楽天家な忍者 作:茶釜
修行のために特別製の影分身として出現し、俺は里を出ていた。
九喇嘛からの提案で、里から離れて誰も来ないような所で九喇嘛の力の制御を修行することになったのだけど、正直オレは自分の鍛錬も行いたかった。
それに対しては九喇嘛は反対のようで、提案を受けた時、九喇嘛自身の力をとっとと扱えるようになってほしいという気持ちが九喇嘛の身体の節々から感じ、苦笑いを浮かべてしまったな。
『ナルト、一人付けてきているぞ』
「げっ!ばれないと思ったんだけどなぁ」
里を出てからまだ数分、一人の忍者、多分あの眼を隠した変な髪型の人が追ってきているとの情報を九喇嘛から得た俺は、少し九喇嘛に力を借りて影分身をした後、瞬身の術で四方八方に走り去った。
「これで撒けるかな」
『追跡者の足が止まったな。恐らくは問題無いだろう』
じゃあ、少しだけ予定は狂ったけど、誰も居ない場所に行くとするか。
「頼むってばよ。九喇嘛」
『ふん……ここから北に人の気配はする。東にもだ。木の葉の里が南東にあるから目指すは西だな』
「西……どっちだってばよ」
『……お前の今向いている方向の左前だ』
「サンキュー!九喇嘛!」
さあ、どんどん強くなってやるってばよ。あ、他にも九喇嘛のこと色々と教えてもらわねえといけないな。ニシシ、やることはいっぱいあるけど楽しみだってばよ!
◇
到着したのは森のなかだった。
九喇嘛に聞いた所、余程の忍びでもない限り九喇嘛のチャクラを開放しても感知されないとかなんとか……
『ナルト、一つ言っておくが、儂の力はいかにお前が力をつけようとも全て扱うことは出来まい』
「そうなんだ。まあ、別に大丈夫ってばよ」
『……いや、お前にはいつか使いこなして貰うぞ』
えぇ……案外我儘なんだよなぁ、九喇嘛って。
まあ、そんなところも含めてこいつは最高の相棒なんだけどな!
『ふん……くだらぬ事を考えおって……』
おっと、考えが読まれちまった。こいつ一回恥ずかしがると元に戻るまで時間かかるんだよなぁ……
まあ、それはさておき……
「何で今はお前の力を使えないんだってばよ」
『……封印が強固だからだ。今すぐ解くには鍵が必要だろうな』
「そんなものがあるんだな」
鍵かぁ……爺ちゃんの家にあった書物にはそんなこと一切触れていなかったけど…どっかにあるのかなぁ。
『とはいってもだ、放っておけば封印が弱まり、儂の力を引き出すのも多くなってくるはずだ』
「……ってことはつまりあれか?九喇嘛。案外力押しでなんとかなるんじゃないのか?」
『……何を言っている?』
時間とともに劣化するってことは、つまり九喇嘛を抑えるのが耐え切れなくなっていくということだよな?じゃあさ、その耐え切れなく成る限界をずっとしてれば普通に待つより封印が解けるのが早くなるんじゃないかな……
『一理あるが……危険だぞ?少なくとも今のお前がやればこの体が消滅するだろうな』
「いや、可能性があるのならやったほうがいいってばよ」
『いや、だから影分身で里をでた意味が……』
ようはこの特殊な影分身の俺が消えなきゃいいんだよな。だったら話は簡単だ。
「影分身の術!」
普通の影分身を行うことで二人に別れる。
「じゃあ、九喇嘛、無茶はこの影分身に任せればいいんだってばよ。俺が消えなければそれでいいんだし」
『……なるほどな、相も変わらず無茶なことを考えたな』
「やっぱこの術って便利だよな。修行に持って来いだってばよ」
『……ふん、じゃあ儂はそちらの影分身とともに封印へ負荷を与えるが、お前はどうするのだ?』
「無茶しない程度に修行するってばよ。新術を開発してもいいけど、今回は九喇嘛のための修行だしな。あの尻尾が一本の状態の修行をするってばよ」
『わかった』
【修行二日目】
封印に負荷をかける影分身はちょっと眼を離した隙に消えちまうけど、俺自身無茶はしていないし、九喇嘛の回復力もあってか順調に修行はできていると思う。
九喇嘛の衣も扱いが難しくはあるけど、印を結ぶこともできるから同時に2つの忍術を発動できたりもする。
チャクラ自体も九喇嘛のチャクラを消費しているから全然大丈夫だ。まあ、あまり長い間纏っていると身体に負荷がかかって傷んだりするけど、それもどんどん時間を伸ばして行かないとな。
【修行三日目】
一体の影分身に修行を、三体の影分身に食料調達をしてもらい俺自身は身体を休める。
とはいってもただ休むんじゃなくてチャクラコントロールの修行をしながらの休息だ。
里にいる本体に此方での疲労が伝わっているのか、授業中に居眠りをしてしまってイルカ先生に怒られたらしい。その際に木の葉を額に当てて集中する方法を教わったらしいのだけど、案外コレも馬鹿にできない。
チャクラを効率よく巡らせればそれだけで忍術の発動も早くなるし集めれば集めるほど大きな忍術を使用できる。
それにこの修業ならあまり身体に負荷も与えずにできるから消滅の心配もない。
暇な時はずっとこれをやっておこう。
【修行五日目】
九喇嘛の封印への負荷をしている影分身の所に一人のおっちゃんが現れた。
白髪に油と書いた額当てのおっちゃん。九喇嘛がちょっと周囲の探索を怠ったらしく、接近に気づかなかったそうだ。
警戒してたけど、話を聞けばおっちゃんは木の葉の三忍の一人自来也って言うらしい。前に書物の中にその名前を見たから薄っすらと覚えていた。
他の三人は綱手って人と……大蛇丸男だっけ……うろ覚えだから自信ないや。
嘘付いている可能性もあるのだろうけど、そのおっちゃんの目に俺を恐れている様子もなく、嘘を付いているようには見えなかった、それに、九喇嘛のことも知っていた。
伝説の三忍で、里から離れて活動しているのだと言うことで里の皆を下手に怖がらせる心配もなかった。だから俺は初めて九喇嘛のことを他人に話した。
と言っても、九喇嘛を化け物呼ばわりされて少しカッとなってしまったのが原因なんだけど……
こいつは俺の最高の相棒なんだからあまり化け物って呼ばれるのは嫌なんだってばよ。
まあ、おっちゃんは俺の様子に悪かったと言って修行を付けてくれることを約束してくれた。
何だかおっちゃんが俺を見る目が三代目の爺ちゃんに似ててくすぐったがったけど、それよりも嬉しかった。
何だかこのおっちゃんといると不思議と安心できたんだ……
【修行七日目】
本体から爺ちゃんの伝言を受け取り自来也のおっちゃんに伝えた。
折を見て里に帰れってことだけどおっちゃんは嫌だ!と言って何処かへいってしまった。
仕方ないので今日は九喇嘛の封印の負荷も行いつつ、チャクラコントロールの修行に集中する。
おっちゃんは夜に帰ってきた。酷く酔っ払っているみたいで顔を真っ赤にしてふらふらとした足取りで座り込んでいた。
酔っぱらいの介抱の仕方は俺にも九喇嘛にも解らなかったので、九喇嘛と相談してから水を飲ませた後、頭から水をぶっかけてみた。
みずをかけられたおっちゃんはぬるりと起き上がり俺にチョップした後横になって寝てしまった。
水をかけたのはダメだったのかな。
【修行八日目】
おっちゃんから封印への負荷はやめろと言われた。
変に封印を壊せば俺自身がどうなるか解らないって言ってたけど、それ言うのだったらもっと早く言うべきじゃないだろうか……
まあ、過ぎたことだからいいんだけど、ここでおっちゃんからとんでもないカミングアウトが……なんと俺の封印の鍵をおっちゃんが持っているらしい。
九喇嘛が早く寄越せと頭の中で騒いでいたのだけど、おっちゃん曰くある忍術を習得出来たなら封印を解除してやってもいいとのこと。
早速その忍術をおっちゃんに見せてもらう。
何だか手のひらの上に小さな球体のチャクラが回転しながら留まらせる忍術。四代目火影が開発した螺旋丸っていうA級忍術なんだって。
まずは水風船の中の水をチャクラで回転させて割れと言われて渡されたのだけど、九喇嘛が急に俺に衣を纏わせると、チャクラの手で螺旋丸を作り上げてしまった。
九喇嘛は自慢気にしていたがおっちゃんに「それは反則じゃのう」と言われていた。
取り敢えずおっちゃんの修行を一からやることになり水風船を割る作業を行う。
影分身20体くらいでやれば直ぐにできるかなと感じ、水風船を持ったまま分身し、それぞれで始める。
なんでかおっちゃんが苦笑いを浮かべていたけれど、水風船はその日のうちに割れた。チャクラコントロールをしっかりしていたからチャクラの流れを四方八方に出来たのが早く出来た理由だとおっちゃんは言っていた。
【修行九日目】
水風船を割った後は今度はゴム球を割ることになった。
影分身の修行による疲労は九喇嘛のおかげで残っていない。効率的にどんどん段階を進めていこう。
また影分身20体に分身し、修行を始める。
まあ、始めたはいい物の中々割れない。ボコボコと変形するけど水風船に比べるととんでもない硬さだということが解る。
数時間かけてゴム球に穴を開けたのだけど、それも分身なので消えてしまった。
本体を割ってしまうともったいないので皆で分身した球を割るために頑張る。
一度4人位で集まってやってみたら見事に割れたのだけど、それじゃあダメだと言われてしまった。
でも、これでコツは掴んだと思うから、しっかりと取り組む。集中して一点にチャクラを集めるのがいいと聞いて頑張った。
この日にゴム球を割ることは出来なかった。
【修行十日目】
今日も今日とてゴム球を割る修行。たまに九喇嘛がズルしてチャクラを与えてくれるのだけどおっちゃんに直ぐにバレてしまう。
ぶちぶちと文句を言っている九喇嘛に苦笑しつつ集中する。
大事なのはチャクラの密度と回し方……息を吐いて呼吸を整えつつチャクラを練り込む。
九喇嘛のチャクラを纏う間に覚えたチャクラの運用方法……しっかりと集中してゴム球へとチャクラをぶつける。
一点に集中したチャクラにゴム球は耐え切れずに破裂した。
これで第2関門は突破。でも、ちょっと疲れたから第3関門は明日にした。
これでもおっちゃん曰くとんでもない早さで習得しているらしいのだけど、九喇嘛が急かしてくるからもっと頑張らないと。
【修行十一日目】
第3関門はゴム球を割った力のチャクラの回転を球体にするということだった。
唯の風船の中でチャクラを回しつつ風船を割らないようにする……また20人に影分身をして修行を開始。
でも中々上手くいかない。チャクラの消費量もバカにならないので休憩をはさみつつ行っているのだけど、ゴム球を破裂させる力を球体にするのは難しい。
一度九喇嘛にコツを聞いてみたけど、ノリで押し留めたと言っていた。
まあ、何となく思っていたことだから具体的なコツは聞けなくても平気だったけど……
でも、あの時の九喇嘛の螺旋丸を思い浮かべると自然にやるべきことが解る。
九喇嘛はチャクラの腕を2本使って螺旋丸を作っていた。
俺の予想ではあれはチャクラを回すのと押しとどめる2つの仕事の役割分担をしていたんだと思う。
違うならば小さい押しとどめられるチャクラの流れを2つくっつけただけなのかもしれない。
でもこれで解るのは大事なのは役割分担だということ。取り敢えず影分身で二人一組になって一つの風船の中のチャクラを回す役目と押しとどめる役目に分担して行う。
これは数時間続けて成功した。後はこれを繰り返して一人でも出来るように……
【修行二十日目】
な、なんとか完成した。
役割分担を思いついてから結構経ったけど、なんとか一人でも螺旋丸を作ることが出来た。
半月もかからずに出来たことにおっちゃんは驚いていたのは印象深かった。
九喇嘛が嬉しそうに笑っていたのもだけど……
取り敢えず約束通り明日おっちゃんは九喇嘛の封印の鍵を渡してくれるとのこと。
今日はしっかりと休んで次の日に備えるように言われた俺はまだ日も沈みきっていないうちから眠った。