IS~ただ一発の魔弾として~   作:ディアズ・R

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できたー
今回は別視点のみ。
前にも一回?別視点やったから大丈夫だよね?

こんなキャラじゃねぇ!というのは受け付けません。
ホント、言われてもどうしようもないんで。


第二十話

視点・千冬

 

作戦は失敗した。

銀の福音は現在行方不明。

一夏と篠ノ之箒は現場で何があったのか語ろうとしない。

そして、魅神癒螺は瀕死の重傷。

一夏が魅神を背負って戻って来た時は、その場にいた全員が言葉を失った。

その中には、私も含まれていた。

そんなことがあっても、作戦行動は中止にならない。

現場の状況を考えない上の連中に虫唾が走る。

 

「……」

 

だが、こうなるんじゃないかという、予感はあった。

束に過剰に反応していた。

出撃する時の雰囲気が、どこか変だった。

今までの様な激しさが、一切なかったのだ。

今回の失敗は、私の判断ミスだろう。

あの状態の魅神を送り出した、私の……

 

「……ふぅ」

 

一度深呼吸をする。

目の前にある襖に手をかける。

襖を開けると、座る一夏と眠る魅神が目に入った。

一夏が一度振り返り、また魅神を見つめる。

 

「千冬姉。ユラならまだ起きないよ」

「そうか」

 

それ以降、どちらも喋らない。

こんなこと初めてかもしれない。

私といると何かと世話をしたがる一夏といて、まともに会話が無いのは。

一夏の隣に立つ。

何かを言うべきなのか、何か言うまで待つべきなのか、どうすればいいのかわからないな。

 

「……千冬姉、俺さ、俺」

 

一夏が何かを言おうとする。

私は無言で一夏の言葉を待つ。

 

「怖かった。ユラが刺されて、海に落ちて行ったのに、全然動けなかったんだ。次は、自分が殺されるんじゃないかって、そう思ったら怖かったんだ。ユラを助けないといけないのに、俺……もう、戦えないかもしれない」

「……何故だ?」

「あの時は俺が殺されると思って怖かったんだけど、今は俺が殺す側になるんじゃないかと思って、もっと怖くなった。考えれば考えるほど頭の中がこんがらがってさ。目を瞑ると見えるんだ。俺が、ユラを―――」

「一夏!!」

 

震える一夏を抱きしめる。

止めないと危険だと思った。

最近大きくなっていると思っていた一夏は、今はとても小さく感じた。

今一夏を一人にしたら、戻れなくなる。

そう感じた。

 

「私には、お前がどう感じているのかなんてわからない。そんな風になるお前を、分かりたくない。だが、私はお前のただ一人の姉だ。辛いなら、いつでも泣きつきに来い」

「……俺、何もできなかったんだ……それが、悔しくて……ぅ」

 

押し殺した小さな嗚咽が、室内に響く。

私はただ、大切な弟の頭を優しく撫でてやることしかできなかった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

視点・箒

 

私は、惨めで、無様で、愚かだ。

力に溺れない為に刀を振るってきた。

力の使い方を教えてくれた友もいた。

なのに、力に呑まれ、何もできなかった。

一夏が居なければ、私は道を踏み外していた。

でも、私のミスはそれだけじゃない。

ユラだ。

銀の福音との戦闘中は気付かなかったが、今思い返してみると私と一夏に流れ弾がいかない様に注意しつつ、銀の福音の放ったエネルギー弾を相殺していた。

自由に動いていた私を常に視界に入れていた。

そして、一夏にエネルギー砲が撃たれた時、シールドエネルギーの残っていた私が一夏の前に出るべきだった。

そうしていれば、ユラは銀の福音を倒せたはずだった。

私は、ユラの邪魔しかしていなかった。

赤椿があれば、一夏の隣に立てると思った。

赤椿があれば、ユラの役に立てると思った。

でも、結果はどうだろう?

ユラは瀕死の重傷、一夏は自分が原因だと思って塞ぎ込んでしまった。

私は、力を持つべきではないのかもしれない。

どうしても、そう感じてしまう。

砂浜を歩いていた私は、ふと海を見る。

赤椿などという力、捨てた方がいいのではないか?

一度そう思うと、それが最適な答えだと考えてしまう。

赤椿を捨てようとした時、背後に人の気配がした。

振り返ると(ファン)がいた。

 

「アンタ、いつまで萎んでるつもり?」

「……お前には関係ないだろう」

「鬱陶しいのよ、その反省してますって態度が」

「お前に、何がわかる」

「分かりたかないわね、負け犬の気持ちなんて」

 

悔しくて、怒鳴りたかった。

でも、凰の言うことは正しい。

所詮私は負け犬だ。

 

「その諦めた態度もムカつくわ」

「……なら、どうしろと言うんだ」

「ハッ!そんなの自分で考えなさいよ。負け犬のまま地べたを這い蹲ってるのか、それとも!自力で立って、自分の力で進むのか!それはアンタしか選べないのよ!」

 

眩しかった。

その選択を選ぶことができるであろう、彼女が。

羨ましいとさえ思った。

私は、答えることが出来なかった。

私が何も言わないのを見て凰が何か言おうとした時、オルコットがやってきた。

 

「凰さん、あまり責めないであげてくださいな」

「セシリア……ふん!」

「篠ノ之さん、私は前、ユラさんに力を手にする条件を教えていただきました」

「……条件?」

 

気になる。

私はどんな条件で力を手にしたのだろう。

気付いた時には、先を促すように聞き返していた。

 

「それは、代償です。ユラさんは自由という代償を支払った、と言っていました」

「代償……」

「貴女は何を代償にしたのですか?それを御考えなさい。答えが出たら、ユラさんのいる場所に来てくださいな。今は三時半ですから、四時までには来てください。ではこれで」

 

オルコットは喚く凰の腕を掴んで、宿へと戻っていく。

オルコットに言われたことを考える。

 

「……代償、か」

 

私の支払った代償とは、なんだ?

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

視点・一夏

 

先ほどまでいた千冬姉は、仕事があると言って部屋を出て行った。

生命維持装置に繋がれたユラが目の前にいる。

これは、俺の甘さの結果だ。

なんとかなる、ユラならなんとかしてくれる、そう思っていた。

 

「俺はどうしたらいいんだろうな、ユラ」

 

ユラは、俺の呟きに答えてはくれない。

なんで俺じゃないんだ。

ユラを見ていると、そう思ってしまう。

もしこうなっているのが俺だったら、ユラはすぐに銀の福音をどうにかしようとするだろう。

だが、俺はどうだ?

何時までもユラの前でウジウジと、過去を嘆くだけだ。

俺は、どうしたらいいんだ。

 

《いつ…で、そう……いる…もりで…か?》

「アリス?」

 

アリスはユラのISと一緒に壊れたんじゃないのか?

だけど、なんで今アリスが……まさか!?

 

「ユラなのか!?」

《はや……いった…どう…すか?》

「ユラは、銀の福音と戦えっていうのか?でも、ユラが勝てない相手に、俺が、俺達が勝てるのか?」

 

無理だ。

絶対に無理だ。

ユラが勝てないのに、そんなの無理だ。

 

《大丈……わた…も…ならず、行き…すから》

「そんな状態でどうやって!?無理だ!!あんなのに勝てるわけないだろ!!ユラより弱い俺達がどう―――」

《信じて…す。だから、信…てください》

 

信じてる、その言葉をユラが言った。

アリスを介してだとしても、ユラがそう言った。

あの時、邪魔でしかなかった俺を、信じてくれると。

涙が頬を伝う。

あぁ、やっと怖かったホントの理由が理解できた。

俺は、ユラに嫌われるんじゃないかって、そう思ってたからユラの傍にいようとしていた。

ユラは、こんな状態でも俺のことを理解して、そんな心配無用だって言ってくれたんだ。

 

「……急いで来ないと、倒しちまうからな」

《はい》

「待ってなんか、やらないぞ」

《はい》

「今度は、俺が守るから」

《えぇ、期待させてもらいます》

 

それを最後に、明滅していたペンダントが反応を示さなくなる。

ユラの顔を見て、立ち上がる。

この部屋から出る、それをすれば銀の福音との決着をつけるだけだ。

襖の前で一旦止まり、振り返らずに呟く。

 

「……必ず、来てくれよ」

 

それだけ言い、部屋から出ていく。

なんとなく、ユラが笑ってくれた気がした。

部屋の外にはセシリア、鈴、シャル、ラウラの四人がいた。

 

「行くんですのね?準備は出来ていますわ」

「当然、私達も連れて行くわよね?」

「一人でなんて行かせないよ?」

「師匠の分まで、全力を尽くさせてもらう」

「……ありがとう」

 

なんて言えばいいかわからないからとりあえずお礼言ったけど、なんか背中が痒いな。

笑って誤魔化していたら、箒がやってきた。

そうだ、追い詰められてたのは俺だけじゃないんだ。

 

「篠ノ之さん、答えは出ましたか?」

 

答え?何の話だ?

俯いていた箒が顔を上げ、何かを聞いたオルコットに答える。

 

「私の払った代償など、わからなかった」

「そうですか」

「だからこそ、見つけたい」

「なら、行くしかありませんわね」

「あぁ!」

 

だ、だから何の話だ?

代償ってなんだ!?

 

「私の部隊の者に調べさせたが、銀の福音はここから沖合30キロのところで停止しているようだ。ステルスモードだが、光学迷彩は持っていなかったようだな」

「なら、先手必勝だね!」

「追加パッケージは全員インストール済み、何時でも出れるわ!」

「よし!皆、行こう!」

 

全員で外に出て、ISを起動する。

白式を起動したら、草原にいた。

いや、意味が分からん。

呆然としてると、前の方に騎士の様なIS?を纏った女性と白いワンピースを着た少女がいた。

 

「汝、力を求めるか?」

 

ISを纏っている女性が俺に問いかける。

唐突過ぎて一瞬戸惑ったが、しっかりと答える。

 

「あぁ、力は欲しいな。けど、大した力なんていらない。俺が欲しいのは、仲間を、家族を、大切な人を守る為の力だ。誰かに与えられる力なんていらない。力は、自分で手に入れる」

「なら、迷わず進むがいい」

 

ISを纏った女性はそれ以降喋ろうとしない。

代わりに、少女の方が俺に近づいて話しかけてくる。

 

「行くの?」

「あぁ」

「じゃあ、いってらっしゃい」

「……行ってきます」

「ふふ、頑張ってね」

 

そして、ISを起動する前にいた場所に戻ってきていた。

周りのみんなを見る限り、数秒のことだったのかもしれないな。

不思議なもんだ。

 

「ん?一夏、ISが……」

「どうした箒?あれ?」

 

白式が何時の間にか二次移行していた。

どういうことだ?

武装とかスペックが変わっているのを確認し、まあいいかと考えることを放棄する。

 

「今考えるのは後回しだ!俺達が今するべきことは―――」

「銀の福音の破壊ですわね!」

「福音の撃破ね!」

「福音の排除だよね!」

「銀の福音の撃滅だ!」

「銀の福音を壊すことだな!」

 

みんなスゲー物騒なんだけど。

ユラに染まってない?

まあ、いいか。

さて、ユラが来る前に終わらせられるかな!




セシリアの存在感である。
どうしてそうなった。
シャルロットがほとんど空気。
なんで?
みんなの気持ちが一つに!
銀の福音逃げてー

次回は~銀の福音第二戦目、なのか?
頑張って書きます!
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