ハロー。イチカの彼女で中国の代表候補生をやっている凰鈴音よ。呼びにくいだろうから鈴で良いわ。そんで私と一緒に走ってるのがドイツの代表候補生のラウラよ。うん?何で走ってるかって?
「フフフ、鈴さ~ん、ラウラさ~ん見つけましたわ~♪」
「ヒッ!?」「何だと!?」
セシリアに追いかけられているからよ!しかも何あの格好!?黒いスーツにサングラスって逃○中のハン○ーの格好じゃない!?何で持ってんのよ!?本当にあの時の私をぶん殴りたいわ!そう全てはあの時から始まった。
五分くらい前
「鈴さん、ラウラさん。一つ、私とゲームをしません?」
「ゲーム?何の?」
「?」モグモグ
「ルールは簡単ですわ。一時間、私がお二人を追い、お二人は私から逃げる。ただこれだけですわ。もしお二人が勝てばこれを差し上げますわ。」
そう言うとセシリアは二枚のチケットを取り出した。
「私達が負ければ?」
「私のお願いを叶えてもらいますわ。」
「よし、乗った!」
「ふぁらひもふぉっふぁほぉ!(私も乗ったぞ!)」
本当にぶん殴りたいわ!だけど言わせて!セシリアが物凄く速い!?しかも笑顔で走ってるから本当に怖い!
「チッ!仕方無い!鈴!私に良い考えがある!」
「本当!?何するの!?」
「これを使う!」
そう言うとラウラはクリアグリーンの眼魂を取り出し、鈴に見せた。
「まさか此処で変身するの!?」
「違う、こうするんだ!」
ラウラは眼魂のスイッチを押し、セシリアに向かって投げた。 すると眼魂はパーカーゴーストになった。
「グリム!セシリアを足止めしてくれ!」
グリムは頷きニブショルダーを伸ばしてセシリアに向かって放った。
「これでセシリアを足止め出来る!」
「凄いわね!これで逃げ切れるわね!」
しかし、二人の考えは甘かった。何故ならセシリアは自分に放たれたニブショルダーを難なく避けた。グリムは負けじと先程より速くニブショルダーを放った。だが、今のセシリアには無意味だった。
「フフフ、幾ら速くしたところで関係ありませんわ♪」
「「( ; ゜Д゜)」」
どんなに速く攻撃しようが関係無い。可愛い物が関わっているセシリアは無類の強さを発揮する。
「あら?よく見たらこのパーカーゴーストも可愛いですわね~♪」
「…。」
グリムは自身の危機を感じたのか攻撃を辞め、鈴とラウラと共に逃げる事を選んだ。
「グリム!?」
「…。」フルフル
グリムラウラに訴えるように首を横に振っている。パーカーゴーストは泣かない筈なのにグリムは泣きそうになっている。
「「誰か助けてー!」」
ゲーム終了まで残り二十三分
その頃イチカはと言うと。
「よし!報告書も計画書も完了!早速これを義母さんと束さんに送ってと。」
「イチカ~、お疲れ~。処で白騎士と白式は何時帰って来るんだ~?」
「個別トーナメントには間に合うみ…!」
「どうした~?イチカ~?」
「鈴が大変な事になってるから急いで行ってくる!」
そう言うとイチカは部屋を急いで出て行き、鈴が居る所に向かった。
「鈴の嬢ちゃんのピンチが分かるとか人間辞めてるよな~。………あ、半分幽霊だから実質辞めてるか~。さ~てイチカが帰ってくる前に動画でも見るか~。」
ユルセンはイチカが出て行くと束お手製の端末を出し、一つのファイルを選んだ。そのファイルには『二人の再開と初デート』と書かれていた。
「ラウラどうするの!?この状況!?」
「…正直打つ手が無い。」
「何で!?」
「恐らくセシリアは本気を出していない…。」
「…は!?え!?ちょっ!何で!?」
「先程からセシリアは私達との距離を保っている。多分セシリアが本気を出せば私達は一瞬で捕まる。」
「そんな!?ちょっとセシリア!あんたは私達に何をお願いするつもりなの!?」
「そんなの…恥ずかしくて言えませんわ///」
セシリアは頬を赤らめ恥ずかしそうに走っている。
「うわぁぁぁぁぁあん!せしりあがこわいー!」
「鈴!?(鈴のスピードが落ちている!?このままでは鈴が捕まってしまう!そうなれば師匠に顔向け出来ない!こうなれば!)鈴、ちょっと失礼する!」
「ふえっ!?」
ラウラは鈴を背中に担ぎ、鈴が捕まらないようにセシリアから逃げた。鈴は所謂おんぶをされている。
「フフフ、ラウラさん?鈴さんを担いでは直ぐに捕まりますわよ。」
「フッ、軍人を嘗めるなー!」
ラウラは先程より速く走り出した。 しかしセシリアは。
「ラウラさんが鈴さんをおんぶ、フフフ、ありですわね!ですがそろそろ終わらせましょうか。」
セシリアは二人を捕まえる為に本気を出した。そして鈴のピンチを察知したイチカは。
「あれは…ラウラ!」
「!師匠!」
「いちかだ!」
鈴はイチカを見つけるとラウラから降り、直ぐにイチカ抱きついた。
「おっと、よしよし。ラウラ、これって。」
「うむ。一時的に精神年齢がさがっている。」
「…セシリアか。」
「うむ。実はな…」
ラウラは今までの事を説明し始めた。その間イチカはずっと鈴の頭を撫でており、鈴は気持ち良さそうに目を細めていた。
「なるほどな。てか、黒いスーツにサングラスってハン○ーじゃねぇか。何で持ってんだ?」
「少し前に必要になりましたので購入したのですわ。」
「「ふ~ん。………うん?」」
「ごきげんよう。イチカさん、鈴さん、ラウラさん。」
イチカとラウラが振り向くとそこには手を胸に当て紳士の様に挨拶しているセシリアの姿があった。
「何時の間に!鈴とラウラに何をする気だ!」
「決まっていますわ。鈴さんとラウラさんには…」
「…。」
その場には静寂が訪れており、今にも戦いが始まりそうな雰囲気であった。しかし、ある二人の格好があまりにも雰囲気にあっていなかった。一人は黒いスーツを纏いサングラスを掛けた金髪の少女、もう一人は前にツインテールの少女を抱えて後ろに銀髪の少女を背負っている少年、かなりシュールである。
「これらを着て貰いたいのですわ!」
そう言うとセシリアは何処からか様々な衣装を取り出した。
「メイド服とかアニメのコスプレとかあるじゃねぇか。てか着て欲しいなら普通に頼めば良かったんじゃないか?」
「それでは鈴さんとラウラさんと戯れる事が出来ませんもの。」
「相変わらずだな。で?鈴とラウラはどうするんだ?」
「…こわいことしない?」
鈴は怯えながらセシリアに質問した。
「えぇ、怖い事はしませんわ。ただ、鈴さん達がこれらを着て私が写真を撮るだけですから。」
「ちけっとは?」
「勿論差し上げますわ。」
「写真は貰えるのか?」
「えぇ、必要とあれば。」
「いちかはみてみたい?」
「まぁ、見てみたい…かな?」
「じゃぁ、きる!」
この後、鈴とラウラは様々な衣装に着替え、写真撮影が始まった。俺は何時までもこんな時間が続くと思っていた。そう、この時までは。俺はこの時、気付く事が出来なかった。俺の心の闇の大きさと深さを。
運命は既に動き出している。 いや、狂い始めている。