「その変わり、量が多めになっているから勘弁して欲しい。」
「それでは。」
「「どうぞ!」」
SCARLET'S FLARE
イチカの生体反応が消えてから記憶が曖昧で不思議な声が聞こえたけどもうどうでもいいや。イチカの居ない世界なんて私にとっては無意味で、生きている価値なんて無い。だから全てを終わらせる。私自身を含めた全てを。
「ヘルインフェルノ!」
鈴は怒りを宿した瞳で福音を捉えながら言葉を叫ぶと両手に真紅の焔が収束する。やがて焔が消えると鈴の両手には真紅の長剣が二本握られていた。そして鈴は福音との距離を一気に詰め長剣で斬り掛かった。
「滅べ、滅べ、滅べ!滅べェェェェェェェエ!」
「…。」
鈴の攻撃は何時も以上に荒々しく、ただ福音を仕留める為だけに長剣を振るうが福音は全ての攻撃を難無く防ぐ。だがイチカの時とは違い全く反撃をせずにただ防ぐだけであった。まるで鈴には興味が無いかの様に。
「鈴さん!私達も手伝いますわ!」
「邪魔ヲスルナァァァァァァァァア!」
「「「「!?」」」」
セシリア達が援護しようとすると、鈴は四人に向かって長剣を殺気を込めながら凪ぎ払うと灼熱の焔が出現し四人の行く手を阻む。
今の鈴は怒りに囚われており、福音を仕留める事しか頭に無い。そしてセシリア達は鈴から放たれた殺気に恐怖を抱き、その場から動く事が出来なかった。
「コイツハ私ガ仕留メル!邪魔スルナラ誰デアロウト葬リサル!!」
「…。」
「!?鈴さん!」
「チッ!鬱陶シイ!」
福音はまたもや鋭利な羽を大量に放つ。放たれた羽の数は三百を超えており、それら全てが鈴に向かって行った。
「災厄ヲ運ビシ龍翼ヨ!ソノ翼デ全テヲ無ニ還セ!レイジングテンペスト!」
鈴の纏うISの翼が真紅のエネルギーを纏うと翼の先端が伸びた。そして鈴は自身を翻すと翼の先端が鞭の様にしなり、三百以上あった羽を全て爆破した。
福音は鈴が羽を対処している内に逃走した。しかし、羽を全て爆発させた鈴は先程よりも速いスピードで福音に追い付き、斬り掛かった。そして、福音の右の翼を全て切り裂いた。
NIGHTMARE'S NAME
イチカは黒い空間に立っており、その空間でイチカは頭を抑えながら苦しんでいた。
こんな事も出来ないなんて本当に千冬さんの弟なの?
黙れ。
何であんたみたいな無能が千冬様の弟なのよ!
黙れ!
さっさと死んでよ!この出来損ない!
黙れ!
これくらい出来て当然だ。何せお前は私の弟なのだからな。
黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇぇぇぇぇぇぇぇえ!俺は俺だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
イチカは怒りを込めながら叫び、ガンガンセイバーを出現させて空間を切り裂いた。切り裂かれた空間は少しずつ崩れていき、やがて黒い空間から白い空間に変わった。
「ハァ、ハァ、ハァ…。」
「よう。久し振りだな、てめぇ?随分と苦しそうにしてるじゃねぇか?」
「ハァ、ハァ…誰のせいだ。嫌な記憶を見せやがって。」
「懐かしいだろ?俺達が忘れたくても忘れる事の出来ない記憶は。そして、てめぇは此処で終わる!」
[ディザスター!アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!]
「終わらせてたまるか。俺にはまだ、やるべき事がある!」
[アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!]
「「変身!」」
[[開眼!]]
[白式!白き翼!掴むぜ夢!目指すは空!]
[ナイトメア!見える悪夢!希望は絶無!飲み込むぜ全部!]
イチカは白式魂になり、ガンガンセイバーを二刀流モードにした。そして『イチカ』はナイトメア魂になり、ガンガンセイバーを出現させて互いに駆け出した。二人は斬り掛かり、互いの剣を弾きながらも何とか一撃を入れようとした。
「苛つくんだよ!闇に堕ちる事の無い心!絶対に復讐しないという決意!何より傷つけられているのに誰かを護ろうとする甘い考え!それら全てが観てるだけで苛つくんだよ!」
「…。」
「だから此処でてめぇを闇に堕とし、俺を否定してきた奴等に復讐を果たす!」
イチカは『イチカ』の言葉に無言で攻撃を防ぎながら耳を傾けていた。そして、イチカは口を開いた。
「…確かに俺は誰かを護りたいと思っていた。」
「あぁ?」
「だけど、あの日に気付かされた!俺が本当に護りたいのは誰かじゃない、鈴だという事を!」
「ッ!?」
イチカの攻撃が『イチカ』を捉え、ダメージを負わせる事が出来た。しかし『イチカ』は納得していない様だった。
「ふぅ。やっと攻撃が当たったな。」
「何でてめぇの攻撃が当たった!てめぇの考えは全て解る筈だ!」
「だろうな。最初に会った時に攻撃が全て防がれたからな。だから今回は何も考えずに攻撃した。」
「ふざけるなぁぁぁぁぁあ!俺はてめぇの様な力を護る為に使う奴に負ける訳にはいかねぇんだよ!」
[ダイカイガン!ナイトメア!オメガドライブ!]
「生憎だが俺も負ける訳にはいかない!例え何と言われようが俺は俺の信じた道を進み続ける!」
[ダイカイガン!白式!オメガドライブ!]
『イチカ』の背後に紫色の禍々しい紋章が現れ、右足に漆黒のエネルギーを纏わせてイチカに向かって走り足した。イチカの背後にも白色の神々しい紋章が現れ、右足に純白のエネルギーを纏わせて『イチカ』を目掛けて走り足した。そして、二人は同じタイミングで飛び上がり蹴りの構えをし、やがて二人は衝突した。
二人の衝突した衝撃はとてつもなく、衝撃の威力で空間に亀裂が走る程だった。二人の強さは互角であったが次第にイチカが押しっていった。
「何故だ!?何故、俺が押されている!?」
「それはお前が全てを否定したからだろうが!正面から向き合ってくれた彼奴らや、助けてくれた人達、支えてくれる彼奴ら、そして一番大切な人を否定したお前に俺は絶対に負けない!」
[ダイカイガン!白式!オメガドライブ!ダイカイガン!白式!オメガドライブ!]
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
『イチカ』はイチカの蹴りを喰らい、後方に吹き飛ばされ地面に衝突した。そして『イチカ』は変身が解けて仰向けになり、イチカが変身を解いて駆け寄った。
「…何の用だ?」
「聞きたいことがある。お前は本当に復讐を望んでいたのか?」
「…何が言いたい?」
「お前は復讐を果たすと言っているが、具体的に何をするんだ?」
「…。」
「やっぱりな。」
イチカの言葉に『イチカ』は何も言い返せずに、ただ黙る事しかできず、『イチカ』の表情には悔しさが浮かんでいた。
「…俺は、てめぇが憎かった。俺が持たない物を多く持つてめぇが。だから、全てを否定して力を手に入れた!ま、結局はてめぇに敗北したがな。さて、そろそろ時間切れだ。てめぇは、さっさと帰りやがれ。」
「…お前はどうするんだ?」
「さぁな?俺は、空間の維持とお前の蹴りでもう動けねぇ。斬るなり、撃つなり、止めを刺すなり好きにしやがれ。」
「そうか。なら好きにさせてもらう。」
そう言うとイチカは仰向けになっている『イチカ』に手を差し出した。手を差し出された『イチカ』いきなりの事に呆気に取られていた。
「…何のつもりだ?」
「別に。ただ、これから俺と共に戦ってくれないか?誰かじゃなく、鈴を護る為に。」
「馬鹿か、てめぇは?俺は、彼奴すら否定した。そんな俺が彼奴を護る為に戦えだと?馬鹿馬鹿しい。そんな事、出来る筈がねぇだろうが。」
「出来るさ。俺とお前なら。それに、一度否定したならそれ以上に受け入れれば良い。だから鈴を護る為に俺と共に戦ってくれ。」
「…はぁ。どうなっても知らねぇからな!」
『イチカ』は、自身に差し出された手を掴み、立ち上がった。そして、手を掴んだ時の『イチカ』の顔にら少しばかりの笑みが浮かんでいた。
「これから宜しくな。…え~と?そう言えば、お前の事は何て呼べば良いんだ?」
「あ?てめぇの好きに呼べば良いだろうが。だが、てめぇと同じ名前は辞めろ。」
「好きに呼べって…。う~ん。なら、これからメアって呼んで良いか?」
「…好きにしやがれ。」
「なら、改めて宜し…!メア!今すぐ此処から出してくれ!何か嫌な予感がする!」
「彼奴か?」
「あぁ!だから急いでk!?」
イチカの台詞が終わる前に、先程居た空間は消え、代わりに蒼く美しい世界が広がっていた。
(Master!?一体何処から!?)
(そうだよ!いきなり生体反応すら消えたから、心配したんだよ!?それに今大変な事になってるんだよ!)
(すまない。白騎士、白式。大変なのは分かってる。だから止めに行く。)
そう言うとイチカの手には、紫と白のカラーリングの眼魂が握られていた。
(Master!?それは!?)
(それを使ったらまたあの時みたいになるよ!?)
(大丈夫だ。今回は絶対に。)
(でも!)
(いいから黙ってやがれ。)
(!?Masterと同じ声の貴方は一体!?)
(後で話す。でも今は。)
[ブレイカー!アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!]
ゴーストドライバーから、ローブの様な紫と白のカラーリングのパーカーゴーストが現れ、イチカの周りを黒く光る粒子を撒き散らしながら回遊し始めた。
(変身!)
[開眼!ナイトメア!喰らうは絶望!魔剣を抜刀!心の闇を解放!]
イチカがトリガーを引くと、頭上からパーカーゴーストを纏い、 仮面ライダーゴースト・ナイトメアブレイカー魂になった。そして、ゴーストの体が、黒にオレンジのラインから、白に紫色の焔の模様がある姿になっていた。
変身を終えるとイチカは、猛スピードで海面に向かって行った。もう一人の自分と共に大切な人を護る為に。
LOST TIME
鈴と福音の戦いは、先程より激しさを増していた。しかし、福音は先程、右の翼を全て切り裂かれた為にスピードが落ち鈴に押されていた。
「墜チロ!墜チロ!墜チロォォォォォォォオ!」
「…。」
鈴は、福音を仕留める為に二本の長剣を振るう。福音も負けじと鈴の攻撃を防ぐ。だが
「シマッ!?ガッ!?」
「…。」
福音が、鈴の右手に持っていた長剣を弾くと同時に腹部に蹴りを入れて吹き飛ばし、鈴に斬りかかった。
「「「「鈴(さん)!」」」」
あぁ、私は此処で終わるのか。でも、これで良いのかもしれない。無意味な世界で生きるより、此処で終わった方がましだ。だけど、だけどもっとイチカと一緒に居たかったな。………あれ?福音の攻撃が来ない?それに何だか抱えられてる?
「大丈夫か、鈴?」
「イ…チカ?」
鈴が目を開けると、そこには最愛の人であるイチカが鈴を抱えていた。そして、鈴の目から大量の涙が流れ始めた。
「大丈夫カ?ジャナイワヨ!生体反応ガ消エタカら本当二死ンじゃったと思ったんだよ!?」
「それに関しては本当にごめん。セシリア達も心配掛けたな。」
「全くですわ。後日、何か奢って貰わないと割に合いませんわ。」
「それは高く付きそうだな。まぁ、取り合えず。」
イチカ達の視線の先には、明確な殺意を持った福音の姿があった。そして、福音が動き出した。
「俺と鈴が前に出る!援護は頼んだ!」
「分かりましたわ!」
「任せろ!」
「了解!」
「仕方ないね♪」
「と言う訳だ、鈴!俺に着いてきてくれるか?」
「愚問ね。私は、何があろうとイチカに着いて行く!例え、その先が地獄であろうとね!」
「それは頼もしいな!さぁ、鈴!反撃の時だ!」
[ナイトメアカリバー!]
イチカは紫の剣『ナイトメアカリバー』を出現させ、鈴は長剣を左手に持ち替え、連結させた双天牙月を右手に出現させて、福音を迎え撃つ。
「しかし鈴!いきなり姿が変わって驚きだな!」
「それはお互い様でしょ!あの時の奴と似てるけど大丈夫なの!?」
「大丈夫だ!もう、あの時みたいにはならない!」
[!マスター!また、あれが来るよ!]
白式の言うとおり福音は再び、鋭利な羽を放つが右側の翼が無くなっている為、先程より羽の数が少なくなっているのは幸いだろう。
(イチカ殿!拙者を使え!)
(ムサシ!?何で!?)
(お主はもう、力に支配される事ないと拙者達が判断したからだ。だから思う存分拙者達を使え!)
(ムサシ…、ありがとう!ムサシ達の力、使わせてもらう!)
イチカはムサシ眼魂を取りだし、ナイトメアカリバーにセットした。そして、眼魂をセットしたスペースにある白い宝玉を押した。
[セット!ムサシ!大開眼!BREAK SPELL!オメガエンド!]
イチカはナイトメアカリバーを振り上げると周りに闇で出来た剣が多く生成され、ナイトメアカリバーを降り下ろす。そして、闇の剣は全て福音の羽に向かい、羽を全て切り裂く。
「凄い…!私も、私も負けてられない!だから私に力を貸しなさい、甲龍。いや、紅龍!」
[単一能力『煉獄の覇王』発動。LINK800%OVER]
鈴の掛け声に反応するかの様に機体が、まるで煉獄の焔の様に紅く染まる。更に双天牙月と長剣、翼、腕、足は紅蓮の焔を灯す。そして、福音との距離を一気に積め、斬りかかった。福音は近接ブレードで防ごうとしたが、長剣に触れた瞬間に接触部分から先が溶けてしまった。
「…!?」
「イチカ!」
「あぁ!これで終わらせる!」
[絶!大開眼!ナイトメア!オメガデッドドライブ!]
イチカの背後に白と紫の美しい紋章が現れ、右足に闇の力を纏い、福音に強烈な蹴りを放つ。そして、福音のシールドエネルギーが無くなり、操縦者が海へと落下するが、セシリアが優しく受け止めた。
「セシリア、その人は大丈夫か?」
「意識を失っていますが大丈夫ですわ。」
「ふぅ。任務完了…か。」
イチカ達の戦いは、任務達成と言う名の勝利で幕を下ろした。そして、もう一つの戦いも幕を下ろそうとしていた。
「はい、分かりました。それでは後で合流します。…イッ君達、福音を鎮圧して操縦者を保護したってさ。これから私はイッ君達と合流して、ありがとうとお疲れ様を伝えに行くよ。」
「「…!」」
束は縛られている二人に語りかけていた。縛られている二人は、束を睨む事しか出来ずにいた。それでも束は二人に語り続ける。
「それでどうだい、元親友?私の夢を壊してまで造った世界の自分自身の結末は?」
「…!」
「まぁ、良いや。多分、この先会う事はもう無いだろうから、これが最後の言葉かな?」
「「…?」」
「楽しかったよ。あの日まで過ごした君との日々は。嬉しかったよ。君が産まれてから私が嫌いになるまでは。そしてさようなら、元親友と愚妹。君達の事は絶対に忘れないと思う。だから、もう一度言わせてもらうよ。さようなら。織斑千冬、篠ノ之箒。」
束は二人に最後の言葉を言い終えると、静かに部屋を出ていき、静かに部屋の扉を閉じた。
七月七日、この日から世界は少しずつ変わり始める。
「如何でしたか?」
「取り合えず、今回で一通りの話は終わりだ。と言っても別に最終回って訳じゃないから安心してくれ。そして、次回からは新シリーズに突入だ。」
「その前に番外編を三本投稿します。内容としては一本目『結婚』二本目、三本目は秘密です。」
「次は遅くならない様にな。さて、今回はこれまで終わりだ。」
「「次回もお楽しみに!」」
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