東方紅奏郷   作:ねるゔぁ

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やっと治りました見たか扁桃炎!!

39.6度とか何気に記録更新したぜひゃっほう!(錯乱)


焦燥の夜

これからどうしよう。

食べ物を探す?寝る場所を探す?

隣の村までは大人が歩いて7日ほどかかる。

それに森を越えなくてはならない。

そもそも僕はこの村から出たことがない。

ていうか7日も何も食べなかったら死んでしまう。

なら、森で動物を狩る?

どうやって?

昨日死にかけたばかりじゃないかーーーーーー

 

 

雪風は村のはずれにある岩の上に腰をかけると呆然と空を眺めていた。

かれこれ4時間ほどこうしている。空はすでにすこし赤みがかっていた。

 

 

このままじゃ夜になっちゃう…

夜は危ない。家から出ちゃいけないって言われたし。

ならどうする?もう家はないんだった…

他に行く場所…どこも思い浮かばない。

本当にどうしよう…

 

 

雪風の脳裏に母の顔が浮かぶ。

もし母が生きていたら、そればかり考えていた。

なぜ死んでしまったのだろう。

なぜ、なぜ、なぜ。

もし僕が昨日森に行かなければこんなこと起こらなかったのじゃないだろうか。これは母の言いつけを破ったことの天罰なのだろうか。

もし森に行かなければ…森?

雪風ははっとして顔を上げた。

そして1つの案を思いつく。

それはこの上なく絶望的な状況において一筋の光だった。

もしかして、もこーさんのところに行けばどうにかなるのではないだろうか!

怖い人だったけど…なんだかんだ助けてくれたし森の入り口まで送ってくれた!

 

一度そう考え出したらもはや止まらない。

いつしか妹紅が助けてくれるかもしれない、から妹紅が助けてくれるという確信に変わっていた。

どうやって?

そう聞けばこの時雪風は何も答えられなくなっただろう。

しかし、まだ幼い雪風はそんなことは考えない。

ただ漠然と物事を捉えていた。

 

そうと決まってからの雪風の行動は早かった。

腹の虫が鳴くのを無視して立ち上がると村を出る。

どうやって妹紅を探す?

決まっている。

森へ行けばいいのだ。

森へ行けば会える。

そうしたら助けてもらえる!

雪風は疲労の溜まった体に鞭を打つと森へと向かった。

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

なんで、なんで妹紅に会えない?!

 

雪風は戸惑っていた。

森に入ってもうしばらく歩いているのに、一向に妹紅に会えないのである。

いや、まあ、うん。当然のことだが。

だがこれは雪風の幼さ故の間違いだ。それに疲労や空腹、焦りによる要因も大きい。そこを責める必要はないだろう。いい勉強になったはずだ。ただ、その代償が重すぎるが。

 

「もこーさぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

雪風は叫ぶ。

残り限られた体力を振り絞って叫ぶ。

まるでその身を襲う恐怖を振り切るように。

恐怖に震える体を勇気付けるかのように。

もちろん返答はない。だがそんなことは関係ない。もはや叫ぶことしかできないのだ。

道など覚えていない。仮に覚えていたとしても暗い森で同じ道を辿れるはずがない。

雪風は叫びながらとにかく前へ前へと進んだ。

妹紅がいるのは自分が進んでいる先なのか?

方向は合っているのか?

そんなことにも気づかないほど雪風は焦燥している。

仕方ないだろう。

空腹もピーク。疲れもピーク。そして村が壊滅して母も死んでいたという衝撃。

もはや意識があるということが不思議なレベルである。

しかも雪風はまだ子供だ。

昨夜、死にそうな目にあったばかりでもある。

なのに同じ森へ、しかも夜に入らなければいけないという恐怖。

おそらく今のような状況でなければ昼間でさえ足がすくんで森へは入ることができないだろう。

いま雪風の意識を現実にかろうじて繋ぎとめているのは妹紅という希望ただひとつだった。

 

「もこーさぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

雪風の叫びが森の闇の中へと吸い込まれていく。

もう何度目だろうか、こうして叫ぶのは。

10や20ではきかないだろう。

足を止めてはならない。

叫ぶのをやめてはならない。

もし止まってしまったら妹紅には会えない。

もし止まってしまったら昨日のように化け物に襲われてしまう。

そんな恐怖に襲われる中、雪風はさらに声を張り上げる。

 

だが、限界だった。

 

だんだんと思考がままならなくなり、ついに視界が闇に染まる。

足は止まり、雪風の体が地面の中へと沈み込んだ。

 

少年は自分が倒れたということにも気付かぬまま意識を失った。

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