楽天家な忍者   作:茶釜

8 / 20
原作に突入すると言ったな?


あれは嘘だ


序章 -8-

 あれから1年くらいが経った。

 8歳となった今でも修行は続けている。新しく自分に近い力を持った影分身を増やし、修行の密度を高めながらアカデミーに通っている。

 毎日毎日影分身の経験を受け、それによって疲労も蓄積されるため、夜は直ぐに眠ってしまう。眠っている間は九喇嘛や父ちゃん、そして母ちゃんとその日会った事を話して過ごしていた。

 

 だけど、今日は違った。

 突然九喇嘛から告げられた事。里で誰かが殺されている事。それも数人というレベルじゃ無い程大人数らしい。

 俺は意識を覚醒させ、家を飛び出す。

 

 

『待つんだ!危険過ぎる!』

 

 

 頭の中で父ちゃんの声が聴こえるけど、無視して走る。今、里で何かが起こっている。里の誰かが殺されている。それだけで胸が締め付けられるように苦しくなる。

 

 

「九喇嘛!場所は何処だってばよ!」

 

『………そのまま真っすぐだ』

 

『九喇嘛!』

 

 

 心で九喇嘛に礼を言いながら足にチャクラを纏わせて速度を速める。

 背後からカカシさんが付いてきていることを感じながら俺は走った。

 

 

『ミナトは心配性ね。ナルトはこういう時のために修行してるって知ってるでしょ?』

 

『だけど、場所が不味いんだ!』

 

 

 場所……この方角は確か、うちは一族がいる場所だった筈。そこで人が大量に殺されてるって事は……

 

 

『うちは一族を殺戮出来る相手なんて、危険過ぎるよ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、止まれないってばよ」

 

 

 俺は森で足を止めた。満月の光が葉の隙間から地面を照らしている中、自分の鼓動が驚く程に早くなっている事を感じ取れる。鼻につく匂いが、苦しみの中の憎悪が九喇嘛を通して感じ取れる。

 音も立てずに移動して来るのが解った……

 

 

「出てこいってばよ」

 

 

 木の上に視線を向け言葉を投げかける。

 黒い忍び装束に木の葉の額当て。そして、赤く光る瞳をした男がいる。

 その隣にはフードを被り、片目の部分が空いている仮面を着けた男が立っていた。

 

 

「………九尾の餓鬼か」

 

「……ああ」

 

 

 濃厚な血の匂いが二人から感じ取れる。目の前の二人が里の人を、うちはの人を殺したと言う事がひしひしと伝わってくる。

 

 

『あの時の……ナルト!今直ぐ逃げるんだ!』

 

 

 悪いけどさ、ここは引けない。この二人はここで止めないといけない。これ以上、誰かを殺される訳にはいかない。

 

 

「ナルト!!」

 

 

 俺を監視していたカカシさんが現れた。そして、俺の視線の先にいる二人組を見て驚きの声を上げていた。

 カカシさんは父ちゃんが言うには強いらしい。流石にこの状況だったら俺の味方になってくれるみたいだ。心底心強い。

 

 でも、今の俺じゃあ多分カカシさんと一緒に戦っても敵わない……まだ父ちゃんの飛雷神の術も習得できていないし、口寄せの術も安定していない。今の俺でも、目の前の二人の実力は感じ取れる。

 勝てるはずがない。俺が束になってかかっても恐らく負けてしまうだろう……

 

 

 だからさ、悪いんだけど九喇嘛。ちょっくら力借してくれ。

 

 

『勿論だ。あの仮面の男には儂も借りがあるからな』

 

 

 意識をゆっくりと沈めていく。

 俺が九喇嘛の力を使っても足りない。まだ未熟な俺に九喇嘛のチャクラを扱いきれない。

 九喇嘛のチャクラを纏っても敵わないだろう……

 

 

「あの二人から血の匂いがする。更にはうちはイタチが仮面の男の隣に立って、如何にもお仲間のように振舞っている……か」

 

「ふん、写輪眼のカカシか」

 

「……交戦を避けるか?」

 

「必要ない。邪魔する者は排除しておくに限る。更に言えば、九尾の力がどの程度の物か分かるかも知れんしな」

 

 

 二人が地面に降り立ちこちらを見つめてくる。

 カカシさんは額当てを上げ、赤い左目を露わにし、腰を落としていつでも動けるようにしていた。

 

 

『ふん、儂がいる中で幻術は通用せん』

 

 

 九喇嘛のチャクラが身体を駆け巡るのが分かる。どうやら幻術をかけてきたらしいけど、俺には通用しない。

 更に意識を沈めていく。俺という要素を排していくかのように、その身体を九喇嘛のチャクラに委ねる。

 

 俺に九喇嘛のチャクラを扱う能力はない。

 

 

 

 だけど

 

 

 

 九喇嘛に俺の身体を扱う能力はある。

 

 

 身体からチャクラがあふれる。

 憎悪に心が巻き込まれて俺を包み込む。黒いチャクラがどっぷりと俺を満たしていく。

 

 紅いチャクラの衣ではない。金色のチャクラの衣ではない。

 それは成れの果て。俺という存在が消え失せ、九尾という存在に成った未来の姿。

 

 そこに至るまでに通る姿。赤黒いチャクラが身体を包み、その外形を変貌させていく。巨体にもなれるが、ここは里の中だ。人を2人相手にするだけに九尾となることは出来ない。

 しかし、身体が小さいからこそ、それに抑えこんでるからこそ、力も高まっている。

 

 チャクラが形成する尾の数は9本。九喇嘛に父ちゃん、そして母ちゃんが必死に俺を繋ぎ止めていることを感じ取れる。

 その御蔭で俺は消えることも無いし、九尾になる事もない。

 

 

「クソ!こんな時に封印が解けたのか!!」

 

 

 カカシさんが俺へとそんな言葉をかけてくるが、俺は応えることは出来ない。

 俺は唯、この光景を眺めている事しか出来ないのだから……

 

 

「凄まじいチャクラだな。流石尾獣といった所か」

 

「………」

 

 

 九喇嘛が俺の身体を動かす。

 地面を蹴り、一瞬で二人へと肉薄した。そして右手を仮面の男に振るいその身体を引き裂く。

 

 しかし、通り抜けた……

 

 直ぐ様隣の男へと振るうが、仮面の男へと攻撃した瞬間に発動準備を終えたのか、攻撃する寸前に影分身で躱されてしまった。

 

 仮面の男がクナイを突き刺して来たのを視認した。

 それと同時に母ちゃんが術を行使する。

 

 小さな鳥居が出現し、男の身体を地面に縫い付ける。

 背後より男が手裏剣を投げてきたのを感じるが、身体は躱そうとしない。

 手裏剣は赤黒いチャクラの衣に阻まれ、身体に刺さる事が無かった。

 

 

「思ったよりも強いな」

 

 

 仮面の男は鳥居をするりと通りぬけ、俺から距離を取った。

 手に纏うチャクラを伸ばし、捕まえようとするが、それもするりと躱されてしまった。

 

 

「様子がおかしい……無差別に暴れているようには見えない」

 

 

 もう一人の男へと接近していくカカシさんからそんな声が聞こえた。

 それに応えることは出来ないが、仮面の男がカカシさんへ投擲したクナイをチャクラで叩き落とした。

 

 

「……なに?」

 

 

 仮面の男が怪訝そうにこちらを見ていることが解る。

 それが好機と感じたのか、身体が地面を蹴り、仮面の男へと肉薄する。

 

 すぐには攻撃を繰り出さない。どういった訳かは解らないけど、普通にやったのでは攻撃が通じないことは解っている。だからこそ、その仕組みを看破する必要がある。

 何故母ちゃんの封印術は当たった?

 封印術だからと言う事はないだろう。それならば拘束から逃れることが出来ていない。すり抜けるのに少し時間を明けないといけない?先ほど連続で仕掛けてもすり抜けていたからそれも違うだろう……

 

 ならば、こちらに攻撃してきたからだという事が一番説明がつく。

 それは九喇嘛や父ちゃんも理解しているようで、相手が攻撃を仕掛けてくるタイミングでチャクラのマーキングを相手の服に仕掛けていた。

 

 

「……随分と頭が回るようだな」

 

 

 一度、蹴りをかすらせることが出来たようだ。相手から血が流れている匂いがしていると九喇嘛が感じ取っていた。

 

 

 

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 

 突然カカシさんの叫び声が聞こえた。

 身体は視線をそちらに向け、様子を確認する。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 尋常でない汗をかいて地面に倒れ伏すカカシさんと、片目を抑え、息を荒くしている男がいた。

 

 

「万華鏡写輪眼を酷使しすぎだ」

 

 

 いつの間にか姿を消していた仮面の男が肩で息をしている男の隣に現れる。

 

 

「もう引くぞ。九尾のチャクラを感じ取った忍達がここに向かってきている」

 

「ああ……」

 

 

 相手が姿を消すのに、身体は反応しない。ここで深追いは避けるべきと考えての事だろう。

 何とか捕まえたかったけど、九喇嘛ですら捕捉しきる事は出来ないのだ。あまり時間をかけることも出来ない事も相まって見逃すことしか出来ない。

 

 

『ナルト、もう引き上げるぞ。ここにいては無用な争いを招くだけだ』

 

 

 意識を浮上させ、九喇嘛のチャクラから抜け出る。

 赤黒いチャクラの衣が消え、身体の感覚を取り戻した俺は直ぐ様カカシさんの元に駆け寄った。

 

 不規則であり苦しそうではあるが息はしている。命に別状はなさそうなので、少し安心した。

 

 っと、グズグズしてはいられない。ここに集まってくるチャクラを感じる。

 

 

「父ちゃん、お願い」

 

『全く、ホントにヒヤヒヤしたよ』

 

 

 カカシさんに触れながら父ちゃんに飛雷神の術を使って貰う。場所は三代目の爺ちゃんの所。火影室に一つだけマーキングさせてもらってるから何時でも向かうことが出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

「きたようじゃな」

 

 

 火影室には既に爺ちゃんが待っていた。もう夜というのにここにいるということは多分俺が来ることを想定してのことだろう。

 

 身体の節々が痛むのを我慢しながら俺は爺ちゃんの方に近づく。

 

 

「仮面の男と赤い目をした男二人と交戦したってばよ」

 

「そうか……カカシはどうしたのじゃ?」

 

「赤い目をした男と戦って何かの術を食らったみたいで、苦しそうにしてるってばよ」

 

「………ご苦労だったな。里の忍達には今夜の事は上手くごまかしておく」

 

「ありがとう、爺ちゃん……」

 

 

 俺はそう告げ、扉へと向かう。父ちゃんは長距離の飛雷神の術を使ったことにより、チャクラを九喇嘛から貰っていた。でも、すぐ身体に定着する訳もないため、飛雷神の術で家に帰ることは出来ない。誰にも見つからないように家に帰らないと……

 

 

「待てナルト。随分と暗い顔をしているが、どうしたのじゃ?」

 

「…………里の人が殺されて、明るい顔なんて出来ないってばよ」

 

「………そうか」

 

 

 俺は火影室を後にした。

 もう、こんな思いをしないために、もっと強くならなければいけないと心に誓いながら……




書いてて思った。
マダラ(オビト)さん、仮面着けてたら火遁使えねえ……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。