楽天家な忍者   作:茶釜

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 紅先生は軽く自己紹介をした後はそのまま居なくなってしまった。明日の演習で合格点を出さなければ同じ班になることもないから今は自己紹介も適当なのだろう。恐らくは正式に下忍となった時に初めてきちんと話してくれるはずだと思う。

 取り敢えずこれからの予定だけど、残された俺達はこのまま解散となる。俺も家に帰るかサスケと合流して何かする事になると思う。いや、それより重要な事もあるか……どうしよう。

 

 

「そ、それじゃあ、どうしようっか」

 

 

 そう告げたのはヒナタだった。

 同じ事を考えていたので少し変な気持ちになるが、取り敢えず候補をあげようかな。

 

 

 

「俺は明日に向けて忍具の新調をするつもりだってばよ」

 

「な、なるほど!す、凄いね!ナルト君!」

 

 

 凄い?おかしな事聞くんだな。道具類は基本的にいつでも万全に使えるようにしとかないといけないのに……まあ、クナイに関してはコツコツと買ってるからそこまで困ってないけど、あればあるだけ得になるものなのだ。いくつか新しく購入しておいて損はないだろう。

 ヒナタは特にそれ以上話しそうにないので俺は踵を返して歩を進める。

 

 

『何やってるの!早くあの子を誘いなさい!』

 

 

 突然母ちゃんが叫んできた。正直意味がわからない。

 一体どういうつもりなんだ?母ちゃんは……ヒナタを誘ったら何かいいことでもあるのか?考えられることといえば安くなるとかだけど、正直父ちゃんたちの金もあるしそこまでケチるひつようもない。寧ろもっといいものを買えと言ってくるほどだ。

 だとしたらいいものを貰えるとか?正直そんな気はしないけど。

 

 

『もう!黙って誘うってばね!』

 

『クシナ、口調口調』

 

 

 まあ、母ちゃんがそこまで言うんだったら誘うけど。なんか納得しないなぁ……

 

 

「ヒナタも一緒に行くか?」

 

「え?で、でも……いいの?」

 

「遠慮するなってばよ。俺達は第8班の仲間なんだからさ」

 

 

 んー、取り敢えずヒナタを誘ったけど、こちらをちらちらと見ているシノも誘ったほうがいいか。ヒナタがいて何かあるんだったらシノがいてもなにか良い事があるかもしれないし。

 

 

「シノ、お前はどうするってばよ」

 

「お前達が行くのであれば俺も行かせてもらおう。何故なら、チームにとって信頼関係を築くという事は大事な物だからな」

 

 

 ああ、なるほど、確かにそれは大事だな。母ちゃんもその為に俺に言ってくれたのか。これは見習わないといけないな。基本的に信頼関係を築くことは大事にしていかないとって感じで。

 

 

『クッ!肝心な所でその鈍感さ!流石ミナトの子供だってばね!』

 

『あはは』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 俺達はある鍛冶屋の前までやってきていた。ここには色んな忍具が置いてある。

 と言っても手裏剣やクナイと言った基本的には武器の類のものだけど……少しだけ申し訳程度に丸薬も置かれてある。

 

 

「こ、ここ初めて来るよ」

 

「ふむ……俺も来たことがないな」

 

「そうなのか?ここの武器って結構いいもの揃ってるからおすすめだってばよ」

 

 

 俺はそう言い天繰鋼と書かれた暖簾をくぐって店の中に入る。

 少し蒸し暑い空気を感じる店内。幾つもの武器を並べた棚が真っ先に目に入ってくる。奥にはカウンターがあり、そこに肘をカウンターに載せ暇そうにしていた男が座っていた。

 

 

「らっしゃい……ってクソガキか」

 

「おう!今日も来たってばよ!」

 

 

 俺を見てため息を吐いた男、天駆のおっちゃんの方へと歩いて行く。ヒナタ達も俺に続くように歩いてくるが、店の中の武器へとちらちら視線を向けていた。やっぱり忍者としてこういうのは気になるのかな。

 

 

「なんだ、珍しく客を連れてきたのか。いい仕事するじゃねえか」

 

「まあ、ほとんど付き添いみたいなもんだってばよ。それは置いといて取り敢えずいつものクナイ5本くれってばよ」

 

「へっ!どれだけ買いだめしてやがるんだよ、全く……」

 

 

 俺の言葉にそう吐き捨てたおっちゃんはちょっと待ってろと言いカウンターの奥へと向かっていった。

 あの奥にはここにおいてある武器の殆どを鍛錬した鍛冶場がある。おれの注文する商品は店頭に並んでいないもの。というより並べる価値が無いものらしい。

 

 注文するのはクナイなのだけど、形状が普通のクナイと違って少し大きいし重たい。慣れれば普通に使えるけど、やっぱり普通のクナイがある以上、需要は低くなってるらしいのだ。

 値段も普通のクナイより高価だし、中々買い手がいない。今では俺以外に買う人はいないとか何とか……

 

 

「ナルト君はよくここに来るの?」

 

「おう!ここでしか売ってないものもあるからな」

 

「値は張るが、品質は上等なものばかりだな」

 

 

 値は張る……か。他の店だったらもっと安いんだなぁ。まあ、行くことはないだろうけど。

 俺も手裏剣補充しとくかな。クナイはストックあるけど手裏剣はそんなに予備ないし……

 

 

「おいクソガキ。持ってきたぞ」

 

「んあ、サンキューなおっちゃん」

 

「おっちゃんはやめろ」

 

 

 ぶっきらぼうに返答するおっちゃんに苦笑しつつ俺は手裏剣を10枚手に取りカウンターに向かう。

 おっちゃんはちらりとこちらを見ると、カウンターに刃の部分が三又に別れた大きなクナイを5本カウンターに載せた。

 

 

「んじゃあ、全部で一分三百文だってばよ」

 

 

 俺はお金をカウンターに載せクナイと手裏剣へと手を伸ばす。

 

 

「まあ待て」

 

 

 しかし、おっちゃんにその手を遮られてしまう。一体どういうことなのかと視線を向けるとおっちゃんは背中から一本の忍刀を取り出しカウンターへと置いた。

 

 

「お前、アカデミー卒業したんだろ?なら下忍就任を祝して餞別をやろう」

 

 

 カウンターに置かれた忍刀。長さは2尺無い程度。手にとって鞘から抜いてみる。

 重さを十分に感じる。刀身の表面は驚く程に滑らかで刃は少し光って見えた。

 

 

「クナイ諸々全部合わせて二両だ」

 

「金取るの!?」

 

「バカ言え。ホントなら五両はくだらねえ代物だ。場所によっては十両で扱われるくらいだぞ?それをたった二両で売ってもらえるなんざ、感謝しろっての」

 

「うーん……そう言うのなら貰っておくってばよ。でも何でこんなのくれるんだ?」

 

「餞別だ餞別。あと何だかんで言って常連だからな。サービスってやつだ」

 

 

 取り敢えず貰って損はなさそうなので俺は家にいる影分身に金を送ってもらいカウンターに置いた。

 丁度2両。安い買い物ではないけど、無駄遣いではないから母ちゃんも特に何も言わないはずだし、大丈夫だろう。

 

 

「毎度。あと、これも持ってけ」

 

 

 おっちゃんはおれに皮のベルトを渡してきた。

 

 

「これで刀を背中に固定できる。後、刀の使い方が解らないなら……テンの奴にでも聞け。あいつは今は任務でいないが、明後日には帰ってくるぞ」

 

「おう!あんがとな、おっちゃん!」

 

「おっちゃんはやめろ。クソガキ」

 

 

 俺は忍刀を家に送り、クナイと手裏剣をホルスターに入れた。

 そのまま俺の後ろに並んでいたシノにカウンターを明け渡し、クナイとにらめっこしているヒナタへと近づいた。

 

 

「どうだ?なんかいいのあるか?」

 

「う、うん。いいと思うけど、私手裏剣術苦手だからあまり必要ないかなって……」

 

「まあ、無理に扱う必要もないしなぁ。使えれば便利だけど」

 

「そう言えばナルト君。さっき変わったクナイ買ってたね。後忍者刀も……あれ、忍者刀は買わなかったの?」

 

「買ったけど今は持ってないってばよ」

 

「そうなんだ」

 

 

 うーん、ヒナタは手裏剣術が苦手なのか……アカデミーの頃はそうと思えなかったけどなぁ。もっと下手な奴もいたし……

 でも、これから一緒に任務をこなすのだったらヒナタも手裏剣術を使えるほうが出来ることが増えるんだけどなぁ……

 

 

『ほら!そこで俺が教えるとか言うんだってばね!』

 

『はいはい。黙って見守っていようね』

 

 

 ………母ちゃん最近よく暴走してるなぁ。俺の中で特にすることもないからストレス溜まってるのかなぁ。でも流石に何もないのに戦わせるわけにも行かないし、我慢してもらいたいんだけど……

 

 

『ナルトは気にしない。俺もクシナも今凄く幸せなんだから』

 

 

 まあそれならいっか。

 それじゃあ、修行中の影分身の事任せたってばよ。

 

 

『うん。任された』




今回オリキャラというか、原作にも存在はしてるけど描写のないキャラを出しました。でも正直もう殆ど出る予定無いです。

あと、完全オリジナルなキャラも出す気は今のところ無いです。


因みに金銭は江戸時代初期の金銭レートです。
具体的には一両10万円程度
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