生徒会長イッセーと鳥さんと猫   作:超人類DX

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着々と男同士の友情フラグが固まるぜ!

感想も沢山でモチベも上がるぜ! ありがとざーす!


メンタル回復施設・生徒会室のイッセーくん

 木場同級生に何時でも愚痴りに来ても構わんぞと言った訳だが、本人の言った通り本当に毎日白音と共に来るようになった。

 泣くほどだったからというのも、あるが……それにしても兄貴とそのシンパ共は木場同級生が此処まで疲れていた事に気付きもしなかったのかと少し不満に思ってしまう訳だが、奴等の現状を知ってる身としては『期待するだけバカを見る』というやつだな。

 

 

「イッセーくん、この花壇にはアメリカンブルーで良いの?」

 

「うむ」

 

 

 まあ、俺にとっても不満なら来て愚痴ってくれて一向に構わんのだがな。

 役員じゃないが、生徒会の仕事を手伝ってくれるし、最近は木場同級生だけじゃ無く――

 

 

「おーい生徒会長~ こっちは何を植えるんだ?」

 

「元浜と松田の所はマリーゴールドとマツバボタンを頼む」

 

 

 モテモテになりたいという依頼以降から木場同級生と同じく顔を出す、元浜と松田の二人組もそうだし――

 

 

「パンジーの苗を植え終えたぞ」

 

「おう、恩に着るぞ匙同級生」

 

 

 匙同級生もまた顔を出しては手伝ってくれる。

 元浜と松田は違うかもしれんが、どうやら木場同級生も匙同級生も相当嫌気が刺してた様で、冗談で『生徒会の仕事を手伝ってくれるのなら、毎日だって愚痴りに来ても構わんぞ』という言葉を簡単に受け入れてる。

 他人事だから別にどうだって良いが、この二人の王であるシトリー3年たグレモリー3年はそれで良いのかと思ってしまうが――――

 

 

「うむ、こんなもんだろう。

皆ご苦労だったな、本日のお礼は生徒会室で用意して待ってるだろうレイヴェルの手作りのお菓子だ」

 

「おほっ!? レイヴェルたんのだと!?」

 

「あぁ、で、恐らく小猫が直々に淹れたお茶付きだ」

 

「マジかよ、小猫たんのお茶なんて、生きてて良かったぜいやっふぅぅ!!」

 

 

「ま、まあ……どうしてもと言うなら行ってやらんこともねーぜ」

 

「はは、素直じゃないなぁ匙君」

 

 

 ……。うん、多分呪いの如く『やれ兄貴、それ兄貴』なせいで気にも止めてないんだろうな。

 最近まで精神的疲労で顔色の悪かった木場同級生も笑うようになったし、匙同級生も不器用ながら俺達に付き合ってくれる。

 元浜と松田も、最近問題行動を引っ込めてるみたいだし……うーん、何やかんやで良い方向に進んでるんだなと実感できる。

 

 いっそこのまま彼等を生徒会にスカウトしてしまいたいくらいに、な。

 

 

 

 

 

 

 一誠と匙と木場……ついでに元浜と松田という新たな繋がりが形成されて早数日。

 それまではレイヴェルと白音がちょくちょく手伝うことと、師によって叩き込まれたスキルを駆使して運営していた生徒会も漸く賑わいを見せ始めた。

 

 居心地の悪さ故に、あまり接点の無かった双子の弟にて生徒会長である一誠に受け入れられた祐斗。

 初恋の少女をそのままの意味で『寝取られ』、意気消沈の所を同じく、寝取った男の双子の弟に触発されて這い上がろうとする元士郎。

 

 奇しくも、この三人の共通点は『彼』の存在により『何か』を失った者同士であり、互いに心を開くのに然程時間は掛からなかった。

 

 

「……。まあ、野郎同士で勝手にやるのは構わんが」

 

 

 そんな三人のやり取りを学園で何度か見てきた、元凶たる兵藤誠八は特に気にせずほったらかしにしていた。

 どうでも良い男が、絞りカス化した弟とくだらん友情ごっこをする……ハーレム意識の高い誠八にとって鼻で笑う話であり、勝手にしろとすら思う。

 だがそんな絞りカスと見下す相手である一誠に対し、誠八は一つだけ気に食わない事があった。

 

 それは――

 

 

「一誠さまぁ~!」

 

「一誠先輩」

 

「おぅ!? な、何だよ……ビックリするから急に抱き着くのは勘弁してくれ……」

 

 

 

 

「……………」

 

 

 何故か……何故かあの絞りカスの一誠が知り得ない筈の純血悪魔のレイヴェルに好かれ、そしてグレモリー眷属で唯一自分を異性として見なかった白音に好かれているという所だった。

 

 

「今日の晩御飯は何にいたしましょう?」

 

「うむ……焼きそばが食べたい。

こう、ホットプレートで焼いてその場で食べるみたいな」

 

「良いですね、そうと決まれば帰りに材料を調達に……」

 

 

 

「…………」

 

 

 白と金の髪を持つ二人の美少女に挟まれて校門から出ようと歩く姿を少し離れた箇所から眺める誠八は、それがとてつも無く気に食わなかった。

 何せレイヴェルと白音は十人が十人振り向く美少女だ。

 何の力も無い、主人公から蹴落とした筈の一誠を何故好いているのか……誠八にはさっぱり分からないし、気に入らない。

 そもそもレイヴェルとなんて何時から知り合いになったのか……それが不思議で仕方ない訳であり……。

 

 

「やぁ一誠」

 

「む……」

 

「あら……」

 

「兵藤先輩……」

 

 

 探る意味合いと、美少女を手に入れようという思惑のもと、三人が固まってる所を見計らってコンタクトを取ったのは三日前の事だった。

 

 絞りカスから更に奪って絶望させるのもまた良いのかもしれないと、歪んだ笑みを引っ込めて人の良い笑顔を作りながらてくてくと歩く三人の前に現れた誠八は、ちょうど学校帰りを狙い声を掛ける。

 

 

「何の用だ? 学園でも外でも話し掛けて来なかった『兄貴。』にしては珍しいな?」

 

「いや、正直言うとお前に用なんて無いよ。あるのは――」

 

「「……」」

 

 

 目を丸くする一誠には用は無いとキッパリ告げ、その左右で腕を組ながらこれでもかとくっつきながら、あからさまに『チッ、邪魔な』という顔をしてるレイヴェルと白音に視線を向ける。

 

 

「ねぇ、レイヴェルさんと小猫ちゃん」

 

 

 それに気付かないフリをし、あくまでも人畜無害を装って二人の名前を口にする誠八は二人に微笑む。

 

 

「下僕悪魔の分際で気安く名前で呼ばないで頂けるかしら?」

 

「……。なんですか?」

 

 

 名前で呼ぶ誠八に対し、何処か見下す様な――されど無表情で吐き捨てるレイヴェルと、最近露骨なまでに嫌な顔をする様になった白音。

 その態度に内心舌打ちをするも、美少女だからと考えを即座に切り替え『笑顔』を向けながら口を開く。

 

 

「いや、君等に避けられてる様な気がしてさ……俺としては二人とも仲良くなりたいなぁってね」

 

「「……」」

 

「二人に何をする気だ貴様……」

 

 

 その気になればどんな存在でも簡単に虜にする『笑顔』を向けながらの言葉に、一番にそれの被害者となった一誠が珍しくギロッとした目で誠八を睨み、無言のレイヴェルと白音を庇うように前に出る。

 

 

「何がって、言葉通りの意味だが?」

 

 

 まるで自覚なんて無いような癪に触る笑顔で宣う誠八。

 その笑顔に、一誠は全てを塗り替えられたあの日の事を思い出し眉間に皺を寄せる。

 信じた者達全てを虜にし、それまで自分だったその居場所を乗っ取った……忘れたくても忘れられない忌まわしき思い出を。

 

 だからこそ、一誠は誠八の言葉で察したのだ。

 コイツは性懲りも無く、また自分から大事な存在を奪おうとしてるのだと……。

 

 

「俺が居る目の前でよく言えたな貴様。

その言葉にしたって、結局は自分(テメー)の快楽目的にしか聞こえんぞ? 現にグレモリー3年達は……」

 

「あーん? 別にそんなんじゃねーよ。てか、いい加減邪魔なんだがな……雑魚は引っ込んでて貰えねーか?」

 

「断る。人の意思を自分の思い通りにねじ曲げる貴様に二人を任せられん」

 

 

 故に一誠は退かない。

 レイヴェルと白音が、誠八の戯れ言に惑わされることは無いという確証はあるが、それでも目の前でこんな真似をされて黙ってるなんて出来ない。

 融通が聞かなくてイラつき出したのか、もはや一誠にとっては蚊程の殺気を笑顔のまま放ち始める誠八にハッキリと啖呵を切り、レイヴェルも白音も一誠に同意するように……そして誠八の笑顔に心を揺らした様子もなく抑揚の無い表情で口を開く。

 

 

「えぇ、グレモリー様とシトリー様……あと僧侶の方と学園内で淫らな行為をしてる輩となんて私は仲良くなりたいとは思いませんわ……他を当たって頂けるかしら?」

 

「……。兵藤先輩は同じ眷属の仲間とは『一応』思っていますけど、レイヴェルさんと同じく、先輩方とあんな事をしてる以上……信用が出来ないんですよ。だからごめんなさい」

 

「……………」

 

 

 言葉遣いはまだやんわりだが、それでも『お前の近くに居たら何をされるかわかりゃしない』という意味がハッキリ込められた拒絶の言葉に、誠八は笑顔のままピシリと固まる。

 此処に来て初めて……リアスやソーナ達ですら簡単に落とし、人妻であるグレイフィアすらライザーの邪魔さえなかったら落とせた笑顔が通用しなかったのだ。

 

 

「まぁ、複数の女性――内二名は悪魔の名家である純血悪魔と関係を後先考えて無さそうに持つ方を信用なんて出来ないし、それ目的なら我がフェニックス家が全力以て貴方を排除します」

 

「異性として意識していない方とは私も嫌ですね」

 

「……。そんなつもりじゃ――」

 

「貴方の普段の行動を見てればそう勘ぐるのも仕方ないと思いませんこと? この際ハッキリ言わせて頂きますが、私のこの身と心は全て一誠様のモノですわ。

貴方『ごとき』が干渉する隙間など初めから無い」

 

「同じく。眷属としての仲間としてなら力を合わせる事は出来ますがね」

 

「レイヴェル……白音……」

 

「……!」

 

 

 明確な宣言。

 それはこの世界に強力な力と主人公が持つべき力を獲て成り代わり、思うがままに生きてきた誠八にとっては初めてぶち当たった『思い通りにならない』出来事。

 

 積み重ね、思い通りに生きてき事により増長していた誠八にとってはプライドを傷つけられたといっても過言ではない。

 ましてや、成り代わることにより本来と比べたら絞りカスにしか『見えない』一誠に負けたのだから……。

 

 

「……………………」

 

 

 腸が煮えくり返る。

 チート転生と言われる存在である自分より絞りカスのでき損ないを選んだ雌共に……そしてホッとした様な表情を見せる一誠に……。

 

 

「そう、か俺が嫌いか……。ま、それなら仕方ないか……」

 

「人の心を塗り替え、快楽目的に利用するゲスを好く者なんて居ないと思いますが?」

 

「仲間だ仲間だ綺麗事を言っておきながら、男性である祐斗先輩を蔑ろにする矛盾がある以上……私は好きになれませんね」

 

 

 いつの間にか一誠より前に進み、誠八を軽蔑――いや遥か頂から見下す様な表情と言動をぶつけるレイヴェルと白音に、誠八は無理矢理気絶させてまでも連れ去り、逆らわないようにしてやろうかという衝動的な欲望に駆られるも、それはまだ早計だと必死にその激情を押さえ込もうと下を向き、怒りに歪んだ表情を隠す。

 

 

「お話は終わりですか? なら私達はこれで失礼しますわ。

早くスーパーに行って一誠様がお召し上がりになる焼きそばの材料を購入しなければなりませんので」

 

「部活については、たまには祐斗先輩や私だけじゃなく、兵藤先輩もやってください。

一応先輩の駒は兵士(ポーン)なんですから……」

 

「そういう訳だ。残念ながら兄貴よ……この二人の精神力は貴様の想像以上だ。

故にお得意の『洗脳』は通用せんぞ」

 

「…………………………」

 

 

 そんな誠八の心の内を見透かすように三人は、煽る様な台詞を一言ずつ告げると、うつむきながら少し震えている誠八の横を通りすぎ、さっさと帰ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「………………………」

 

 

 灼熱のような殺意を孕んだ誠八なぞ何の問題もないとばかりに……。

 

 

 

 

 

 

 そんな出来事を実は挟んでいた一誠達だが、それから誠八からのコンタクトは一切無く、学園で顔を合わせても特に何もないまま平和な時間が過ぎていった。

 いや……その怒りを晴らすために旧校舎でハッスルしてる辺りそうでも無いのかもしれないが、師が師であり異常性と過負荷の両面を持つが故に割りと他人にドライな一誠はどうでも良いとばかりに、失いし者である祐斗と元士郎達との関係を進展させていた。

 

 

「うーん、どうしても居心地が良くてつい来てしまうよ……。

今日も部室では兵藤君達がアレだし」

 

「てことはソーナ先輩もか……。あーぁ、あんまり聞きたくねぇ情報だぜ」

 

 

 眷属として疎外感を感じる祐斗と、初恋の人を寝取られた元士郎は別々の眷属なのだが、生徒会長イッセーという共通の居場所を得てからは枠を越えて良好な仲になっていた。

 特にこうして生徒会長室のソファに座り、レイヴェルが出してくれたお茶とお茶菓子片手に話をするだけで、まるで実家にいるような妙な安心感すら感じるくらいだった。

 

 

「またか……ついこの前レイヴェルと小猫に手を出そうと現れ、二人に思いきり拒絶されてから露骨に増えたな……」

 

「悔しさを性欲に変えてる辺りがまたいやらしいですわね」

 

「お陰で此方に来れる理由になれましけどね……私と祐斗先輩は」

 

 

 元浜と松田は3日に一度は其々の用事で来れない時があって本日は居らず、そのお陰で裏の話題を出せる訳だが、もしこの話を二人が聞いたら嫉妬混じりで怒り狂うだろう。

 学園二大お姉様と学園才女と可愛い転校生とチョメチョメしてるのだから余計に。

 

 

「ホント俺って何のために悪魔に転生したんだろう……って最近真面目に考えさせられるわ。

はぁ……初恋なんてしなきゃ良かったぜ」

 

 

 特に元士郎に至ってはこの中での直接的ダメージは祐斗と同レベルで大きい様で、ある程度諦めてるとはいえ、今この瞬間もあの旧校舎でやってるだろう話を耳にするだけで軽く鬱になっていた。

 

 

「寿命と若い期間が多くなったと言えば聞こえは良いが、先輩の眷属である以上、兵藤の馬鹿と先輩がイチャコラする光景を数千年以上も見なければならんとはな……何の拷問だってんだ」

 

「僕なんて塔城さん以外の――――いや『もう一人の僧侶』と僕以外が皆兵藤君にだし、恐らく匙君以上に近くで見せられると思うと胃がキリキリするよ。

部長もシトリー様も魔王様の妹なのに、そのお二人に手を出して兵藤君も只じゃ済まされないかもだけど」

 

「けっ、いっそ打ち首にでもされちまえば良いんだよ。あんな性欲馬鹿なんざ」

 

 

 余程溜まってたのか、あの祐斗が愚痴る愚痴る。

 生徒会室に来るようになっとからずっとである。

 

 

「こうなったら魔王様にチクっちまうか? そしたら少しは兵藤の野郎も……」

 

「いや、やめた方が良いかも。

ルシファー様は男性だから良いとしても、レヴィアタン様は……」

 

「あー……そうかもな。

『チクったらシトリー姉妹丼になってましたー』なんてオチになるかもしれねぇし……チッ、ままならねぇな人生ってのも」

 

「? ルシファーとレヴィアタン? ……。セラフォルー・レヴィアタンとサーゼクス・ルシファーのことか?」

 

「「え?」」

 

 

 少しは痛い目に遇って欲しいという願望が混ざってる元士郎の意見に祐斗が首を横に振りながら懸念材料を口にし、それを聞いた元士郎が舌打ちをする。

 そんな折に会長席で静かにお茶を飲んでいた人間である筈の一誠が、妙に当たり前口調で二名の魔王の名前を声に出し、それを聞いた元士郎と祐斗は少しだけ驚いた表情を浮かべながら一誠に視線を向ける。

 

 

「イッセーくんは知ってたの? 魔王様のこと……」

 

「まぁな。

セラフォルー・レヴィアタンは名前だけで見たことは無いが、サーゼクス・ルシファーは昔フェニックス家で世話になってた時に何度かな……」

 

「せ、世話になってたって……!?

な、なるほど彼女と不可解な程親しそうにしてた理由が今分かったぜ……。

悪魔に転生してないとはいえ、悪魔との関わりは俺達より上だったんだな……」

 

 

 今更ながらレイヴェルと親しい理由の一部を知った祐斗と元士郎は、人間でありながら純血悪魔に好かれる一誠に対する疑問を更に深める。

 

 思えば、元士郎の言った通り一誠は転生悪魔じゃあない。

 だというのにフェニックス令嬢であるレイヴェルからは様付けで呼ばれるし、気難しい塔城小猫からも同様に好かれている……それも誠八の洗脳じみた誘惑すらはね除けるレベルで、しかも今言った通りサーゼクス・ルシファーという魔王と顔見知りだった。

 

 人間であるのは間違いないが、此処まで聞かされると兵藤一誠が何者なのかという純粋な好奇心が芽生えても仕方の無い話であり、そんな二人の好奇心の目に一誠は軽く笑みを浮かべながら……。

 

 

「なに、俺とレイヴェル――いや、フェニックス家全員が持てて奴には持てないものを持っており、奴は――サーゼクス・ルシファーはそれが欲しくて俺達から何かを掴もうとちょくちょく現れたのさ」

 

 

 数年前、まだフェニックス家で半人前にもなってなかった頃にしつこいほど現れては自分達――そして自分達の長とも言える師匠に並々ならぬ執着心を持つ紅髪の優男っぽい魔王を思い出しながら、らしからぬヘラヘラした様子で笑う。

 

 

「イッセーくんとフェニックスさんが持ってるのも?」

 

「それでいてルシファー様が持ってないもの? なんだ。ますますわかんねぇ……。

魔王様が持てないものなんて想像が……」

 

 

 超越者とも言われてるサーゼクス・ルシファーが持ち得ず、一誠やレイヴェルが持ち得るもの? と、此処に来て一誠やレイヴェルの関係を深く知らない事を自覚されられた祐斗と元士郎はうんうんと首を傾げて思案するも、何も分からない。

 そして白音は一誠にムッとした表情を見せており……。

 

 

「一誠先輩とレイヴェルさんだけ。私は除け者ですか……」

 

 

 自分の名前が無かったことにちょっとした疎外感と寂しさを感じていた。

 それに素早くレイヴェルはドヤ顔で反応する。

 

 

「おほほほ、残念でしたわね小猫さん? こればかり意地悪でも何でもない只の事実ですわ。

一誠様や私、そして私の家族は悪平等(ノットイコール)という絶対なる絆で結ばれてますのよ!」

 

「「「悪平等(ノットイコール)……?」」」

 

「お、おいレイヴェル!? 喋りすぎじゃないかそれは……」

 

 

 白音よりも圧倒的に自分の方が一誠との繋がりが強いと強調したかったのか、アッサリと自分達の種族の枠を越えた絆について話してしまう『うっかりテヘペロ☆レイヴェルたん』化してしまったが、バッチリ聞こえた三人に誤魔化しの言葉は……。

 

 

「聞いたこと無いな……」

 

「あぁ、俺もだ」

 

悪平等(ノットイコール)……。

それが昔私と黒歌姉様を助けてくれた先輩のあの不思議な力の正体の一つ……?」

 

「あー……ぁー……」

 

 

 スキルでも使わない限り通用しない。

 かと言って、友達の少ない自分を慕ってくれる相手には使いたくない……。

 一誠はどうしようか悩むのであった。

 

 

 

 

 そしてこの悪平等(ノットイコール)こそがサーゼクス・ルシファーの持ち得ないものであり、何故グレイフィア・ルキフグスが誠八の洗脳に引っ掛かりそうになったのかというと…………。

 

 

 

 

 冥界……グレモリー城

 

 

「あぁ……安心院さん、安心院さぁん……。

どうして僕は駄目なんだ……フェニックス家の皆やイッセー君とは何が違うんだ……!

能力(スキル)が無いから? 心構えがないから? 僕は貴方の背中を任せられると言われてる一誠君が死ぬほど妬ましい……!」

 

「(チッ、また発作ですか、面倒な……)サーゼクス様。

そろそろリアスお嬢様とその眷属とソーナ・シトリー様という複数の女性と関係を持ってる兵藤誠八についてどうするのかご決断をしないと、レヴィアタン様に説明も――」

 

「なに、リアス達のことだって? ふん、僕は知らないよそんなの。

その兵藤誠八だったかの赤龍帝の少年が何かをしたとはいえ、結局は本人達の意思でやってるんだろ? だったら好きにさせれば良いよ。

それで身を滅ぼそうが僕の知ったことじゃないしね。そんなことより僕はどうすれば安心院(あんしんいん)さんの下僕になれるか考えてるんだ。一人にしてくれ」

 

「………………………………………。(また安心院さんですか。誰なのかしらその人は?)」

 

「ああ、安心院さんの椅子になりたい。どうせならあの見下した顔で思いきりグリグリ踏まれたい……! 悪平等(ノットイコール)に……なりたいぃぃ!」

 

 

 サーゼクス・ルシファーはかつて出会った悪平等(ノットイコール)…………いや、一誠の師匠である可愛すぎる容姿と魅力を持つ安心院なじみの『大シンパ』であり、妻のグレイフィアとは単に『グレモリー家の命令』で結婚しただけの冷える冷えない以前の関係だったからだ。

 

 なので、安心院なじみに全ては優先され、その前には肉親なぞ二の次――――というのが、妹のリアスですら知り得ないサーゼクス・ルシファーの正体だった。

 

 

 

 サーゼクス・ルシファー

 種族・悪魔

    冥界四大魔王

 

 

備考………悪平等(ノットイコール)になれなかった男。




補足

……。これまでのを知ってる方にはお察しの通り、サーゼクスさんは安心院さん大信者というね……。

その2
明確にレイヴェルたんと小猫たんに拒否られた兄貴は、八つ当たりの如く一誠から二人を寝取ろうとしてます。
………死亡フラグだと知らずに。

ちなみな話、兄貴は小猫たんもそうですが、その姉の黒歌さんもしっかり狙ってます。
寧ろ、一誠の幻実逃否(リアリティーエスケープ)ではぐれ悪魔じゃなくなってる事を知らず、『面倒な弊害をスルー出来る』と勝手に解釈してます。







…………まあ、実際その黒歌さんは誠八の行動の一部を偶然見てしまってるのと+


『あ、姉様ですか? 見付けましたよ……昔私達を助けてくれたヒーローさん』

『え!? ほ、ほんとに!?』

『はい、私が通ってる学校の生徒会長とをやってますが、間違えないで欲しいのは転生悪魔の方は双子の兄であり、人間の方が正解です』

『転生悪魔の方なら私も見たにゃ。
なんか、複数の女と交尾してたのと雰囲気が全然違うから一発で違うって分かったし……。
そっか、昔の私達を不思議な力で助けてくれた子が……えへへ』

『ただ、彼……一誠先輩を狙ってる手強そうな純血悪魔の人が……。一誠先輩の幼馴染みらしく……』

『むむ……それは手強そうだにゃ。よし、近い内にそっちに帰るにゃ!
ね、ねぇ白音……イッセーは私のこと覚えてるかな?』

『最初は私の事も覚えてませんでしたけど、ジッと顔を見てもらったら思い出してくれました。勿論黒歌姉様のことも……』

『ほんと? よ、よかった……えへへ、なら安心して会いに行けるにゃ……』


 またしても兄貴の思惑をぶち壊すフラグとなっていましたとさ。


レイヴェルたん……ぴーんち。

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