今回は別視点のみ。
前にも一回?別視点やったから大丈夫だよね?
こんなキャラじゃねぇ!というのは受け付けません。
ホント、言われてもどうしようもないんで。
視点・千冬
作戦は失敗した。
銀の福音は現在行方不明。
一夏と篠ノ之箒は現場で何があったのか語ろうとしない。
そして、魅神癒螺は瀕死の重傷。
一夏が魅神を背負って戻って来た時は、その場にいた全員が言葉を失った。
その中には、私も含まれていた。
そんなことがあっても、作戦行動は中止にならない。
現場の状況を考えない上の連中に虫唾が走る。
「……」
だが、こうなるんじゃないかという、予感はあった。
束に過剰に反応していた。
出撃する時の雰囲気が、どこか変だった。
今までの様な激しさが、一切なかったのだ。
今回の失敗は、私の判断ミスだろう。
あの状態の魅神を送り出した、私の……
「……ふぅ」
一度深呼吸をする。
目の前にある襖に手をかける。
襖を開けると、座る一夏と眠る魅神が目に入った。
一夏が一度振り返り、また魅神を見つめる。
「千冬姉。ユラならまだ起きないよ」
「そうか」
それ以降、どちらも喋らない。
こんなこと初めてかもしれない。
私といると何かと世話をしたがる一夏といて、まともに会話が無いのは。
一夏の隣に立つ。
何かを言うべきなのか、何か言うまで待つべきなのか、どうすればいいのかわからないな。
「……千冬姉、俺さ、俺」
一夏が何かを言おうとする。
私は無言で一夏の言葉を待つ。
「怖かった。ユラが刺されて、海に落ちて行ったのに、全然動けなかったんだ。次は、自分が殺されるんじゃないかって、そう思ったら怖かったんだ。ユラを助けないといけないのに、俺……もう、戦えないかもしれない」
「……何故だ?」
「あの時は俺が殺されると思って怖かったんだけど、今は俺が殺す側になるんじゃないかと思って、もっと怖くなった。考えれば考えるほど頭の中がこんがらがってさ。目を瞑ると見えるんだ。俺が、ユラを―――」
「一夏!!」
震える一夏を抱きしめる。
止めないと危険だと思った。
最近大きくなっていると思っていた一夏は、今はとても小さく感じた。
今一夏を一人にしたら、戻れなくなる。
そう感じた。
「私には、お前がどう感じているのかなんてわからない。そんな風になるお前を、分かりたくない。だが、私はお前のただ一人の姉だ。辛いなら、いつでも泣きつきに来い」
「……俺、何もできなかったんだ……それが、悔しくて……ぅ」
押し殺した小さな嗚咽が、室内に響く。
私はただ、大切な弟の頭を優しく撫でてやることしかできなかった。
◇◇◇◇◇
視点・箒
私は、惨めで、無様で、愚かだ。
力に溺れない為に刀を振るってきた。
力の使い方を教えてくれた友もいた。
なのに、力に呑まれ、何もできなかった。
一夏が居なければ、私は道を踏み外していた。
でも、私のミスはそれだけじゃない。
ユラだ。
銀の福音との戦闘中は気付かなかったが、今思い返してみると私と一夏に流れ弾がいかない様に注意しつつ、銀の福音の放ったエネルギー弾を相殺していた。
自由に動いていた私を常に視界に入れていた。
そして、一夏にエネルギー砲が撃たれた時、シールドエネルギーの残っていた私が一夏の前に出るべきだった。
そうしていれば、ユラは銀の福音を倒せたはずだった。
私は、ユラの邪魔しかしていなかった。
赤椿があれば、一夏の隣に立てると思った。
赤椿があれば、ユラの役に立てると思った。
でも、結果はどうだろう?
ユラは瀕死の重傷、一夏は自分が原因だと思って塞ぎ込んでしまった。
私は、力を持つべきではないのかもしれない。
どうしても、そう感じてしまう。
砂浜を歩いていた私は、ふと海を見る。
赤椿などという力、捨てた方がいいのではないか?
一度そう思うと、それが最適な答えだと考えてしまう。
赤椿を捨てようとした時、背後に人の気配がした。
振り返ると
「アンタ、いつまで萎んでるつもり?」
「……お前には関係ないだろう」
「鬱陶しいのよ、その反省してますって態度が」
「お前に、何がわかる」
「分かりたかないわね、負け犬の気持ちなんて」
悔しくて、怒鳴りたかった。
でも、凰の言うことは正しい。
所詮私は負け犬だ。
「その諦めた態度もムカつくわ」
「……なら、どうしろと言うんだ」
「ハッ!そんなの自分で考えなさいよ。負け犬のまま地べたを這い蹲ってるのか、それとも!自力で立って、自分の力で進むのか!それはアンタしか選べないのよ!」
眩しかった。
その選択を選ぶことができるであろう、彼女が。
羨ましいとさえ思った。
私は、答えることが出来なかった。
私が何も言わないのを見て凰が何か言おうとした時、オルコットがやってきた。
「凰さん、あまり責めないであげてくださいな」
「セシリア……ふん!」
「篠ノ之さん、私は前、ユラさんに力を手にする条件を教えていただきました」
「……条件?」
気になる。
私はどんな条件で力を手にしたのだろう。
気付いた時には、先を促すように聞き返していた。
「それは、代償です。ユラさんは自由という代償を支払った、と言っていました」
「代償……」
「貴女は何を代償にしたのですか?それを御考えなさい。答えが出たら、ユラさんのいる場所に来てくださいな。今は三時半ですから、四時までには来てください。ではこれで」
オルコットは喚く凰の腕を掴んで、宿へと戻っていく。
オルコットに言われたことを考える。
「……代償、か」
私の支払った代償とは、なんだ?
◇◇◇◇◇
視点・一夏
先ほどまでいた千冬姉は、仕事があると言って部屋を出て行った。
生命維持装置に繋がれたユラが目の前にいる。
これは、俺の甘さの結果だ。
なんとかなる、ユラならなんとかしてくれる、そう思っていた。
「俺はどうしたらいいんだろうな、ユラ」
ユラは、俺の呟きに答えてはくれない。
なんで俺じゃないんだ。
ユラを見ていると、そう思ってしまう。
もしこうなっているのが俺だったら、ユラはすぐに銀の福音をどうにかしようとするだろう。
だが、俺はどうだ?
何時までもユラの前でウジウジと、過去を嘆くだけだ。
俺は、どうしたらいいんだ。
《いつ…で、そう……いる…もりで…か?》
「アリス?」
アリスはユラのISと一緒に壊れたんじゃないのか?
だけど、なんで今アリスが……まさか!?
「ユラなのか!?」
《はや……いった…どう…すか?》
「ユラは、銀の福音と戦えっていうのか?でも、ユラが勝てない相手に、俺が、俺達が勝てるのか?」
無理だ。
絶対に無理だ。
ユラが勝てないのに、そんなの無理だ。
《大丈……わた…も…ならず、行き…すから》
「そんな状態でどうやって!?無理だ!!あんなのに勝てるわけないだろ!!ユラより弱い俺達がどう―――」
《信じて…す。だから、信…てください》
信じてる、その言葉をユラが言った。
アリスを介してだとしても、ユラがそう言った。
あの時、邪魔でしかなかった俺を、信じてくれると。
涙が頬を伝う。
あぁ、やっと怖かったホントの理由が理解できた。
俺は、ユラに嫌われるんじゃないかって、そう思ってたからユラの傍にいようとしていた。
ユラは、こんな状態でも俺のことを理解して、そんな心配無用だって言ってくれたんだ。
「……急いで来ないと、倒しちまうからな」
《はい》
「待ってなんか、やらないぞ」
《はい》
「今度は、俺が守るから」
《えぇ、期待させてもらいます》
それを最後に、明滅していたペンダントが反応を示さなくなる。
ユラの顔を見て、立ち上がる。
この部屋から出る、それをすれば銀の福音との決着をつけるだけだ。
襖の前で一旦止まり、振り返らずに呟く。
「……必ず、来てくれよ」
それだけ言い、部屋から出ていく。
なんとなく、ユラが笑ってくれた気がした。
部屋の外にはセシリア、鈴、シャル、ラウラの四人がいた。
「行くんですのね?準備は出来ていますわ」
「当然、私達も連れて行くわよね?」
「一人でなんて行かせないよ?」
「師匠の分まで、全力を尽くさせてもらう」
「……ありがとう」
なんて言えばいいかわからないからとりあえずお礼言ったけど、なんか背中が痒いな。
笑って誤魔化していたら、箒がやってきた。
そうだ、追い詰められてたのは俺だけじゃないんだ。
「篠ノ之さん、答えは出ましたか?」
答え?何の話だ?
俯いていた箒が顔を上げ、何かを聞いたオルコットに答える。
「私の払った代償など、わからなかった」
「そうですか」
「だからこそ、見つけたい」
「なら、行くしかありませんわね」
「あぁ!」
だ、だから何の話だ?
代償ってなんだ!?
「私の部隊の者に調べさせたが、銀の福音はここから沖合30キロのところで停止しているようだ。ステルスモードだが、光学迷彩は持っていなかったようだな」
「なら、先手必勝だね!」
「追加パッケージは全員インストール済み、何時でも出れるわ!」
「よし!皆、行こう!」
全員で外に出て、ISを起動する。
白式を起動したら、草原にいた。
いや、意味が分からん。
呆然としてると、前の方に騎士の様なIS?を纏った女性と白いワンピースを着た少女がいた。
「汝、力を求めるか?」
ISを纏っている女性が俺に問いかける。
唐突過ぎて一瞬戸惑ったが、しっかりと答える。
「あぁ、力は欲しいな。けど、大した力なんていらない。俺が欲しいのは、仲間を、家族を、大切な人を守る為の力だ。誰かに与えられる力なんていらない。力は、自分で手に入れる」
「なら、迷わず進むがいい」
ISを纏った女性はそれ以降喋ろうとしない。
代わりに、少女の方が俺に近づいて話しかけてくる。
「行くの?」
「あぁ」
「じゃあ、いってらっしゃい」
「……行ってきます」
「ふふ、頑張ってね」
そして、ISを起動する前にいた場所に戻ってきていた。
周りのみんなを見る限り、数秒のことだったのかもしれないな。
不思議なもんだ。
「ん?一夏、ISが……」
「どうした箒?あれ?」
白式が何時の間にか二次移行していた。
どういうことだ?
武装とかスペックが変わっているのを確認し、まあいいかと考えることを放棄する。
「今考えるのは後回しだ!俺達が今するべきことは―――」
「銀の福音の破壊ですわね!」
「福音の撃破ね!」
「福音の排除だよね!」
「銀の福音の撃滅だ!」
「銀の福音を壊すことだな!」
みんなスゲー物騒なんだけど。
ユラに染まってない?
まあ、いいか。
さて、ユラが来る前に終わらせられるかな!
セシリアの存在感である。
どうしてそうなった。
シャルロットがほとんど空気。
なんで?
みんなの気持ちが一つに!
銀の福音逃げてー
次回は~銀の福音第二戦目、なのか?
頑張って書きます!