IS~ただ一発の魔弾として~   作:ディアズ・R

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頑張ってシリアスしてみた。
オリジナルエンドにするために、伏線をはらなくてはいけないのです。
うむ、あんまり言うことがないのです。


第十九話

私は現在、出撃準備をしている。

さっきまで作戦本部に集まり、何がどうなっているのかの説明を受けた。

その後、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)の詳細が語られてどうやって倒すかの話し合いが行われた。

高速戦闘なうえに、出来るだけ早く一撃で終わらせる必要があるので、シロを使うイチ君が主力に選ばれた。

一次移行だと速度が無いけど防御力があり、二次移行だと防御力が無いけど速度がある私の殲滅女神(イセリア・クイーン)が援護役となった。

これに文句を言おうとしたら、天才さんが天井から降りてきて掃除用具さんを一緒に行かせる様に進めてきた。

あのISならシロを運んでも問題無い速度らしい。

優秀な、優秀過ぎるISに皆さんが驚いていた。

反論している人もいたけど、天才さんには口でも勝てないようだ。

というわけで、銀の福音の撃滅間違えました機能停止には私、一夏(アリスが名前を表示)君、箒(アリスが名前を表示)さんの少数の三人で行くことになりました。

もっぴーがニヤニヤしてて、少しキモイ。

てか、ウザイ。

ちょっと強い力を手に入れられたぐらいで、何がそんなに嬉しいんですかね?

物の力は使いこなして初めて十全に性能を発揮できるものです。

今の彼女を例えるなら、そう!木の槍を装備した原始人がマンモスにタイマンで正面から挑むようなものです。

初めて手に入れた自分の武器に興奮して、まともな思考もせずに自分が強くなったと勘違いする。

弱者は弱者、強者は強者。

肉体的な話ではない、心の、意志の、自己証明の話だ。

……これ以上考えても、無駄だろう。

 

「ふぅ、こんなの私のキャラではないですね」

 

これは少し、調節(・・)が必要かもしれません。

夏休み、一回家に帰りましょうかね。

母と父は元気でしょうか?

そんなことを考えていたら、織斑先生が声をかけてくる。

 

「魅神」

「なんですか、織斑先生」

「あの二人を、頼む」

「ん~いいですよ。私の、命に代えても守ってあげましょう」

「……お前も帰ってこい」

「ふふ、善処します」

 

誰かに心配されたのは、あの時(・・・)以来ですね。

少し、悲しい気持ちにさせます。

あぁ、なんで……もうすぐ強敵と戦える、その筈なのに……心が、冷たい。

……とにかく、今出来ることを精一杯やりましょう。

 

「では、行ってまいります」

「師匠!味方ごとにはお気をつけて!!」

「先生!一夏さんに当てたら駄目ですわよ!!」

 

酷い人達です。

でも、ISのハイパーセンサーが二人の目を映す。

その目は、不安と恐怖が入り混じった良くわからないモノだった。

今の状態で、ISが上手く操作できない者とISを手に入れたばかりの者を連れて、戦う為のISに挑む。

もしかしたら、私は今日死ぬのかもしれない。

でも、それならそれでいい。

私は、魔弾となろう。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

高速飛行中、アリスが銀の福音と思われる反応を見つける。

衛生から送られてくる位置情報から見ても間違いない。

このまま真っ直ぐ進めば、進路がクロスするだろう。

 

「御二方、接敵30秒前です。準備は出来ておりますね?」

「あぁ!何時でも大丈夫だ!」

「無論だ」

「アリス、二人にも聞こえる様にカウントを」

《イエスマスター。接敵20秒前、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10》

 

アリスのカウントが耳に届く。

変ですね……聞いたスペックと表示されてるスペックから考えて、赤椿ならもう見えても可笑しくないはず。

大きく白い雲が上を通る。

……大きい雲?

そうだ、ハイパーセンサーは360度全方位を見ることができると言っても、あくまで目なのだ。

見れないところは見れない。

衛生の位置情報も雲の中にいるなどと想定しない。

何でこんな簡単なことに気が付かなかった!!

 

「二人とも!雲に―――」

 

私が言い終わる前に、雲に穴が開く。

それも一つではなく、無数に。

すぐさま瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使い、出来る限り二人を銀の福音の攻撃から守る。

腕に、足に、額に、銀の福音が放ったと思われるエネルギー弾の雨が降り注ぐ。

痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、イタイイタイイタイイタイイタイ!!

 

「ユラ!?」

「どこから!?」

 

二人の声が聞こえる。

無事だと分かった瞬間、自分が何をするべきなのか考え、行動する。

痛みを無視し、身体への負担すら考えない。

今、私がするべきことは!

 

「……………私を……なめ、るなぁぁぁぁぁ!!!」

単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)狂気の魔弾(トリガー・ハッピー)発動》

 

アリスの言葉と共に、数百のミサイルがエネルギー弾を相殺し、雲の中で爆発する。

それに伴い雲が割れる。

銀色のフォルムのISが、そこにいた。

 

「アハ♪だから何♪」

《対中距離用武装壱式・漆喰》

 

両腕に特殊なガトリングを装着して撃つ。

銀の福音がその弾丸から逃れる様に、高速で動き回る。

だが、それは間違った行動である。

漆喰は両腕にガトリングを出すと同時に、反射板を26枚展開する様になっている。

そしてこのガトリングの弾丸は、跳弾するのだ。

 

「やっと調子が出てきたのよ……しっかりと楽しませて頂戴!!」

 

銀の福音が飛ぶ空域は、弾丸の牢屋となり装甲を削っていく。

全方位からの途切れることのない弾幕。

普通の人間(・・・・・)なら、まともな思考すらできなくなるだろう。

だが、今回の相手はISそのもの。

銀の福音は自身の持つ銀の鐘(シルバー・ベル)を使い、全方位にエネルギー弾を放った。

それによって、反射板や弾丸が吹き飛ばされる。

 

「アハハ!いいわ!もっと!もっと私を楽しませて!!私に、アナタの全てを見せて!!」

《対近距離用武装参式・霧雨》

 

ブレードの付いたマグナムが二挺手に現れる。

銀の福音と同時に前へ加速する。

銀の福音はエネルギー弾を放ちつつ私の下へと急降下する。

そして、真下からエネルギー砲を放つ。

私はエネルギー弾を全て撃ち落とすか切り払い、無理矢理バックステップの要領で後ろに下がって真下からのエネルギー砲を回避する。

身体に想定以上の負担がかかり、一瞬硬直してしまう。

銀の福音はそこを狙おうとしたが、真横から来た赤椿の攻撃を回避することに専念する。

白式も銀の福音に攻撃を仕掛けるが、二人からの攻撃をしっかりと回避しつつ、反撃をしている。

私も向かおうとしたが、ハイパーセンサーが嫌なモノを見つけてしまった。

 

「アレは……」

《データを照合しましたが、現在この海域に進入することは禁止されていてあの船のデータはありませんでした。密漁船と思われます》

「……今は捨て置きます。中距離兵装を」

《イエス、マスター。対中距離武装参式・火柱》

 

右手にエネルギーショットガン、左手にエネルギーライフル、両肩にエネルギーカノンを呼び出して連射する。

白式と赤椿にはアリスがすでに注意をしていたので、すぐさま離れる。

銀の福音は私からの攻撃に気付いてエネルギー弾で相殺を図るが、エネルギーカノンを相殺することは出来ずに直撃する。

直撃後も連射を続けていたが、すぐに砲身が熱を持ってしまい、攻撃をやめる。

 

「やったか?」

「まだ、反応はあるが……」

 

銀の福音のスラスターが爆発したのか、爆煙でどうなったのか窺うことができない。

油断無く爆煙を睨み付けていると、銀の福音が飛び出してくる。

そして、両腕にエネルギーブレードを出しながら。

 

「なっ!?情報に無い武装ですって!?」

《対近接武装壱式・針金》

 

アリスがすぐさまに接近戦用の武装を展開する。

両手に召喚された二対の槍で、銀の福音と相対する。

右のスラスターは壊れているが、左のスラスターからの射撃を織り交ぜた攻撃に押されてしまう。

 

「クッ!この程度で、私をヤれると思わないでほしいわ!!」

 

強がっては見たものの、シールドエネルギーはどんどん削られる。

ただでさえ防御が薄いのだ、攻撃が掠っただけでも5%はもっていかれる。

殲滅女神の二次移行は速度で撹乱しながら全方位からの攻撃、それが本来のあり方だ。

そのスタイルを封じられ、その上他の二人には興味が無いのかと思うほど、ピッタリと私にくっ付いて襲いかかる。

このままいくと、落とされる。

負ける、敗北、負傷、死亡……私が、死ぬ?

 

「ハハ、アハハ、アッハッハッハッハッハ!!!忘れてたわ!!ここ最近、まともな戦闘をしてなかったから、大事なことを忘れてたわ。相手が死ぬか、自分が死ぬかでしか終わらない、最低で、最高の、殺し合い!!アハ♪私と()し合いましょう!!」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

視点・一夏

 

今まで防戦一方だったユラが、まるで別人の様に攻め始める。

束さんと会ってから少し変だったユラだが、やっと元に戻った感じがした。

あと手伝おうにも、銀の福音は俺と箒に興味が無いかのようにユラへと執拗に攻め立てている。

というか、戦闘の次元が違いすぎる。

やっぱ、ユラは凄いな。

 

「……やはり、届かないのか。いや、まだだ、まだ間に合う!!」

「箒!?」

 

何を思ったのか、箒がユラと銀の福音の戦闘に乱入しに行った。

流石に放っておくわけにもいかず、俺も向かう。

箒が銀の福音と衝突する。

まるで近づかれるまで気付かなかったかのようだ。

 

「一夏!!」

 

箒の叫びが聞こえる。

チャンスだ。

今なら、当てられる!

銀の福音へ突撃しようと思った瞬間、銀の福音が赤椿を吹き飛ばし、エネルギー弾の雨を降らせる。

箒の赤椿なら耐えられる、そう思った時にハイパーセンサーがあるモノを発見した。

エネルギー弾を無視すれば、ソレに当たってしまう。

そう思ったら体が勝手に動いた。

箒とソレに当たるエネルギー弾を零落白夜(れいらくびゃくや)を使って防ぐ。

防ぎ終わるとエネルギーが切れてしまったようで、雪片弐型が普通の刀に戻る。

 

「一夏、なんで……」

「箒を見捨てられなかったっていうのもあるけど、船も危なかったからな」

「船?……密漁船じゃないか。あんな奴等を助けても―――」

「箒、そんな悲しいこと言うなよ」

 

俺は、箒の言葉が悲しかった。

力があれば力の無い奴等を軽視してもいい、そんな考え嫌だった。

ユラなら「力は壊すことしかできないです」とか言うかもしれないけど、俺は守る為の力もあると信じてる。

 

「箒、お前は弱い奴等は見捨てるのか?昔のお前は、もっと優しかっただろ?」

「わた、しは……」

 

箒の手から刀が落ちる。

俯いた箒を見て、まだ間に合う、そう思った。

箒に声を掛けようとして、ユラに怒鳴られた。

 

「今は戦闘中ですよ!!」

「ユラ?……あ」

 

振り返ると、銀の福音のエネルギー砲が目前まで迫っていた。

全ての動きがゆっくりになる。

考える。

今の白式のシールドエネルギーは、ほぼゼロ。

今から避けようとしても回避は不可能。

ましてや、避けられたとしても後ろには箒がいる。

あぁ、俺死ぬのか。

そう思った次の瞬間、目の前に四対八枚の赤黒い機械翼が現れる。

エネルギー砲を全てその身で受け、耐えきった。

エネルギー砲が止んだ。

ユラの安否を確認しようと声を掛けようとしたら、ユラの身体からエネルギーブレードが生えてきた。

 

「ガホッ……こういうの、キャラじゃ、ないん、ですけど、ね」

 

ユラが何か言っているが、理解できなかった。

だって、ユラは俺の知る限り千冬姉と同じぐらいの強さだ。

どんな奴と戦ったって、負けない。

困っている時は、なんだかんだでいつも助けてくれる。

何時だってのんびりしてて、自分のことを普通だと思ってる可愛い友人。

ユラは、絶対負けない。

その筈だった。

ユラの身体からエネルギーブレードが抜かれ、支えを失ったかのように落下していく。

落ちている最中にISの展開が解除されていた。

俺は、動けなかった。

ユラを助けに行きたかった。

でも、怖かった。

ユラが負けた相手が目の前にいる。

今の状態で、生き残れるのか?

死ぬかもしれない、そんな思考が動くことを拒否していた。

銀の福音は、俺と箒を観察する様にその場で停止し、すぐに興味を失ったようにどこかへと飛んで行った。

銀の福音が居なくなった瞬間、汗が噴き出す。

そして、自己嫌悪に呑まれる。

心の弱い自分が、悔しかった。

ハッ!と思い出す。

ユラだ。

ユラを見つけないと。

俺はフラフラとユラの落ちた海へ向かった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

目を覚ますと、墓場に立っていた。

確か、銀の福音に刺されて海に落ちたのでしたか?

あの時、二人を見捨てれば間違いなく銀の福音を停止させることが出来た。

そうしようと思っていた。

だって、あの二人のISならあの直撃を受けても死ぬことが無いのだから。

だけど、身体は二人を守っていた。

激痛に悲鳴を上げない様に堪えたのも束の間、すぐに心臓の下を貫かれた。

貫かれたのは心臓では無かったので、もしかしたらまだ生きているのかもしれない。

そこまで考えて、頭を振る。

希望的観測は無意味だと思い至った。

それに、この場所にいることを考えれば、現実の思考は無駄になる。

この場所がどこかなど考える必要もない。

ここは、私の始まりの場所でしかないのだから。

目の前の墓石に刻まれた名を読む。

 

「……魅神、癒螺」




シリアルじゃないよ!シリアスだよ!!
わ~

……うん。
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もう一話できそうなんで、8月中に続き投稿しますよ~
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