生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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こうしてストーカーを撃退する事になった生徒会がまず行ったのは、そのストーカーを釣り上げる為の餌作りだった。

その為にはアーシアさんのご協力が必要不可欠なのだが……?


釣り上げる為に

 皆で円陣を組んで気合いを入れ直してから始まったアーシアのストーカー撃退大作戦。

 確たる証拠は無いにせよ、電波丸出しな手紙を送ってくるディオドラ・アスタロトが今のところ濃厚なので、まずは冥界に居る彼をどう引きずり出すかについてを考える。

 

 

「よし、気は進まないだろうが、返事を出そう」

 

「え!?」

 

 

 そして考えた結果イッセー達が導き出した案は、ノイローゼになりそうな電波手紙に対して返事を送って、ディオドラを人間界まで誘きだそうというものだった。

 

 

「さも手紙を送っていただいて嬉しいです的なニュアンスを込めつつ、上手いこと此方に出向かせる様にすれば、多分直ぐに来ると思う」

 

「で、ですが……」

 

「これに返事を書くのは難易度が高いんじゃないかしら……」

 

 

 レイヴェルとイッセー…………最近になって白音と黒歌も住むようになった家に生徒会のメンバー+αが集結し、ディオドラに向けて返事の手紙を書こうという案を受けたアーシアはこれでもかと嫌そうな顔をし、リアスもあんな高難易度過ぎる手紙に返事はどうなのかと言う。

 

 

「いや、わざわざディオドラ・アスタロトのセンスに合わせて返すことは無い。

が、奴を釣り上げるのを確実にする為に、餌を付けてやる必要はある」

 

「餌……ですか?」

 

 

 白音と黒歌が住む様になったのでもう少し広い部屋へと最近引っ越したリビングにて、テーブルを囲う元士郎、祐斗、リアス、アーシアの四人はイッセーの言う餌の意味を知りたくて視線を向ける。

 

 

「写真を同封するんだ。それも単にアルジェントさんが写ってる奴じゃなくて……そうだな、ギリギリパンチラしてるかしてないか――やっぱりしてないアングルの写真が良い」

 

「え!?」

 

「確かにディオドラ・アスタロトって奴が即座に食いつきそうな餌になるな」

 

「してるようでしてないようでやっぱりしていないから、ギリギリセーフだね」

 

 

 性格トレース状態のイッセーでは言いそうに無い案を受け、アーシアとリアスはぎょっとし、元士郎と祐斗はうんうんと頷く。

 

 

「スパッツを履けば事故る事も無いし、あぁ、聖女だなんだと手紙に書いてるし、例のシスター服に着替えての撮影が効果的かもしれないな」

 

「で、でもそれは……」

 

「分かってる、嫌なのは重々承知だってのはな。

だが毒を以て毒を制すじゃないけど、一度こっちに引きずり出さない事には行動できないんだよ」

 

「勿論撮影の際は僕達はどこかに行ってるさ」

 

 

 当然嫌に決まっているアーシアは難色を示すし、リアスもそれに同意するが、ディオドラを引っ張り出してストーカー行為を止めさせないことには始まらないし、先の事を考えたら一時の恥ずかしさなんて、兵藤誠八ですらなかった転生者との過ちを考えたら遥かにマシだったとアーシアは思い……。

 

 

「わ、わかりました……スパッツは履かせて貰います」

 

 

 撮影に同意することになった。

 

 

「よし、嫌かもしれないが、これで確実にディオドラ・アスタロトを誘きだせる。

後は真正面から迷惑だからと訴え、それでもやめる気が無ければ―――――俺達でとこんとん『対話』してやるよ、わかって貰えるまでな」

 

「大丈夫なのアーシア?」

 

「大丈夫です。どうせもうこの身体は汚れてますし、これで手紙に悩まされなくなるのであるならいくらだって我慢できます……!」

 

 

 ある意味で誠八との過ちにより精神的なタフさを会得出来たアーシアの決意の籠った表情にリアスも覚悟を決める。

 

 

「わかったわ、私も今出来る限りの事をする」

 

 

 前に進もうという意思があるか無いか。

 それがこの二人とソーナ達の違いなのかもしれない。

 

 

「兵藤君、何か私に出来る事はある? アーシアが覚悟を決めた今、私だけ見てるだけなんてできないわ」

 

「だったら、アンタはどんな事があってもアルジェントさんの味方になってやれば良い。

それだけでもアルジェントさんには心強いだろうからな」

 

 

 だからイッセー達も協力をするのだ。

 

 

「ご飯が出来たよ~」

 

「そうと決まれば飯だ。あぁ、二人も食べてください」

 

「え、良いの……?」

 

「多めに作ってくれって頼みましたからね。 」

 

 

 と、いう訳で『アーシアのお写真同封で釣り上げお返事大作戦』が決まった所で台所に立っていた女性陣達が次々と出来上がった料理を運び、リアスとアーシアを交えての、数ヵ月前までならまずあり得ない食事会がスタートした。

 

 

「それでイッセー様、ディオドラ・アスタロトについてはどうされる運びに?」

 

「あぁ、アルジェントさんのパンチラ写真を同封した返事の手紙を出してこっちに誘きだす感じにした」

 

「パンチラって……」

 

「いや、その方が楽に釣れそうだからさ……なぁ?」

 

「同性な面で考えた結果ね」

 

「決して僕達だったら釣られるとか考えてないからね?」

 

「と、言いつつ三人して目を逸らさないでよ?」

 

 

 ジトーッとした目で女性陣から見られて目を逸らす男三人―――という構図を、スープを飲みながらアーシアと見ていたリアスは、改めてこの面子に驚く。

 特に驚くのは、割烹着姿でレイヴェル達とご飯を作っていたカテレアであり、今も目を逸らした元士郎の隣に座って思っていた以上に順応しているのだ。

 

 

「確かにっ!

確かに昔階段を先に歩いてたレイヴェルのスカートが風で捲れた時に見えたパンチラにめっちゃドキドキしちゃったかもしれないけど! 思春期入ってたってのもあるし、祐斗と元士郎も解るって言ってくれたんだ!」

 

「そうなのか祐斗?」

 

「いっ!? えっと、ま、まぁその……うん」

 

「元士郎もそうなの?」

 

「しないと言うと嘘にはなりますです……ハイ」

 

「元士郎先輩もそうなんだ……ふーん?」

 

「そんな目で見ないでくれギャスパー……」

 

 

 こんなに元士郎と距離が近く、しかもかなり仲良さげな所をソーナが見たら発狂でもしかねないかもしれない……既にもう手遅れだろとこの場に居ないソーナに内心呟きながらも、リアスは料理が美味しくてついつい食べてしまう。

 

 

「味はいかがかしらリアス・グレモリー?」

 

「っ!? え、ええ……美味しいわ」

 

「それは良かった。最近お料理の勉強をしましてね、上手く作れている様で安心しました」

 

「え、これ貴女が……?」

 

「その肉じゃがは私が……元士郎が好き料理ですので」

 

「へ、へぇ……」

 

 

 先代魔王の血族者が肉じゃが……しかも、元士郎の好物だから勉強したと、思っていた以上に平然と言ってる、カテレアにリアスはかなりシュールな気分になりながらも、悔しいことに本当に美味い肉じゃがを食べる。

 

 

「元士郎……え、えっと、あーん……とかします?」

 

「え!? え、えっと……良いんすか?」

 

「た、たまには良いかなと思って……」

 

「う、うっす……」

 

 

 しかもカテレアにしてみれば小僧ともいうべき男と見てられないやり取りまでしてるしで、全部が嘘であった経験をしてるリアスにしてみれば眩しく見えてしょうがない。

 

 

(これは勝てないわよソーナ……)

 

 

 そもそも聞いた話によれば、シトリー家に軟禁されていたカテレアを乗り込んで連れ出したのが元士郎という話が冥界全土に広まっていて、サーゼクスとグレイフィア以来のロマンス話になっているのだから、ソーナが最近ずっと『匙は私が好きだから言えば絶対に戻ってくる』という、どこから沸いてくるのかわからない自信は完全に無意味なのが解ってしまう。

 

 

「レイヴェルにストーカーした奴について? あぁ、魚の餌にしちまったから知らね」

 

「魚の餌って……」

 

「いやだって、フェニックス家に引き取られた時からずっと一緒だし、見ての通りレイヴェルは可愛いだろ? そらもうぶち殺してやる勢いだったわ」

 

「あの時のイッセー様の苛烈さは素敵でしたわ……ふふふ」

 

「じゃあ先輩、もしどっかの誰かがレイヴェルにセクハラ――例えばお尻なんか触ったらどうします?」

 

「肩から先切り落とした後、殺してくれって泣いても苦しませてから、ライオンの餌にしてやるかもしれないかな」

 

「へー? じゃあ私と白音だったら?」

 

「うーん、多分同じ目にあわせてやる……かな」

 

 

 しかも今のどこかしら軽い性格になってるイッセーは割りと気性が激しいし、間違えたら本気でヤバイのがヒシヒシと伝わる。

 

 

「楽しそうですよね……良いなぁ」

 

「そうね、皆気負いしないで自然に語り合えてるわ」

 

 

 板挟み状態のリアスはただただソーナを説得出来るか不安なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、コカビエル宅近く。

 祐斗と実質引き分けたフリードこと白夜の騎士はといえば……。

 

 

「ウチのボスにリベンジしてぇってんなら、まずは俺っちを倒してみな―――と言った訳だがよ」

 

 

 

 

 

 

 

「そんな程度で挑むのは、ちーっとばかしボスを嘗めすぎだぜテメー等は?」

 

 

 

「くっ……」

 

「つ、強い……」

 

「ま、まさかこれ程だなんて聞いてない……」

 

 

 

 夕飯を前に襲撃してきたくせ者を軽い運動感覚で蹴散らしていた。

 

 

「あの時使った力は何故使わない……! 聖剣でも無ければ神器の力でも無いあの力を……!!」

 

「おいおい坊っちゃんよォ? 質問すれば何でも返ってくるのが当たり前だと思ったら大間違いだぜ――と、言いたいが答えてやるよ、わざわざ使ってやる相手じゃねーからだよーん!」

 

「っ!」

 

 

 

 数人が倒れる中、ただ一人膝を付いて満身創痍ながらも意識を保つ銀髪の少年に対して、フリードはお坊ちゃんと揶揄しながら手に持っていた剣形態のジョワユーズを手品でボールを消すかの如く消す。

 

 

「神滅具を持ってれば無敵とでも思ったか? 俺相手にこのザマなら、ボスが相手じゃあ瞬きする間にバラバラにされてるぜ?」

 

「…………」

 

「でもま、満身創痍状態のボスに返り討ちされてるんだから無理に決まってるんだがな。

くく、仲良しなお仲間を引っ提げて登場したは良いけど、残念でしたねー?」

 

「……。俺を殺さないのか?」

 

「あ? おいおいおい、今のテメーにそんな価値があるとでも思ってるのかぁ? 死にたかったら勝手にどっかで死んでろや? 人様に押し付けるんじゃねーよ」

 

「………」

 

 

 殺す価値なんか無いと、悪魔を殺すほど嫌いなフリードに言われたハーフ悪魔の少年は唇を噛みながら俯く。

 

 

「フリード様~!!」

 

「っと、そろそろ晩飯のお時間らしいし俺っちは帰る。

あぁ、そこで転がってる連中の後片付けはちゃんとしとけよ? 一応気分じゃねーから殺しはしてねーしな」

 

「…………」

 

 

 過去最高の白龍皇になれる素質があると、白い龍自身に言われた。

 そしてその通り、強者との戦いを渇望して努力をし続けたつもりだった。

 なのに、なのに――

 

 

「コカビエル様が晩ご飯だから早く帰ってこいと言ってましたのでお迎えに」

 

「おーう、今行くぜルフェイたん」

 

「? そちらの方々は?」

 

「あぁ、何か戦いたいとか言ってたんで軽く相手をな」

 

「という事はこの方々達を相手にフリード様はお一人で?」

 

「まぁね~ 鎧も使わないで取り敢えずサクッと勝利しちゃった感じ?」

 

「凄い! 流石フリード様! でもどうして鎧を召喚されなかったのですか?」

 

「そりゃあ使ったら勝負にならないし、一応俺っちなりに鎧はここぞって時に召喚するって決めてるからね。

ホイホイ使ってたらかっこよくねーし?」

 

「はぁ……格好いいです……」

 

「だろだろ? もっと褒めても良いぜルフェイたーん」

 

 

 コカビエルの力にただ従っているだけのはぐれ神父に負けた。

 あの時見た純白の鎧すら纏わず、剣ひとつで完全に手加減までされて負けた。

 それが久しくなかった挫折を植え付けられてしまう。

 

 

「ちくしょう……」

 

 

 白き龍皇は、自分を負かしたはぐれ神父が見知らぬ少女とナチュラルにいちゃつきながら去っていくその背中をただ悔しげに睨み付ける事しか今は出来なかった。

 

 

「剣状態のジョワユーズって縛りプレイでやってみたけど、白龍皇とその他数人相手にも案外イケちまうもんだ。

これはやっぱり俺っちも強くなってるって事だよなぁ? そこん所どうよルフェイたん?」

 

「勿論ですよ! だって一緒にコカビエル様の過酷な修行をしたのですから! …………って、さっきの方々の中に白龍皇さんが居たのですか?」

 

「ん、まぁね。ルフェイたんが来る前に一度満身創痍状態のボスに返り討ちにされたんだけどな。

どうやら前にボスの勧誘に来た……あー、何だっけ? どうでも良すぎて記憶にねー寄せ集め集団の名前……」

 

「禍の団ですか?」

 

「そうそうそれ! ルフェイたんは記憶力が良くてお利口だねぇ? その組織に与してそこで知り合ったお仲間連中引っ提げてボスにリベンジしようとしてたもんだから俺っちが相手になってやった訳さ」

 

 

 使うくらいなら死んだ方がマシとさえ吐き捨てていたジョワユーズを受け入れ、そこから白夜の称号を持つ鎧を召喚するまでに進化させ、更にコカビエルとのこれまた死んだ方がマシレベルの鍛練を経て、立派に右腕を名乗れる領域まで登り詰めたフリードは既に鍛練を積んだ神滅具持ちすら片手間に相手取れる程になっていた。

 

 

「そんな方々をフリード様はお一人で勝利を……。やっぱり凄いですよ!」

 

「はっはっはっー!」

 

 

 自身の狂気を知った上で拾ってくれたコカビエルへの忠が、狂気の天才と呼ばれたフリードに努力を植え付け、その才を完全に開花させた。

 若干身内から褒められると調子に乗る事はあるのかもしれないけど、それでも今のフリードは間違いなく強者だった。

 

 

「早く私もフリード様をサポート出来る立派な法師にならないと……!」

 

「そんな事ばか真面目に言っちゃうのはルフェイたんぐらいだぜ? 俺は結構エグい真似してきたし、ルフェイたんが思ってるような奴じゃあないんだけどねぇ」

 

「分かってます、既にフリード様の過去はコカビエル様から聞いてますから。

確かにそうかもしれないけど、でも……それでも私にとって白夜の騎士は――フリード様は……」

 

「あーはいはいはい、わかったわかった! そんな顔すんなって! 割りと最近くすぐったいんすからー!」

 

 

 ルフェイと接していく内に、その狂気も良い意味で薄れている。

 今でも悪魔は嫌いだけど、それでもフリードはフリードなりの……好敵手たる祐斗や元士郎と同じ自分なりの守りし者としての自分を確立させつつある。

 

 

「なーんで、俺っちなんですかねー? ルフェイたんって結構見る目無いぜ?」

 

「もぅ、フリード様ったら! 見る目がなければそれで良いんですよ私は。

皆さんが血に染まってしまう事があるのなら、私だけ見てるだけなんてしませんし、その覚悟はもうとっくにしていますから……」

 

「それを真面目に言うから変な子なんだよなぁ。でもま、飽きるまで頼むぜそれならな」

 

「飽きません! 絶対に!」

 

 

 コカビエルへの忠……そしてかなり変わった趣味をしてるルフェイにしょうもない姿を見せない為に。

 フリード・セルゼンは強くなっていくのだ。

 

 

「そうかい。それじゃあボスにもまだ見せてない新技をルフェイたんに特別みせてやんぜ?」

 

 

 人生を狂わされた力を受け入れ。

 白夜の騎士となり。

 

 

 

『真月・打無!』

 

「鎧の背に白い翼が……」

 

『どうやらこの鎧は自分の想いの強さで変異するらしいからな。

対空戦闘について考えていたら出て来たぜ』

 

 

 ひた走る。




補足

パンチラ(実際スパッツ)写真で釣り上げ作戦。

何故こうなったのか? 実は本来の性格のイッセーはちょっと昔にレイヴェルたんのパンチラを見てドキドキしちゃってたからです。

…………パンチラフェチとかじゃなくて。


とはいえ、お三方ならチラどころかモロに見せてくれるでしょうがね。

その2

本来に戻ってるので、割りと以前よりもレイヴェルたんに何かする男が出てきたら、殺と書かれた鉢巻巻いて出動する。

 そして本来に戻ると、どこかの世界のリーアたんに対する感じばりにレイヴェルたんの行動を気付いたら目で追ってます。



その3
フリード君もまた何か知らないけどルフェイたんのお陰で浄化されてます。
そして進化もやばいです

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