生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

56 / 65
これである程度終わりかな。


元・幼馴染み

 この日、ミカエルと共に紫藤イリナがやって来るという事で何時もより割りと張り詰めた空気が生徒会達の中で展開されていた。

 

 

「では俺とゼノヴィア以外は周囲を警備してくれ。

一応ミカエル殿も来るしな」

 

 

 実際に対面するのは聖剣事件の時にイリナとコンビだったゼノヴィアと、決して浅くは無い因縁めいたものを持つ一誠の二人。

 それ以外のメンバー……レイヴェル、白音、黒歌、祐斗、元士郎、ギャスパーは生徒会――いや、駒王学園の警備を担当するという事で事前に打ち合わせをしたのだが、やはりというか何というか……警備をするという選択はある意味正解だったのかもしれない。

 

 

「完全下校時刻は過ぎてるし、生徒会室は只今部外者は立ち入り禁止です。

どうかお引き取り願いましょうか?」

 

「べ、別に邪魔をするつもりじゃ無いわ。

な、何か手伝えたら良いかなと――」

 

「大丈夫ですから。本当に心の底から遠慮しますのでどうかお引き取りくれますか」

 

「も、もう流石に何も言わないから……ね?」

 

 

 生徒会室へと訪れる部外者を追い返すという意味で、担当していた元士郎と祐斗は元主達相手に真っ向から対峙していた。

 

 放課後……それも夜を使っての面会だというのに、しれっと現れた元主達曰く、手伝いをしたいとの事だが、元士郎の言った通り前科がありすぎで一切信用が出来ない。

 というか、どっちの家の親に怒られたばかりなのにも拘わらずこの場に現れるその変に強いメンタルはどこから沸いて出てくるのかが二人には不思議でしょうがなかった。

 

 

「レイヴェルさん達に連絡しとく?」

 

「あぁ、その方が良いかもな……」

 

「!? ま、まって! あ、あの子達に言うのはやめて!」

 

 

 いっそ同性のよしみでレイヴェル達に追っ払って貰おうかとトランシーバーを取り出しながら言う祐斗に元士郎も同意して頷く。

 だが、レイヴェルの名前を聞いたその瞬間にリアス達が焦りながら呼ぶのは止めてくれと懇願し始めた。

 余程年下のレイヴェルが怖いらしい。

 

 

「じゃあ大人しく帰ったらどうすか……」

 

『……』

 

 

 脅威じゃないにせよ鬱陶しい。

 今のリアス達はまさにそれであった。

 

 

 

 

 元士郎と祐斗がリアス達を追い払おうとするその頃、生徒会室内ではミカエルによって連れて来られた紫藤イリナとまともな意味で久々なる対面を果たしていた。

 

 

「お、お久し振り……です」

 

「………」

 

「イリナ……」

 

 

 痩せこけた頬、枝毛だらけの髪……そして生気を感じさせない肌。

 ミカエルによって事前に知っていたとはいえ、変わり果てた元相棒の姿にゼノヴィアは絶句してしまう。

 

 

「その説は……本当にごめんなさい……」

 

「…………」

 

 

 主を信仰していた時のはつらつさは無く、ただただ無言でソファに掛ける一誠と目を合わせづらそうに低姿勢となるイリナ。

 

 

「自分が何をやっていたのかを自覚してます……」

 

 

 この分だとリアスやソーナ達同様目が覚めてる様子だが、リアス達とは違い、今のイリナは少しでも突き放せば完全に精神が壊れてしまうかと思う程の脆さを感じる中、ビクビクした態度で目を細めていた一誠に先ずはの謝罪をイリナはした瞬間、無言だった一誠は静かに口を開く。

 

 

「何故貴様が謝るんだ?」

 

「……え?」

 

「一誠……?」

 

 

 その一言にイリナの目が丸くなり、同様にゼノヴィアも疑問に感じた目を向ける。

 ミカエルも付き添いという事で無駄な口を挟むつもり無しと見守っていたが、一誠のこの一言にピクリと瞼を揺らす。

 

 

「謝る必要は無いと思う。俺は今そう言ったんだ」

 

「い、イッセー……くん……?」

 

 

 生徒会役員専用の制服、そして会長の腕章を身に付けた一誠の淡々とした言い方に、かつて仲の良かった時に呼んでいた名前を思わず口に出してしまうイリナ。

 

 

「だってそうだろう、今の貴様を見ればあの男によって無理矢理好意を持つ様に仕向けられていたのは理解できる。

それから解放されて自己嫌悪に陥ってるのも今の貴様を見てればわかる」

 

 

 然り気無く飲み物をイリナに差し出しつつ一誠は只ひたすらに淡々とした態度と口調で続ける。

 

 

「だからこそ何故貴様が俺なんぞに謝る必要がある?

ミカエル殿から聞いてる筈だが、確かに俺はあの男の化けの皮を剥ぎ、快楽目的で女性の意思を無視していた奴の洗脳術を消した。

しかし俺がその行動に出た理由は、奴が本来の容姿を隠して俺の双子という嘘の皮を剥ぎ、俺がその時まで持っていた全てを横から奪ったからだ」

 

「………」

 

 

 ゴクンとコップに入れていた麦茶を一口飲み、ここで一息間を置きつつ目を泳がせるイリナを真っ直ぐ見据える。

 

 

「双子でも無ければ血も繋がらない奴に自分と似た顔までされた挙げ句、女性の好意を無理矢理己に向けるなんて真似をされたら嫌だろう? だから俺は清算のつもりで奴の化けの皮を剥いだのだ。

貴様等の洗脳が溶けたのは只の副産物であり、もっといえば貴様等が身籠っていたあの男との子を『妊娠したという現実を否定した』という形で『殺した』のと同義なのだ。

それが例え拝み倒されたからとはいえ、俺は貴様等に恨まれる事はせよ謝罪される事は無いと思っている。ましてや『命を神聖視』する貴様にしてみれば、身籠っていた子を俺に殺されたのだぞ? 寧ろ恨みを持って然るべきだ」

 

 

 あくまで元幼馴染みとしてでは無く、一人の人間・兵藤一誠としてイリナと話すその態度はどこまでも淡々としていて、どこまでも他人行儀。

 ゼノヴィアも常日頃の一誠の自分達に対する態度を身をもって知ってるが故に、ここまで真逆な態度に思わず息を飲むのと同時に心の奥底でホッとしてしまった。

 

 

「そうだろうミカエル殿? 俺は命を冒涜したのだぞ?寧ろ仇じゃないのか?」

 

「……。殺したというのは流石に語弊があると私個人は思いますし、サーゼクスからアナタの力は既に伺ってます。

『現実と自身の描いた空想を入れ換える』という力……それは恐らく神の領域すら侵す力であり、その神の域の力によって彼女の現実が変化したとなれば、それは解釈によっては神からの慈悲と考えております」

 

「ふっ……はは、聞いたかゼノヴィア。人間の負の具現である過負荷(マイナス)が神だそうだ」

 

「お前はそう言うが、実際よく考えたらお前のアレはそう捉えられても同義だと思うが……」

 

「ふふ、お前に言われるとくすぐったい。

しかしミカエル殿……持ち上げて頂いて実に光栄ですが、俺は正真正銘の人間であり、今はもう失った幻実逃否(リアリティーエスケープ)も、所詮は現実逃避という俺の弱さ(マイナス)を具現化させただけのモノです。

アナタの言う神の域とは正反対の代物ですよ」

 

 

 『既に失ってる』と強調しながら、ミカエルの主張を真っ向から否定する一誠は可笑しくて仕方ないとばかりにクスクスと笑う。

 確かに現実を己の描いた夢へと書き換えるなんて力は神の域とも言える代物と、何も知らない者からしたら思えるかもしれない。

 だが実際は一誠が嘗て最早本名すら不明な転生者によって全て奪われた際に抱いた負の感情が爆発した結果発現したというだけの力であり、神の域云々とは真逆の力なのだ。

 

 その証拠に、このマイナスを使って目の前のイリナやリアス達が幸せになったのか? 答えは否だ。

 カテレアの件は確かにマイナスにそぐわない使い方だったが、アレですらある意味命の流れの冒涜であり、普通なら誰も幸せにはなれないのがマイナスなのだ。

 

 

「無意味で無価値で無関係……そして何より無責任なのが過負荷(マイナス)

まあ、今の俺はそのマイナスの原因との因果を断ち切れたお陰で失いましたがね」

 

「「……」」

 

 

 どこかゾッとする様な笑みを見せる一誠に全員が口を閉じてしまう。

 マイナスは失えど根っこはまだマイナス所持者特有のソレは残っているのだ。

 

 そんな空気を一人作り上げた一誠は、薄く笑いながらイリナへと向き直ると、ハッキリと言った。

 

 

「故に紫藤イリナさん。貴女が罪悪感を抱く事なんて何一つ無いのさ」

 

「…………」

 

 

 ゼノヴィアも思わず閉口してしまう雰囲気を出す一誠の一言だが、親しくしている者の一人故に彼女はここで気付く。

 一誠は『わざとこんな冷たい空気まで出して彼女を突き放そうとしている』と。

 

 

「何なら俺を恨んでくれても結構だぞ? あ、そうだ、折角だし俺に復讐する為に鍛えてみればどうだ?」

 

「一誠、お前……!」

 

「………」

 

 

 復讐心を抱かせ、己という復讐対象を植え付けて生きる気力を与えようとしている。

 今一誠が煽る様に話した瞬間それは確定となり、思わずゼノヴィアは咎めるように声を出そうとするが、言わせないとばかりに一誠はわざとらしく声を張り上げる。

 

 

「自殺未遂をしたらしいが、くくく、この際だ言わせて貰おう。

ザマァ無いな………………負け犬が」

 

「!!!」

 

 

 わざとらしく、上から完全に見下しきった笑い顔で言い捨てる。

 

 

「謝罪だと? ふん、誰も貴様の為になんぞやっては無い。鬱陶しいからついでにやってやっただけだ。必要すら無いな」

 

 

 ゼノヴィアの声にたいして目だけで『気にくわないだろうが俺のやり方に今だけは黙っててくれ』と伝えながら、打ちのめされた様に俯くイリナを煽り続ける。

 

 

「この茶番が終わった後もし貴様が自殺したら俺は笑ってやる。

まんまと知らん男に好意を向ける様に仕向けられた挙げ句、関係まで持って、解放されたら勝手に絶望して自ら命を断っただけの負け犬だとな」

 

「………」

 

「それとも何だ貴様? まさか俺が貴様に優しい言葉でも掛けてやるとでも思ってたのか? 『大変だったな』とか『これからは友達としてやり直そうとか』言うとでも? ……甘えるな、昔少し顔を合わせたかもしれないってだけの――この学園の生徒ですらない貴様に何故俺がそこまでしなければならない? 勘違いもここまで来ると呆れるだけだ」

 

 

 これでは逆に本当に自殺するんじゃ……と思えるレベルの言い方で締めた一誠は、話は終わりだとばかりに席を立つ。

 

 

「話は終わりだ紫藤イリナ。今後貴様がどう行動しようが俺は知らん。死ぬなりなんなり勝手にしろ。

しかし俺を恨んで復讐したくば何時でも来るんだな……叩きのめしてやる。行くぞゼノヴィア」

 

「…………あ、あぁ」

 

「ミカエル殿、話は終わりですので、後は頼みます」

 

「……。はい、しかしアナタという方は――いえ、此処で言うのは無粋ですね」

 

「何の事やら……俺は単に勝手に俺に対して罪悪感を持ったれるのが迷惑なだけですよ」

 

 

 ミカエルの何とも言えない視線に一誠はそれでも惚けながら、同じく何とも言えない顔をするゼノヴィアを引き連れて生徒会室を先に出ようと出口へと向かう。

 

 

「………て」

 

 

 すると、それまで俯いていたイリナが小さく何かを呟く。

 

 

「……あ?」

 

 

 扉に手をかけようとしていた一誠がピタリと止まってゼノヴィアと共に振り向き、小さくカタカタと震えるイリナを見つめる。

 

 

「……待って」

 

 

 どうやらイリナは待てと言っていたらしく、カタカタと震えた身と同じ震え声を出すと……。

 

 

「イッセー君の気持ちはわかった」

 

 

 漸く俯いた視線を上げ、それまで皆無だった生気が復活した眼差しで一誠を睨む。

 

 

「そうよね、私なんて助ける理由なんてあるわけないよね。わかった……やっと話せて良かったわ。

やっぱりアナタは嫌いよ……!」

 

 

 そしてハッキリと、聖剣事件の時と同じ生気の籠った声で一誠に吐き捨てた。

 その瞬間一誠は内心ニヤリとしつつ、イリナには挑発的な態度を崩さずに口を開く。

 

 

「ほう、嫌い? 結構だな、俺は元々貴様に何の感情も無いので言われた所で痛くも痒くも無いな」

 

「ええ、そうね。わかってるわよそんな事。

だからこそ、イッセー君の言うとおりその内思い知らせてやるわ……!」

 

「へぇ、自殺未遂までした負け犬が随分と大きく出たな? 何を思い知らせるんだって?」

 

 

 睨み付けるイリナの目を楽しそうに笑いながら見据える一誠とのやり取りにゼノヴィアとミカエルは『不器用』と内心呟く。

 

 

「自殺なんて止める。悪魔に与するアンタを今の状況から何としてでも這い上がってから倒す……!」

 

「…………………………。ほーぅ?」

 

 

 ある意味生きる気力を与えることに成功したと確信した一誠が隠し切れてない笑みをこれでもかと浮かべた。

 

 

「這い上がるねぇ? そうかそうか」

 

「………」

 

 

 少なくともすがられるより遥かにマシだと内心ニタニタしっぱなしとなる一誠は、睨むイリナに背を向けながら最後に一言……。

 

 

「精々へし折れない様に頑張るだな……」

 

 

 挑発とも激励とも取れる言葉を送る。

 それに対してイリナは彼の背を睨みながら……。

 

 

「上から目線でものを言わないで……そういうのが嫌いなのよ」

 

「そうか……」

 

 

 嫌いだと言う。

 その一言にほんの一瞬だけ立ち止まった一誠に、ちょっとビクッとしてしまうイリナはもう一度だけ振り向いて見せた一誠を見て息を飲んでしまう。

 

 

「俺はそんな貴様が初恋の相手だったよ……」

 

「な……!?」

 

「!」

 

「あ、あらー……」

 

 

 それまでが嘘だったかの様に穏やかに笑いながら、好きだったと言ってきたのだ。

 その瞬間イリナは怒りやら何やら自分でも訳がわからない感情の波に飲み込まれ、思わず激昂してしまう。

 

 

「そ、そういう所が嫌いなのよ!!!」

 

 

 初恋って……ふざけるな、自分はあの男に洗脳された時必死に呼び止めようとしていた一誠の頬まで叩いて拒絶してしまったのに、何故今でもそんな台詞を吐ける。

 これでは憎もうとした自分がバカを見てるだけ……いや、分かってる、本当は理解(わか)っていた。

 

 一誠がわざと復讐心を煽っていた事を。しかしその上で今の台詞を言われた瞬間、イリナの死に体同然だった感情は完全に爆発した。

 

 

「あ、アンタなんか……アンタなんか絶対倒してやる! それまで這ってでも生きて、アンタをぶっ飛ばすまで……!!」

 

「ふっ、そうか……じゃあ気長に待ってるから何時でも来るんだな」

 

 

 望み通り生きてやる。

 そして目の前の男を倒して、生かした事を後悔させてやる。

 ハッキリと今生きる燃料を得て命の炎を燃え上がらせた今のイリナはみすぼらしくなった姿を感じさせない程に生き生きとしており、満足そうに頷いた一誠は今度こそ背を向けながら軽くを手を振ると……。

 

 

「さようならだ―――――――イリナ……」

 

「ぁ……」

 

 

 昔呼んでくれた名前を小さく口にしながらゼノヴィアを連れて生徒会室を出ていった。

 

 

「シスターイリナ。感謝するんですね彼に、今のアナタは初めの頃とは比べ物にならない程に生気に満ちてます」

 

「み、ミカエル様……わ、私……」

 

「わかってます。私が直々にアナタを叩き直してあげましょう……」

 

 

 紫藤イリナの自殺思考をねじ曲げる事により、生徒会執行完了。

 

 

 

 

 

 

 

 「………………はぁ」

 

「お前という奴はなんというか……」

 

「言うな。柄じゃない事ぐらい自覚しているさ」

 

 

 生徒会室を出てレイヴェル達と合流する為に夜の廊下を歩く中、先程のやり取りについてゼノヴィアに呆れられていた一誠は、苦笑いを浮かべる。

 自殺を止める為に逆に煽り倒して自分をぶちのめす目標を与える事は成功した。

 

 これですがられる事は無くなったという意味でも一安心なのだが、ある意味気疲れした感は否め無い。

 

 

「…………。で、何故貴様等がいる?」

 

「手伝いをするとかしつこくてよ」

 

「断ったんだけどね……」

 

「またリアス・グレモリーとソーナ・シトリーか……」

 

「「……」」

 

 

 その上元士郎と祐斗と先に合流すれば、戻ってきていたリアスとソーナにまたしても出会すというオプションも付けば中々に疲れる。

 

 

「もう面会は終わった。だから貴様等も帰れ」

 

「ど、どうだったのよ……?」

 

「どうだった? 別にどうもしてない、ミカエル殿の依頼通りの事をしただけだ」

 

「……。自殺する程の精神を持ち直させるケアをしたんですか? 随分とその……親切ですね」

 

「おい、お前達は何が言いたい?」

 

 

 ソーナのボソッとした声にゼノヴィアが軽く睨む。

 

 

「何度も言うが、一誠にこれ以上求めるな。お前達の両親に釘を刺されてるはずだろう?」

 

「それで懲りたら此処に来ねーだろ」

 

「それは言えるかも……本当に勘弁して欲しいのですけど……」

 

 

 イリナとは逆にすがりつこうとするリアスとソーナ達にうんざりした様子の三人。

 そのタイミングでレイヴェル達も合流する事でアッサリと二人は追い返された訳だが、これからもこのやり取りは続くかもしれない。

 まあ、最早無視に近い対応となるが、それも回数を重ねたらストレスにもなろう。

 

 

 故に元士郎は大胆な計画を決意するのだった。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

一週間後……冥界にて。

 

 

「女王をカテレア・レヴィアタンとして据え、眷属の作成を許可して頂きたい」

 

 

 以前取った手柄により得た特例の眷属持ちの権限を使い、カテレアを女王とする事でカテレア自身にある程度の自由と……そして。

 

 

「そして早速ですが、リアス・グレモリー並びにソーナ・シトリーにレーティングゲームを申し込む。

それにより俺達が勝利した場合……友である兵藤一誠に対して一切すがることを止めて貰う」

 

 

 後に無限喰らいの暗黒騎士として名を馳せる元士郎の第一歩が始まる。

 

 

 だがその前に……。

 

 

「は、招待? レイヴェルにか?」

 

「ええ、眷属なんて正式に持ってないのに何故か若手の悪魔同士で行われるレーティングゲームの招待状が……」

 

「じゃあ前に暫定的に決めたメンバーで出てみようぜ。そろそろ実戦的な修行とかもしたいしさ」

 

「じゃあメンバーとしてはアレか? 女王に白音、僧侶に黒歌とギャスパー、騎士に祐斗とゼノヴィア、兵士に元士郎……で、俺が戦車でレイヴェルは当然王か?」

 

「それが良いですね。

出れば私達の事も認めて貰えますし」

 

 

 変わり者フェニックスが抱える事情ありまくりな面子が表舞台に立つ為のイベント。

 ぶっちゃけ正直面子としたアレ級揃いだったりもするが、そんな自覚を彼等は持たない。

 それどころか……。

 

 

「カテレアさんから電話あったんだけど、兵士の枠で出れるなら私も出して欲しい……らしいぞ」

 

「わー……オーバーキルだねそれ」

 

 

 面子としては間違いなくオーバーキルである。

 

 

「リアス・グレモリーとソーナ・シトリーの脱落の穴埋めといったところだな。

まあ、それなら多少は仕方ないだろう……是非とも全力を尽くそうじゃないか……ふふ」

 

「でもカテレアさんまで巻き込むのは……」

 

「うむ、それは確かに思うのだが――」

 

 

 

 

 

「私では元士郎の足手まといになりますか……?」

 

「いやいやいやいや!? 寧ろオーバーキルっすよ!?」

 

 

 カテレアの参加に、要らぬ労力を使わせてると申し訳なく思う元士郎とそうじゃないと思うカテレアが互いに互いを気遣いまくって逆になんかナチュラルにいちゃつくのは最早デフォルト。

 

 

「いててて……ハシャギ過ぎた……」

 

「大丈夫ですか元士郎? 今治療しますので、その、上着を脱いでください」

 

「え……あ、はい」

 

 

 戦闘の勘を完全に取り戻す為の修行に本格的に取り掛かるカテレアとそれに付き合う元士郎。

 

 

「この傷って、あの時の……」

 

「跡になってますけど、カテレアさんは気にしないでください……あの時守れなかった戒めですから」

 

「元士郎……」

 

「あ、ああ、あの……か、カテレアさん? せ、背中にカテレアさんの胸とか当たっててヤバイっす……!」

 

 

 

 

 

「匙……なんで……」

 

 

 その風景を盗み見ていた元主が抱く黒い精神。

 

 

「………。何? アーシア・アルジェントを狙う悪魔から助けて欲しい?」

 

「こ、こればかりは本当の意味で困ってるの……」

 

 

 またしても……いや、今度は別件で助けを求められる一誠。

 

 

平穏はまだまだ先かもしれない。

 

 

以上、エセ予告




補足

依頼は自殺を止めて欲しいとあったので、わざと煽って復讐心を芽生えさせた……まあそんな感じです。


その2
またしても匙きゅんが主人公します……フラグ? と見せかけて例のシスター見習いフェチとのイザコザに然り気無く巻き込まれてる一誠君なのだった。

その3
エセですので、次回はムカつくくらいいちゃこら回でも一つやろうかなー………………そう、匙きゅんとカテレアさん達の。まあ、わかんないけど。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。