楽天家な忍者 作:茶釜
そいつはおかしな奴だった。
授業中はよく寝てるし、イルカに怒られながらヘラヘラしているだけの変わり者。
なのに、座学の成績や体術。はては手裏剣術なんかも凄い成績を残している。俺が必死に努力しているのを簡単に先を歩いて行く、気に喰わない奴だった。
だからこそ、不思議だった。俺には何もしなくても色んな奴が寄ってきた。鬱陶しい事この上ないが、それでもあいつにも少なくともある程度人が集まるのが普通だと思っていた。
だけど、あいつはいつも一人だ。父さんも近寄るなと口酸っぱく言っていたし、兄貴も困ったような顔をしていたと思う。
里の中で見かけてもあいつは一人でヘラヘラした顔を浮かべて歩いている姿しか見ない。あいつに親が居ないことは察していたけど、まるで里の大人達はあいつを腫れ物に触れるかのように扱っている。
そんな疑問が尽きない中、俺はすべてを失った……
父さんと母さんを殺した兄貴を見て、俺は為す術もなくやられた。俺はこのまま死ぬんだと、そう思った……
だけど、俺は病院で目を覚まし、痛む腕に全てが現実であったと理解してしまった……
兄貴が憎い。俺から全てを奪った兄であるイタチが憎かった……
だけど、何も出来ない。俺の心は空虚が支配し、ただ病室から青空を見上げるだけだ……
そして、あいつが病室にやってきたんだ。
何故かラーメンの入った岡持ちを片手に扉を開けたあいつはいつものようなヘラヘラした顔で言ったんだ。
――お前が"うちは"サスケなんだな?
真意が読めない表情を浮かべたあいつはどうしようもなく不気味だった。
アカデミーで話したこともない奴がいきなり俺の前に現れた事に思考が止まってしまった俺をよそに、あいつは見舞い客用の椅子に座って岡持ちからラーメンを取り出していきなり食べ始めていた。
こいつは何がしたいんだ?という疑問が心に浮かぶ中、あいつはその口を開いた。
――うちはイタチが憎いか?
その言葉に俺の頭はとんでもなく冷め、混乱していた事が嘘のように感じ取っていた。
そして俺は当たり前だと声高々に叫んだ。心で少しだけ期待していたあれは夢であるという幻想を投げ捨てて激昂する。
あいつはそんな俺の言葉にニカッと笑みを浮かべたんだ。いつものようなヘラヘラした顔じゃない。どこか晴れ晴れしさを感じられる笑顔。
何でそんな顔を浮かべられるのだと俺は叫んだ。馬鹿にされてるような気がして、どうしようもなく腹が立った。
だけど、それを無視してあいつは言ったんだ。
――なら、うちはイタチはお前の獲物だな。
正直言っている意味が解らなかった。笑みを浮かべているこいつの顔がとてつもなく怖いものに感じれて……決して俺に同情してここにいるわけではないのだと理解できた。
――だからこそ、お前は強くなりたいよな?
不思議とその言葉が俺の中にスッと入ってきた。そうだ、何で俺はこんな所で腐っているのだと自分が恥ずかしくなった。
俺は兄貴が憎い。恨み、憎しみを持って俺の前に立てと兄貴が言った言葉が俺の頭によぎる。
だけど、どう足掻いても兄貴に……イタチに勝つ方法なんて思い浮かばない……
「お前は、俺を強くしてくれるのか?」
そう、俺は問いかけてしまった……
あいつは一瞬呆けた顔をした後、さいど笑みを浮かべた。
――んなもん知んねえってばよ。
驚きのあまり少しの間言葉が出なかった。今の流れは完全に俺が強くしてやるっていう流れだろ!と叫んだ俺は絶対に悪く無いと思う。
………そして……
――甘ったれんな。俺がお前をイタチより強くするんじゃ無い。お前がイタチより強くなるんだってばよ。
その言葉に何故かわからないが、俺はこいつなら、こいつと一緒ならイタチをも超えれるのではないかと思えた…………
◇
それから、俺とあいつの修行は始まった。
あいつはどうやら影分身という術が得意なようで、実体を持った分身を生み出して相手を撹乱させることが出来るって言っていた。
まあ、それを言った後、あいつは何も言わなくなったので、何の修業をするのかと問いただしてみれば、何も考えてないと宣言したので思わず殴りかかってしまった。
と言っても、数分で俺がやられたんだが……
まさかアカデミーでの実技で手を抜いているとは思わなかった。動きは見えるけど、攻撃を仕掛けるタイミングが絶妙に上手い。こちらが攻撃しようとしたら先に潰してくるし、引こうとしたら追撃してくる。
これほどまでに実力差があるのかと俺は悔しさのあまり、不意打ちで攻撃を仕掛けたがこれも失敗した。
何故そこまで強いのかと当然俺は聞いた。いつもアカデミーでは修行をしている様子はないし、里でもすごい修行をしているとは聞いていない。
その理由を聞いてからだろう。俺が影分身の術を本気で習得しようとしたのは……
何だよ、修行効率が数倍って……チャクラが足りないなら兵糧丸を食えって何だよ……そんなの反則じゃねえか、と悪態をついたのは記憶に新しい。
里の外で影分身に修行させながら自分はアカデミーにいるって……下らない座学の時間の間もずっと修行をしてたってことだろう?そんな裏技があったのなら早く教えろっての……
影分身が上忍級の忍術?そ、そんなの俺なら直ぐに習得できるからな!
と言っても、ずっと影分身の修行をしているわけにも行かない。兄貴を超えるのならナルトに追いつかないとまず話にならない。だからナルトを追うように修行してもダメなんだ。
だとしても習得できればその恩恵は計り知れない……色々迷っていたが結局、ナルトの忍術で俺の影分身を作ってもらい、影分身に影分身の術の修行をさせ、俺本体がナルトと組手や忍術の修行を行うこととなった……
今度こそ、今度こそ序章終わり!!
修行中の出来事
「この影分身の術・遠の陣ってさ、ただ他の影分身を増やすだけって地味じゃないか?」
「いや、これすげえ便利だぞ?だって、影分身かけられた本人はどれが分身かを理解できないんだってばよ?」
「……どういうことだ?」
「だから、分身も自分が本体だって思い込むんだってばよ。そんな事になって、その分身と連携なんて取れるはずないじゃん?」
「んーそれでも地味だろ?」
「いやいや、ほかにもこんなのがあってだな……」
案外仲は良好なようです。
ーオマケー
オビト「火遁豪火球のju」ボォ!
ナルト「うぉ!!いきなり仮面が燃えたってばよ!!」