無名な神と恵みの雨   作:夜魅

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~前回のあらすじ~
・夜卜が丸腰で妖の前に出ました
・雨音がヤスミます




第六話 夜と雨と雪 下

 

 

『はぁっ、はぁ、・・・とりあえず撒きましたか。』

 

人気の少ない住宅街

とりあえず妖を撒いたことを確認した雨音(あまね)は二人を地面に降ろした。

 

 

『2人とも無事ですか?』

 

「そんなことよりお前!」

 

まぁ、妖に直接触れましたからね、ヤスミますよ。

 

『まったく、神器(しんき)もいないのに身一つで妖の前に姿を出すなんて・・・

 あなたバカですか?今月2回目ですよ?』

 

「いいから今すぐ天神のとこに行ってこい!」

 

『お断りします。』

 

これだけ軽口叩けるのならとりあえず無事なようですね。

咄嗟に身を躍らせたけど、間にあってよかった・・・

 

「この狼あの時の?」

 

『あぁ、挨拶が遅れて申し訳ありません。

 夜卜神様の神器、雨音と申します。』

 

「これが神器!?」

 

「そうだ!

 ったく、あんな奴と一緒にすんな!」

 

『まぁ、知らなかったんですからそんなに怒らないでください。』

 

確かに、妖と同列にされるのはこれきりにしてほしいが・・・

 

「あの、先ほどはありがとうございました!

 背中の傷は大丈夫なんですか?」

 

『あぁ、触らない方がいいですよ。』

 

私のことを心配してくれているのか、ヤスミに触れそうになるのを防ぐ。

私の白い毛が黒く染まっているのでしょう。

 

『夜卜神様。』

 

「あぁ、ひより、お前までヤスム。」

 

「ヤスム?」

 

「不浄をもらうことだ。

 病を言い換えてそう呼ぶ。ヤスミは伝染(うつ)る。

 それは祓うか清めないかぎりそこにとどまり、体を蝕む。」

 

しかし、ヤスムのは久しぶりです。

これは本格的になまっているかもしれません。

少し気を付けないと・・・

 

私が周囲を警戒している間に夜卜は一通り話を進める。

もちろん”緒”のことも。

 

『---------っ、来ました!』

 

2人に障らないよう頭にのっけて走り出す。

 

「そ、そんな私有線なんですか!?この時代に!?」

 

「そこぉ!?」

 

『ナイスツッコミです、夜卜神様。』

 

「い・・・いいか?お前はしょせん対戦にゃ向かねーの。

 さっきみたいなマネはやめろ!」

 

「だって夜卜さん一人じゃ・・・」

 

「っせぇな!だからずっと探してんだよ。」

 

 

 

 

もう少し

 

 

 

 

 

もう少しであの子が・・・

 

 

 

 

 

「オレの(しん)・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

いた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

それは雪に見えました。

 

 

 

 

 

 

 

「雨音!相手してろ!」

 

『承りました。

 ・・・戦闘に入ります。ひよりさんはしっかりつかまってください。』

 

先ほどまで逃げていた妖に向き直る。

妖には基本的に知能がないので、夜卜の方へ行かないようこちらに惹きつければいい。

 

最後はあの子がやるだろう。

 

 

「・・・男、見たとこ10代そこそこのガキ。

 ちょっとメンドくせぇ時期か・・・」

 

 

 

 

それでもあなたは

 

 

 

 

「あいつにする!」

 

 

 

彼を選んだ。

 

 

 

「還る場もなく逝くこともままならないお前に留まる場をあたえる。」

 

 

 

ああ、場違いにもあの時を思い出す。

 

 

 

「我が名は夜卜

 

 (いみな)握りてここに留めん 仮名を以て我が(しもべ)とす

 名は(したが)いて(うつわ)は音に 我が命にて神器となさん」

 

 

 

夜卜に拾われたあの日を・・・

 

 

 

「名は(ゆき) 器は(せつ)

 来い 雪器(せっき)!」

 

 

雪器と呼ばれたそれはまるでむき出しの刃のような刀だった。

夜卜は今、彼の生前の記憶を見ている。

 

 

妖が夜卜に気が付き、よりよい極上のエサを求めて夜卜の方へ向かった。

 

「あぶな・・・夜卜さん!?」

 

「イイニオイ」

 

 

妖は夜卜を喰らおうとするも一刀両断。

 

そのまま電線の上に降り立つも、バランスを崩して倒れる。

地面に叩きつけられる----------

 

『まったく、世話が焼ける主ですね。』

 

ことを見逃すはずがなく、夜卜を咥えてそっと地面に降ろした。

 

 

とりあえず、

 

『場所を移しましょう。』

 

 

 

 

 

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再び道真公の下へ戻った私は夜卜に水で清めてもらう。

人型でもいいですが、服が濡れてしまうので、狼の方が何かと便利なんです。

 

「なにしてるんですか?」

 

そこへ体を取り戻したひよりさんがやってきた。

 

「ヤスミを清めてる。

 ともあれ収穫はあった。」

 

そっと雪器をなでながら夜卜は続ける。

 

「誰にも障られてない死霊に出会えたのは幸運だった。

 刃渡りもちょうどいい。」

 

「へー、これが神器・・・きれーい!

 剣っていうよりはむき出しの刃って感じかなぁ・・・」

 

ふむ、第一印象は似たもののようですね。

 

「こいつの名は(ゆき)・・・呼び名は雪音(ゆきね)。」

 

 

「あれ?・・・・え??」

 

 

夜卜が呼びかけると刀は姿を変え、金髪の少年になった。

 

「オレは夜卜、眷属よりも傍に永く請い従うことを許す・・・」

 

 

あっ、これたしか・・・

 

 

「着ろ、もう恐れることはない--------------」

 

 

寒さに震える雪音に夜卜はジャージの上着を差し出すも、雪音は汗くせぇと一刀両断。

 

 

 

・・・夜卜がかわいそうなところだった、この場面。

 

 

まぁ、そんなことよりひよりさんから上着をもらおうとするのはどうなんでしょう。

 

『少年、ああ、雪音くんでしたか。』

 

「は?おおお、狼!?」

 

『はぁ、夜卜神様。』

 

「おう、戻れ雨音。」

 

 

狼から人型に戻り、一息つく。

うん、ヤスミもしっかり祓えたようだ。

 

「私のコートとマフラーで我慢しなさい。」

 

「マジで?ラッキー!」

 

「あ、あの、雨音さん?そんな悪いですよ。」

 

「いいえ、女の子が体を冷やしてはいけませんよ。」

 

ポケットにしまっておいたカイロを手渡す。

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「いえいえ。」

 

 

さて、こっちで和んでいる間に無効では一悶着あった様子。

夜卜が雪音にガミガミ言っているが右から左だ。

 

 

 

 

ふむ、賑やかなのはいいですが、これからさらに色々あることを思うと少し気が滅入りそうです。

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、今はこの出会いに感謝を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






はい、ということで一巻無事書き終えました。
やっと雪音くんを出せたので満足です。

最近リアルの方でいろいろ忙しくて、やっと上げることができました。
今年中にもう一話ぐらい上げときたいです。

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