生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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トラブル発生回。

起こしたのは勿論……


支持率故の信用

 ミカエルの来訪と依頼により、紫藤イリナと面会をする事になった一誠。

 正直に思えば、今更会った所で何かが変わるなんて思えないが、依頼を引き受けてしまった以上はどうであれ全力で取り組まなければならない。

 

 難しいかもしれないけど、自殺願望を変えれさえすればそれで終わり。

 それだけの事なのだと一誠は約束の日までの間を仲間達と共に過ごすのだが、その前に一つどうやら片付けなければならない事がある様だ。

 

 

「また貴様達か。今度は部下を一人ずつとはね」

 

 

 そう、紫藤イリナの件をミカエルと話し合った際、敢えて放置して盗み聞きさせていた者達であるリアスとソーナという悪魔の二人が、紫藤イリナとの面会が決まってからほぼ毎日現れるのだ。

 

 勿論、今も生徒会室に唯一一般人でありながら勝手に出入りする元浜と松田を引き連れて校内の美化清掃をしてるその最中に、其々の女王を一人ずつ連れ、暗い顔をしながら一誠の前へとやって来た。

 

 

「うっお…!? て、転校したと思ってたら戻ってきたグレモリー先輩とシトリー先輩! それに真羅先輩と姫島先輩も一緒にだとぅ!?」

 

「なんてこった、一誠とゴミ拾いしててよかったぜ!!」

 

 

 なにも知らない一般人の元浜・松田はトップクラスの容姿を持つ四人の少女を前に背中に籠を背負った姿で騒ぐ。

 一応、誠八という男となんやかんやがありました的な事は周知だが、肉体関係でした的な話は裏工作やら何やらをしていたせいで一般人は知らない。

 なので、元浜も松田も目の前の四人の少女がまさか誠八だった男によって経験済みとなってる事を知らず、至極真面目に『清い美少女達』と思ってる。

 

 復学してからの少女達の絶望じみた表情の意図など掴める訳も無くだ。

 

 

「何の用だ? 何か相談事があるなら集会で常々言った様に、『目安箱(めだかボックス)』に投書して欲しいんだがな?」

 

 

 そんな二人の一般人を他所に、会長の腕章を腕に生徒会役員専用に作成した制服姿の一誠は、ここ最近毎日やって来る少女達に対し、校舎裏の教員専用駐車場に落ちていた空き缶を背中の籠に投げ入れながら、少し冷たく問いかける。

 ぶっちゃけ正直、聖人君子では決して無い一誠にしてみれば、無理と言い聞かせても尚しつこくやって来られてもうんざりする気持ちしか無いのだ。

 

 ましてやその防波堤になってくれるレイヴェル達とも今は別行動で、事情を知らない元浜と松田だけしか居ないこの状況を見計らって来たともなれぱ尚更面倒な気分でしかない。

 

 

「そこのお二人に少し外して貰える事は出来ませんか?」

 

「「え?」」

 

 

 ほら来た。

 代表して口を開いたソーナの言葉に一誠は内心呟く。

 

 

「少し彼にだけ言っておきたい事があるので……」

 

「え、で、でも……」

 

「お、俺たち一応一誠とゴミ拾いを……ですね……」

 

「そこを何とかできないかしら?」

 

「直ぐに終わりますから……ね?」

 

「お願いします」

 

 

 聞かれたくは無い内容なのか、狼狽える元浜と松田に少し強引に席を外してくれないかとお願いする時点で、また同じ事の繰り返しと悟る一誠。

 

 

「二人とも、レイヴェル達と先に合流しろ」

 

「え、で、でもよぉ?」

 

「大丈夫かよ? 何だかよく分からないけど一人で……?」

 

 

 元浜と松田もそんな空気を流石に察したのか、離れることに躊躇を見せる。

 しかしそんな二人に一誠は『すぐに終わるから』と言って聞かせて席を外させた。

 

 

「…………。俺はあの時点でのベストを尽くしたつもりだが、それ以上何をしろと言うんだ? 言っておくが無理なものは無理だ」

 

 

 元浜と松田の気配が遠くへと行くのを確認した瞬間、一誠は前置きも無くリアス、ソーナ、朱乃、椿姫に向かって突き放す様に言う。

 何度も言うが、誠八だった男を終わらせた瞬間に一誠のマイナスはほぼ消滅し、僅かな燃えカスとしての残りもこの四人+αと両親だった者に使用して完全に失ったのだ。

 誠八だった男との間の子供を身籠らなかったという現実に改竄し、更に言えば穴倉生活すら免除されてこうして学校に復学してるだけでも破格なのに、これ以上マイナスを失った己に何を求めるというのだ。

 

 何度もそう言ってるというのに、今もこうして無理なものは無理だと言って聞かせてるというのに、どうして理解しないのか。

 一誠はそれ自体が理解できなかった。

 

 

「アナタが正しかったのは身に染みてわかりました。義理も無いのにここまでして頂いたのは重々承知しております。

ですが、その……だから最後といいますか、あの男が居たという現実そのものを無かった事にはどうしても出来ませんか?」

 

「そうすれば……ほら、お互いにこうして関わる事も無くなるでしょう?」

 

「どうか、どうかお願いします……!」

 

「耐えられないんです……!」

 

「…………」

 

 

 要するに中途半端じゃなくて全部無かったことにしろ。

 そう懇願する四人の姿に一誠はほんの少しだけスキルを使った事を後悔した。

 多少なりとも彼女らだって被害者ではあるからと思って、せめて洗脳をした男との子を産まなきゃならんという現実を否定させてやったが、そんな力があると分かった途端こうまですがられるとは……。

 

 

「そこまで後悔してるのは分かる。しかし俺には最早あの力は無い。

だから貴様等の願いは叶えられないし、これ以上してやれる事も無い。

勘違いしている様だが、俺達生徒会は悩み事の相談は受けて最適な答えを促す事はせよ、その者の代わりになって悩みを片付ける事はしない。

結局最後にモノを言うのは己自身の選択であって、俺達はその視野を広げる手伝いをしているだけに過ぎんのさ。

だから貴様達に出来た最適は『アレ』が精一杯で、後は貴様達が自分で進むしかないのだ」

 

 

 すがる少女達にそう告げ、ゴミ拾いに使っていた火挟みをヒュンと軽く振りながら一誠は同じ説明をもう一度だけする。

 そもそも仮にマイナスがまだあって、行使したとしてもレイヴェル達に怒られるのは目に見えてるし、自分もそこまでするつもりは無かった。

 

 

「分かったらもう帰るんだ。

他の悩み事があるなら応じれるから、その時は投書してくれ」

 

「「「「………」」」」

 

 

 決して意地悪で言ってる訳では無く、もはや不可能だから応じれない。

 暗い顔をする四人に背を向け、火挟みを持った手を軽く振りながらその場を去ろうとした一誠は内心『まぁ、あの様子じゃ理解しないだろうな……』とため息を付いた――

 

 

「い、い、嫌ぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 その時だった。

 背を向けてとっとと元浜と松田の二人と合流しようと歩き始めようとした一誠の耳をつんざくようなシャウト絶叫ボイスに思わず振り返る。

 

 

「? 何だ突然」

 

 

 それこそ学園の敷地内を響かせる程の絶叫なのだが、間近で不意打ち気味に聞かされた一誠の態度は極めて冷静――というより、流石にうんざりしたそれであり、急にその場にしゃがみ込むリアスと姫島朱乃に視線を向けつつ、同じく驚いた様子のソーナと真羅椿姫に向かって『これは何のつもりだ?』といった意味で問う。

 

 

「………」

 

「……」

 

 

 しかし二人は答えない。

 その表情はどこか『引っ込みが付かなくなって焦っている』様に見て取れる。

 

 

「おいグレモリー三年と姫島三年。今度は何だ?」

 

 

 段々イライラして来たが、そこは一応生徒会長なので我慢しつつ、背負っていた籠と持っていた火挟みをその場に下ろしてその場に身体を庇う様にしゃがみこんでるリアスと朱乃に近づく一誠。

 どう見ても苦し紛れに引き留めようとしてる腹が見え見えだったりするけど、この際だから敢えてそれに乗ってやる――――なんて考えつつ、リアスと朱乃の前に立ったその瞬間だった……。

 

 

「おいどうした!?」

 

「こっちから悲鳴が聞こえたわ!」

 

 

 耳なりすら覚える程の絶叫を聞き付けた部活動中の生徒が運動部・文化部問わずにゾロゾロと絶叫が聞こえた場所……つまり今一誠と四人が居る場所に現れた。

 

 

「あれ、生徒会長……? そ、それにグレモリー先輩と姫島先輩……」

 

「あれ、支取先輩と真羅先輩も居るわよ? 何この不思議な組み合わせ……?」

 

 

 絶叫が聞こえた場所に駆け付けて見たらそこに居た生徒会長と、二学期になって復学した二大お姉さまや、それに勝るとも劣らない容姿を持つ美少女が居た事に、アンバランスさを感じる生徒達。

 

 

「兵藤君? これは一体何なの?」

 

「俺が聞きたい。何せいきなり――」

 

 

 しゃがみ込む二大お姉さまの前に若干うんざり気味な顔で立っていた生徒会長の一誠にクラスメートである女子生徒が質問してきた。

 それに対して一誠は寧ろ俺が聞きたいと、事情は分からないと答えようとしたのだが……。

 

 

「か、彼にいきなり襲われたの!」

 

 

 リアスがしゃがんだ状態で一誠を指差しながら、己が襲われたのだと大声で叫んだ瞬間、その場の空気は凍り付いた。

 

 

「…………………はぁ? 貴様一体何を――」

 

「わ、私も襲われましたわ! 無理矢理服を剥かれそうに……!!」

 

 

 姫島朱乃まで怯えた演技をしながら一誠に襲われたと叫ぶ。

 

 

「………………」

 

 

 その瞬間一誠は悟ったのと同時に、一瞬目の前の二人を本気で蹴り飛ばしてやろうかと思ってしまった。

 要するに自分の望みを却下された腹いせに自分にありもしない冤罪を吹っ掛けようとしているのだ。

 

 恐らくソーナと椿姫は考えてなかったのだろう、ぎょっとしたかの様に目を見開いてる。

 しかし何も言わないのを見るに、冤罪である事を話すつもりは無いのだろう……自分達も助かりたいから。

 

 

「え、転校した兵藤じゃなくて生徒会長の兵藤が先輩達をっすか……?」

 

「え、ええ……! こ、怖かったから思わず叫んじゃって」

 

「「「「………………」」」」

 

 

 震え声で怖いと宣うリアスの言葉を聞いた瞬間、その場に居合わせた殆どの男子生徒が一斉に一誠へと疑いの目を向け――

 

 

「……………。いや、無いだろ」

 

「うん、無い」

 

「それ先輩の勘違いじゃないっすか?」

 

「なっ……!?」

 

 

 る事は無く、逆にリアス達に『何かの間違いじゃないのか?』と確認しだした。

 この手を使えば男性の立場は急激に弱くなる事を知っていたリアス達だけに、まさかの援護に唖然としてしまう。

 じゃあ同性ならわかってくれるか……と男子から女子に振ろうとしたのだが……。

 

 

「生徒会長の方の兵藤君がそんな事するとは思えないわよね?」

 

「うん、そもそも兵藤君って露骨なまでにフェニックスさんLOVEだしねぇ?」

 

「正直言うとフェニックスさんがかなり羨ましいわよねー?」

 

「「「「………!!」」」」

 

 

 同じく、生徒会長の兵藤一誠の普段の行い及び、レイヴェルに対するもろバレな好き好き光線のせいで誰一人としてそれは無いんじゃないのかという空気になっていた。

 

 

「兵藤君は襲ったの?」

 

「いや、ここでバッタリ会って少し話をしただけで一切触れてない」

 

「と、彼は言ってるけど、アナタ達は何で兵藤君が襲ったと言ったのかしら?」

 

 

 リアス達と同じ学年の女子生徒が睨む様に四人を見据える。

 リアス達は嘗めていたのだ。生徒会長として君臨し、今尚不動である97%……いや、最近は99%となった支持率を。

 

 

「で、でも本当に――な、何で誰も私達を信じないのよ!!」

 

「別にこの場に居る人達全員、アナタ達を信じてないと言ってないわよ? ただ、どう考えても兵藤君がアナタ達に狼藉を働くとは思えないのよ」

 

 

 思ってない展開に焦ったリアスが逆ギレ気味に叫ぶが、代表して話した同学年の女子生徒は極めて冷静に返す。

 

 

「そもそも兵藤君がスケベコンビの二人を連れて学園中をゴミ拾いしてたのを見てたし、どう考えても辻褄が合わないの。

そりゃあ軽くセクハラするなら時間なんてあんまり関係ないかもしれないけどね?」

 

「おい、俺は絶対にしてないぞそんな事」

 

「でしょうね? だってフェニックスさんに怒られちゃうもの?」

 

「そうじゃなくとも俺はしない」

 

「ふふ、わかってるわかってる。ほーんとからかうと面白そうよねアナタって?」

 

 

 ムッとする一誠に軽く笑って茶化す女子生徒。

 この反応だけで最早わかりきっていた。

 

 

「何でそんな嘘を付いたのかは知らないし、聞かなかった事にするわ。

というかアナタ達って転校した方の兵藤君と楽しくしてたんじゃないかしら?」

 

「ち、違うわ! あの男なんて知らない!」

 

「あらら? 私達が見てた限りじゃ人目も憚らず取り合いをしてたように見えたのだけど?」

 

 

 完璧に選択を間違えたと、今になって後悔するが既に遅く、それどころか誠八だった男の事を蒸し返され、逆ギレっぽく否定しようとするが、したところで嘘こいて一誠を嵌めようとした現実は否定できなかった。

 

 

「まあ、何か込み入った事情があってそんな事を言ったんだと思うけど、皆幻滅なんてしないわ。

何せアナタ達は私を含めて皆の憧れの存在なんだから」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 女子生徒のこの一言に四人のハートにグサリと槍が刺さる。

 どう聞いても『皮肉』にしか聞こえないのだから。

 しかし問題はそこじゃないのだ……。

 

 

「それと……あー……私達は良いとして、少し覚悟した方が良いかも?」

 

「何が―――っ!?」

 

 

 同学年の女子生徒と、騒ぎを聞き付けてやって来た残りの生徒達………そして一誠の視線がリアス達――――の、後ろに向けられる事に気付き、振り向いてみた四人はここでハッキリと後悔した。

 

 

「面白いですわねリアス・グレモリー、ソーナ・シトリー、姫島朱乃、真羅椿姫? 一誠様がアナタ方を襲ったですって?」

 

「……。そこまでして要求したかったんですか?」

 

「結局変わってねーじゃねーか」

 

 

 笑ってるけど、殺意全開状態のレイヴェル。

 落胆しきった表情の祐斗。

 呆れ果てて逆に穏やかになってる元士郎……そして生徒会が元浜と松田の報告により参上したのだから。

 

 

「本当に面白すぎて笑っちゃいますわよ? ねぇ…………………………………そろそろ死ぬか?」

 

「ひぃっ!?」

 

 

 ニコニコしてる。声がどんどん低くなって最後は母・エシルが憤怒の炎を使用している時の口調を彷彿とさせるそれで凄むレイヴェルに四人は硬直した。

 焼き殺されると……。

 

 

「レイヴェル……止せ。誤解である事は証明されてるんだ、殺気を引っ込めろ――その、皆怖がってる」

 

 

 一誠が止めなかったら多分本気でこの場で焼き殺されていたかもしれない程の濃厚な殺意。

 さしもの野次馬達も冷や汗ダラダラであり、レイヴェルを一誠関連で怒らせてはならないと全員が思ったとか。

 

 

「あ、嫌ですわ……ついはしたない言葉を……」

 

「大丈夫だ、俺はそんなレイヴェルも好きだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局単なる出任せでオチが付いた騒動だが、勿論当人達はそれで終わりでは無かった。

 

 

「サーゼクス様に連絡しましたので、少しばかり覚悟してくださいね」

 

「なっ!? 何で兄に……!」

 

「当たりめーだボケ。くだらねぇ猿芝居まで噛まして一誠嵌めようとしたんだ。

ここ最近のしつこさの事もきっちり報告するからな……あぁ、セラフォルーさんにもな」

 

「な、何故!? わ、私は何も――」

 

「そう、アンタは何にもしてない。一誠が冤罪吹っ掛けられそうになっても何も言わないで黙ってた。

つまり、もし一誠を嵌めれたらそれにあやかろうとしたって事だろ? 見え見えなんだよバカが」

 

 

 安心院信者であるサーゼクスに報告すれば、その時点で後継者にて近い存在の一誠に迷惑が掛からないようにと全力で動くだろう。それこそまた地下生活すら躊躇わず命じる程に。

 

 結局リアス達に反論なんて出来る訳も無く、魔王や実家からの言明に震える事になってしまうのだった。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 学園では節度を守ってる一誠だが、自宅に帰るとそうでも無い。

 夏休みに冥界へ帰省した際に危うく一線を越えそうになったのもあってか、若干グレーゾーンにすらなってるのは果たして気のせいなのか。

 

 

「んー……レイヴェル……」

 

「ふふ、家では甘えん坊さんなんですから……」

 

 

 休日なんかはほぼレイヴェルにひっつく始末。

 だからこそ冤罪を吹っ掛けられてもあっさり無罪を勝ち取れたとも言える。

 

 

 そして誠八だった者の末路を考え、一誠は白音と黒歌にケジメを込めて言おうとするのだが……。

 

 

「アレだ、俺はどこかの誰かと違って皆愛するなんて器用な事は出来ない。

だから俺は――」

 

「え、嫌です。ペット枠でも全然構わないですよ?」

 

「えへ、生きてるダ◯チワ◯フポジが良いにゃ。寧ろそっちの方が興奮してヤバイ」

 

「……………………」

 

 

 猫の姉妹は本当にブレが無い。

 もう本当に清々しいまでにだ。

 

 

「イッセーの脱ぎたてのワイシャツ……! すーはーすーはー…………あっ……!?

ぁ………あはぁ♪ またびしょびしょにしちゃったからお仕置きしてほしーな?」

 

「いや……あの、俺の話をだな……」

 

「ですから嫌です。何で私と姉様があんまりリアス先輩達の事を言わないか知ってますか? 私と姉様は同じ穴の狢だからですよ」

 

「お前達は違うだろ……」

 

「ここまでしつこい女性は初めてですわ……」

 

 

 何を言っても聞こうとしない。

 猫姉妹は今日も絶好調である。

 

 

 

オマケ2

 

 元士郎は休日になるとこっそりと夏休み中に得た冥界の悪魔領土永住権を使ってフェニックス家にやって来ては、カテレアに会っていた。

 

 会うだけで特に何をする訳じゃないが、少なくともカテレアも元士郎も一緒にのほほんと出来るだけで充分だった。

 

 

「何で私に会ってくれないの?」

 

「逆に何でアンタが当たり前の様にここに来てるんだよ?」

 

「そんなの元士郎ちゃんとベタベタしたいからだもーん! カテレアちゃんばっかりでずるい!」

 

「いや知らねーし……何なんだよ」

 

 

 押し掛けてくる魔王に辟易気味となる元士郎だが、まあ、害は無いからと放置してカテレアと部屋でのほほんと健全に過ごす訳だが……。

 

 

「ねーねー元士郎ちゃん……」

 

「あ? 何――わぷっ!?」

 

「!?」

 

 

 セラフォルーがそれを許す訳も無く、何となくでチョイスで持ってきたレンタルDVDを見てて油断していた元士郎に、セラフォルーがダイレクトアタックを仕掛けた。

 例の衣装で胸元がめっちゃ強調されたソレで元士郎にダイレクトアタックするという意味で。

 

 

「ぁ……元士郎ちゃんの息だけなのに気持ち良くなっちゃうよぉ……!」

 

「な、何をしてるのよセラフォルー!?」

 

「んっ……や……へへん、カテレアちゃんがやらないから先にやっただけだよーだ☆」

 

「!」

 

「ぐももも!?」

 

 

 絡み付くように抱きつき、元士郎の顔面に自分の胸を押し付けながらハァハァするセラフォルーに顔を真っ赤にさせながら狼狽えるカテレア。

 それはセラフォルーからのあからさまな挑発なのだが、見てて段々テンパってしまい、意外と初だったりするカテレアは半ばヤケクソと対抗心から、頬を上気させるセラフォルーから元士郎を奪い取る様に自分の元へと引き寄せる。

 

 

「ど、どうですか? 私の方がセラフォルーよりあると思うのだけど……」

 

「え、えっと……何だろ、安心するっす……あと良い匂いがして……」

 

 

 そしてやっぱりもう一組までとは言わずともぎこちないやり取りを、自然と互いに抱きしめ合いながら交わすカテレアと元士郎。

 どちらもレヴィアタンなだけに、元士郎の将来は中々アレなのかもしれない。

 

 

 

終わり




補足

危うくどこぞの嫌われ二次的感じに落とされそうになるが、学園での支持率がヤバイのでそんな事は無かったぜ。
寧ろ相手が死亡フラグだぜ。

理由としては、それだけ必死で苦し紛れだったから……ですかね。無駄でしたけど


その2

本編だけじゃあれなんで少しほのぼのを軽くした結果、ただのイチャイチャだった。

よかったね匙きゅん、着々とレヴィアタン丼フラグだぜ。

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