ヱヴァンゲリヲン異聞譚   作:沖田十三郎

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序 3

●S‐8 神奈川県 足柄下群 旧箱根町付近 タバコ屋前

 ―――轟音が空から突然落ちてきた。

 どうやらミサイルは当たったらしいのだが、あまり効果がなかったのだろう。いや、効果はあったのか。

 だから黒の巨影は反撃と言う反応を持って応えた。そういう事だろう。

 だから、小ぶりなビルヂングの如き塊が空から落ちてきたのだ。

 ―――と言うか、ヘリコプターじゃなかったのか。

 何だこれ。オスプレイ?いや、あれはたしかジャイロ式だった筈だが。

 ともあれ。

「これは少々まずいかな?」

 

●S‐9 神奈川県 足柄下群 旧箱根町付近 タバコ屋までもう少し

 焦りが運転技術(ドライビング・テクニック)に影響するような無様は晒さない。晒さないんだけど、さ。これはやっぱり

「まっずいわぁー!!」

 頭の上で戦闘(ドンパチ)やってるのもそうだけど、問題はそれが落ちてきて、それが彼の近くだっていうのがヤバい。

 頑張れ愛車(アルピーヌ)!!

 

●S‐10 神奈川県 足柄下群 旧箱根町付近 タバコ屋前

 が、運よく壊れた破片は僕に当たらず四散した。

 いやはや。

 こんな素晴らしいスペクタクル、始まってすぐに退場ではもったいないにもほどがある。

 自分の運勢にはとっくの昔に見切りをつけていたつもりだったんだが、これは悪い事をしたかもしれない。

 

 ―――珍しく僕の脳みそはドーパミンをドバドバと精製し、そして僕はそれに影響を与えられまくっている。

 やばいね。

 楽しい。

 やっふーーー!

 

 すると今度は音と光が降ってきた。

 コォォォォォォォォォーと云うか、フォォォォォォォォォォォというか。

 光は黄金色だった。

 やはり凄まじい風が吹雪いていて、瞬間、足の裏から(くるぶし)までで僕の身長の3倍はあるだろうデカイ足が墜落し、残骸(スクラップ)と化した戦闘飛翔機械を踏み抜いてくの字へと成型した。

 ――うん、さすがにアレの爆発に巻き込まれたら髪がボサボサになる程度ではすまな―――

 

●S‐11 神奈川県 足柄下群 旧箱根町付近 タバコ屋前

 すっべり込セみーーィフ!!!!!

 使徒が破砕したYAGR‐3Bと少年――碇シンジくんの間に、どうにかギリギリで車体を滑り込ませることに成功した。

 爆風で車体の右側が多少焦げたかもしれないけど、それはそれ。人命には代えられないし、塗装すれば何とでもなる。

 なにはともあれ、よくやったゾあたし!

 頑張ったぞ愛車(アルピーヌ)!!

あとは格好つけるだけね!

 

「ごめん、お待たせ!」

 

 そんな風に気さくなお姉さん風に挨拶をすると、シンジ君はちょっと顎を引いて、困った風に笑った。

 こんな状況なのに目の奥には恐怖も焦燥もない。

 むしろ、少し楽しそうですらある。

 どこかネジが外れたような、危ういう感じのする子。

 ―――昔の自分を見ているみたいな、嫌な気分だった。

 

 

●S‐12 神奈川県 足柄下群 旧箱根町付近 タバコ屋前

 ――かったところだっただけれど、間一髪と云う感じで青い外車が僕の前に滑り込んできて事なきを得た。

 やれやれだね。

「ごめん、お待たせ!」

 はたして、その外車を転がしていたのは待ち合わせの人物だった。

 写真から想像した通りの人物とは少々違うようで、言葉に違和感はなく、その態度は自然体に見える。

 だというのにだ。

 彼女の目の奥に宿るある種の光は彼女の闇を色濃く映しているように見えて仕方がなかった。

 だからだろう。

 どうにもこうにも、鏡を見ている様な変な気分だった。




2016.2.27 
よくよく考えたら召喚状にミサトさんの名前が書いてあるわけもなければ、写真に記名するほどの几帳面さがある筈もないので初対面から彼女の名前を知っているのは違和感だなぁという事で修正致しました。
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