死を経験した俺の生きる時間   作:天空を見上げる猫

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三十話

あの時、私は何も出来なかった。その結果が私の目の前で三日も目を覚まさないイチカだ。

悔しい、イチカを助けるために代表候補生になったのに逆に助けられてばかりいる。ねぇ、イチカ?イチカがして欲しい事をやってあげる。だから

 

 

「起きてよ、イチカ。起きてまた一緒に沢山話そうよ。一緒に笑おうよ。一緒に出掛けようよ。」

 

 

鈴はイチカに一生懸命語りかけていた。悔しさと寂しさで涙を流しながら。

 

 

「…鈴?」

 

 

「!イチカ!大丈夫なの!?」

 

 

「あぁ、少しばかり体がきついが俺は大丈夫だ。」

 

 

「そっか、良ッ!?」

 

イチカは倒れて三日目に目を覚ました。 イチカが言った通り少しばかり体がきつそうだが何とか大丈夫そうであった。しかし、鈴はあることに気が付いた。

 

 

「イ、イチカ!?そ、その目どうしたの!?」

 

 

「目?」

 

 

「イチカの左目が紫色になってるよ!?」

 

 

イチカの左目は鈴が言った通り紫色に変わっており、所謂オッドアイと呼ばれるものになっていた。そしてその左目は呑み込まれそうな程深く、恐怖を覚える程美しかった。

 

 

「本当だ。目が紫になってる。だけどちゃんと見えるから大丈夫だろ。…鈴、悪いけどユルセン達を呼んできてくれないか?」

 

 

「?わかったわ。」

 

 

この時、鈴はイチカに対して違和感を感じていたが急いでユルセン達を呼んでくる事にした。

 

 

「そこに居るのは解っていますよ。天照さん。」

 

 

「…何時から気付いていたんだい?」

 

 

「俺が目覚めた時からですよ。そしてゴーストの制限の話ですよね?」

 

 

「ッ!?何故それを!?」

 

 

「もう一人の俺に教えられました。俺の状況、彼奴が何なのか、そしてゴーストの制限の事。」

 

 

「(もう一人の俺?彼奴?)本当にすまない、僕があの時ちゃんと知らせていれば…」

 

 

「天照さんは悪くないですよ。悪いのは俺の心の弱さなんですから。それにあの時、制限の事を聞いていれば確実に混乱していたと思います。」

 

 

「イチカ君…。…警告だ。もう一度倒す為だけに使えば君の存在が消えてしまうよ。」

 

 

「消える覚悟ならもう出来ています。」

 

 

「ッ!?まさかイチカ君、君は…」

 

 

天照は気付いてしまった。イチカからある物が欠けている事に。

 

 

「恐怖を感じなくなっているのかい!?」

 

 

「そうですね。恐らくこれを使ったからだと思います。」

 

 

そう言うとイチカはあの禍々しい眼魂を取り出し、天照に見せた。

 

 

「(!?何なんだこの眼魂は!?禍々しいっていうレベルじゃない!? むしろ闇その物って言われた方がまだ納得出来るよ!これ以上この眼魂をイチカ君に持たせる訳にはいかない!)イチカ君、その眼魂は危険すぎるから僕に預けてくれ。」

 

 

「解りました。どうそ。」

 

 

「ありがッ!?」

 

 

イチカは眼魂を差し出し、天照が受け取ろうとすると眼魂がその手を拒絶した。

 

 

「天照さん!」

 

 

「大丈夫だよイチカ君。(拒絶した?という事はイチカ君しか触れる事が出来ないのか?)…不本意だけどそれをしばらく預かってくれないか?それは僕にはどうする事も出来ないみたいなんだ…。」

 

 

「解りました。」

 

 

「ありがとう。後、出来るだけそれは使わないで欲しい。事が起こってからでは遅いんだ…。じゃぁ僕は仕事に戻るね。」

 

 

「はい、ありがとうございます。」

 

 

天照はイチカと別れ仕事に戻っていった。そしてイチカは鈴が戻ってくるまである事を考えていた。

 

 

(俺の運命には逆らえない…か。ならその運命を覆してみせる。例え俺が全てを失ったとしても。それと天照さん、貴方に一つだけ言ってない事があります。)

 

 

イチカは何も言わず三つの眼魂を取り出し、眺めていた。その三つ全てが白く、元はムサシ、エジソン、ロビン・フッドの眼魂だった物だ。

 

 

(それにしても此処に白騎士と白式が居なくて助かったな。さっきの話を聞かれてたら余計な心配を掛けるかもしれなかったしな。)

 

 

イチカが眼魂を仕舞うと鈴がセシリア達を連れて戻ってきた。そこにはラウラの姿もあり、イチカは安堵した。そしてユルセンの話では二つの端末にスコール達からの連絡が届いていたそうだ。

 

 

俺は沢山の人に助けられた。弾、数馬、束さん、天照さん、義母さん、秋姐、マドカ、クロエさん、永久さん、セシリア、山田先生、簪、黒姫先輩、ラウラ、シャルロット、こんな俺を助けてくれて本当にありがとう。

そして鈴。何時も俺の隣に鈴が居てくれたから絶望せずに居られた。俺は鈴と一緒にいるだけで本当に幸せだ。だからこそ俺は鈴の幸せを望む。なぁ、鈴?鈴にとって本当の幸せって何なんだ?

 

 

少し時間を戻しイチカが目覚める二日前の事

♪~♪~♪「電話?誰からだろう?今イッ君は意識不明だし…もしかして蒼夜君!?…チッ。はい、皆のアイドル、束さんだよ。(棒)」

 

「…切りますよ。」

 

 

「私としては早く切って欲しいんだけど?」

 

 

「ま、今回は許しますよ。」

 

 

「話聞いてた?此方は早く切りたいんだけど?」

 

 

「姉さんに頼みがあります。私だけの力をください。私が一夏の隣に立つ為の力を。」

 

 

「お断りするよ。君は代表候補生でも無ければ国家代表でも無いからね。それに私は今忙しいんだよ。後、IS は本来、宇宙に行くための翼であって自分の欲望を叶える為の道具じゃないよ。じゃあね。」

 

 

「待ってください!私は貴方の被害…」

 

 

「ふぅ、被害者?それは此方の台詞だよ。偽りの白騎士のお陰でISは間違った方向に使われたんだから。」

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