グダグダですね……いつも以上に。
そして毎度多くの感想をありがとうございます!
何だったのかなんてわかりゃしない。
俺とイリナの身に振り掛かったのは例えようの災難であり現実だ。
ポルダーガイスト現象の様に物が襲い掛かり、意思とは関係無く身体が勝手に動いてしまう。
お陰で鼻血は止まらねぇし、イリナも片頬を腫らせながら半べそをかいている。
「くっそ……何だったんだ」
「う、うぅ……あんまりよ……」
「だ、大丈夫ですか? 今治療を……」
あきらかに原作じゃない出来事に遭遇し、騒ぎとなったファミレスから出て人気が殆ど無い公園にやって来た俺達は、ベンチに座って予期せぬ負傷を負った傷をアーシアからおっかなびっくりな様子で神器による治療を受ける。
その際、イリナに対して怯えてる様子を見せていたアーシアだが、素直に治療を受けているのを見たのと、小さい声でお礼を言って貰えたお陰で少し緩和しているのが見れた。
俺はともかく、イリナとさっきから妙に距離感があるゼノヴィアには変な負い目でも持ってるんだろう。
原作じゃあ魔女と罵倒されたからな……言わせなかったが。
そのせいかは知らないけど、イリナもアーシアに対して特に何も言わずに半べそのまま治療をされている。
イレギュラーによりアーシアの印象が変わったんだろう……後は木場に邪魔されて上手いこと行かなかったゼノヴィアを落とせば、ハーレムメンバーはまた増えるのだ、気合いを入れないとな。
そしてその後は絞りカスの目の前でレイヴェルと小猫を奪い取ってやらぁ。
「さて、さっきの話になるが、俺達は『友達の木場』を助けたいんだ。
お願いだから協力させてくれないか?」
その為には何でも利用する。
クク……絞りカスに何言われたかは知らんが、妙に性格が原作と離れてる木場も精々役に立って貰うぜ?
「木場……というと昨日お前等と居た白髪と金髪の悪魔か?」
「ん、あぁそうだよ。
金髪の男が木場で、白髪の方は小猫ってんだ」
イマイチ乗ってこないゼノヴィアに木場の特徴を教えると、ゼノヴィアは顔をしかめる。
あぁ、そういや戦闘シーンも無しに小猫を勝手に連れて出て行きやがったからな……聖剣計画の生き残りってのも知らんのか。
「アイツ、聖剣計画の生き残りらしくてな。
聖剣を物凄く憎んでるんだ」
「っ……なんだと?」
「嘘……あの計画に生き残りが……」
いや、計画自体は知っててもその生き残りが悪魔に転生していたとは知らなかったといった方が正しいのか……木場の身の上話をした時のイリナとゼノヴィアの表情は驚きのそれだった。
「キミ等は聖剣の奪還……もしくは破壊を命じられたと言ってたよな?」
「だから聖剣計画の生き残りの為に破壊の協力をしたいと?」
「そう。悪魔としてじゃない……赤龍帝としてキミ等に協力をする。
大事な幼馴染みが危険な任務をしてると分かってて無視はできないしな」
「セ、セーヤくん……」
「む……」
……。ま、木場に関してはどうでも良いが、ウロチョロしてるコカビエルだの何だのは邪魔だからな。
焼き鳥との戦闘が無くなってしまったものの、それでもコカビエルなんぞ話にもならん相手だ。
さっさと炙り出してコカビエルに神が死んだことを喋らせた後始末し、ゼノヴィアが傷心になった所を打てば……ヘッ。
「ねぇ、良いんじゃないゼノヴィア? 悪魔としてじゃなくセーヤくんとして協力してくれるなら……それに赤龍帝だし」
「だが……」
……。チッ、原作だと渋ったのがイリナだったのに、やはりあの時木場が邪魔したせいで警戒されてるな……。
いっそ、無理矢理ヤッちまうか? いや……それはまだ最後の手段として取っといて――めんどくせーな。
「悪魔の俺を信用できないのは分かる。だけどこれは本心だ……俺は木場の復讐心を少しでも緩和出来ればそれで良いんだ」
「…………」
原作との展開に相当な差異があるせいで、最近は余り思った通りに行かない。
が、まぁ……それによって此方にとっても嬉しい誤算というのもあるし、悲観すべき事でも無いんだが……それにしても怠い。
俺を転生させたあのクソ神め……何が『心に隙が無ければチャームは発動しない』だ。
くだらねぇ制限掛けやがってよぉ。
「悪魔の俺を信用できないのは分かる。だけどこれは本心だ……俺は木場の復讐心を少しでも緩和出来ればそれで良いんだ」
そんな言葉を吐いた兵藤誠八を、私は信じられなかった。
というより、聖剣計画の生き残りの少年……確か木場といった彼が昨日あの部屋から出る際、兵藤誠八は殺意の籠った形相をしていたのだ。
それなに今になってさも『友の為』と宣われても……私には信じることは出来ない。
それに良く良く冷静に考えても兵藤誠八の周りに居る者……つまり女達には違和感が感じる。
このイリナもそうだし元・聖女のアーシア・アルジェントをこうして見れば分かる……何というか盲目的なのだ。
あんな熱っぽい目を絶えず向けてるし、それに兵藤誠八自身が私に向けた笑みがそうだ。
なんというか、術に嵌められたというべきか……今は予め木場と小猫といった悪魔に警告されたから表情を見ないようにしているが……。
「その割りには木場とやらはこの場に居ないが、何故連れてこない?」
警戒するに越したことない。
関わらないに越したことはない。
それが今の私が思う兵藤誠八への評価であり、ハッキリ言って赤龍帝の力を持とうが協力なんて欲しいとは思えん。
友がどうとか言ってる割りには、聖剣に怨みがある木場とやらを連れてないし。
「…………。木場とは連絡が付かないんだ。だが、先に聖剣を確保しておくに越したことは無いんじゃないか? 互いにとっても。
でも相手はコカビエルだ……キミとイリナだけじゃ厳しいだろ?」
「……。随分な自信だな。
まるでコカビエルを倒せると聞こえるが?」
「倒せるよ。
言っちゃ何だが、今の俺は四大魔王を越えてるからな」
「な、なんだと……?」
それに胡散臭い。
平然とコカビエルを倒せるだの四大魔王を超えてるだの言ったので思わず驚いたが、いくら赤龍帝だとしてもそれは話を盛りすぎだとしか思えん。
雰囲気からもそうだし、何より大戦を生き残ったコカビエルは殺し合いの達人なんだぞ? 戦ってもないのに何故そんなに自信満々なんだ……。
「
「わぁ、セーヤくん凄い! 流石私の未来の旦那様ね!」
「あ……! セ、セーヤさんに抱き着かないでください!」
「………………………」
いや、知らんよ。
神器に関しては持ってないから正直専門外だし、そんな訳の分からん単語を自慢気になって語られても私にはそれが凄いのか知らん。
というか、例え莫大な力を持ってたとしても相手は三大勢力内での大きな戦争で名を上げたコカビエルなんだが……と言っても解って貰えそうも無さそうだし……また始まってるし。
「………。すまん、少し一人で考えさせてくれないか?」
「え、あ……まあ、良いけど」
イリナがまたおかしくなってしまって姿を見るのも、この男に漬け込まれるもの嫌になってきた私は、考えさせろとその場しのぎの嘘をついて、二人に抱きつかれながらまだ何か言いたそうな顔をしながら私を見てる兵藤誠八に告げて、早歩きでその場を去る。
……。この任務……もしかしたらロクな結果も無しに殺されて終わってしまうかもしれんな。
主から見限られてしまったのかな……私は。
そんな事をぼんやり考えながら、兵藤誠八達と居た公園を出て住宅地の中を独り歩いていたその時だった。
「ゼノヴィアさん……で良いんだよね?」
「む!」
妙な孤独感に支配されながらポツンと歩く私の前に現れたのは、日本人らしからぬ金髪が特徴的であり、私に兵藤誠八には気を付けろと警告して去った聖剣計画の生き残りの少年――
「木場……だったか」
「え、何で名前を?
……。いや、良いか。ええっと……ほんの少しで良いから話を聞いて貰って良いかな?」
思わず木場と声に出した私に目を丸くしている。
あぁ、そういえば彼とは自己紹介なんてしてなかったからな。
何やら彼は話をしたいらしく、私の前に現れた様だが……ふむ。
「今は任務が一旦中止になってしまったからな……暇潰しに付き合ってやろう」
「本当かい!? なら此方に付いて来てくれ!」
イリナが男とイチャイチャしてるんだ。
任務処じゃないし私も暇潰しとしてなら付き合ってやっても良いと頷いて見せると、木場は本当に私達教会の人間を憎んでいるのか? と思うほどに明るく笑いながら付いてこいと促すので、てっきり背中に背負ってる聖剣を奪い取って来るのかと勘繰ってた私は調子の狂う思いをしながら付いていく。
悪魔の言うことにホイホイ耳を傾けるなんて、私も相当参ってるのか……なんてボーッと考えながら。
そして歩くこと数分……たどり着いたのは古めかしい喫茶店であり、言われるがままに中に入った私はギョっとした。
「イッセーくん、連れて来れたよ」
「む……意外と早かったな」
「うん、何か一人で歩いてて、彼女も一言で了承してくれて……」
「ほぅ……」
複数の男女……それも中心に座る男以外は全て悪魔な集団に驚いた訳じゃない。
私が驚いたのは、木場が話をしている相手の男のその容姿だった。
それはさっきまでアーシア・アルジェントとイリナとまたイチャイチャしていた兵藤誠八にソックリな容姿をした……されど雰囲気がまるで違う一人の男が居たのだ。
「ひょ、兵藤誠八……じゃないよな?」
思わず声に出してしまう私に、唯一悪魔の気配を感じない兵藤誠八ソックリな容姿を持つ少年は……『む』と一瞬だけ顔を顰めると、首を横に振りながら否定した。
「初見じゃクローンと見紛うほど似てるから無理もないが、兄貴じゃないよ俺は。
名は兵藤一誠……貴様を連れてきた木場の友達だ」
そして、思わず平伏したくなるほどの――言葉には表せない強烈な存在感を放ちながら、口を開けたまま固まる私に名を名乗った。
まさか、本当に木場が連れてくるとはな……ビックリだ。
「何か腹に入れるか? ご馳走くらいならするぞ」
「え、あ……いや……」
しかし……なんだ? 妙に表情も態度も固いが。
あ、そっか……俺以外この場に居る者は皆悪魔だからな。
真逆の地位に居るこの者にとって騙されたとかそんな心境を抱いているのか……?
「大丈夫だよ、別に何もしやしないさ」
「う、うむ……」
兄貴がすることを見張り、聖剣に関しての事を横からかっさらうという作戦だったが、あの変な現象でそれ処じゃ無くなってしまったのは何と無く察し付いた。
故に、どうしようかと悩んでいた所を、木場が……。
『なら兵藤くんがしようとした事を僕達がやれば良いんじゃないかな? 兵藤くんみたいに聖剣破壊に協力したいと言って』
そう提案し、兄貴にドップリな紫藤イリナ――じゃなく木場のファインプレーにより兄貴に疑念を抱いてるこのゼノヴィアとやらにその話を持ち掛けようと、上手いこと彼女だけを連れて来ようと、木場は出て行った訳だが――
「あ、悪魔が揃いも揃って私に何の用だ……」
見ての通り、ゼノヴィアとやらはめちゃくちゃ警戒してる。
うむ……俺の顔が兄貴ソックリなせいで俺に対しての警戒が人一倍だ。
「回りくどい事は言いたくないんで単刀直入に言うぞゼノヴィアとやら。
貴様の今やってる聖剣の奪還・破壊の任務に、貴様を此処に案内した木場に協力させて欲しい」
「なんだと……!?」
ゴツンと俺・匙・白音・レイヴェル……そして木場の全員で立ち尽くすゼノヴィアとやらに頭を下げてぶっちゃけた。
本当なら兄貴の『ご活躍』のどさくさ紛れに聖剣壊してしまおうという作戦だったのだが、あのファミレスの騒動で上手いこと動いてくれなくなってしまった。
だからこうして、いっそドストレートに兄貴に埋もれなかったゼノヴィアとやらに懇願してしまう事にしたのだ。
とは言え、言外に木場の復讐に任務とやらと平行して付き合ってくれなんて言った所で、兄貴経由でソックリな顔をしてる俺に対しての警戒心は物凄いだろうし、そんな簡単に了承してくれるとは思っちゃいない。
「ふ、ふざけるな! いくらこの木場とやらが聖剣計画の生き残りで聖剣に怨みがあるとしても、私にその復讐の片棒を担がせるのか!?」
「え……何でその事を……」
「兵藤誠八が得意気に話してたんだ。お前がまさかあの計画の生き残りだとはな……!」
目を丸くする木場にゼノヴィアは感情的に吠える言葉に、また兄貴かよ……とゲンナリしながらも今なら簡単に情報を獲られそうだなと暫く聞いてみる。
「確かに計画自体はあったが、アレは我々も嫌悪した計画だ! 首謀者であるバルパー・ガリレイも背信の烙印を押して追放したしな!」
「なんだって……!?」
そして獲た。木場の過去を土足で踏みにじった輩の頂点を。
木場を含めた全員が眉間に皺を寄せ、彼女が出したバルパー・ガリレイという計画首謀者の名前を頭に刻み込んでいると、ゼノヴィアとやらは興奮しきった様子で息を切らせながら木場が飲んでたメロンソーダを引ったくる様に奪い取ってガボガボ飲み始める。
「あ……ぼ、僕のメロンソーダ……。
飲みかけなのに……」
「ぶほっ!?」
あまりに強引だったせいでポカンとした木場の何気ない一言に、グビグビと飲んでいたゼノヴィアとやらは目の前の俺達に向かってメロンソーダを吹き出してしまう。
「おっと危ないですわ」
「うべ!? な、なにしやがる!!」
「いやいや危なかったですわ。
咄嗟に匙さんという盾が無かったらメロンソーダまみれでした」
「そのおかげで俺はベトベトなんですけど!?」
ちゃっかりレイヴェルに盾にされてる匙だけがメロンソーダまみれの悲惨な事になっている。
あぁ、俺と白音はサッとテーブルの下に避難したから事なきを得たぜ?
「ゴホッ、ゴホッ! きゅ、急に何を言うんだ貴様は!」
「だ、だって本当の事だし、そんなに怒らなくても……」
「ぐぬっ……も、もう知らん! とにかく木場とやらが、聖剣を恨むのはお門違いだ!」
「あ、う、うんそうだね……。だったらそのバルパー・ガリレイってのは何処に……」
「知らん! 教会を追放された後は堕天使側に寝返ってるしか知らん!」
うがーと木場に食って掛かるのを何とか避けながら、木場は予期せず獲た情報を掘り下げて聞こうとしている。
計画の首謀者なんて聞かされればそっちを優先するのは当たり前だし、やっと大きな情報を獲られたんだ。
堕天使側という情報も聞き出せてかなり絞れて来たしな。
「そっか……堕天使を追えばバルパー・ガリレイを捕らえられるかな」
「というか、案外コカビエルの腰巾着でもやってるんじゃねーの? この事件って聖剣関連だし――ぐぅ、マジでベトベトしやがる」
「あぁ、バルパー・ガリレイについては何も言われてないので私は何も言わんが、聖剣に関しては別だ。
どんな理由にせよ悪魔である貴様等に好きにさせたくはないんだよ」
ギロリと俺達を睨むゼノヴィアとやら。
彼女の所属柄だからこんな態度なのも仕方ないか……なんて思ってたが。
「だ、だが……あの計画の被害者である木場の気持ちも分からんでも無いし、そ、その……1本くらいなら破壊しても良いとは思わんでもないというか……」
「え?」
急にさっきまでの勢いを引っ込め、これまた急にモジモジしながら木場の方をチラチラ見るゼノヴィアとやらに俺達はポカンとしてしまう。
だってさっきまであれだけ『関わるんじゃない!』と吠えてたのに、急にどうしたんだとしか思えない態度なのだから仕方ない――と思ってたが……。
「相棒のイリナは兵藤誠八に執心になりすぎて正直使い物にならなそうだし、かと言って私だけじゃ無理だし……」
『あー……』
疲れた様に項垂れて話すゼノヴィアとやらに、俺達全員は納得してしまった。
どうやらそっちのけで兄貴とイチャコラしてしまってるせいで任務を忘れてしまってるらしいな、紫藤イリナは。
「だ、だからその……どうしてもというのなら協力させてやっても良いぞ……うむ」
その皺寄せが完全にこのゼノヴィアとやら一人にのし掛かってしまうのは必然的であり、チラチラと戸惑ってる木場を見ながら、急に潮らしくなって指先をちょんちょんとしてる。
要するに――
「急に何ですのこの方? だったら最初からそう仰ればよろしいのに」
「か、仮にも悪魔相手に言えるか! それに私はお前等悪魔に協力しろとは言ってない! あの計画の生き残りであるこの木場個人になら良いと思ってるだけだ!」
「僕もまだ一応悪魔なんだけど……」
「所謂ツンデレって奴ですね」
俺や匙や木場がかつて感じた気持ちをもうこのゼノヴィアとやらは感じてしまってるという訳だな。
うん……めちゃくちゃ分かるぞその疎外感は。
「さっきは、兵藤誠八にも似たような事を言われたけど信用できないし、その分聖剣計画の被害者であるお前なら……まあ、他よりマシかなと……」
「……。これって喜んでいいのかな……」
ある意味紫藤イリナ以外では木場が一番聖剣と密接した因縁を持ってるからな。
変な同類意識でも感じたのだろうな……木場自身は因縁の獲物を引っ提げてる相手から変な信用の勝ち取り方をして物凄い微妙そうにしているが。
「い、1本くらいなら破壊しても良いと言ってるんだぞこの私が! 嫌なのか!?」
「い、いや……そりゃ助かるけど……」
「だったら黙って私を手伝え!」
「は、はい……」
……。結果オーライというやつかな……これは。
オマケ
イッセーの兄とイッセーを振った女に憂さ晴らししてスッキリした私は再びイッセーの後を付いていた。
何やらまた……今度はイッセーの兄とイッセーを振った雌と一緒に居た筈の青い髪をした女と何やら話をしているのが確認できる。
どうやらあの金髪の子の復讐にまだまともな青髪の女の協力を仰ぐ交渉をしていたみたいだけど……。
「っ……!? ま、また……!」
「? どうされましたか一誠様?」
「い、いや……なんでも……っひ!?」
(えへ、えへへ……♪ 一度やっちゃうとやめられないにゃ)
金髪の子のみが青髪の女に協力する話に纏まって一息付いたタイミングで、私はすっかり中毒になってしまった行為の続きに走っていた。
理由は当然――
「ぐぅ……ふ……っ……ぅ!!」
(必死に我慢してる……かわいいにゃん……♪)
周りにバレないようにと必死に声を殺す姿が堪らない。
そして手探りでテーブルの下を探ってるその手を……指を……。
(んっ……はっ……いっせーの指……美味しい……♪)
掴まえてくわえる……。
その度に身体が火照る……。
止めたくてもこれはもう止められない。
(な、こ、今度は指を!? で、でも見えない……気配も全く感じない……! どういうことなんだ……!?)
(ん……ぁ……いっせぇ……しゅきしゅき……大しゅきにゃぁ……♪)
お腹が熱い……ウズウズする。
見えてないけど、見られてる気がすると思うとジンジンする……何処がとは言わないけど……えへ♪
でも、そろそろ本当の意味で見て貰いたくなってきたし……。
「ぁ……っん……。イッセー……いっせぇ……此処だにゃぁ……」
「ぬっ!?」
「え、今の声……」
声だけのヒントは上げようかな。
あ、白音が居るからヒントにならないかにゃ?
補足
皮肉なことに、兄貴の思惑が外れて何故か木場きゅんとフラグが立ちそうになってるというね……。
心情としては、どう見ても木場きゅんの為とは思えない行動の兄貴より、聖剣計画の生き残りである木場きゅん本人と組んだ方が信用は出来るというイリナさんが完璧に骨抜きにされて、ひとりぼっちになったゼノヴィアさんの判断となります。
で、兄貴と瓜二つな一誠を微妙に警戒してるのは……まあ仕方無い。
その2
「我慢の限界だった。というか、そろそろ直接視姦されたくてちゅぱちゅぱしながらわざと声を出した。後悔はしてませんにゃ」
てな理由で声だけ聞かせたら黒歌さんなのでした。