IS学園 秘密の地下相談室 作:????
そこはIS学園地下一階。そこには今日も今日とて相談室が開かれていた。
「ふぁ~あ、流石に連日で迷い込んでは来ないか~」
そこにいるのはカウンセラー
彼女は昨日の昼、ここに迷い込んだとある少年から相談を受けたのだ。
顔色は悪かったし、ノルマを達成したかったので真面目にアドバイスしてみた。
「昨日の子は結局どうなったのかな~」
そんな、どうでもいいようなことを呟いていると、扉の開く音が。
「ん? 相談かな?」
「ふぇ? え、あれ? あの、すみません。ここってどこですか?」
「おや、少女よ。キミはもしかしてボーっとしながらここに辿り着いたのかい?」
扉から入ってきたのは可愛らしいツインテールの女の子。
他に特徴があるとすれば、肩出しの服装と黄色いリボンだろう。
それにしても珍しく連日の迷いこみである。
一体どうなっているのか、と考えつつも、ノルマを達成する機会は逃さない。
「ぼーっと……そうですね。ボーッとしながらここまで来たみたいです」
「なにかお悩みかい? 心の疲れなら治してあげるよ?」
「え、と。ここは?」
「なに、ちょっとしたカウンセリングルームさ」
教師用の、とはあえて言わない。
「……それじゃ、相談に乗ってくれます?」
「バチコイッ」
少しおどけながらも聞く準備をする。
「私には、幼馴染みがいるんですよね」
「ふむふむ」
「で、昨日のことです。その幼馴染みが好き、って言ってくれたんです」
「おお、それはおめでただねぇ」
こんな男子禁制の場所で彼氏ができるなんて奇跡にも等しい。
「でも、今日あいつ、一夏」
「あ、ストップ。いい忘れてたけど、個人名はナシで」
「あっ、すみません。で、えーと、そう、Iの今日の様子が気になるも、上手く見れないんですよね」
恋する乙女の桃色な表情で、こちらを見ていながらも、頭のなかは別のところに有りげな顔でそう言ってくる。
「ふーん、なんでさ」
「なんというか、好きって言われた時に、嬉しさのあまりに気絶しちゃったんです。そんなことがあったから……あいつはどう思ってるのかな、って悩んでいって……」
「うーん。気絶かぁ……とりあえず話をしてみないかぎり、実際のことはわからないね」
「そうですか……」
うなだれるツインテールの女の子に向けて応援の言葉を送る。
「ま、為せば成るものさ。何ふり構わずやってみな」
「何ふり構わず……」
少女は考えこむ。
「ん~~っと! それじゃ、出口まで送るよ」
「あ、ありがとうございます」
そうして、昨日のように、少女を外まで案内してあげたのだった。
◇◆◇◆◇
「よし、一夏の真意を問い詰めてやるんだから!」
出口の林の中で、彼女、凰・鈴音はそう言って自分を鼓舞した。
なにが彼女をここまで引き立てているのかというと、昨日の料理教室の終わりの、I……一夏の一言が原因だ。
「でも、まずは一夏を探さなきゃね」
そう言って、林から出る。
「あれ? なんでここにいるんだ? 鈴」
「一夏!? あ、あんたこそなんでここにいるのよ!!」
「いや、探しものと言うかなんというか……」
林を抜けると、目の前に一夏が居た。
「あ、それよりもだな、ここらへんに変な入り口を見かけなかったか?」
「入り口? そんなもの見てないわよっ、ふんっ」
そう言い残して、鈴は校舎の方へ歩いて行った。
残された一夏は、と言うと
「うーん、見つからないなぁ」
そう、彼は月崎のカウンセリングルームへの入り口を探していたのだ。
しかし、昨日、彼が出てきたのは出口であり、入り口ではない。
入り口に向かおうにも、あそこまでの道のりが曖昧なのだ。
「マジで見つからないなぁ……相談に乗ってくれたお礼と結果報告をしたかったのに……」
絶対見つけるぞ。
そう小さく呟いて、一夏は校舎に帰っていった。
再び入り口を見つけるため、再び月崎に会ってお礼を言うために。
◇◆◇◆◇
その頃、校舎に戻った鈴はと言うと
「あぁあぁああああぁ……」
教室で一人、落ち込んでいた。
なんであの時話さなかったのよこのバカ鈴! 私ならできたでしょ!!
頭の中はそんな思考で埋め尽くされ、周りに人が近寄ってこないほど。
「あの……鈴さん? どうしたんですの……?」
しかし、彼女に話しかけることができる猛者が現れた。
「……あれ? セシリアじゃん、昨日のアレは大丈夫だったの……?」
「いえ、それが……昨日の記憶が無いんですの」
「ああ、そういうことか。うん。それはアレだよ、気にしないほうがいいわよ?」
世の中忘れた方がいいものというものがある。
昨日のアレはセシリアにとっては忘れた方が良いものだ。
「そうですの……?」
「そうそう、忘れてなさい」
「鈴さんがそこまで言うのなら、気にしないことにしますわ……」
「そうしなさい」
「それでは、私はクラスに戻りますわ。あ、鈴さん。元気ないようでしたら学園をうろついたらどうです? 元気が出るかもしれませんわ」
「んー、そうしてみる。ありがとね」
「それでは、ごきげんよう」
そう言ってセシリアは、カテーシャをして、去っていった。
「それにしても、散歩か……やってみようかな」
ついでに一夏も探そう。
しかし、散歩と言っても、どこに行こうかな。
このIS学園は広い。それこそさっきみたいに、変なところに迷い込んでしまうほどに。
とりあえず食堂にでも行ってみよう。
◇◆◇◆◇
「鈴か……どうしたんだ?」
食堂に来ると、箒がいた。
「アンタこそ何してんのさ」
「いや、料理の練習を、な」
「料理ぃ? 何? あんたハマったの?」
「まあ、な」
どうやら箒は料理にハマったらしい。
しかし、その真意はいかに……。
「そういえば一夏の居場所知らない?」
「一夏? いや、知らないが……」
「それじゃあ、あの後何になったのかでいいわ。昨日の料理大会の後、何があったの?」
「ああ、鈴は気絶していたようだったから、他のみんなで残った料理を食べたぞ」
「……セシリアの料理はどうしたの?」
「……聞くな」
どうやら、処分したらしい。
食材を大切にする彼女達からしたら苦肉の決断だっただろう。
「それじゃ……あの、一夏の告白は……どうなったの?」
「告白?」
「いや、ほら。昨日してたじゃない!」
「告白、告白……あっ、あれか」
「思い出したの!?」
しかし、箒の表情は少しいやらしい表情に変わる。
「私の口からは言えないな」
「なんで!?」
ムキーッ! と腕を振りながら身体で怒りを表現する鈴。
それを見てニヤニヤする箒。
傍からみたら、とても不思議な光景だろう。
「それはそうと、一夏が食堂の外にいたぞ」
「は? アンタさっき見てないって」
「今見えたんだ。急がないとどこかに行ってしまうぞ?」
「ああ、もうっ! 覚えておきなさいよ!!」
そう言い残し、食堂を後にする。
「一夏どこよぉぉぉ!!」
◇◆◇◆◇
「一夏! 見つけた!!」
「うぉ!? なんだ、鈴か……」
食堂から少し離れた草むらで、少年と少女は邂逅した。
「え、と。あのね一夏、昨日の好きって、どういう意味なの……?」
「え? ああ、鈴達の料理の味のほうが好きだって意味だけど……」
「うすうす感じてきていたわコンチキショウッ!!」
「あっ、鈴!!」
わずか数十秒の邂逅だった。と言うか邂逅でもなんでもない。
そのまま鈴は、食堂の方まで走って戻っていった。
彼女が来た道にポツポツとなみ……水滴の後が残っていたとかどうとか。
「何だったんだあいつは……?」
感想待ってます