生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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 グッダグダに長いだけ。

話全然進んでねーしよ……申し訳ない。


すいません、沢山の感想を頂いた返信は更新してからとなりますので、そのまま感想をして貰えたらモチベ上がりますんで……お願いしますなんて……。


其々の思惑

 祐斗とゼノヴィアを襲った少年は、そのエキセントリックなキャラクターを思わず引っ込め、少しだけ唖然としていた。

 

 

「と、咄嗟の事でそこまで気が回せなかったんだって! 決してキミにそんな事をしようとかは……」

 

「わ、わかったからそれ以上言うな! 何故かお前を直視できんのだ私は!」

 

「……………」

 

 

 少年にとっては消し去るべき相手である悪魔と、自分がかつて所属していた元・同僚。

 決して相容れない筈の存在二人が、何故かラブコメ的空気を発しながら、ド派手に登場した筈の自分を無視しやり合っている。

 

 

「み、見れないって……やっぱり怒ってるじゃないか……」

 

「だから怒ってなどない! ちょっとビックリしてしまっただけだ!」

 

 

 

 これには快楽主義者で破壊主義者のはぐれエクソシスト……フリード・ゼルゼンも微妙に勢いを削がれ、彼にしては珍しくどうしようかと一瞬だけ悩んだ。

 

 が、しかしそれも刹那の話であり、どうであれ悪魔と悪魔祓いがそんな事をしているのだ。

 

 

「ラブコメ中ごめんなっさーい! そこの悪魔くんにちーっと聞きてー事があるんですけどぉ!!」

 

「「あ……」」

 

 

 殺して刻んでチョンパしてやる。

 そしてその首を、少し前の自分に『こんな目』にしてくれた殺しても殺したりないクソッタレ悪魔に投げ付けてやる。

 フリードはやっと機会が回ってきた『復讐』の為に、失った筈の左目から感じる幻肢痛(ファントムペイン)に苛立ちながら、息を合わせる様に自分に気づいた声を出し、それに驚きながら互いの顔を見合わせてはまた互いにそらすという『ラブコメ』をしてる金髪の悪魔と青髪に緑のメッシュが特徴的な悪魔祓いに、与えられた聖剣の切っ先を向けた。

 

 

「いやぁいやぁ、ラブコメしてる所もーしわけありませんけどさぁ、久しぶりだねぇそこの悪魔くんは~♪」

 

「キミは確か……兵藤君が叩き潰したと言ってた……」

 

「そーうさ、フリード様でーす!!」

 

 

 ちょっとした躓きはあったものの、無事に空気を軌道修正したフリードは、以前に顔を合わせた事もある祐斗に、おちょくる様な声と表情で再会の挨拶をする……内心、忘れられてたら微妙にカッコつかなかったが、覚えてて貰えて良かったぜと変にホッとしながら。

 

 

「貴様は確かはぐれエクソシストのフリード・セルゼンだったか」

 

「おやおやぁ? 俺っちの事知ってるでザンスか?」

 

「ああ、天才と呼ばれながら異端者である事をな……その手に持ってるのは聖剣か?」

 

 

 さっきのラブコメ空気を無かったことにするかの様な張り詰めた空気が両者から放たれ、フリードの顔を知っていたゼノヴィアは此方に切っ先を向けている剣に目を移しながら険しく目付きを変え、祐斗も同じように何時でも戦闘体制に入れる様身構える。

 しかしフリードは持っていた聖剣をクルクル回しながら弄び始めるて構えを解き、身構えてる二人にヘラヘラと笑い出す。

 

 

「見ての通り悪を切り刻む聖剣様でっせ! 俺っちの左目をこんなんにしてくれたクソ悪魔をバラバラにする為にゲッツしたんだよーん!」

 

 

 そう狂った様に笑って見せるフリードは、自身の左目に指を突っ込み、義眼となったそれを見せ付ける。

 

 

「その目は……」

 

「おうよ、テメーん所のお仲間の……あー……なんつったかなぁ、アーシアたんと宜しくやってるクソ悪魔に抉られてクソハッピーって訳よ」

 

「アーシアたん? アーシア・アルジェントの事か? 彼女と宜しくとはよく分からんが、まさか兵藤誠八の事か……」

 

「多分それだわー! こちとら悪魔に頼ろうとするゴミクズを断罪してただけなのに、突然現れて全身の骨砕くは顔をグチャグチャにするわ、挙げ句『罰だクソヤロー』と言って目を抉りやがったって訳。

いやぁ、あの時はマジで死にそうだったぜクソが!」

 

 

 最初は嗤う様に語っていたフリードだったが、徐々にその表情を憎悪のそれに変化させている。

 つまりフリードは前に誠八と戦い、負けて死んでも可笑しくない重症を負わされた忌々しき思い出があったのだ。

 そして今のフリードの目的は只一つ……器用に回していた聖剣の切っ先を再び祐斗に向けると、これまでの狂った雰囲気を引っ込め、ただひたすら『憎悪』をむき出しながら一言……。

 

 

「つー訳でそのヒョードーセーヤっつークソボケ悪魔のの居場所を教えろやクソボケ。

そうすりゃテメーは特別にお慈悲を持って苦しまず滅してやっからよー……」

 

 

 復讐相手である誠八の居場所を、仲間である祐斗に問う。

 失った左目は眼球が無く、何もない……今のフリードを暗示するようにポッカリと穴が空いていた。

 

 

「随分と兵藤君に痛め付けられたみたいだねキミは……よく見れば顔の至るところは傷だらけだし、恐らく君自身の身体もまだズタズタのまま――」

 

「あぁっ!? クソ悪魔が僕ちんの心配とか真面目に吐きてぇんだけど!? 良いからさっさとあのクソヤローの居場所を吐けやゴラ!」

 

 

 誠八にやられた……恐らくフリードの性格と誠八が男には全くの無慈悲だったのが重なり、わざと死なないように痛め付けられた事が容易に予想できてしまった祐斗の、『何処と無く同情』する目にフリードは苛立つ。

 

 

「いや、僕も最近は彼等と行動してなくてね……居場所なんてよく知らないよ。

というか、彼の家を張ってれば会えるんじゃないかな?」

 

 

 そんなフリードの苛立ちを察しているのかわざとしてないのか、ほぼ殆ど見限ってしまっていると宣言しながら『知らない』と言い放つ祐斗。

 そんな祐斗からの意外な言葉にフリードは思わず残った右目を丸くする。

 

 

「あぁ、クソ悪魔の仲間割れか?

だからそこの青髪ねーちゃんと禁断のラブコメしてたのかい? キメェぜおい」

 

「いや、ラブコメじゃなくて、キミが上から派手に登場したからそうなったというか……」

 

「私の身は神のものだ! い、異性になんぞ興味ない!」

 

 

 前以て仕入れたこの街の悪魔連中の情報と、当人の言ってる事に差異を感じて目をスッと細めるフリードに祐斗は内心『何で兵藤君は所々中途半端に事を終わらせるんだ……』と辟易し、ラブコメラブコメと言われるゼノヴィアは顔を真っ赤にしながらムキになって否定する。

 

 どうもイリナと組んで行動し始め、そして誠八に対して異様な色情を向けるのを見せられてから変に意識してしまうようだ。

 フルフルと『私は違う、私は違う……!』と首を振って先程の祐斗から刺激的に掴まれた胸を抑えながら余計な思考を消そうとするが、フリードに煽られたせいであまり効果は無かった。

 

 

「……。ま、知らねーと言い張るなら良いや、代わりにテメーら二人ともぶっ殺して少しはスッキリしてやるからよ」

 

「それはこっちの台詞だよ。キミ相手なら持ってるその聖剣を心置きなく破壊できそうだしね」

 

「はぁ? 悪魔が聖剣を壊すぅ? ヒャッハハハハ! テメー如きじゃ無理だぜそりゃあよぉー!!」

 

「無理かどうかは、試してみてから判断するさ!!」

 

 

 そんなゼノヴィアの初めて感じる妙なモヤモヤも知らず、聖剣を持つフリードに魔剣創造(ソードバース)と呼ばれる神器を使って剣を呼び出して戦いを挑どもうと構える祐斗。

 

 それを見たゼノヴィアはハッとしながら地面に刺しっぱなしだった破壊の聖剣を回収すると、既に打ち合ってる祐斗に向かって叫ぶ。

 

 

「待て木場!『先走るな』と言ってたのでなかったのか!?」

 

「ぁ……くっ、でももう遅いよ! ごめんゼノヴィアさん、代わりにイッセーくんに電話してくれ! これが僕の携――」

 

「トロイぜクソボケ! 援軍なんざさせっかよぉぉっ!!」

 

「あっ……!?」

 

 

 廃墟で始まった聖と魔の剣の戦いはフリードが持つ天閃の聖剣と呼ばれる聖剣の力が上回っており、次々と魔剣を呼び出しては牽制する祐斗の剣を舞を踊るように破壊していく。

 ぶっ殺すだの何だとの狂人よろしくな事を宣うフリードにしては洗礼された剣裁きであり、ゼノヴィアの言葉に今更ながらハッとなった祐斗が取り出そうとした携帯も器用に切り刻んでいく。

 

 

「し、しまった……!」

 

 

 四分割された携帯だったものを見て顔を歪ませる祐斗。

 この瞬間にも目にも止まらぬ刃が祐斗に襲い掛かり、それを何と無く避けて反撃するという圧された状況だ。

 ゼノヴィアが直接呼びに行くのも難しい状況であり、最早一誠達の勘の良さに掛けるしかなくなってしまった。

 

 

「くっ……こうなったら私も助太刀するぞ! 奴が聖剣を持っている以上お前を見捨てる事はできん!!」

 

「ご、ごめん……。

やっぱり何だかんで聖剣を目の前にすると冷静じゃいられなくなってるみたい……くっ……でね!」

 

「ヒャッハー! 2対1とは卑怯ですねぇー……だがしかぁ~し!正義は俺っちにあるんだぜクソカップルが!!」

 

「「だから違う!!」」

 

 

 こうして始まったはぐれエクソシストとの戦いは更に加速し、予想以上に『やる』フリードに祐斗は『未だ自分の中で燻る』何かに焦りながらゼノヴィアと協力して剣を振るうのであった。

 

 

 

 

 

 フリードと祐斗とゼノヴィアの戦いが始まる前の時刻。

 正反対の場所を捜索し終えていた一誠と匙は、同じく特に収穫が無かったレイヴェル・白音ペアと合流し、まだ合流していない祐斗とゼノヴィアの帰りを待っていた。

 

 

「中々尻尾掴めねぇもんだなぁ」

 

「うむ、敵も中々やるようだ」

 

 

 何だかんだで見つからない目当ての物について、論議する一誠と匙は難しそうに腕を組んでおり、その一誠の隣に立つレイヴェルと白音は辟易したかの様な表情で先程あった出来事の報告をしようと口を開く。

 

 

「私達なんて、木場さんのお目当ての聖剣じゃなく、どうでも良い兵藤誠八なんかと鉢合わせして最悪でしたわ」

 

「なんか、紫藤って人と一緒に一誠先輩を痴漢呼ばわりしてましたね」

 

「は、痴漢? イッセーが?」

 

 

 不愉快そうにさっきあった事を話す二人に匙が最初から信じてませんよと云わんばかりの胡散臭そうなものを見る表情を見せて、一誠に視線を向けると、珍しく一誠は苦い表情をしていた。

 

 

「……。紫藤イリナがそう思ってるのならそれが真実なんだろうさ」

 

 

 否定もせず、あんまり思い出したくなさそうに渋い表情で話す一誠に匙達三人はちょっとだけムッとなって一誠に詰め寄る。

 

 

「待て待て、話によれば単に手を掴んだだけだろ? それで痴漢扱いされて納得すんなよ」

 

「そうですわ、今の人間界の日本の男性に降り掛かる冤罪のそれと変わらないじゃありませんか」

 

「言い返す気にもならない相手なのは分かりますが、肯定だけはしてはならないと思います」

 

「あ……おう」

 

 

 妙に不満そうに詰め寄る三人に、一誠はちょっぴり圧されてしまい、何でそんな怒るのかよく分からなかった。

 

 

「ま、性欲馬鹿のシンパになった相手を相手にするのもバカらしいってのはわかるがな」

 

「一誠様がわざわざ気になさる相手ではありませんからね」

 

「まったくです」

 

「……。お前ら、最近はヤケに兄貴達を嫌がってるが……」

 

 

 口々に誠八に愚痴るというか辛辣な言葉を向けてる三人に一誠は苦笑いが浮かんでくる。

 やはり誠八の素行を知った上で己の意思をちゃんと持ってる者は彼のやり方に疑問を持ってしまうものなのかと……。

 

 しかし、そんな考えを持つ者がこうして近くに居てくれてるからこそ一誠は一種の安心感を覚えるのもまた事実であり――

 

 

「見付けたわよ、小猫……祐斗は居ないのね」

 

「それと匙……」

 

 

 所謂兄貴やそのシンパ達に何を言われようと一誠は耐えられるのだ……紅髪と黒髪の悪魔に敵意を持たれても。

 

 

 

 

 

 祐斗先輩を待ってるその時でした。

 明らかに『一誠先輩に対して歓迎できかねません』な表情と共に並んで現れた『一応まだ』な王の姿に、これまた一応まだ下僕の私と匙先輩は辟易してしまった。

 

 

「なんすか? 護衛も付けず王様二人が雁首揃えて?」

 

「いよいよ祐斗先輩共々『はぐれ』認定の言い渡しですか?」

 

「「……」」

 

 

 兵藤先輩がお仲間になる前はしっかりしてた二人の純血悪魔。

 リアス部長とシトリー先輩は今や身体を張って忠誠を尽せるとは思えないほど堕落してしまった。

 それこそある意味彼女達も兵藤先輩の被害者なのかもしれないが、それに取り残された祐斗先輩や匙先輩を蔑ろに扱ってしまった時点で同情の意識は無い。

 あるのは只……いい加減さっさと私達三人を解雇でも指名手配でも何でもしてしまえという事だけだった。

 

 

「やっぱり変よ小猫も祐斗も……どうしてしまったの?」

 

「匙もです。明らかにそこの彼に関わってからおかしくなってます」

 

「「………。ハァ」」

 

 

 挙げ句にはこれだ。

 二人の言うおかしくなった理由は揃って兵藤先輩の寵愛とやらを一番に受けたいからと他を蔑ろにしてしまったからであるのに、それを一誠先輩のせいにする。

 おかしくなったから私達も変わった……ただそれだけなのに全て一誠先輩のせい。

 それは匙先輩も思ってたのか、あからさまに『鬱陶しそうな顔』をしながらシトリー先輩を見ている。

 

 

「なんすか? 俺達が変とやらになったのはイッセーのせいですと誰かに入れ知恵でもされました?」

 

「っ……」

 

 

 初恋相手だった……らしいシトリー先輩に対し、最早何の情も無いとばかりに冷めた目をして言う匙先輩に二人は少し言葉に詰まっている所を見ると図星らしい。

 となると、予想できるのはさっき私達が思い切り拒絶した兵藤先輩か……。

 

 

「グレモリー三年とシトリー三年か……そういえばまともに口を聞いた事が無かったな」

 

「兵藤誠八と関わる以前なら露知らず、今のお二人とお話するだけ疲れるだけですわ」

 

 

 ちなみにレイヴェルさんと一誠先輩は後ろで私達の様子をじーっと見てるだけですね。

 まあ、元々この二人とは一誠先輩は殆ど関わりがありませんでしたからね、恐らく『兄貴シンパになった奴』程度の認識しかしてないんでしょう……割りとどうでもよさそうにレイヴェルさん共々している。

 

 

「あのセーヤが泣きながら戻ってきたのよ……。『小猫と祐斗と匙君が一誠に洗脳された』って」

 

「「は?」」

 

「え、俺?」

 

「おっと、今度は捏造ですか」

 

 

 とにかくそんなわけでこのお二方をどう処理して帰って貰おうかと考えていた私と匙先輩は、思わず考えるのも止めて真顔で言い切ってる二人の純血悪魔さんを見てしまう。

 いやだって……あまりにも予想の斜めというか、兵藤先輩がやってきた事を一誠先輩のせいにしようとしてるのだ……寧ろ吹き出さなかっただけ我慢できた方である。一誠先輩だって驚いてしまうのも無理ありません。

 

 

「ちょ、ちょいちょい? アンタ等何言ってるの? 俺達がイッセーに洗脳された?

あーごめん、こんな事を元主と他眷属の王様に言いたかありませんが――脳ミソ正常っすか?」

 

「ふ……ふふふ……!」

 

 

 殆ど呆れ果てた様子でドストレートに言い切る匙先輩に思わず笑ってしまった。

 どうもこの人、吹っ切れてからは遠慮というものが無くなってしまってるらしく、顔を歪ませてる二人を見てると妙にスッとしてしまう私は中々に性格が悪いと自覚する。

 

 

「匙……!」

 

「随分な言い方ね……!」

 

「いやいやいや、そら言うだろ。

テメー等の竿兄弟が泣きながら――――まあ、どうせ此所来る前に一発ヤってから来て、真顔で『セーヤが貴方 達がイッセーに洗脳されてるって言ってた』――って言われりゃ笑うかアンタ等の脳構造を疑う他ねーだろ?

従って笑ってしまってる塔城さん共々『俺達は悪くない。』」

 

 

 泣きながら、ね。

 は、今度は泣きつきとは……プライドの欠片も無い人ですね。

 私とレイヴェルさんが思い通りにすり寄らないからって一誠先輩の評判を落とそうとするとは……うーんやはりレイヴェルと一緒に思い切り拒絶して正解ですね。

 

 私も小さいときに一誠先輩と出会ってなかったらこうなってたかもしれないし……あぁ、怖い怖い……。

 怖くて事が終わった後で一誠先輩にちゅーして欲しいくらい怖いですね。

 

 

「そ、それがおかしいのよ! セーヤに反発し、只の人間の彼とそんな親しくするなんて……」

 

「しかも彼と関わってから様子がおかしくなった……セーヤくんの言ってる事に信憑性を裏付ける証拠じゃありませんか……?」

 

「……。俺、他人を洗脳する才能(スキル)なんて無いんだが……。

ま、まさか俺の自覚なしの――」

 

「ありえません。現に一誠様が笑って見知らぬ女性が落ちましたか?」

 

 

 聞いていた一誠先輩が妙に不安そうにし始めるのをレイヴェルさんがピシャリと否定し、私と匙先輩もうんうんと頷く。

 

 そもそも私はあの時現れ、絶望しか無かった運命を変えて自由にしてくれた先輩を好きになったのだ。

 レイヴェルさんだって恐らく似たようなもので好きになり、同性の匙先輩と祐斗先輩は心が折れ掛けていた現状から手を差し出され、決して見捨てず友達と言ってくれたその言葉に惹かれたんだ。

 

 ただ笑うだけで股を即座に開かせる洗脳とは違う。絶対に……! だからそんな不安そうにしないでください一誠先輩……。

 

 

「呆れて物が言えないとはこの事だな。何処まで失望させれば気が済むのやら……」

 

「自分達にとって都合の悪い人を慕う心を『洗脳』で片付けたい所申し訳ありませんが、そんな事は一切ありませんからね。

というか、兵藤先輩に微笑みかけられただけで股を簡単に開く貴族悪魔の方が信じられませんね」

 

「な……!? 私は純粋にセーヤを愛してるのよ!」

 

「私だって同じです! 勝手なことを言わないでください!」

 

「おおっと? テメー等の言ってた事は棚にあげて、こっちの言葉にゃキレのかい? 良い性格してるなぁオイ?」

 

 

 もう良い……。

 最初からそうだったが、最早何の未練も無しに堂々とこの人達を見限れる。

 確かに一誠先輩の言うとおりでした、本人達がそれで満足してるなら、幻実逃否(リアリティーエスケープ)で洗脳された現実から逃げさせてあげる必要なんてありませんね。

 だって、兵藤誠八に股を開いて取り合いをするのが幸せなんですものね、この人達は。

 

 

「やっぱり貴方のせいね……セーヤに迷惑まで掛けて、その上私の眷属も……!」

 

「人間である筈なのに、貴方は私達を知りすぎてる……いっそ記憶を消してしまった方が……」

 

「……。貴様等にそこまで恨まれるほど匙と木場と白――小猫が大事なら何故今までちゃんと接してあげなかったんだ? 波風立てんつもりだったが、俺も一応謂れの無い事を言われて黙ってられるほどまだ大人じゃないぞ……?」

 

「同じくですわね、さっきから黙って聞いていれば勝手なことをペラペラと……。

記憶を消すですって? ……………。魔王の妹だろうが、私達にとっては平等にカスな貴女方に出来ると思ってるのですか?」

 

 

 私達じゃラチが開かないと思ったのか、今度は矛先を一誠先輩に向けた元・部長とシトリー様に一誠先輩は石像の様な無表情で淡々と返し、レイヴェルさんは……悔しいが私より遥かに強い実力を感じさせる威圧感を放つ。

 それこそ、一瞬で二人の戦意を喪失させその場にヘナヘナと座り込んでしまう程に……。

 

 

「ぅ……ぁ……な、なん……なの……よ……!」

 

「ぐ……な、何で……そんな……!」

 

「……。ちょっと脅した程度でそのザマですか。

はぁ……それでこの街をうろつくコカビエルを撃退できるんでしょうか?」

 

 

 顔を真っ青にしながら吐きそうにして蹲る二人を見下した表情で見下ろしながらレイヴェルさんは突き放す様に言う。

 まさか自分より年下の……一誠先輩にお熱なフェニックス家の末っ子が魔王すらはね除ける異質な威圧感(プレッシャー)を放てるとは思ってなかったのか、元・部長もシトリー様もカタカタ震えている。

 兵藤先輩と宜しくすることに精を出しすぎて、本当の殺し合いにまだ慣れてないことが容易に想像できてしまう。

 

 

「そういう訳なんで、眷属をクビにするならさっさとしてくださいよ? 俺はアンタ等のプロレスごっこの為に奴隷になる気なんてありませんので」

 

「同じく……そして祐斗先輩も同じ事を思ってますので早いとこ決めてくださいね?」

 

「「ぅ……」」

 

 

 死人みたいな顔色をする二人に、トドメとばかりに私と匙さんは早くクビにしろとだけ言うと、そのまま踵を返す。

 最後の最後まで期待も出来なかった元・主を完全に見限って。

 

 

 

 

 

 

 誠八は心の底から憎み、そしてあまりの悔しさに思わず泣いてリアス達の下へ戻り、そのままアーシアとイリナを交えて………………をやった後、出来るだけの事を彼女達に吹き込んで一誠から周りの存在を取り上げようと画策した。

 勿論そのあと殺すつもりでいるのだが、先ずは何をしてでも一誠の周りの居る存在を消して絶望を与えたかった。

 

 既にその事で頭が一杯なせいで聖剣やコカビエルの事すら忘れて只ひたすらに……

 

 

「……。セーヤさん……えへへ……」

 

「あは……セーヤくんとしちゃったな……」

 

「………………」

 

 

 自宅の部屋で溺れるように貪り、少しだけ冷静になった誠八は惚けた表情ですり寄る少女達を好きにさせながら考える。

 最も手に入れたい黒歌をどうやってモノにするか……そして、一誠に絶大な絶望を与えてから殺す算段を。

 

「……。(絶対に殺してやる……お前だけは)」

 

 

 その歯車すら……最早狂っていることにも気付かずに。

 

 

「……。木場の気配が荒んでる……どうやら何かあったらしいな……行くぞ!」

 

 

 自身というイレギュラーにより、絞りカスとなって一誠が無限と夢幻に到達した事も知らずに。

 

 

終わり。

 

 

 

オマケ

 

黒歌おねーさんの出現タイミング。

 

 

 イッセーは目の前にいる。

 リアス・グレモリー? とソーナ・シトリー? ってのに白音と匙って子が見限ってる所を見てたは良いんだけど……。

 

 

「何処のタイミングで出れば良いんだろ……」

 

 

 困ったことに出るタイミングが分からなくなった。

 イッセー達は今聖剣に忙しいし……そんなタイミングで出ても……こう、上手いことイッセーをはむはむ出来ないと思うと、こうして出るタイミングを掴もうと見てるだけになっちゃう。

 うん……それじゃダメにゃ。

 早いとこ出て、イッセーに驚いて貰って色々とネタラバラシして―――

 

 

 以下、おねーさんの妄想

 

 

『な、お、お前だったのか……!?』

 

『そうだにゃ……ごめんね? 生のイッセー見てたら色々と我慢できなくて……』

 

 

 姿を見せ、久し振りに向かい合った二人。

 イッセーはただ驚き、私はこれまでの悪戯について詫びる。

 けれど……。

 

 

『そうか……ならあちこち触ってたのはお前だったんだ……なっ!!』

 

『にゃ!?』

 

 

 謝るのと同時にバラした私を見て何を思ったのか、イッセーは目にも止まらぬ速さで私に近付き、背後を取ると、後ろから思い切り抱き着き……

 

 

『じゃあ今度は俺がする番だよな? そうは思わんか黒歌……』

 

『にゃっ……!? み、耳たぶ噛まないでにゃぁ……よ、弱いの……に……ぃん!?』

 

 

 私の耳たぶをそっと甘噛みし、レイヴェルって子や白音達が匙って子と木場って子と話してて注意が向いてないのを良いことに私の身体をまさぐる。

 それこそ……くまなく何処でも……敏感な所も全部……。

 

 

『や、やらぁ……み、皆に見られたら恥ずかしいにやぁ……』

 

『体は違えど俺もそうだったんだぜ? それとも嫌かい?』

 

 

 そして優しい声で意地悪な事を囁くイッセーに私は―――

 

 

 

 

 

「い、嫌じゃないにゃ……いっそイッセーに全部あげても――――――なーんてにゃ! なーんてにゃ!!

よし、このシチュエーションでバッチリにゃ!! えへ、えへへへへ♪」

 

 

 黒猫おねーさん。既に一誠達が木場の加勢に向かって姿を消したのにも関わらず、その場に残って物凄い都合の良い妄想中。

 

 

終わり




補足

フリード……きゅん。結構ガチスタイルの巻

この小説の1話前に兄貴に執拗以上にぶちのめされたフリード……きゅんは、左目を抉られた恨みが突き動かし、天才と言われてたその才能をどっかの旦那に戦闘技術を一から叩き込まれてガチ路線になりました。

これもまた、イレギュラーによるイレギュラー化という奴ですね。


その2
兄貴、腹いせに貪ったよの巻。
そのせいでイリナさんの純潔ががががが。
そして最中に吹き込まれたリアスさんとソーナさんは……まあ、盲目化してるせいでああなっちまったと。


その3
黒歌おねーさん……自重しろよの巻。

……。このオチもいらんよな……色々とグレーだし
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