生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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これも短編集から持ってきたので、ちょいと修正やら書き出ししただけです。

 まあ、既に読んで頂けた方はお分かりかと思いますが……フェニックス卿とか夫人様がぶっ飛んでるというか……。



後輩に慕われる生徒会長とその頃のフェニックス家

 生徒会長は椅子にふんぞり返ってるだけが仕事ではない。

 どこかの高校にいる見た目チビっ子みたいに訳のわからない題名をホワイトボードに書いて無駄な話し合いをするでもない。

 俺にとっても声が似てる変な男はそれで良いのかもしれないが、俺はそうはいかない。

 小さいのに器がどこまでも大きかった先代に託されたこの腕章を守るために、俺なりの最善を尽くすのだ。

 

 

「女子更衣室への覗き行為。この様な所持品の無断持ち込み。女子に対する配慮の無さすぎる会話……。

ふぅ……今までは黙っていたが、この度目安箱に投書された通りに生徒会を執行させて貰おうか、元浜同級生に松田同級生よ」

 

「はぁ!? セーヤの畜生どころか、お前までレイヴェルたんとイチャコラしてましたなリア充の裏切り者が、俺達のマイライフまで奪うのかよ!」

 

「そーだそうだ! 生徒会長の癖に可愛い女の子とイチャコラしてんじゃねーよ!!」

 

 

 

 『お前が私になるんじゃない、お前はお前になれば良い』そう言って俺に託して卒業していったあの先代の先輩の言葉と姿を決して『忘れず』にな。

 だから今は、この度が過ぎるセクハラ二人組を止める。

 

 

 

「貴様等の言い分はよくわかった……」

 

「たりめーよ! 何人たりとも俺達は止められねぇ!」

 

「ましてやリア充野郎なんかに――」

 

「明日の朝には『尊敬する人物は二宮金次郎』。好きな言葉は『友情・努力・勝利』と胸を張って言える素晴らしき人格に改造してやる。

故に今日は無事に帰れると思うなよ、これより生徒会を執行する!! まずは煩悩を消す為俺と一緒に腹筋・腕立て2000回だ!!!」

 

 

 俺なりの、要領の悪いやり方で生徒会長をやり通す!

 

 

 

 

 グレモリー眷属兵士にて赤龍帝というとてつもなく強力な神器(セイクリッドギア)を持つ人がいる。

 その人こそ、傍から見なくても異様なまでに部長や副部長やらアーシア先輩に好意を寄せられている兵藤誠八という先輩だ。

 人柄よし、悪魔に転生するあたって駒を8つ消費したらしいとの事から才能も良し……等々、言うことなしに完璧な人なので、三人から――いや確実にその他の女性からも好意を寄せられる理由としては分からないでもない。

 しかしながら私には彼に対して好意を寄せるというそんな感情は初めて会った時から感じなかった――いや、どちらかと言うと『兵藤先輩を彼と勘違いして落胆してしまった』といった方が正解なのか、とにかく私はあの先輩に魅力を感じなかった。

 何故なのか? それはかつて私を――いや私達救ってくれた『彼』の存在が兵藤先輩すら霞む程大きかったからに他ならない。

 

 

「一誠様、今日は何が食べたいですか?」

 

「うむ、野菜炒めだな。胡麻油使ったやつで!」

 

「了解しました。

うふふ、このやり取りはまるで夫婦みたいですわ……」

 

「そのお陰で俺は男子諸君から嫉妬されてるようだがな……。

今日の依頼だって、元浜同級生と松田同級生から『死ねリア充!!』と逆ギレされて大変だったぞ。最後は泣きそうになって帰ってしまったが……」

 

 

 兵藤一誠さん。

 私にとっては彼の方に魅力を感じてやまない。

 誰よりも存在感を持ち、誰よりも目立ち、誰よりも上に立つ彼こそが、昔私達を『修行』とやらの片手間で救ってくれた彼で間違い無い。

 

 

「一誠先輩」

 

 

 今思えば不思議だった。

 死にかけていた私達を、神器(セイクリッドギア)のような不思議な何かで救いだし、あまつさえ死にかける原因だった大きな一つを完全に取り除いてくれたのだ。

 結局私はその死にかけた原因のソレになってしまったのだが……。

 

 

「む、塔城一年か。部活はどうした?」

 

 

 しかしそのお陰で再会出来たのはとんだ皮肉なのかもしれない。

 悪魔に転生しなければ私は一誠先輩にこうして話し掛ける事すら出来なかったかもしれない。

 そう考えると、保護効果も働いてるという意味ではある意味道として正解だったも知れないと私は思う。

 

 

「また来ましたわね泥棒猫さん……。

何のご用か知りませんが、一誠様は生徒会業務を終えて帰宅し、私と熱々新婚生活の予行演習をするのよ。

アナタは転生悪魔の業務を精々頑張るのね……おほほほ」

 

 

 ただ、煩い鳥が一誠先輩と常にセットでいるのが実に気に食わない。

 今だって帰宅しようとしていたらしい一誠先輩の横に当然ですとばかりにくっついて腕まで組んでる、元・ソロモン72柱のフェニックス家末っ子が私の邪魔をしてくれる。

 曰く、見聞を広める為に人間界の学舎に来たとのたまってるが、そんなものは百パーセントの嘘なのは分かってる。

 どうせ本音は今こうして私に気付いてちょっと嬉しそうに話し掛けてくれる一誠先輩にくっついてたいだけだろう。

 どうもこのレイヴェル・フェニックスという雌鳥は、人間である筈の一誠先輩と昔馴染みらしいし……。

 

 

「部活なら、昨日と同じようにまた兵藤先輩を巡る先輩方の小競り合いのせいで機能停止中です。

だから私と祐斗先輩は一足早く帰ることに」

 

 

 この手のタイプは相手にするだけ疲れるので、勝ち誇って満足してる彼女を無視し、一誠先輩にほぼ趣旨が崩壊してしまっている部活の中身について説明をすると、先輩の顔が顰めっ面となり、難しそうに唸っていた。

 

 

「またか。

うーむ、兄貴の放つ異様な雰囲気は昔から老若男女――果てには両親すら虜にするからな」

 

「みたいですね。おかげでそれを感じない私と祐斗先輩は完全に蚊帳の外で居辛いです」

 

「無視するな! 一誠様もこんな雌猫の戯れ言に付き合わないでくださいまし!!」

 

 

 煩いのはお前だ雌鳥。

 今私は生徒会長の一誠先輩に、最近全く機能してない部活について相談してるのだ。

 

 

「いや、そうは言うがなレイヴェル。

兄貴の事だし他人事って訳にもいかんだろ……」

 

「う……そ、そうかもしれませんが……。

あの、こう言っては身も蓋も無いかもしれませんが、問題行動を起こさない様ですし、そもそも一誠様は彼と殆ど縁を切ってますし……放っておいた方が良いのでは?」

 

「……。まあ、居心地が悪いと感じるのは私と祐斗先輩ですし、それ以外に問題を起こしてる訳じゃないし、そもそもオカルト研究部なんて名前だけのアレですし……そこはこの人に同意できますね」

 

 

 

 ……。というのは本当を言うと嘘だ。

 ハッキリ言って問題が無いなんてお世辞にも贔屓目に見ても言えない。

 部長が抱き着けば副部長やアーシアさんが対抗し、更にヒートアップした部長が一見困り顔で笑ってる兵藤先輩の身体にペタペタと触れたら二人も更に対抗し、いよいよとなった部長がいきなり脱ぎ出すなんて暴挙に出れば、副部長と元・シスターである筈のアーシア先輩ですら躊躇無く脱いで迫り出す。

 …………。この時点で祐斗先輩は物凄い居たたまれない顔で――

 

 

『ごめん塔城さん……契約は僕がやっておくから先に帰って良いよ……』

 

 

 とだけ私に告げてから退室し、私も同じく退室する。

 そして更にいうと、あのシトリー先輩までもが――――

 

 

「いや、居心地が悪くなって早退するという時点で問題大有りだろ。

木場同級生が気の毒にしか聞こえんし、彼だって男なんだぞ……そりゃあ目の前で男一人を女の子が囲ってるのを嫌でも見せられたら気分が良いわけが無い……彼ってイケメンだけどさ」

 

 

 私達が去った後の部室で何があるのかは見てないので大きな声では言えないが、何をしてるのかなんて容易に想像できる。

 ハッキリ言ってアレはおかしい。

 部長と副部長とアーシアさんはまだ無理矢理解釈すれば納得できるけど、シトリー先輩に関しては一体何時からそうなったのか全然知らないし、それこそ彼女が兵藤先輩に見せる――何と言うか『女』って表情には大層驚いた。

 

 だからこそ、どうとも彼に思わない私や男の人である祐斗先輩からしたら怖いとすら感じる。

 あんな多くの女性が皆して異常なまでに彼に執着するのだから――――いや、私やこの雌鳥も人に言えた義理じゃないけど。

 

 

「私なら大丈夫ですよ」

 

「うむ……そうみたいだが、木場同級生は――」

 

「祐斗先輩も大丈夫ですよ……多分」

 

 

 

 兵藤先輩と一誠先輩は苗字と微妙な違いがある意外はソックリとしか言えない容姿の通り兄弟らしい。

 けれど、兵藤先輩からは両親の話はあれど、一誠先輩の話は一切聞かない。

 何というか、一誠先輩とは他人だと言わんばかりな――『居ないもの扱い』してる様に見えてしまう。

 一体何があったのか私には分からないし知らされてもない……どうもこの雌鳥はある程度事情を知ってるようだが。

 

 

「話を元に戻しますとです一誠先輩。

私が誰なのか一誠先輩も思い出してくれたようなので、その記念に私と今からデートしましょう?」

 

 

 本音を言ってしまうと、兵藤先輩が部長達とイチャコラしてようが関係ないと思っており、今私にとって重要なのは、私にとってヒーローである先輩と雌鳥を差し置いてイチャイチャする事だ。

 雌鳥が如何に一誠先輩と近かろうが知ったことではない。

 

 

「で、でーと? い、いや、塔城一年よそれは大変光栄だが――」

 

「ふざけるなこの雌猫が!! アナタごとぎが一誠様にすり寄るだけで万死に値する!!!」

 

 

 私はそれよりも折角私が何者なのか思い出してくれた先輩とラブラブになりたいのだ。

 けれど、私の申し出に目を丸くする一誠先輩は良いとして、案の定の雌鳥が邪魔してくる。

 あぁ……昔馴染みだか知らないが本当に気に食わない。

 

 

「アナタに言ってないし、アナタの許可なんて必要とは思ってない」

 

「な! め、雌猫の分際で……! ええぃ、然り気無く一誠様の腕にしがみつくなこの卑しい発情雌猫!!」

 

 

 ちょっとイラッとしてしまって私の言葉に、まるで投げたら返ってくるブーメランみたいな言葉をキーキーと煩く喚く雌鳥。

 

 

「それはアナタでしょう?

嫌だ嫌だ……自分がそうだからってその考えを他人に押し付けるなんて……」

 

「ちょっと……頼むから喧嘩せんでくれ。

俺のせいなのが何と無くわかるせいで強く言えんのだから……」

 

 

 そもそもこの雌鳥と一誠先輩は将来を約束した仲では幸いまだ無いのだ、何の遠慮がいるか。

 助けてくれたあの時――いや更に前からだと否が応にも分かる。この極限までに鍛え、絞り込まれた逞しい腕にこうするだけで気持ちが良いしぽかぽかする……。

 この気持ちをこんな雌鳥だけにさせるなんて嫌だし気に食わない。

 

 

「それと一誠先輩。二人だけの時は本名で呼んでください……じゃないと悲しくて泣きます」

 

 

 だから私は雌鳥に負けてやるつもりなんて無い。

 出来る限りのアピールだってするし、名前で……一誠先輩だけには本当の名前で呼んで欲しい。

 

 

「え゛? な、なんで?

……。いや、わかったよ白音――で、良いの?」

 

「ちょ、一誠様!?」

 

「い、いやだってさ……」

 

 

 ふっ、雌鳥さんったらショックを受けてるようで気分が良いです。

 

 

「あは、嬉しいです一誠先輩……大好き♪」

 

「んが!? い、いい加減にしなさいこの淫乱雌猫がぁぁっ!!!」

 

「あぁん、淫乱雌鳥が怖いです先輩……!」

 

 

 全然怖くないし露骨だけど、一誠先輩の腕にしがみつきながら小バカにした笑みを雌鳥さんに向ける。

 そもそも、このフェニックスさんとは似た者同士な気がしてならないし……そこが余計に気に食わないのだ。

 向こうだって邪険にしてくるんだし、私は悪くない。

 

 

 

 

 

「……。助けてよライザー……」

 

 

 二人の美少女にモテモテの生徒会長……友であり兄貴分に助けを求めるも、当然聞こえるわけがない。

 嬉しくないと言えば大嘘なのだが、妙な罪悪感沸いて出て来てならないのだ。

 

 

「そういえば、お前の姉はどうしたんだ? 姿も気配も今まで感じなかったが……」

 

「あぁ、姉様ならあっちこっちフラフラしてますよ。

昔先輩の不思議な力で『転生悪魔だった事も、はぐれ悪魔としてお尋ね者になっていた事も』綺麗さっぱり消えて自由になった途端でした」

 

「……。じゃあお前は何で転生悪魔に……」

 

「偶然です。

特にやることも無く、先輩の行方も当時分からなかったので、何か大きな権力に寄生すれば情報を得られるかなと……」

 

「ふーん……どうコメントして良いか分からないというか、すまぬというか……」

 

「何故謝るんですか? こうして会えたし無駄では無かったと私は心の底から思ってますよ? それに、悪いと思うのでしたら是非ともお詫びの激しいちゅーを――」

 

「ふざけるなこの淫乱雌猫!! そんなお子様みたいな貧相なお身体で一誠様に色目を使うな!!」

 

「……………………あ?」

 

 

 邪険にする理由が一誠には無いので、何とか何とかでレイヴェルを説得することに成功し、こうして左右の腕に思いきりしがみつかれながら家へと向かう最中も二人の露骨過ぎる険悪なやり取りは続く。

 

 一誠本人はこんな美少女二人に好かれてるとか、人生で初めてだ……と内心男の子らしくちょっと嬉しがってたりするが、それでも二人が喧嘩をしてるのは何か見てて嫌なので必死に止めようと奮闘する。

 

 それが余計に『一誠くんモテモテよー』な絵面になる訳で、途中途中で色々な生徒から様々な念を込めた視線を一身に受けたりもしたが、結局のところたった一人でありながらこれまで以上に生徒会を運営している生徒会長に文句を言える訳もなく、実に平和に学園を後にしながら、何とか喧嘩を収めて話を弾ませてるのだった。

 主に塔城小猫――もとい白音のその後やら姉の事についてやら……

 

 

「それよりも、グレモリー3年が婚約する話って聞いてるか?」

 

「え……? あぁ……何かチラッと。

尤も、兵藤先輩と何かして婚約話を消そうとするつもりらしいのであんまりよく知りません」

 

「あぁ……そう……。(ライザー大丈夫かな……)」

 

 

 兄貴分に降り注いだ訳のわからない縁談について本当なのかとか。

 割りとレイヴェルの兄でありフェニックス家三男のライザーとも仲が良かった一誠としては、またあの見た目とキャラで損をしてるのではないかと地味に心配だった。

 

 しかし、ライザーの心配をする一誠も一誠で色々と現在進行形で大変なのは云うまでもない。

 主に自分の腕にくっついてる左右の後輩美少女二人の小競り合いとかそんな面で。

 

 

「一誠先輩のご自宅ってどんな所ですか? よければ今から行っても――」

 

「先程からふざけないでくれますか? 一誠様の家は私の家でもあるんです。

それはつまり、私と一誠様の愛の巣であって――」

 

「残念な頭してる鳥頭に聞いてないんですよ私は。一誠先輩……だめですか?」

 

「え、えと……あー……」

 

「一誠様……! こんな何処の馬の骨とも分からない雌猫にまで優しくする理由なんてありませんからね? それに、今晩は子作りの約束があるじゃありませんか……!」

 

「してないしてない! してないぞ俺は!」

 

 

 慕ってくれるからこそ無下に出来ない、年下コンビにタジタジな生徒会長イッセーの――

 

 

「レ、レイヴェルはもう知ってるが、塔城――あ、ごめん白音がそんな俺にというのがよくわからない。

正直俺も兄貴の様な変な才能があるのでないかと心配になってきたぞ……」

 

「過去に一誠様に救われただけでだなんて、とんだ尻軽雌猫ですわ! ………………。正直よーくわかるけど」

 

「私のこの気持ちをバカにするつもりですか先輩? 泣きますよ?」

 

「あ、す、すまん……泣くのはやめて」

 

 

 

 一旦閉幕。

 

 

 

 

 冥界。

 そこは悪魔と呼ばれる種族が集い、住み着く世界。

 四人の魔王を頂点に上級、中級、下級という身分の住み分けがあるのだが、その中でも元・ソロモン72柱の名を冠するフェニックス家は上級悪魔の中でも一際大きな名家の一つであった。

 

 

「正直に済まないと私は思っている」

 

「そう思うのなら、今すぐグレモリー家の皆様とサーゼクス様に土下座して撤回して頂きなさい」

 

「…………。えーそれは嫌だ……めんどくさ――」

 

 

 バシン!!

 

 

「あぁん!!」

 

 

 しかしその名家と言われるフェニックス家城内では、只今物凄い異様な雰囲気と見ればドン引き間違いなしな光景が映し出されていた。

 

 

「めんどくいですって? 無様にお酒に飲まれたせいで息子がしなくて良い苦労を背負う羽目になったのに、めんどくさいですか?」

 

 

 フェニックス城・当主の寝室。

 寝室なので当然そこにはフェニックス卿と呼ばれる当主――シュラウド・フェニックスのお部屋で間違いないのだが、只今フェニックス卿はその場所にて悲痛な叫びを挙げていた。

 いや、悲痛でもない……どちかと言えば快楽に身を委ねるような、ダンディーな見た目を裏切る気色悪い声を、バシンバシンと乾いた音を部屋内に響かせる度に出していた。

 

 

「アナタが酔った状態で話さなければ、元々出来上がる事すら無かったのよ? わかってますか?」

 

 

 バシン! バシン!!

 

 

「ひぇ!? くぇ!?!?」

 

 

 ……。部屋内を支配する鋭く空気を破裂させるような音の正体。

 それはフェニックス卿が四つん這いで床に伏せ、その背中を高いヒールで踏みつけながら鞭でしばき倒す妙齢な金髪美女のせいであった。

 シュラウド・フェニックスの妻――エシル・フェニックスは淑女として夫を立てる良妻としてもっぱら冥界内で噂されてるのだが、実際は殆ど合ってるけど一部だけ違う。

 

 そう……怒ると怖いのだ。

 

 

「自分で蒔いておきながら、グレモリー卿ってめんどくさいから嫌ですって? ふざけるのもっ! 大概にっ!! しなさいっ!!」

 

「あ! ひぎぃ!? エ、エシルゥ! も、もっと強くお願いします!!」

 

 

 どうも先日の会合パーティにて記憶すら消えるほどにベロンベロンに酔っぱらってしまったシュラウドの余計な行動のせいで、こんな絵面がかれこれ実の息子とほぼ変わらない愛情を注ぎ、将来は娘に嫁がせるつもりである人間の少年のもとへレイヴェルを送り出してからずっと展開されているようで……。

 

 

「まあ、良いお歳になっても変わらない変態さんね! ほら、これが良いのでしょう!? この変態! 変態!!」

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

 

 実は不死であり生粋のマゾであるフェニックス卿とスイッチが入ると偉くサドっ気がヤバイフェニックス夫人によるやり取りは……既にグレモリー家と交わしてしまった婚約話が何処かに行ってしまった様だった。

 

 ハァハァとダンディーさの微塵もなしに気色悪く鞭にしばかれて喜ぶフェニックス家当主と、そんな夫の昔から変わらない気質にスイッチが完全に入ったのか、頬を染め、感無量とばかりに瞳を潤ませながらその背を踏みつけ、鞭でシバくフェニックス夫人。

 

 その二人の声は城内に響き渡り、殆ど巻き込まれてしまった形でその気の無い婚約話を持ってこられたフェニックス家三男の青年は居たたまれない気持ちで両親の――特に父親の気色悪いあえぎ声に辟易しながら自室で傾向と対策を考えるのであった。

 

 

「ま、また親父とお袋がおっぱじめやがった。

もう良い歳なんだからやめてくれないかな……。

兄貴達はそそくさとどっか行っちゃったし、レイヴェルとイッセーは人間界で楽しくやってるだろうし……何で俺だけピンポイントで婚約話が舞い込んでくるんだ……あぁ……」

 

「ライザー様……その……」

 

「あーもうめんどくせー! 俺もイッセーの所いって気ままにやりたーい!!」

 

「わかります。わかりますけどライザー様……レイヴェル様のお邪魔をされては元も子も……」

 

「わかってるよ……。今はお前ら眷属が俺の支えだよ……マジでどっかいかないでね? そんなことされたら寂しくて死んじゃうよ……」

 

「行きませんよ……。(あぁ、弱ったライザー様が可愛い……)」

 

 

 ライザー・フェニックス、現在中々の不幸の真っ最中だった。

 

 

 元・ソロモン72柱フェニックス一家。

 

 備考……名家であり、上級悪魔であり――悪魔という種族で唯一の悪平等(ノットイコール)




補足
 不死とマゾが合わさって無敵に見える。
 フェニックス卿もまた人外(色んな意味で)


その2
小猫たんもレイヴェルたんもかわゆいよね?(目逸らし)

生徒会長一誠とこの一誠の違いは、『年頃の男の子らしさがちゃんとある』ということなんです。

 つまり、左右からふにふにだのぷにぷにだのされてたら……その内パンクして暴走して『服を脱げぃ!!』とどっかの大統領みたいに言い始める――――かはヒロインちゃんの頑張りによります。


その3
全シリーズでもっとも転生者らしく、もっとも簡単に才能が開化しやすくされてるチートを持つ兄貴。

一誠のヒロインはこれ以上加えるつもりはあんまり無いですが……代わりに兄貴のニコポやらナデポの餌食の数は増えるかもしれませんというか増えます。


噂の兄貴こと兵藤誠八

 記憶保持……不明
 所謂特典……ニコポ・ナデポ・極小のフラグでも簡単に拾う(都合の悪いフラグは自動除外)
      兵藤一誠の本来のポジションと才能・神器+神童クラスの才能開化。
      その他特典持ち

とまあ、何気にヤバかったり。






 まあ、そこまで世界観が改変したせいで相対するバグキャラが居るわけですが。
 例えば平等な人外とか、その人外により赤龍帝の代わりに発現させた正負のスキルを持つ主人公(イッセー)とか、悪平等(じんがい)化してる火の鳥家とか。

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