IS学園 秘密の地下相談室   作:????

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L・Bちゃんの相談

 IS学園の地下1階の廊下は暗闇に包まれている。しかし、その中で一箇所、明るい場所があった。光源はひとつの部屋であり、その部屋のトビラには《カウンセリングルーム》と書かれていた。

 その部屋の主、月崎瑞希(つきざきみずき)は何をしているのかというと、

 

「うーん、これは、こうして……」

 

 彼女にしては珍しく、書類と向き合っていた。なぜ彼女が書類と向き合っているのかというと、それは単純なことで、今までサボっていた仕事の期限が迫っているからだ。

 仕事をしなければ首にされる、首にされるということは明日が無いということに繋がるのだ。なので、まだ生きたい彼女は仕事をするしかない。

 

「よしっ、ここ1週間分の仕事終わり!!」

 

 仕事と言っても、その内容はカウンセリングをした人数と、その大まかな内容だけ。更にはプライバシーの問題を踏まえ、微妙にはぐらかすだけだ。その他の書類などは基本ない。

 そんな簡単な仕事を終えた後、休憩をしようかと席を立つ、と同時にトビラが開いた。

 

「すまないが、出口まで案内してくれないか?」

 

 入ってきたのは、銀髪に眼帯という非常に痛いファッションをした女の子だった。身長はとても小さく、小学生といっても通じそうな顔つき。

 しかし、IS学園の制服を身につけていたため、月崎は小学生と間違うことはなかった。

 

「もしもしそこの幼女よ、何か悩み事は無いかな?」

「誰が幼女だ。しかし、悩み事か……」

 

 幼女という言葉に突っ込んできた辺り、若干のコンプレックスはあるとみえる。しかし、そんなこと月崎には関係はない。

 

「ねえねえ幼女幼女」

「ええい! 幼女幼女うるさい! そもそも私は見ての通り高校生だ!」

「IS学園にインターンシップとかあったっけ」

「……はぁ、座るぞ」

 

 一応ひと声かけて、彼女は月崎と対面に位置する席に座った。その姿をニマニマと笑いながら見つめる月崎。

 

「で、相談とか無いの?」

「貴様が私を幼女と言うことが悩みだ」

「あ、それは無しで」

「…………」

 

 頭が痛くなってきたのか、銀髪の彼女は、額に手を当てて黙りこむ。

 

「最近、ルームメイトのシャルr……」

「あ、実名は無しで」

 

 なんだかこの会話が久しぶりに感じる月崎であった。

 

「ルームメイトのCが私に服を押し付けてくるのだ」

無料(タダ)で服がもらえるならいいんじゃないの?」

「たわけ、服と言ってもなんというか……私の着れないような服なんだ」

「うーん、サイズ?」

「サイズは問題ない、むしろピッタシと言ってもいい」

 

 ならばどういった服なのだろうか。

 

「……ンシ-な服なんだ」

「え、なんて? 聞こえないよ」

「ファンシーな服なんだ」

「え」

 

 ファンシーってあれ? 世に言うゴスロリとかの服? それは……私なら着れないなぁ。

 

「私でも着れないぞ」

「お、心でも読めるの?」

「読心術を多少な」

 

 多少で読心術を嗜むのか……最近の女子高生ってすごい。

 

「どうすれば彼女を止めることができるんだ……?」

「うーん、直接言ってみるっていうのは?」

「言ってはいるんだが、止まらないんだ」

「えぇ……」

 

 とまらないって……暴走でもしてるの? いや、流石に暴走は……でも……。

 

「頼りになる先生に言って、止めてもらうとか……もしくは部屋を変更してもらうとかは?」

「ルームメイトとしてはそれ以外を除くととても頼りになるんだ。それに今の状態から変えたくない」

「でも、そうなると解決しなくなるなぁ……」

 

 聞く限り教師に頼る以外に道がないような問題だ。しかし、それを拒否するとなると何もできない。

 

「ま、いいさ。私自身でどうにかする」

「あ、そうだ。こうするのはどう……?」

 

 月崎の口から出た言葉はある意味ルームメイトを確実に止めることができるものだった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「それじゃ、私はここまでだから~」

「ああ、案内してくれてありがとう」

 

 場所はいつもの林の中。銀髪の少女、ラウラ・ボーデヴィッヒは月崎に別れを告げて、林の中を突き進む。

 

「よし、今夜実行してみるか」

 

 彼女は月崎に何を吹きこまれたのか……。

 そして、林から出た後、学校に向かうのであった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 放課後、日課の訓練と食事を終えて部屋に戻った彼女は、最近アレになってきたルームメイト、シャルロットがいないことを確認して、室内に設置してあるシャワールームでシャワーを浴びる。

 

「ただいまー、ってラウラ? いないの?」

「私はここだ」

 

 シャルロットが帰ってきたので、シャワールームから出る。裸で

 

「ラウラ……はぁ、なんで服を着てないのさ」

「持っていくのを忘れてしまってな、すまない」

「いや、別にいいけど……」

 

 そう言って目を逸らしながらもチラチラ見てくるシャルロット。そんな彼女を気にせずにラウラは自分の荷物の場所に近づき、服を着る。

 

「で、シャルロットよ。なにかようがあったのか?」

「いや、特には無いけど……」

「そうか」

「あ、僕シャワー浴びるね」

「わかった」

 

 シャルロットがシャワーを浴びだしたので、風呂あがりに飲もうとしてたミルクを二人分出す。しかし、シャルロットはミルクはいるのだろうか、と思い、右手に牛乳パックを持ったままシャワールームに近づく。

 

「シャルロットよ、ミルクはっ!?」

 

 それはいきなりの事だった。彼女の足元にはなにもないのだが、こけてしまった。

 

 右手には並々と中身が入った牛乳パックがあり、そのまま倒れると悲惨なことになるだろう。それだけは防ごうと、ラウラは身体を捻って牛乳パックを身体の上に持ってくる。

 更に悲惨なこともあった。干してあったシャルロットの下着が転けた際に引っかかって落ちてしまったのだ。

 そして、遂にラウラの身体が地面に着いてしまう。牛乳はこぼれ、シャルロットの下着は牛乳まみれ。こうなると昼の相談を実行しようとしていたことなど関係ない。急いで床を拭き、下着を近くにあったビニール袋に入れて洗濯所に持っていく。

 しかし、途中で気づいた。もしかすると、洗濯所で汚れた下着を洗うと、牛乳をこぼしたことがバレるかもしれない。

 

「クソッ、どうしたらいい……?」

 

 八方塞がり、この状況でラウラが思いついたことは……。

 

「そうか、手洗いをして、こっそり返せばいいのか……」

 

 隠蔽工作込みの返却だ。

 

「そうと決まれば部屋に帰るとしよう」

「あれ、ラウラじゃんどうしたの?」

 

 目の前に現れたのは、中国代表候補生の凰・鈴音だった。

 

「ど、どうした鈴よ?」

「なんでアンタはそんなに挙動不審なのよ、ってその手に持ってるものは……」

「な、ななんのことだ? コホンッ、おっと私は用事があるのでな、ここで帰らせてもらう」

「あ、ちょ、アンタ待ちなさい!!」

 

 後ろに鈴の声を聞きつつ、部屋の方向へ逃亡するラウラであるが、振り切れそうな気配がしない。一体どんな体力をしているんだ。

 仕方ないので、ISを部分展開して逃げる。当然周りに誰も居ないことは確認済みだ。ついでに手に持った袋を格納することを忘れない。

 

 

「はぁ……はぁ……帰ったぞシャルロット」

「あれ、ラウラ? どこに行ってたの?」

「売店の方に少しな……」

「あ、なにか買い物してたの……それより、僕の下着がなくなってるんだけど、知らない?」

 

 部屋にはいると、こちらに背中を向けたシャルロットが部屋の中心に佇んでいた。その姿はそことなく恐ろしく、言葉が出ない。

 

「し、知らないが……」

「そう、僕、すこし用事ができたから出かけるね」

「わ、わかった。気をつけるように……」

「わかった」

 

 シャワーが終わって髪の手入れをしていないのか、顔色は見えなかったが、振り返る際に一瞬だけ目が見えた。

 

 な、何だあのハイライトの消えた目は……。

 

 この場で1度、数日後にもう一度、ラウラは後悔するのであった。




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