退屈そうに起きる一人の少年。黒い髪に、紅玉(ルビー)のような目の少年。
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ベッドから降りた俺はあくび混じりに部屋を出て、下の階に降りる。
キッチンで水を飲み、簡単に朝食をとる。
その後に身支度を整える。
黒いズボンに黒のシャツ、黒いロングコートを身に付ける。
机に手をのばし、机の上の銀の懐中時計を取る。
「‥‥」
懐中時計を見つめた後竜頭押して開き、裏蓋に貼られた写真を見つめる。 そこには一人の少女が写っていた。青い髪に青い瞳の少女。
自分に生きる理由を与えてくれた少女だ。そして、今はもういない。
しばらく見つめた後、懐中時計を閉じ、ポケットに突っ込む。
身支度を終わらせてから戸締りの確認をした後に外へ出る‥‥筈だった。
「‥‥?!」
目の前が眩しい光に包まれた。
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「‥‥あなたは誰?」
タバサは使い魔召喚のゲートから現れた少年にそう尋ねた。
黒い髪に赤く光る瞳、純粋にきれいと感じた。
「ぷっ。見ろよ」
「タバサはトライアングルって噂があったけど。召喚されたのを見る限りじゃ、ゼロのルイズと同じ無能じゃないか?」
タバサは周りから聞こえる声を意に介さず、目の前の少年を見つめる。
「‥‥」
彼は驚いたように目を丸くした後、ゆっくりと口を開いた。
「‥‥ええと、ここは何処だ?」
どうやら意思の疎通は可能なようだ。言葉が通じない可能性を懸念していたタバサは、胸をなでおろす。
「‥‥」
「ん、ああ‥‥こうして召喚された以上、契約してもらいます」
タバサが視線を向けると興味深げに見ていたコルベール先生がそう言って、タバサを促す
「‥‥いや。彼女の訳が無い。他人の空似だ」
目を向け直すと、少年は小さく何かを呟いていた。タバサの視線に気づき、若干の警戒を浮かべる。
「じっとしてて」
タバサはそう言い、地面に座り込んでる少年と高さをあわせるためにしゃがむ。
「我が名はタバサ。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そう言って杖を少年に向けたのち、白磁陶のような真っ白い肌にある唇を近付ける。
「何を……!?」
少年が何か言う前に、タバサの唇と、少年のそれが重ねられる。 少年は驚きと混乱を、その目に浮かべた。
「終わった」
唇を離し、淡々と述べるタバサ。 しかし、彼女の頬は、僅かに朱が差していた。
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わけが分からなかった。いきなり変なとこに転移させられたと思えば、キスされた。 まだ、柔らかい感触が残っている。
「何なんだ?」
疑問を口にしたとき、手に焼き鏝を当てられたような熱が走った。
「ぐ、ああ!」
熱さの原因の右手を抑え、歯を食いしばる。
「大丈夫。もう少しでルーンが刻み終える」
「っ、はあ!」
少女の言葉とおり、すぐに熱が引いた。手を開くと、そこに蛇がのたくったような文字らしきものが書かれていた。
「うむ。 見たことないルーンだな。スケッチさせてくれ。……よし、後で調べてみよう」
ハゲの男性(先ほどの会話からして教官)は、手のルーンをスケッチして、一人で満足げに頷いて歩き去った。
「何だよ、一体」
先ほどから、理解が追いつかない。だが、何らかの契約をさせられたのは分かった。手のひらのルーンはその証、いわば枷だろう。
そして、その枷を付けたのは、目の前の少女--先の契約の言葉の時に名乗っていたタバサというのが名前だろうか?--ということだ。
とりあえず、立ち上がる。いつまでもうだうだしていられない。理解できない状況なんて、前もあったしな。必要なのは落ち着くことだ。
(の、前にだ)
さっきからこっちを見てニヤニヤしている奴ら。少し脅かすか。
指先を僅かに動かし、宙に小さく魔方陣を描く。すると、ニヤニヤ笑っていた奴ら数人の足元の土を盛り上げると見事にひっくり返った。それにより、周囲の注目がそっちに向く。
その後、『ゼロ』のルイズと呼ばれているピンクブロンドの少女が、なぜか何度も爆発を起こし、最後にはタバサと同じように、人を呼び出していた。
※補足
主人公のいた地球と原作主人公のサイトの地球はパラレルワールドなので多少似た点はあっても全くの別物です。