死を経験した俺の生きる時間   作:天空を見上げる猫

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「少し遅れてしまいましたが明けましておめでとうございます。今年も『死を経験した俺の生きる時間』を宜しくお願い致します。」


三十七話

旅館から少しばかり離れた砂浜にイチカ達は集まっており、各自の武装確認等の作戦の準備をしていた。

 

 

『皆さん、聴こえますか?こちら山田です。皆さんの専用機のネットワークからバイタルの確認が取れましたので展開次第、出撃してください。』

 

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

 

[[アーイ!]]

 

[スタンバイ!]

 

 

[バッチリミナー!バッチリミナー!]

 

 

[バッチリミロー!バッチリミロー!]

 

 

[イエッサー!ローディング!]

 

 

イチカ、セシリア、ラウラはそれぞれ眼魂のスイッチを押し、ドライバーとユニットセットするとグレー、群青、ダークブルーのパーカーゴーストが現れ三人の周りを浮遊していた。

 

 

「「「変身!」」」

 

 

[開眼!ベートーベン!曲名!運命!ジャジャジャジャーン!]

 

 

[開眼!フーディーニ!マジイイじゃん!すげぇマジシャン!]

 

 

[テンガン!ジャック・ザ・リッパー!キル・イズ・レディ!]

 

 

「行くよ!甲龍!」

 

 

「頼むよ、ラファール・プリンセス・ノワール!」

 

 

「来て、打鉄弐式!」

 

 

イチカ、セシリア、ラウラは今回の作戦に必要な姿になり(セシリアに関しては何時の間にか現れたバイクと合体しているが)、鈴、シャルロット、簪はパッケージがインストール済のISを展開しそれぞれ飛翔した。そして六人が飛翔した同じ頃。

 

 

「…山田先生。少しやる事ができたので皆を任せても良いですか?終わり次第直ぐに戻りますので。」

 

 

「分かりました。あ、もし織斑先生を見付けたら私が呼んでいたと伝えて下さい。先程から姿が見えませんので…。」

 

 

「分かりました。」

 

 

束は風花の間を出ると、とある場所に向かった。静かにそして急いで目的の場所に向かっていた。しかしその場所が本当に目的の場所という根拠は無い。それでも束はその場所に向かっていた

 

 

「到着っと。…イッ君達なら大丈夫だと思うけど何だろうね、この嫌な感じは?取り合えず無駄に終わって欲しいけどやるだけやろうかな。」

 

 

束は目的の場所で電子キーボードとディスプレイを投影し作業を開始した。束の作業スピードは凄まじく、ディスプレイのデータが入力されたかと思うと直ぐに消えたりしていた。すると、ある二人がその場所を訪れて束の姿を見て驚いていた。

 

 

「此処で何をしている!束!」

 

 

「やぁ、織斑千冬。お前こそ愚妹を連れて何をしに来たのかな?あ、別に答えなくてもいいよ。どうせイッ君達の邪魔をしに来たんだよね?そこの愚妹にイッ君がピンチだと嘘を吐いて。」

 

 

「邪魔ではない!助けに行くんだ!」

 

 

「邪魔だよ。イッ君達からすれば邪魔以外の何でもないよ。それに愚妹が参加した所でマイナスしかならない。」

 

 

「違う!一夏のマイナスになっているのはあの小娘だ!彼奴のせいで一夏は可笑しくなり、銃や弓、盾などを使う様になったんだ!」

 

 

「ハァ、まさか此処まで愚妹が愚かなんてね。いや、愚かだから愚妹なのか。因みにお前達はISに乗れなくなってるから此処に来ても時間の無駄だから。」

 

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

 

「相変わらず動きが単調で事実を言われれば力で何とかしようとする愚妹。それに…。」

 

 

「ガハッ!?」

 

 

「不意討ちは卑怯だと言うくせに自分は普通に使う元親友。本当に救えない二人だね。」

 

 

箒は束に殴り掛かったが軽く流れ床に激突し、千冬は束の死角から仕留めようとしたが逆に鳩尾に蹴りを入れられてしまい鳩尾を抑えながら束を睨んでいた。

 

 

「何その目?まるで私が悪くて自分が悪くないとでも言いたいの?」

 

 

「あたり、mガッ!?」

 

 

「当たり前じゃない。元はお前のせいでこんな事が起きたんだ。忘れたとは言わせないからな?偽りの白騎士。」

 

 

束は千冬の台詞の途中で腹をギリギリ気絶しない位の力で蹴った。千冬は呻き声を出しているが束はただ冷たく、瞳に怒りを宿しながら千冬を見下ろしていた。

場所は変わりイチカ達の作戦実行グループは現在、福音を目指して教員達に封鎖された海域を飛んでいた。

 

 

「!前方に福音の姿を確認!現在、エネルギーの消費を抑える為か空中で停止している!今がチャンスだ!師匠、セシリア、シャルロット!」

 

 

「あぁ!」

 

 

「了解ですわ!」

 

 

「オーケー!」

 

 

[[ダイカイガン!]]

 

 

[ガンガンミナー!オメガストリーム!]

 

 

[フーディーニ!オメガドライブ!]

 

 

「ハァァア!」

 

 

「喰らいなさい!」

 

 

「良い声で泣いてね♪」

 

 

イチカはガンガンセイバーナギナタモードから五線譜を、セシリアは前輪と後輪の四つの車輪部分から鎖を放ち、シャルロットは両手持ちの蛇腹剣を鞭の様に使い福音を捕縛した。

 

 

「…。」

 

 

しかし福音は捕縛されているにも関わらず抵抗せずに静かにある一点を見ていた。その静かさ為か捕縛している三人は少しばかり恐怖を抱いていた。

 

 

「三人とも速く!何やら嫌な予感がしますわ!」

 

 

「言われなくとも!」

 

 

「決める!」

 

 

[ダイテンガン!ジャック・ザ・リッパー!オメガウルオウド!]

 

 

「マルチ・ロックオン・システム起動!『山嵐』フルバースト!」

 

 

鈴は最初に分離させた青竜刀で福音を斬り炎を纏った衝撃砲を放ち、ラウラは逆手に持った膨大なエネルギーが収束した機械的なナイフで背後から斬り、簪は四十八発の高性能爆薬弾頭ミサイル全てを福音に放ち爆発に呑み込まれた。勿論、鈴とラウラは山嵐の発射と同時に福音から距離を取っており爆発から逃れていた。

 

 

「「「「「「…。」」」」」」

 

 

六人は何も言わずに追撃の準備をしていた。流石にあの攻撃量はオーバーキルかと思えるが福音の反応が消えていない為に追撃の準備をしているのである。

爆発の煙が無くなり無傷の状態で先程とは全く違う姿となった福音が現れた。その姿は右手に刀型の近接ブレード、左手にレールガン、背面に三対六枚の翼。まるで三機のISが合わさった様な姿をしており、何より変わったのが先程の美しい銀色から夜を連想させる黒色に変わっていた。

イチカ達は福音の変化を気にする事無く一斉に攻撃を開始した。だが、福音は攻撃が当たる前に姿を消した。

 

「消えた!?」

 

 

(!Master後ろです!)

 

 

「!?(一撃が重い!?)なら!」

 

 

[ダイカイガン!ベートーベン!オメガドライブ!]

 

 

イチカはナギナタモードにエネルギーを収束させて福音に斬り掛かり、福音も同様にブレードにエネルギーを収束させて応戦した。だが福音のブレードにナギナタモードが触れた瞬間、収束したエネルギーが消滅し弾かれブレードが胸部を掠めた。

 

 

(掠めただけでシールドエネルギー五割を切った!?)

 

 

「イチカから離れなさい!」

 

 

鈴達五人はそれぞれ福音に攻撃を仕掛けた。しかし福音に五人の攻撃は届かなかった。近づけばブレードで防がれ、遠距離からの攻撃はレールガンで無効化された。イチカも攻撃に加わったがそれでも福音に攻撃が当たる事は無かった。

 

 

「…。」

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 

福音はイチカ達から距離を取ると六枚の翼を大きく広げ翼の先端から無数の鋭利な羽を放った。放たれた羽はイチカ達に向かって行った。

イチカ達は回避しながら羽を撃ち落としていた。しかし気になる事がある。明らかにイチカを追う羽の数が他の五人に比べて多いという事だ。鈴達を追う羽の数が約二十枚程度に対してイチカを追う羽の数は軽く百枚を超えている。

 

 

「チッ!数が多いなら一掃するまでだ!」

 

 

[ダイカイガン!ベートーベン!オメガドライブ!ダイカイガン!ベートーベン!オメガドライブ!ダイカイガン!ガンガンミナー!オメガストリーム!]

 

 

イチカは光の音符や五線譜を放ち羽は全て爆発した。しかしその判断は最悪の事態を招くことになる。

 

 

「ガハッ!?い…つの…ま」

 

 

「…。」

 

 

「イチカァァァァァァァァァァァア!」

 

 

イチカは爆発の中から現れた福音に斬られてしまい変身が解け、海に向かって落ちていった。鈴達はイチカを助けようとするが福音はそれを阻む。

 

 

何で皆は俺の名前を呼んでいるんだ?何で鈴は泣いているんだ?それにさっきから体に力が入らないし、皆の姿が霞んで見える?おか…し…いな?だ…だ…ん…し…き…う…れ…

 

 

そして鈴達の専用機に事実が告げられる『LOST』つまりイチカの生体反応が無くなった事を意味していた。

 

 

「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

 

「鈴さん!落ち着t「…ぼす。」え?」

 

 

「滅ぼす。滅ボす!滅ボス!彼奴ダケハ私ガ滅ボス!コノ手デ絶対ニ滅ボシテヤル!」

 

 

鈴の怒りに反応するかの様に鈴の周りに真紅の焔が現れ次第に焔は大きくなり、やがてその焔は鈴を包み込んだ。そして焔が消えると紅蓮の龍を連想させる真紅のISを纏う鈴の姿があった。

 

 

今此処に紅き覇王が降臨した。

皆さんはどの番外編を読んでみたいですか?

  • 鈴とラウラのお泊まり+束さんの昔話
  • 魔法少女(カオス)
  • 魔女集会で会いましょう(パロ)
  • 笑ってはいけない○○(長編)

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