IS~ただ一発の魔弾として~   作:ディアズ・R

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遅くなってごめんなさい。
こんな感じになりました。


第二十一話

私はどこまでも墓石だけが並ぶ墓場を歩いている。

途中、負け犬モード全開な一なつ君が映った墓石があったので、いろいろ言ってみた。

届いたかどうかはわからないが、ちょっとはマシになっていたと思う。

さて、私は何時出れるんでしょうね。

何時までも同じ風景の中を歩き続けるのは、精神的に疲れます。

どうしたもんかと思っていると、景色が一瞬のうちに変化し、見慣れた一室になった。

そこは、我が家の自室。

特に目立つもののない、シンプルな部屋。

そんな部屋の机の上に、一つの写真立てが置いてあった。

その中に入っている写真には、私と同じ顔の少女が二人並んでいた。

写真を無表情に見る。

どのくらいそうしていたか、正直覚えていない。

振り返ると写真の少女二人がそこにいた。

だが、幻なのかこちらには一切の反応を示さない。

 

「ねぇ、■■」

「なぁに、■■」

「私ね、■■のこと大好きだよ♪」

「私だって、■■のことだ大好きだよ♪」

「「えへへ~」」

 

名前の所だけが聞き取れない。

きっと、私が思い出したくないのだ。

だけど、これは忘れないといけない記憶。

景色がまた変わり、どこかの実験場。

 

「これが、私のIS……」

「私にはないのに……」

「ふふ、■■はやきもちやさんね?可愛いんだから♪」

「もう!誤魔化さないでよ■■!怒るよ!」

「大丈夫、私はどこにも行かないわ」

「……そんなの、知ってるよ」

 

第一世代時の初期型の殲滅女神(イセリア・クイーン)を前に、二人の少女が抱き合う。

とても仲が良く、まるで恋人同士の様な二人の少女。

また景色が変化する。

どこかの研究室。

 

「■■が代表候補生になんてならなくていいじゃない!」

「もう■■ったら、なんでそんなに怒ってるの?可愛い顔が台無しよ?」

「ふんだ!■■なんか大っ嫌い!!」

「まあ、酷いわ■■。私のことが嫌いになってしまったの?シクシク」

「■■なんか、勝手にどこへでも行っちゃえばいいじゃない!バカ!!」

「あ……私だって、■■と離れたくないのよ……バカ」

 

景色がさらに変わり、どこかの公園のベンチに二人の少女が座っている。

 

「■■、私は待たないから!」

「えっと■■、それはどういう意味かしら?」

「私は、■■のIS整備士になるわ!」

「まぁ……■■ったら、そんなに私と一緒にいたの?」

「だ、だったら■■は一緒にいたくないっていうの!?」

「ふふ、そんなわけないでしょ?貴女に子供っぽいところを見せたくないだけよ。■■は子供っぽくて可愛い♪」

「もう!からかわないでよ!」

 

景色が変わり、雨の降る墓場となる。

いるのは、一人の少女のみ。

知ってる。

この景色を、この瞬間を、この記憶を……忘れたくても、忘れられない記憶。

 

「……どうして、一人にするの?」

 

少女が呟く。

少女の隣に立ち、聞こえると確信して声をかける。

 

「後悔してますか」

 

その質問は、疑問ではなく確認。

答えの決まっている質問。

 

「これは、■■の選んだ未来。私が後悔するのは、■■の選択を否定することになる」

「ですね」

「ねぇ、貴女は幸せ?」

「さぁ?」

「そう、分からないのね」

「えぇ」

「貴女は、ここにいるべきなの?」

「……いいえ。私には、帰る場所ができましたから」

「そうなの、羨ましいわ……私にはもう、無いわ」

「貴女にもできますよ」

「ホント?」

「もちろんです」

「……よかった」

「じゃあ、私はもう行きます」

「そのままで大丈夫?」

「ダメですね。だから、力を貸してもらえますか?」

「ふふ……えぇ、いくらでも。私の可愛い■■」

「……今でも愛してるわ、■■」

 

私は、少女の頬を撫でる。

触れた私の手に、少女の涙が伝った。

そして視界が光に呑まれ、意識が暗転した。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

閉じていた瞼を開くと、見知らぬ天井が目に入った。

自分の身体に、管がたくさん付いてる。

ゆっくりと体を起こし、管を外して生命維持装置の電源を切る。

包帯を解いてお腹を確認する。

予想通り、傷一つ無い(・・・・・)綺麗な肌だった。

立ち上がると軽い貧血でフラッとしたが、何とか倒れないで済んだ。

軽く動いて身体をほぐして、窓から海を見る。

潮風がとても気持ちいい。

 

「アリス」

《はい…スター》

「少し壊れてるみたいですね。ちょっと待っててください」

 

首にかけっぱなしだったISの待機形態であるペンダントを少し弄る。

ISの欠損はすでに再生(・・)し終わっている。

十数秒でアリスの不調を修復した。

 

「どうですか?」

《自己スキャンしましたが、問題ありません》

「それはよかったです」

 

そして、海と空を見つめ一度深呼吸をする。

眼を閉じ、数秒してから開く。

 

「行きましょうか」

《了解です、マスター》

 

私は窓から外へと飛び出した。

もう、立ち止まらないと決めたのだ。

揺るぎない決意と懐かしい記憶と共に、殲滅女神(イセリア・クイーン)は空へと舞いあがる。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

視点・箒

 

今のままいけば福音を倒せる、そう思えた。

私と一夏が近接戦、凰が近距離と中距離からの撹乱、デュノアが防御、オルコットとボーデヴィッヒが遠距離からの攻撃。

しっかりとそれぞれの役割を把握し、福音のシールドエネルギーを削っていっている。

一夏のIS白式のシールドエネルギーが切れかけた時には、私のIS紅椿の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)絢爛舞踏(けんらんぶとう)が発動し、シールドエネルギーを回復したりもした。

だけど、嫌な予感がする。

だが、ここでやめるわけにはいかない!!

 

「箒!一気に終わらせるぞ!!」

「了解だ!!」

 

一夏と一緒に左右から斬りかかる。

福音は避けようとしたが、避けるべき場所にオルコットの援護射撃が入り、福音は回避行動をやめてすぐさま両手のエネルギーブレードで防御態勢をとる。

私の斬撃は防がれたが、一夏の方は零落白夜(れいらくびゃくや)の効果でエネルギーブレードを消し去り、本体に当てることが出来たようだ。

完全に福音の体を斬り裂いた。

海へと落下して水柱を立てる。

 

「やったか?」

「……まだ、みたいだね」

「どんだけよ、あのIS」

 

ボーデヴィッヒ、デュノア、凰の三人の声をハイパーセンサーが拾った。

だが、それを気にする余裕が無かった。

ISが異常なエネルギーの増大を感知し、それは今福音が落ちた場所から出ていた。

ゆっくりと浮上して来る福音。

その背にはエネルギーで出来た巨大な光の翼があった。

 

「ワンオフ……アビリティー」

 

そう呟いたのは自分だったかもしれないし、他の誰かだったかもしれない。

でも、そんなことなどどうでもよかった。

この場でただ一つわかることは、福音から感知できるエネルギー量が先ほどの倍以上となっていることだった。

あの翼が私達の使ったエネルギーを吸収したとのだと、ISの情報からぼんやりと理解できた。

勝てない、負ける、殺される、その言葉が頭の中でぐるぐる回る。

初めて知った感覚。

そう、これが死への恐怖。

一夏は前回の戦いでそれを経験したからか、緊張しながらも油断なく構えている。

他の者達も代表候補生としてなのか、何時でも攻撃できるようにしている。

私だけだった。

私だけが、怯えているのだ。

どれだけ心を強く持とうとしても、すぐに決壊する。

弱い自分が悔しくて、涙が溢れてくる。

身体は僅かに震えるだけで、どれだけ動こうとしても動かない。

微動だにしなかった福音が僅かに動いたと思ったら、次の瞬間にはオルコットの目の前に浮かんでいた。

 

「え?」

 

オルコットの小さな声が耳に聞こえると同時に、福音がエネルギー翼でオルコットを叩き落とした。

エネルギー翼がぶつかると同時にエネルギー弾が射出されているようで、オルコットのISのシールドエネルギーが削られていく。

それどころか、今まで以上のエネルギー弾の威力でオルコットのISの装甲が破壊されているように見えた。

エネルギー弾に当たりながら海へと落ちたので、どうなったのかが分からない。

 

「セシリア!!」

 

一夏の叫びが空に響く。

その叫びが聞こえたからなのか、福音が一夏の方を向いた。

デュノアと凰が一夏の方へ、ボーデヴィッヒが福音の方へ向かう。

この時、どうなるかがわかってしまった。

ボーデヴィッヒがオルコットと同じようにされ、デュノアと凰が斬られ、一夏が貫かれて殺されることが、分かってしまった。

その結果を変えられるのは、私だけだ。

このまま黙って見ているのか?

肝心な時に動けない弱さを抱えたままでいいのか?

仲間が、好きな者が、大切な友が目覚めなくなっていいのか?

今私はどうしたらいい?どうすればいい?

ゆっくりと動く世界で、ぐるぐると考える。

何度も何度も何度も何度も何度も考える。

そして、オルコットに言われたことを思い出した。

ユラの言っていた力を手にする条件、それは代償だと。

それを思い出し、自分の代償を考えた途端、フッと身体が軽くなる。

固まっていた身体が唐突にほぐれたような、不思議な感覚。

私が力を手に入れ支払った、支払うべき代償。

弱さと愚かさを持った私の代償、それは心の強さ。

力に溺れない、強固な意志。

私は力を手にし、それを失っていた。

だけど!

 

「今は違う!!」

 

今なら使えると直感で理解し、瞬時加速(イグニッション・ブースト)でボーデヴィッヒが叩き落とされる前に福音に空裂(からわれ)で斬りかかる。

福音は片手のエネルギーブレードで防ぐ。

防がれることは分かっていたので、雨月(あまづき)を福音に突き出す。

雨月が福音に触れる前に、福音の光の翼で吹き飛ばされる。

シールドエネルギーをかなりもっていかれたが、数秒の足止め中にオルコットがボロボロになりながらも海から浮上していた。

ボーデヴィッヒは私の行動を見て、一旦一夏達の方へ戻ったようだった。

私も一夏達の方へ行き、秘匿通信を開く。

 

「全員まだいけるか?」

「俺はまだ大丈夫だけど、数回の攻撃が限度かも」

「誰に言っている?」

「まだまだ余裕よ!」

「あんまり長引くと厳しいかも……」

「私も、まだ……やれますわ!」

 

全員の返事を聞いて、すぐに考える。

体力はまだまだ余裕があるが、ISのシールドエネルギーが限界。

福音を一撃で仕留められるのは、一夏のみ。

福音は攻撃防御に使用可能な単一仕様能力。

しかも、エネルギー兵装を使えば使うほど福音の単一仕様能力を強化することになっている。

せめてラウラが、ユラとの戦いの時の様に二次移行してくれれば……いや、無い物ねだりは時間の無駄だ。

今どうすべきかを考えろ!

 

「こちらはシールドエネルギーが限界に近い……だから、一夏以外の全員での一斉攻撃で目晦ましをして、一夏が一撃で沈める。それしかない」

「あまり話してる時間はなさそうだし、それでいこう!!」

 

私の作戦に一夏が賛同し、他の皆も静かに頷く。

まともに配置も動きも決めていない、穴だらけの作戦。

私の様な素人が考えるより、他の者が考える作戦の方が良いに決まってるのに、皆が私を支持してくれている。

この時初めて、仲間になれた気がした。

口元がにやけてしまっているのがわかる。

誰かに認めてもらう、それがこんなに嬉しいことだと気が付けた。

 

「もう、負けられないな……」

 

ユラ……今の私を見て、なんと言ってくれる?

福音を倒したら、ちょっと欲張りたいな!!

福音が光の翼を広げて高速で距離を詰める。

合図はいらない。

全員が何をすべきなのか、理解しているから。

だから私は、ただ攻撃あるのみ!!

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

視点・???

 

「サブターゲット単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)零落白夜(れいらくびゃくや)を確認。メインターゲット無限機関(インフィニット・コア)は確認不可」

《……一時帰投を命令する》

「了解」

《ふふ、早く会いたいな魅神君……》




最後の?さんはオリジナル展開用の布石でしかありません。
次回で海はラスト予定です。
ユラちゃんの弾幕チートがどんな風になるかな?
いろいろ考えて書くのって大変ですわ。
とりあえず、次回は11月ぐらいには投稿できるように頑張ります!
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