪気に遊び始め、この任務が思っている以上に険しいものであることを忘れてしまう。
本来ロケット団の仕事はピンからキリまで、様々な仕事を行う。それこそ小悪党が行うような悪事から、ロケット団とコンタクトのある社団ならばほぼ無償に近い見返りで派遣し真っ当な仕事を行わせることもある。単純ながら、金儲けの為ならなんでもするというのが組織の基本理念であり、それは結成当初から変わらないのだという。
だが、人が関わる仕事という以上は必ず失敗が存在する。しかしロケット団の団員は現在相当数いると考えられていて、末端の僕にはその数が分かる訳ではないけれど、言ってしまえば下手な鉄砲は数を撃てば当たるのだ。五割の団員が仕事を失敗しても、残りの五割が成功すれば圧倒的な黒字を生み出せる。それがロケット団なんだと、説明会で聴講したのは記憶に新しい。でも、失敗した団員は少なからず信頼を失う。成功と失敗を積み重ねて出世するのはどこも変わらないのだとは思うが、ロケット団で重要とされる任務を失敗して信頼が得れるはずもない。
僕にとっては失敗できない勝負。改めて、気を引き締めることにした。
と、考えている間に自宅へ到着し、チョロネコと共に疲れた体を休める。だが、悠然と構えている時間はない。最低限の休息時間を目覚まし時計に記憶させたのち、僕達は今一度眠りにつくのだった。
――アポロという青年は考えていた。ロケット団、という組織は至って最近に結成されたものだ。では何故この規模の組織がこんな短期間に生み出されたのか。それはロケット団という組織が再結成という形で復活したことに由来する。
以前、ボスはロケット団を母君から引き継いだ際にとある大規模な計画を実行しようとしたのだが、一人の“少年”によって阻害され、失敗に終わってしまう。どころか、“カントー地方”における主要な施設を全て機能停止にまで追い込まれ、やむなくロケット団は解散となった。その二年後、我らロケット団の幹部は行方を晦ましたボスを呼び戻すべくロケット団を再興し、“ジョウト地方”に存在するラジオ塔を占拠する計画を立て、電波を通してボスの帰りを待った。しかしそれも失敗。その原因は奇しくも別の“少年”によるものであり、ロケット団という世界の裏側を牛耳っていた組織はまたもや解散に追い込まれることとなる。
驕っていたのかもしれない。自分の地位に、名誉に。だが、それでも圧倒的な敗北を喫したバトル。たった一人に誰一人として勝つことのできない歯痒さ。当時、自分がどんな気分だったのかすら覚えていない。
解散に追い込まれ、ロケット団の行った様々な罪が明るみに出ると、警察組織ですら手の出せない圧倒的な権力が存在しない今、ここぞとばかりにかつての団員を逮捕する事象が発生する。自分もその内の一人で、数え切れないような罪状を読み上げられ、薄暗い牢の中へ入れられる。もう外の景色を見ることは二度としてないのだろう。そう思い始めたときだった。
突然の釈放が決定する。耳を疑ったが、それの名義人を見て全てを理解した。まだ、終わっていなかったのだと。
大体どの地方も、釈放というのは期限がつく。どんな罪があっても、それに応じた金額を払うことによって外に出ることができるのがこの世界の法律だ。そのまま逃げてしまえばもちろん刑は更に重くなり、次回の釈放は非現実的なものになるが、釈放された人間の多くは刑務所には戻らない。それもまた警察が警察としてやっていく為のビジネスであり、在り方である。
こうして、ロケット団は三度目の結成を迎えた。主要の幹部が揃い、人員を拡大し、組織の統率も取れてきた今、次の失敗は許されない。そう、許されないのだ。下っ端も下っ端の団員に計画の鍵となる任務を任せ、成功しなければ笑い事では済まされない。
ボスの思考は読めないが、考えていても分からないならこの目で確かめるしかない。モンスターボールは……自室か――。
鳴り響くベルの音。“ホーホー”を象った人形は踊り、その横についたベルがやかましく僕の瞼を開かせる。三時間ぐらいの睡眠はとれただろうか。既にチョロネコは起きていて、僕の隣で大人しく座っている。ポケギアを翳してみると、ちゃんと回復しているようだ。
ロケット団最初の任務にして、途轍もなく大きな任務。何故逃げてしまうかもしれない新人の下っ端団員にそれを任せたのか。分からないけど、これは僕がロケット団としてある上で願ってもない大きなチャンスだ。みすみす逃すつもりはない。
「行こう、チョロネコ」
爽やかな秋風吹く空の下、自分のナンバーが記載されたバッジを握り締め、僕はシャラシティへと向かうことにした。
――To be continued.
五千字すらいってなかった(遠い目)。