楽天家な忍者   作:茶釜

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「北東、A地点からD地点までそれらしき影は無いってばよ。どうぞ」

 

「同じく北東、G地点からL地点まで確認したが見つかっていないってばよ。どうぞ」

 

「北西、A地点からG地点まで確認完了。発見できていないってばよ。どうぞ」

 

「南西、H地点からB地点まで捜索したけど見つからないってばよ。どうぞ」

 

「こちら南東!E地点にてターゲットの特徴を持った存在を発見!シノ、出番だってばよ!」

 

 

 第八班のメンバーに配られた無線機から幾つもの情報が飛ばされる。情報が入る間隔は5分。二度目の報告にてターゲットを発見したことを考えればおよそ10分間で炙りだしたということ。

 担当上忍である紅は傍らに立っていたシノが報告のあった場所へと"跳んだ"のを確認し、ため息を吐く。

 

 今回の任務、ターゲットの捜索だが、手はずとしてはナルトとヒナタがターゲットを捜索し、シノが蟲を駆使して捕獲するといったシンプルなもの。

 単純故に効果的に適材適所な配置を考えたものだと紅は心中で呟いた。

 

 

 そうこうしているうちに、3人が紅の目の前に現れる。

 その光景はもう見慣れたもので、特に驚きもせずに紅はナルトが捕まえている猫へと視線を向けた。

 

 

「右耳にリボン、目標のね……トラに間違いないわね」

 

「へっへっへ。じゃ、任務報告に行くってばよ!」

 

 

 任務達成時間はおよそ15分程。随分と早く済ましているが、本来であればこのような任務はもっと時間がかかっただろう。

 それでも短時間で達成できる事には理由が存在している。

 

 

「(飛雷神の術が使えるなんて聞いてなかったわよ、カカシ)」

 

 

 任務を初めて受けた時にナルトから当然のように出た言葉に呆然としたのは記憶に新しい。

 今も猫をブラブラさせながら歩くナルトがそのような強力な忍術を使えるとは思えないが、実際に目の当たりにしてしまった以上、信じるしか無い。

 

 一体この少年は何者なのかと言う疑念が紅の頭から離れることはなかった。

 

 

 

 ◇

 ナルトの所属する第八班。紅夕日が率いるこの班は今季の下忍で編成されている班の中でも特出した成績を納めていた。

 まだ編成されたばかり故にDランクの任務ばかりではあるが、その任務の達成時間は平均して20分未満。他の班は1時間から3時間程度と考えれば圧倒的だろう。

 短時間で任務を達成し、一日にこなす数も多い。木の葉では珍しく、Dランク任務が全て消化される事もあるほどだ。

 他の班が遅いというわけではない。例年半日かける班も出るくらいだ。そう考えれば優秀な年だと言えるのだが、どう考えても8班は異常すぎた。

 

 理由としては三代目火影も把握している。担当上忍の紅も演習を下手観点から予見していた成果であるとも言える。

 うずまきナルトと日向ヒナタのペアがDランクの任務に特化したペアなのだ。

 

 Dランク任務とは主に雑用が多い。畑での収穫。落し物や迷子、ペットなどの捜索。簡単な野草の採取など、ごく狭い範囲での任務に限定されている。

 それ故に白眼による広範囲の探索が可能なヒナタに、他人を影分身させることが出来るナルトは探索という部分に関しては強力すぎる。採取や収穫などはナルトの影分身による人海戦術で事足りてしまうのだ。

 

 もし残りのシノが無能で二人の足を引っ張っているのであれば話は別だが、シノはシノで他の下忍とも違う力を持っている。情報の伝達やヒナタが見落とすかもしれない細かな探索を蟲を使うことにより行うことが出来る。

 情報収集に特化した班とも言える。しかし、ナルトは元よりシノも向上心のある下忍だ。下忍レベルではないナルトの影響を受け、一層鍛錬に励んでいる。ヒナタも2人においてかれまいと暇があれば修行していた。

 

 結果から見ても様子から見ても今季で1番力のある班とも言える。

 

 はたけカカシが率いる第七班はサスケが突出し、ナルトと同様に影分身による人海戦術も行うが、数は少ない。それ故に成果も程々といった所。キバの嗅覚による探索も行われるが、ヒナタとナルトのペアを比べると、どうしても劣ってしまう。

 猿飛アスマが率いる第十班はチームワークが良いものの、それは戦闘面から見てのことで他の二班に比べると情報収集という面では相手にならなかった。

 

 

「まあ、そろそろ良い時期じゃろ」

 

 

 だからこそ多くの任務をこなす紅班に更に任務が回されることは必然で、ランクの高い任務を最初に受けることになることは運命だったのだろう。

 三代目火影は目の前に並ぶ4人を一瞥した後、入って来て貰えますかな、と扉の外へと告げ、ナルト達へとある任務を命ずる。

 

 

「これより第八班にはCランク任務。ある人物の護衛任務を命ずる。護衛対象はこの方、橋職人のタズナさんじゃ。場所は波の国となっておる」

 

 

 扉から入ってきたのは鉢巻をし、メガネを携えた老人。腕にはいくつか切り傷はあるが、戦闘によって出来たような傷ではない。職人の手と称される腕を扉の縁につけ、気だるそうに左手に持った酒を呷った。

 

 

「なんだァ?超ガキばっかじゃねーかよ」

 

 




波の国はナルト達が行きますYO
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