IS学園 秘密の地下相談室   作:????

2 / 15
R・Fちゃんの相談

 そこはIS学園地下一階。そこには今日も今日とて相談室が開かれていた。

 

「ふぁ~あ、流石に連日で迷い込んでは来ないか~」

 

 そこにいるのはカウンセラー月崎瑞希(つきざきみずき)

 彼女は昨日の昼、ここに迷い込んだとある少年から相談を受けたのだ。

 顔色は悪かったし、ノルマを達成したかったので真面目にアドバイスしてみた。

 

「昨日の子は結局どうなったのかな~」

 

 そんな、どうでもいいようなことを呟いていると、扉の開く音が。

 

「ん? 相談かな?」

「ふぇ? え、あれ? あの、すみません。ここってどこですか?」

「おや、少女よ。キミはもしかしてボーっとしながらここに辿り着いたのかい?」

 

 扉から入ってきたのは可愛らしいツインテールの女の子。

 他に特徴があるとすれば、肩出しの服装と黄色いリボンだろう。

 

 それにしても珍しく連日の迷いこみである。

 一体どうなっているのか、と考えつつも、ノルマを達成する機会は逃さない。

 

「ぼーっと……そうですね。ボーッとしながらここまで来たみたいです」

「なにかお悩みかい? 心の疲れなら治してあげるよ?」

「え、と。ここは?」

「なに、ちょっとしたカウンセリングルームさ」

 

 教師用の、とはあえて言わない。

 

「……それじゃ、相談に乗ってくれます?」

「バチコイッ」

 

 少しおどけながらも聞く準備をする。

 

 

「私には、幼馴染みがいるんですよね」

「ふむふむ」

「で、昨日のことです。その幼馴染みが好き、って言ってくれたんです」

「おお、それはおめでただねぇ」

 

 こんな男子禁制の場所で彼氏ができるなんて奇跡にも等しい。

 

「でも、今日あいつ、一夏」

「あ、ストップ。いい忘れてたけど、個人名はナシで」

「あっ、すみません。で、えーと、そう、Iの今日の様子が気になるも、上手く見れないんですよね」

 

 恋する乙女の桃色な表情で、こちらを見ていながらも、頭のなかは別のところに有りげな顔でそう言ってくる。

 

「ふーん、なんでさ」

「なんというか、好きって言われた時に、嬉しさのあまりに気絶しちゃったんです。そんなことがあったから……あいつはどう思ってるのかな、って悩んでいって……」

「うーん。気絶かぁ……とりあえず話をしてみないかぎり、実際のことはわからないね」

「そうですか……」

 

 うなだれるツインテールの女の子に向けて応援の言葉を送る。

 

「ま、為せば成るものさ。何ふり構わずやってみな」

「何ふり構わず……」

 

 少女は考えこむ。

 

「ん~~っと! それじゃ、出口まで送るよ」

「あ、ありがとうございます」

 

 そうして、昨日のように、少女を外まで案内してあげたのだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「よし、一夏の真意を問い詰めてやるんだから!」

 

 出口の林の中で、彼女、凰・鈴音はそう言って自分を鼓舞した。

 なにが彼女をここまで引き立てているのかというと、昨日の料理教室の終わりの、I……一夏の一言が原因だ。

 

「でも、まずは一夏を探さなきゃね」

 

 そう言って、林から出る。

 

「あれ? なんでここにいるんだ? 鈴」

「一夏!? あ、あんたこそなんでここにいるのよ!!」

「いや、探しものと言うかなんというか……」

 

 林を抜けると、目の前に一夏が居た。

 

「あ、それよりもだな、ここらへんに変な入り口を見かけなかったか?」

「入り口? そんなもの見てないわよっ、ふんっ」

 

 そう言い残して、鈴は校舎の方へ歩いて行った。

 

 残された一夏は、と言うと

 

「うーん、見つからないなぁ」

 

 そう、彼は月崎のカウンセリングルームへの入り口を探していたのだ。

 しかし、昨日、彼が出てきたのは出口であり、入り口ではない。

 入り口に向かおうにも、あそこまでの道のりが曖昧なのだ。

 

「マジで見つからないなぁ……相談に乗ってくれたお礼と結果報告をしたかったのに……」

 

 絶対見つけるぞ。

 

 そう小さく呟いて、一夏は校舎に帰っていった。

 再び入り口を見つけるため、再び月崎に会ってお礼を言うために。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 その頃、校舎に戻った鈴はと言うと

 

「あぁあぁああああぁ……」

 

 教室で一人、落ち込んでいた。

 

 なんであの時話さなかったのよこのバカ鈴! 私ならできたでしょ!!

 

 頭の中はそんな思考で埋め尽くされ、周りに人が近寄ってこないほど。

 

「あの……鈴さん? どうしたんですの……?」

 

 しかし、彼女に話しかけることができる猛者が現れた。

 

「……あれ? セシリアじゃん、昨日のアレは大丈夫だったの……?」

「いえ、それが……昨日の記憶が無いんですの」

「ああ、そういうことか。うん。それはアレだよ、気にしないほうがいいわよ?」

 

 世の中忘れた方がいいものというものがある。

 昨日のアレはセシリアにとっては忘れた方が良いものだ。

 

「そうですの……?」

「そうそう、忘れてなさい」

「鈴さんがそこまで言うのなら、気にしないことにしますわ……」

「そうしなさい」

「それでは、私はクラスに戻りますわ。あ、鈴さん。元気ないようでしたら学園をうろついたらどうです? 元気が出るかもしれませんわ」

「んー、そうしてみる。ありがとね」

「それでは、ごきげんよう」

 

 そう言ってセシリアは、カテーシャをして、去っていった。

 

「それにしても、散歩か……やってみようかな」

 

 ついでに一夏も探そう。

 

 しかし、散歩と言っても、どこに行こうかな。

 このIS学園は広い。それこそさっきみたいに、変なところに迷い込んでしまうほどに。

 

 とりあえず食堂にでも行ってみよう。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「鈴か……どうしたんだ?」

 

 食堂に来ると、箒がいた。

 

「アンタこそ何してんのさ」

「いや、料理の練習を、な」

「料理ぃ? 何? あんたハマったの?」

「まあ、な」

 

 どうやら箒は料理にハマったらしい。

 しかし、その真意はいかに……。

 

「そういえば一夏の居場所知らない?」

「一夏? いや、知らないが……」

「それじゃあ、あの後何になったのかでいいわ。昨日の料理大会の後、何があったの?」

「ああ、鈴は気絶していたようだったから、他のみんなで残った料理を食べたぞ」

「……セシリアの料理はどうしたの?」

「……聞くな」

 

 どうやら、処分したらしい。

 食材を大切にする彼女達からしたら苦肉の決断だっただろう。

 

「それじゃ……あの、一夏の告白は……どうなったの?」

「告白?」

「いや、ほら。昨日してたじゃない!」

「告白、告白……あっ、あれか」

「思い出したの!?」

 

 しかし、箒の表情は少しいやらしい表情に変わる。

 

「私の口からは言えないな」

「なんで!?」

 

 ムキーッ! と腕を振りながら身体で怒りを表現する鈴。

 それを見てニヤニヤする箒。

 

 傍からみたら、とても不思議な光景だろう。

 

「それはそうと、一夏が食堂の外にいたぞ」

「は? アンタさっき見てないって」

「今見えたんだ。急がないとどこかに行ってしまうぞ?」

「ああ、もうっ! 覚えておきなさいよ!!」

 

 そう言い残し、食堂を後にする。

 

「一夏どこよぉぉぉ!!」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「一夏! 見つけた!!」

「うぉ!? なんだ、鈴か……」

 

 食堂から少し離れた草むらで、少年と少女は邂逅した。

 

「え、と。あのね一夏、昨日の好きって、どういう意味なの……?」

「え? ああ、鈴達の料理の味のほうが好きだって意味だけど……」

「うすうす感じてきていたわコンチキショウッ!!」

「あっ、鈴!!」

 

 わずか数十秒の邂逅だった。と言うか邂逅でもなんでもない。

 

 そのまま鈴は、食堂の方まで走って戻っていった。

 彼女が来た道にポツポツとなみ……水滴の後が残っていたとかどうとか。

 

「何だったんだあいつは……?」




感想待ってます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。