IS~ただ一発の魔弾として~   作:ディアズ・R

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やっとこさ完成したった。
主人公がちょいと強すぎる気がするじぇ。
そして後半、よくわからなくなった。
どうしてこうなったんだろう?

とりあえず、原作四巻?までが終わったのかな?
うん、本編どうぞ~


第二十二話

視点・一夏

 

箒の動きがかなり良くなってから、ある問題に直面した。

福音が単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を使いこなし始めているのだ。

光の翼から羽の様なエネルギーを散布し始めた。

この羽に触れると、シールドエネルギーを吸収される。

残念なことに、俺が当たって実証済みだ。

羽に吸収されたエネルギーは、福音の光の翼に触れると福音のエネルギーとなるようだ。

ISが触れる以外にも、エネルギー兵器の攻撃ですら吸収してみせる。

セシリアと近接主体の俺と箒が、まともに攻撃できなくなっている状況だ。

しかも今この時に至っては、光の翼で全身を覆い何かの準備をしているのだ。

接近は出来ず、エネルギー系の攻撃は光の翼で遮られる。

唯一の頼みの綱であるシャルの武器の弾薬も、すでに底を尽きかけている。

俺達全員に焦りが生まれ始める。

長引けば長引くほどこちらが圧倒的にフリとなる。

そして、そんな焦りが決定的な隙をつくってしまう。

 

「一夏!」

「バカ!後ろ!」

 

箒と鈴の叫び声に反応して、俺は後ろを向く。

ゼロ距離で福音と顔を合わせる。

 

「へ?ガッ!?」

 

絶対防御を貫通して、俺の頭部を光の翼で殴りつける福音。

視界がチカチカして、箒達の声が右から左へ流れていく。

上手く飛ぶことに集中できず、海に向かって落ちていく。

クソ……なんで俺って奴は、こう簡単に油断しちまうんだ。

海面がすぐ傍まで迫ってきている。

口中の血の味が濃く感じる。

やっぱ、ダメなのかな……ユラがいないと、俺じゃ、俺達じゃ、勝てないのかな。

 

「ユラ……俺は……」

 

ふと、初めて白式に乗った時のことを思い出した。

あの時、ユラはなんて言ってたっけ?

……そうだ、『最後まで、諦めなければ何とかなりますよ』だ。

最後まで……そうだ……最後まで、諦めるな。

ユラにとっての最後は、死ぬ時だと思う。

なら、俺にとっての最後は何時だ?

俺は、まだ死んでない。

だったら、諦めるのはまだ早いだろ!!

 

「ぐっこ、のぉぉぉぉぉ!!!」

 

海面スレスレで、ギリギリ浮遊で来た。

俺は上空にいる福音目掛けて、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で突っ込む。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

残っていた全エネルギーを零落白夜(れいらくびゃくや)に注ぎ込む。

擦れ違い様に、福音へ一閃。

 

「浅い!?」

 

絶対防御ごと装甲を切り裂いたが、福音のシールドエネルギーを削り切ることが出来なかったようだ。

しかし、切り裂かれた装甲から操縦者の肌が見れる。

右肩から左腰までの前面だけだが、もう一度出来れば操縦者を出すことができるかもしれない。

でも、白式のエネルギー残量は、ゼロである。

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!?」

 

ISの展開が解除され、落下する。

落ちている最中に福音がこちらを見るのが、視界に入った。

あれ、ヤバくね?

そう思った時には、福音が俺に向かって砲撃してきた。

これは当たったわ。

視界を砲撃の光が眩ませて、目が閉じる。

目を閉じてすぐ、誰かに抱きとめられる。

恐る恐る目を開けると、シールドを構えたシャルが目の前におり、箒が俺を抱えていた。

なんか、騎士二人に守ってもらってる姫みたいな絵面な気がするんだけど。

 

「た、助かった……ありがとな、箒、シャル」

「どういたしまして♪」

「別に……ISは展開できるか?赤椿の単一仕様能力である程度は回復しているはずだが」

「ん?おぉ!展開できる!」

 

白式を展開し、箒から離れる。

IS起動しながらとはいえ、女子にくっ付きっ放しは拙いからな!

特に箒みたいなスタイルの良い女子は尚更だ!

なんだろう、若干みんなからの視線が冷たい。

 

「と、とにかく!これからどうする?勝てる気がしないんだけど」

「僕の方も弾切れだよ」

「アタシの方はエネルギーがもう無いわ」

「私はまだ余裕がありますが、攻撃手段が無効化されてしまいます」

「接近戦ならできるが、近づけん」

「……エネルギーはあるが、技量不足だ。まともに対抗できるとは思えない」

 

これ詰んでね?

でもなんだろう、さっきまでは結構ヤバい感じだったんだけど、今は何とかなる気がするんだよな。

俺の周りに集まって来た皆の顔を見て見ると、さっきまでの険しい表情がなりを潜めてよく見る何時もの表情に戻っていた。

なんでだ?

皆に声を掛けようとしたら、福音がエネルギーブレイドを出して突撃してきた。

避けたり、防いだり、何かしら行動しないといけないんだけど、なんでか動かない方が良い気がした。

 

《バァン♪》

 

そんな通信が聞こえて、次の瞬間には福音の頭部が爆ぜた。

装甲が焦げ付いているが、大したダメージでは無かったようだ。

福音は攻撃された方を向く。

 

《バァン♪》

 

福音の背中が爆ぜる。

先ほどと同じように装甲が焦げ付く。

福音が前と後ろを交互に見て、空中を高速で動き回る。

 

《バァン♪バァン♪バァン♪》

 

高速で動き回る福音を外すことなく、三連続で撃ち抜く。

こんなことできるの、一人しか知らないんだけど。

 

「ロックオンしてない?ということは……」

「目視で狙撃しているのか?流石としか言えないな」

「やっぱ化物ね。千冬さんと同じ化物よ」

「あの速度で動いているのに、あっさりと当てるなんて……教えて貰うことを増やさなくてはなりませんね!」

「やっぱり、勝てないな……」

 

どうやら、全員同一人物を思い浮かべたらしい。

そして、その人物は赤黒い四対八枚の()を広げてやってきた。

そう、機械翼ではなく物語の天使などと同じような翼が、その背中から生えていた。

機械らしさが大分減ったその姿は、まさしく血に染まった女神……殲滅女神(イセリア・クイーン)

 

「は、はは……ちょっと遅かったんじゃないか、ユラ?」

「フフ、ごめんなさいね、ちょっと鳥の渋滞に巻き込まれちゃって♪」

 

誰よりも強く、誰よりも優しく、誰よりも美しく、誰よりも残酷な女神様(ユラ)の登場だった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

高速飛行しながら五回ほど銀の福音を狙撃し、一夏達の近くで停止する。

今の私は、最高の状態だ。

出来ないことなど存在しない、そんな全能感にすら包まれてる。

だから、今私にはしたいことがあるのだ。

 

「あなた達、絶対に動かないでね?動くと大変なことになるからね♪」

『はい!わかりました!』

「素直でよろしい♪」

 

忠告はしたので、後は全力で楽しむ(・・・)だけ。

銀の福音へ身体を向かせ、両手を広げる。

 

「さぁ、始めましょう!私と貴女の、最高の舞台を!!」

《コード・セレスティアル・スター》

 

アリスの声が引き金を引く。

 

「私は魔弾、ただ一発の魔弾」

 

私の周囲にあらゆる兵装が展開されていく。

10ではない、100でもない、1000でもない……

 

「一発からなる、無限の銃撃」

 

壁の様に展開する一万以上の兵装。

コード・セレスティアル・スター限定の武装達。

先ほど使っていた狙撃銃の砲身に舌を這わせる。

透明な糸が舌と砲身を繋げる。

 

「うふふ……貴女は、何回イッてくれるのかしら♪」

 

展開された兵装からミサイルが、弾丸が、グレネードが、一斉に放たれた。

耳が壊れるんじゃないかと思うほどの轟音の中、銀の福音は光の翼で防いだりエネルギー弾をばら撒いて相殺したりするが、捌き切れなかった弾丸が装甲を削る。

だが、この程度は前菜に過ぎない。

メインディッシュが残っているのだ。

砲撃を止め、私の斜め下にいる銀の福音を見下ろす。

 

「貴女の翼、どのぐらいで折れるのかしら?試しても、良いわよね♪」

 

空から光が落ち、銀の福音呑み込んだ。

このコードの真価たる軌道衛生上からのエネルギー砲撃。

どれだけ頑張っても、戦闘中のチャージには一日かかる攻撃だが、今回は戦闘外で十分時間があったのですぐに放てた。

指定した約一キロ全域を範囲とする特大砲撃。

最大で五基同時砲撃が可能だが、今回は小さいの一体なので一基だけだ。

砲撃が止むと、巨大化した光の翼を広げる銀の福音がいた。

 

「いい、すごくいいわ……貴女のその力、貴女の本気、貴女の全て、私に見せて頂戴……ふふ、あはは、アッハッハッハ!!」

 

もう無意味な小細工は無用。

私は右手にショットガンを、左手に剣を持って、赤黒い翼を広げ銀の福音へ。

銀の福音は両手にエネルギーブレードを展開し、光の翼を広げ私へ。

ぶつかり合うが、ショットガンは断ち切られ、剣は溶かされてしまう。

エネルギーブレードは、そのまま私の両肩を切り裂こうとする。

私は嗤いながらそれを受け、肩を焼かれる。

しかし、血は出るが一センチほどでエネルギーブレードが動かなくなる。

 

「あぁ!痛い痛い痛い、とっても痛いわ!……ふふふ、とっても痛くて、とっても、気持ち良い♪」

 

銀の福音の顔と私の顔が数センチの距離になる。

私は楽しくて嗤う。

露わになっている肌を指でなぞる。

 

「ねぇ、貴女は何に恐怖する?死ぬことに恐怖しているの?なら安心していいわ。絶対に殺さないから。絶対に死なせないから。そう、ただ、私との逢瀬をしてくれるだけで、それだけで十分なの♪」

 

銀の福音の口元をゆっくりと舐める。

銀の福音が何故何もしないのかそれは分からないが、むしろその反応がこれからすることに対してとてもワクワクさせる。

私の身体が熱く火照っていく。

 

もっと痛みを……

 

もっと熱を……

 

もっと快楽を……

 

もっと愛を……

 

モット深淵ヲ……

 

「貴女の全てを私に見せて……貴女の正義も悪も光も闇も生も死も希望も絶望もありとあらゆるモノを私に見せて……代わりに―――」

 

私は自分の太腿から胸までを撫で、僅かに首を傾げながら妖しく嗤う。

本人からすればごく自然な行動だが、他者から見れば危険だと分かっていながらも妖艶さで魅了する、そんな行動。

 

「―――私の全てを見せてあげる♪」

 

銀の福音は弾かれるように私から距離をとる。

良い反応だけど、間違った選択をした。

今の一瞬で、私の首を落とさなかったことが間違い。

これは()し合いであって、戦いではない。

そう、私はただ()するだけ。

 

「アハ♪沢山()してあげるわ♪さぁさぁ♪貴女の最高の喘ぎ声(絶望の叫び声)を、私に聴かせて頂戴♪その旋律が、私を絶頂へと向かわせるのよ♪」

《コード・流星群》

 

そして、上空の雲を貫いて現れるミサイル群。

落ちてくるのは、殲滅女神を整備しているお抱えの整備士兼研究者が面白半分に作った対艦ミサイル。

一発である程度の大きさの島を消し去る威力を持っている。

そんな対艦ミサイルが、空を埋め尽くすほど降り注ぐ。

それが、コード・流星群。

説明から分かる通り、危険すぎるので三次移行の状態で一定以上のダメージを負って初めて使用できるようになる設定だ。

なので、さっきの両肩は私がただのマゾという訳ではないのだ。

理由のあるマゾである。

楽しんではいたので、マゾには違いないが。

 

「うふふ……」

 

銀の福音は光の翼やエネルギー弾で相殺しようとするが、破壊した数よりも増える速度の方が早い。

 

「ハハハ……」

 

銀の福音は次第に捌き切れなくなり、一発当たってしまう。

 

「アハハハハ……」

 

そこから連鎖的に当たる数が増えていき、爆発音が絶え間無く響く。

 

「アッハッハッハッハッハ!!」

 

私の鼓膜に悲鳴が聞こえた。

それは操者のモノか、それとも銀の福音のモノか。

 

私は嗤う。

 

楽しそうに嗤う。

 

壊れたように嗤い続ける。

 

そして、爆発が止めて嗤うのをやめる。

微笑みながら、爆煙を見つめる。

爆煙が消え、そこには黒焦げでボロボロの銀の福音がいた。

輝く銀色は今は無く、ただ汚れの様な黒が染め上げていた。

光の翼は、大鷲の翼が小鳥の翼になったかのような、弱々しく小さな翼へと変わっていた。

動こうとしているが、無理に動けば操者が死んでしまうからなのか、まったく動く気配がなくその場で停止している。

私はゆっくりと近づき、銀の福音の前で止まる。

 

「先にイっちゃったの?残念、私はまだイケてないのに……でも、とっても楽しかったわ♪」

 

装甲が砕けて露わになっている、銀の福音操者の頬を撫でる。

 

「また、()し合いましょうね♪最初から全力で、壊れるぐらい激しく、狂うぐらいマニアックに、ね♪」

 

ハンドガン型の対近距離武装・山猫の銃口を銀の福音の額に当てる。

あっさりとその引き金を引き、一発の銃声が空に響き渡った。

その銃声を合図に、【福音事件】は終了したのだった。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

目覚めるとバスの中にいた。

ボーっとする頭で思い出そうとする。

そう、確か銀の福音を倒して旅館に戻って、私は気絶したんだった。

血が足りなさ過ぎてね。

まあ、お腹に穴開いて海に落ちて両肩も斬られたんですから、当然と言えば当然ですかね?

ぼんやりとしてたら、隣のいっちゃんが声をかけてきた。

 

「ユラ!?起きて大丈夫か?辛くないか?旅館に戻ってからずっと意識を失ってて、みんな心配したんだぞ?」

 

いっちーをジッと見ていると、口元にピーナッツクリームが付いていた。

 

「そうだ!起きたらお腹空いてると思って、ピーナッツクリームのランチパックを買って、むぐ!?」

 

今もまだ血が足りない。

頭の中がボヤッとしている。

お腹空いた。

好物が目の前の口元に。

つまり、ディープなキッスしてます。

 

「一夏、さっきから喋ってるけど、ユラちゃん起き、た……」

「師匠が目覚めたの、か……」

「さっきから後ろで何を騒い、で……」

「箒さん?何かありまし、た……」

 

どうやら前の席にはモッピーとセシルさん、後ろの席にはラウィーさんとシャナさんが座っていたらしく、席から乗り出してこちらを見ていた。

そして固まる一同。

いっくんの口の中に残っているピーナッツクリームを、舌で味わう。

十秒ほどその状態で、満足した後はおりむーの口元を舐める。

離れた後、ボーっと口元を見つめてから、一旦バスの外に出ることにした。

後ろから罵声やら悲鳴が聞こえたけど、特に気にしない。

まだ旅館の駐車場らしく、バスの外では織斑先生が何やら話し合っていた。

 

「……ん?魅神か。いろいろ言いたいことはあるが、それは学園に戻ってからにするつもりだ。とりあえず、無事で何よりだ」

「……どうも」

「バスの中が騒がしいが、何かあったか?」

「さぁ?」

「そうか……少し見てくる」

 

そう言って、織斑先生はバスの中へ入って行った。

なんか、頭の中が空っぽな感じがする。

そのまま海を眺めていると、美人がやってくる。

 

「ハロー♪貴女が魅神癒螺(みかみ ゆら)でいいかしら?」

「……どちら様ですか?」

「あら、私とあの子のことを滅茶苦茶にしてくれたのに、分からないの?まあ、今あの子はいないんだけどね。私はナターシャ・ファイルス。アメリカのISテスト操縦者よ」

「ですか」

「あの時と違って全然元気無いわね、大丈夫?」

 

結局この人は、何がしたいのでしょう?

あんまり頭が回らないので、とっとと要件を言ってほしいですね。

 

「んっふふ♪あの子を止めてくれたことと、あの子を愛してくれたことのお礼をさせて欲しいの♪」

「別にいら、んむ!?」

 

三秒ほどの接吻。

何故、私はキスされてるのでしょう?

 

「ん……フフ♪どうやら貴女に惚れちゃったみたいなの♪あの子がまた飛べるようになったら、()し合いましょう♪」

「……えぇ、何時かまた、()し合える日を楽しみにしてるわ♪」

「それじゃあね♪」

 

なっちゃんは手を振りながら、去って行った。

私は空を見上げて、呟く。

 

「私、笑えてますか……■■」

 

誰の名を呟いたのか、それは分からない。

ただ、その名がとても大切な者の名だということは確かだ。

潮風に髪を揺らしながら、バスへと戻っていく。

今の、自分の居場所へと、戻っていく。

 

「さて、お腹空きました」




ユラの行動に意味を求めないでください。
何も考えてないので。

ナターシャさんは何かに目覚めたわけじゃないです。
たぶん。

ユラが意識を失っているときにあったこと、つまり原作みたいなエピローグ部分のやつが見たい人が一人でもいるなら、頑張って活動報告の方に投稿します。
こっちには投稿しないので、あしからず!

何か疑問や質問、誤字報告や脱字報告などありましたら、オブラートに包んで感想下さいな。
ユラちゃんにペロペロしてほしい!などでも問題ないデス。
ではでは!
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