死を経験した俺の生きる時間   作:天空を見上げる猫

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二十六話

イチカは黒い霧の様な物に縛られて動けずにただ目の前の光景を見るしか出来なかった。

 

 

「た、すけて、イチ、カ…」

 

 

「…。」

 

 

「辞めろ、辞めてくれ!その子に、鈴に手を出さないでくれ!」

 

 

「…。」

 

 

イチカの目の前にはボロボロになりながらイチカに助けを求める鈴とガンガンセイバーを鈴に向けている禍々しいオーラを放っているゴーストの姿があった。

 

 

「頼む、鈴だけは殺さないでくれ…」

 

 

イチカは泣きながらゴーストに鈴を殺さないように頼んでいる。

 

 

「…。」

 

 

ゴーストは何も言わずに鈴に向けていたガンガンセイバーを降ろした。イチカは鈴が助かったと安堵した。だが現実はあまりにも非情だった。

 

 

[ダイカイガン!ガンガンミナー!ガンガンミナー!]

 

 

「なっ!?」

 

 

ゴーストはガンガンセイバーをゴーストドライバーに翳すとガンガンセイバーは禍々しいオーラを纏いゴーストはそれを振り上げた。

 

 

「辞めろぉぉぉぉぉぉぉぉお!」

 

 

「…。」[オメガブレイク!]

 

 

ゴーストは鈴に向かってガンガンセイバーを降り下ろした。そして鈴は声も出せずに斬られてしまった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?ハァ、ハァ、此処は…」

 

 

イチカは大声を出しながら目覚めた。そして見渡せば自分の部屋だと言う事が分かった。

 

 

「また、この夢か…。何なんだあの夢は…」

 

 

「イチカ~、またか~?」

 

 

「あぁ…、この処毎日同じ夢を見てるな…」

 

 

「何時からだっけ~?」

 

 

「確か…俺が部屋で倒れた日からだな。…すまん、ちょっとシャワー浴びてくる。」

 

 

「行ってら~。」

 

 

イチカは着替えとタオルを持ってシャワーを浴びに行った。

 

 

(…あの夢は本当に悪夢としか言いようがないな。だけど絶対に、絶対にあの夢の様にはしない!例え命を落としたとしても鈴だけは救ってみせる!)

 

 

イチカはシャワーを浴びながら拳を壁に打ち付け新たに決意した。しかし、一瞬だけイチカから黒い霧の様な物が出てきたが直ぐに消えてしまった。そして次の日

 

 

「イチカ…。」

 

 

「うん?鈴、どうした?」

 

 

「最近何か元気が無いよ?大丈夫?」

 

 

「…あぁ、俺は大丈夫だ。」

 

 

「本当に?」

 

 

「あぁ、少し疲れているだけだ。だから心配するな。」

 

 

「うん、なら良いんだけど…。」

 

 

「…ほい。」ギュッ

 

 

「フエッ!?イ、イチカ!?///」

 

 

イチカは後ろから優しく、そして少し力を込めて鈴を抱き締めた。いきなり抱き付かれた鈴はパニックになっている。

 

「ほら、そんな暗い顔するなよ。鈴にそんな顔は似合わないし俺は見たくない。だからさ、笑ってくれよ。」

 

 

鈴に抱き付いているイチカの顔には微かながら恐怖が浮かんでいた。あの夢と同じ様に鈴が消えてしまうかもしれない、力に溺れて鈴を殺してしまうかもしれない。そんな、もしもの可能性にイチカは恐怖していた。

 

 

「…デート。」

 

 

「え?」

 

 

「だから、デート!個別トーナメントが終わったらデートに行こう?丁度セシリアから貰ったチケットもある事だし。それで心配させた事はチャラにしてあげるわ。」

 

 

「あぁ、個別トーナメントが終わったらデートに行こうな。」

 

 

「うん!」

 

 

鈴はイチカに笑顔で返事をした。イチカはその笑顔を見ると抱いていた恐怖が薄れていった。

 

 

「此処に居られましたか、イチカさん、鈴さん、これを見られましたか?」

 

 

セシリアは二人を見付けると一枚のプリントを二人に差し出し、その内容を確認させた。

 

 

「何々、『学年別トーナメントのルール変更のお知らせ。今年度より個別戦からタッグ戦にする事になりました。そしてペアの申請は二人揃って教員か生徒会に申請して下さい。なお、ペアが出来なかった生徒はランダムになるので注意して下さい。』へぇ~タッグ戦に変わるんだ。」

 

 

「セシリアは誰と組むんだ?」

 

 

「それは「私が組む。」そう言う事ですわ。」

 

 

「意外な組み合わせだな。よし、なら俺達も相方を探すか。」

 

「そうね。最高のパートナーを見付けて勝ってみせるわ!」

 

 

「返り討ちにして差し上げますわ!」

 

 

三人はバチバチと火花を散らしていた。しかし、ラウラは三人に向かってある事を言った。

 

 

「?師匠と鈴がタッグを組むんじゃないのか?」

 

 

「「「……え?」」」

 

 

「む?違うのか?」

 

 

「「「 アッー!?」」」

 

 

「何で気付けなかったんだ!?鈴と組んで無双すれば良いじゃないか!」

 

 

「そうじゃない!イチカと組めば優勝出来るじゃない!」

 

 

「失念していましたわ!?イチカさんと鈴さんが組むのは必然であり決定事項でしたわ!」

 

 

「賑やかになったな。ハムッ」モグモグ

 

 

ラウラは三人を見て感想を言いつつ持っていたお菓子を袋から取り出し食べ始めた。袋が六つに増えているのは気にしないでおこう。

 

 

「よし鈴、今から申請に行くぞ!それとラウラ、今度好きな物作ってやる!」

 

 

「えぇ!私達のコンビネーションで絶対に優勝を掴みとりましょう!」

 

 

「いいえ、優勝するのは私達ですわ!」

 

 

「ひぃひぉう、ふぇっはぁほ!(師匠、絶対だぞ!)」

イチカと鈴はタッグの申請をしに職員室に向かい、セシリアとラウラはアリーナの使用申請をする為に生徒会室に向かって行った。

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