それでは第四十話 蒼き風嵐をどうぞ!
夏休み目前に迫ったとある日の事。イチカとセシリアはアリーナで対峙していた。無論、アリーナに居るのは二人だけであり、他の面子や多くの生徒達は邪魔にならない様にしている。
「イチカさん、今日は私の為にお時間を頂きありがとうございます。今度、何かお礼させてください。」
「気にすんな。俺もティアーズの新しい力に興味あるし、何よりこの力をもっと使いこなしたいからな。…フフ。」
「?どうかされたのですか?」
「いや、入学早々にもこんな風に闘う前に話してたなーって 思い出してな。」
「そうですわね。そしてあの時の戦いはタイムアップで引き分けになりましたわね。ならこの模擬戦…いえ、この闘いはあの時のリターンマッチと言う事になりますわね。」
「そう言う事になるな。…さて、悪いがセシリア、此方は試運転だろうと関係無い。この闘い…勝たせて貰うぞ。」
「あら、それは此方も同じですわ。新なティアーズとの初陣は勝利を飾らせ貰いますわ。…ですからこの闘いは私が勝利を掴み取りますわ。」
「「…。」」
[ブレイカー!アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!]
二人はお互い無言になり、イチカはゴーストドライバーを出現させナイトメアブレイカー眼魂をセットするとゴーストドライバーからパーカーゴーストが紫の粒子を出しながら出現し、セシリアは眼を閉じ右手を心臓がある位置に置く。
「…変身!」
[開眼!ナイトメア!喰らうは絶望!魔剣を抜刀!心の闇を解放! ]
「舞いなさい!クリアティアーズ!」
掛け声と共にイチカは仮面ライダーゴーストナイトメアブレイカー魂に変身する。一方セシリアはブルーティアーズと大きく異なるフォルムのIS『クリアティアーズ』を纏う。その姿はブルーティアーズと比較すると全体的に鋭利な姿になり、青かった装甲が濃ゆめのクリアブルーになっていた。
『綺麗…。』
クリアティアーズの美しさに自然と言葉が漏れ、周りがその言葉に共感する。無理も無い、今のセシリアは蒼く輝く水晶の鎧を纏う騎士の様な姿であった。
『ナイトメアカリバー!』「…。」
「…。」
二人はそれぞれナイトメアカリバーとスターライトmklllが強化されたテンペストブラスターを無言で構える。静寂の中で二人が待つのは試合開始の合図のみ。それ以外の音声は受け付けておらず、他の生徒達もそれを分かっている為に先程の呟き以降は何も話さない。そして遂にその時が訪れる。
[3 2 1 試合開始!]
「「…。」」
合図と共にイチカは走り出す。一方セシリアは此方に走り出しているイチカに照準を合わせ四発程射撃する。しかし、イチカは放たれたレーザーを全てナイトメアカリバーで斬り裂き、連続でナイトメアカリバーを振るう。それを見たセシリアは後方へとバックするとセシリアが立っていた位置に幾つもの斬られた様な傷が付く。
ガキィィィィィィン!
イチカがセシリアに追い付きナイトメアカリバーで斬り掛かる。しかし、それをいつの間にか出現させていた大槍、ロンゴミニアドで防ぎアリーナ内に金属同士がぶつかり合った甲高い音が鳴り響く。
「流石はイチカさんですね。挨拶代わりのあれを全て斬るとは思ってもいませんでしたわ。」
「それは此方の台詞なんだが。さっきの斬撃波を避けられるなんてな。…さて、ギア上げて行くぞ!セシリア!」
「ッ!?」
[ガンガンセイバー!]
イチカはゴーストドライバーからガンガンセイバーをセシリアに向かって勢い良く出現…いや、この場合は射出と言った方が良いだろう。零距離からのガンガンセイバーの射出はセシリアに少なからずダメージを与えガンガンセイバーをキャッチし、追撃しようとする。
「(成る程。確かにこれには驚かされました。…ですが!)ティアーズ!」
「ッ!」カチャ[セット!ロビンフッド!]
セシリアの号令と共に二つある
「チッ!(二次移行してからティアーズが四機から八機に増えたのか…厄介だな。だが…)この位は何て事は無い。」
「なら、これならどうでしょう!」
「!」
ティアーズからレーザーが放たれる。それだけなら良かっただろう。放たれたレーザーは回避したとしても曲がり追尾し拡散する。しかしイチカはそれら全てを回避や相殺、時折闇の力で造り出したヴェールの様な物で防いでいる。
「(ここままじゃ切りが無いな…。なら強引に突破する!)…此処だ!」
「…。」
イチカは一気に加速し、セシリアに接近する。そして自身の間合いに入った瞬間に斬り掛かる。だが
「なっ!?」
イチカの攻撃は四機のティアーズが発生するバリアに防がれる。そしてイチカは一旦セシリアから離れる。
「イチカさん、クリアティアーズの進化はティアーズの数だけではありません。そして…この様な事も出来ますの。」
そう言うと八機のティアーズはエネルギー状のブレードを形成する。そしてセシリアは右手にテンペストブラスターを、左手にロンゴミニアドを構えてイチカに向けると周りにブレードを形成したティアーズが集まる。
「さぁ、イチカさん。お覚悟はよろしくて?」
「上等!セシリアが本気で来ると言うならば此方も本気で迎え撃つ!」
そう言うと二人はほぼ同時に動き出す。セシリアの動きは先程と違い接近戦を仕掛け、ティアーズが斬り掛かる。しかし、イチカはそれらを冷静に対処しカウンターを入れようとするがティアーズのバリアに防がれる。そしてこの時、イチカは攻撃を仕掛けながらある事を考えていた。
(…何なんだ?この違和感は?セシリアがクリアティアーズを展開してから…展開してから?いや、違う。違和感を覚えたのはクリアティアーズを展開した後。まさか…!)
(!マスター!下から熱反応!)
(分かってる!)
イチカは迫り来るレーザーを射撃で相殺する。そしてイチカは射撃が放たれた方向を確認するとブレードを形成したティアーズとは別の形をしたティアーズが銃口を向けていた。
「やはり防がれましたか…。もしかしたら…と思ったのですが中々上手くいきませんわね。」
「って言いながら九機目を用意していた辺り本気で勝ちに来てるな。」
「勿論ですわ。私はイチカさんに本気でそして本当の意味で勝ちに来ていますから。」
「(本当の意味…?)成る程な。だけどセシリア、俺は九機のティアーズなら何の問題は無い。」
「…フフ。」
「…何が可笑しい?」
「いえ、失礼しました。ですがイチカさん?私はティアーズが九機だと言った覚えがありませんが?」
「マジか…。」
(うっわ!?滅茶苦茶多いな~!?)
(…これは予想外だな。)
(どうしよう!?どうしようマスター!?流石にあの数は初めてだよ!?)
(お、落ち着きましょう!?確かに数は多いですが見極めれば何とかなります!)
「何とかしたいのは山々だが…白式の言う通りあの数は俺にとっても未知の領域だな…。」
イチカ、ユルセン、メア、白式、白騎士はセシリアが微笑みながら展開したティアーズの数に驚いていた。それもそうだろう、公式でのBT兵器の最大稼働数はセシリアのミサイルを含めた六機であり、イチカが知る上ではマドカの専用機であるサイレントゼルフィスの十機が最大稼働数である。しかし、セシリアが展開しているティアーズの数は既に展開されていた九機+腕と脚部から展開された十一機の計二十機である。
「ではイチカさん。これより嵐吹き荒れる舞踏会を始めましょう。」
「ッ!」
セシリアの言葉と共に二十機のティアーズが一斉にイチカに襲い掛かる。様々な方向からの襲い掛かる射撃や斬撃、更にはセシリアのテンペストブラスターによる砲撃。接近すればティアーズのバリアで防がれ、ロンゴミニアドで穿たれる。
(チッ!今は何とかなっているけど圧倒的に手数が足りない!)
(おい、てめぇは兎に角避けまくれ!俺がタイミングを測るからロビンのオメガフィナーレで一掃するぞ!そして委員長とロリっ子はサポートしろ!)
(分かりました!)
(了解!ってだから私はロリっ子じゃないよ!)
(落ち着け白式!兎に角頼むメア!)[大開眼!BREAK SPEL! ]
(あぁ!)
イチカはセシリアの猛攻を回避しながらナイトメアカリバーの宝玉を押すとイチカの周りに闇の力で精製された無数の矢が出現する。しかしセシリアはその光景を見ても慌てる事も無く、攻撃を続ける。
(…!てめぇ!今だ!)
(あぁ!)[オメガフィナーレ!]
引き金を引くと無数の矢は一斉に二十機のティアーズとセシリアに放たれる。闇の矢は凄まじいスピードで迫るがセシリアは焦る処か笑みを浮かべながらティアーズと共に一斉射撃を開始する。そして
「嵐の前にはどんな力も無意味ですわ。」
[単一能力『
「[[[[…は?]]]]」
イチカ、メア、ユルセン、白式、白騎士は目の前で起こった事に唖然としていた。何故ならばセシリアに迫っていた無数の闇の矢が何事も無かったかの様に全て消滅したからである。そしてセシリアとティアーズは一斉射撃をしたばかりである。と言う事は
(…!?間に合え!)
セシリアとティアーズが放ったレーザーはイチカに直撃して爆発が起こり煙に包まれる。これを見ていた生徒達はセシリアの勝利を確信していた。しかし、一部の生徒はまだ終わっていないと確信している。それは当事者であるセシリアが一番理解していた。
[開眼!白式!白き翼!掴むは夢!目指すは空!]
「…!」
音声と同時に煙の中から斬撃がセシリアに迫るがロンゴミニアドで難なく防ぐ。そして煙が晴れるとそこにはナイトメアブレイカー魂の体に白式パーカーゴーストを纏い、右手にナイトメアカリバーを左手に白盾アイギスを装備した
「やはり防がれますか。しかし、それでこそイチカさんですわ。…だからこそ、だからこそライバルである貴方に勝利する事に意味があるのですわ!」
「そうだな。だけどそれは此方も同じだ!(…あっぶねぇぇぇえ!?三分の一以上削られたが何とか全損は免れた!てか斬っても斬っても終わらないし白式じゃなかったら終わってたぞ!?)」
(さ、流石にキツイ…。もうあんな短時間に何度も盾を作りたくねぇよ…!)
(私も防御力上げるために急いでメアさんと変わったけど普通にダメージもあってキツイよ…!)
(白式に同じくMasterとメアさんに致命傷の射撃ポイントを伝えるのに疲れました…。)
「イチカさん。」
「?どうした?」
「私のクリアティアーズ、イチカさんの白式ブレイカー魂。まるであの日の再現みたいですわね。」
「そうだな。あの日から俺とセシリアはライバル同士になってお互いを高め合った。」
「「だからこそ!」」
「「お前(貴方)に負ける訳にはいかない!(負ける訳にはいきません!)」」
[セット!ナイトメア!]
イチカはナイトメアカリバーからロビンゴースト眼魂を取り出しナイトメアブレイカー眼魂をセットするとイチカの周りに紫色の靄の様な物が幾つも出現し、セシリアはテンペストブラスターとロンゴミニアドを連結させ大型の銃槍、テンペストミニアドへと姿を変える。
「行くぞセシリアァァァァァァァア!」
「ッ!?(何時もより速い!?視覚で捉えるのは不可能に近い…なら。)」
セシリアは目を瞑り、視覚以外の感覚を研ぎ澄ます。音で、空気の振動でイチカが何処から攻撃を仕掛けるかを探る。
「…!そこ!…な!?」
セシリアは確かに攻撃を防いだ。しかし、そこにあったのはナイトメアカリバーのみであり、ゆっくりと地面に落ちていく。
「一体何処に!?がっ!?(後ろ!?それにこの強い衝撃はまさか!?)」
「剣で攻撃すると思っただろ?」
「…普通は剣を囮にして盾を攻撃に使うなんて思いもしませんよ。」
「だろうな。あ、それとセシリア。下からの奇襲に気をつけろよ。」
「何を言って…イチカさんは目の前にいらっしゃいますし、下には落ちたナイトメアカリバーが…!?」
(チッ!仕留め損なったか。)
セシリアは咄嗟にテンペストミニアドで防ぐ。そして、そこには地面に落ちた筈のナイトメアカリバーが浮遊していた。
「…成る程。囮であり本命と言う訳ですね。」
「そう言う事。さて、まだまだ行くぞ!」
「えぇ!まだまだこれからですわ!」
二人は一気に加速し何度もぶつかり合う。お互いはぶつかり合う度に更に加速していき、次第に一般の生徒達は目で追うのが困難になり、ただ金属同士がぶつかり合う音が聞こえるだけとなった。
「それではフィナーレと参りましょう。集えティアーズ!」
セシリアはテンペストミニアドを天に掲げ掛け声と共に十機のティアーズがテンペストミニアド集まり連結する。
「(…成る程、そう言う事か。あの言葉の意味がやっと理解出来た。なら俺のするべき事はただ一つ!)ならば迎え撃つのみ!」
[大開眼!白式!オメガドライブ!大開眼!白式!オメガドライブ!]
オメガドライブにより精製された白いエネルギーが白盾アイギスに集まる。更に一回オメガドライブを発動し白盾アイギスに集まるエネルギーが増幅する。
「貴方に…美しき鎮魂歌を!はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
セシリアははイチカに向かってテンペストミニアドを全力で投擲する。連結されたティアーズがブースターの役割をしている為に凄まじいスピードでイチカに迫る。
(速い…。それでも防いでみせる!)
[大開眼!白式!オメガドライブ!]
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
イチカは最後のオメガドライブを発動し白盾アイギスに最大までエネルギーを溜め、一気にそのエネルギーを解放する。
「グッ!?(一撃が重い…!?ティアーズ十機でこの威力か…十機?残りの十機は!?)」
(マスター!前!)
(!?そう言う事かよ…!)
白式の言う通りに前を見ると轟音と共に猛スピードで急接近するセシリアの姿があり、途中で蹴りの体制に変える。そして
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
「ガァア!?(そう言う事かよ…!残りのティアーズをブースター代わりにして加速、そこから銃槍を押し込む様に蹴りを入れたのか…!」
「ティアーズ…」
「ツ!?(不味い!?これ以上はアイギスが持たない!?…なら!)」
[大開眼!LOST SPELL!]
「フルバースト!はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
イチカは白盾アイギスを両手から右手を離し腰に差していたナイトメアカリバーを引き抜き、太腿で宝玉を押す。すると何時もとは違う音声が鳴り、ナイトメアカリバーの刀身は紫色の闇を纏う。一方セシリアは全てのティアーズを一斉噴射し更に加速する。そして次第にセシリアは蒼い光に包まれる。やがて
ピキッ
セシリアによる一撃で強固な護りを誇る白盾アイギスに亀裂が生まれる。亀裂が生まれればそこから徐々に亀裂は広がっていく。
(マスター!?)
「ッ!(落ち着け…!タイミングを見誤るな…!)」
バキッ!音と共に限界を迎えた白盾アイギスは砕け散る。そしてイチカの目の前に映る光景にスローモーションで迫り来るセシリアの姿があった。
「ぜぇぇぇぇぇぇあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
[オメガデッドエンド!]
イチカはナイトメアカリバーを全力で降り下ろす。そして紫色の禍々しい闇と蒼色の神々しい光がぶつかり合い、アリーナ全体を閃光が包み込む。
『…。』
誰も一言も話さずにただ静かに見守るのみ。やがて光に慣れてくるとアリーナ内の光景が目に映る。そこにはゴーストが解除され、剣を降り下ろした様な姿をしたイチカの姿と同じくクリアティアーズを解除され、イチカの反対側に膝を着いて着地しているセシリアの姿があった。そして勝敗を告げるアナウンスが鳴り始める。
[シールドエネルギーエンプティー!勝者
セシリア・オルコット!]
「マジかぁ…負けた~!て言うか完全敗北かぁ。正直行けると思ったんだけどなぁ…。」
そう言いながらイチカは悔しそうに仰向けに倒れる。しかし態度では悔しそうにしているが表情は少しばかり笑みを浮かべていた。
「大丈夫ですか?イチカさん?」
「うん?あぁ、大丈夫だ。確かに悔しいが完全敗北されたと思うと逆に清々しく感じるしな。」
「いえ、そうではなくて…。左腕は大丈夫なのですか?」
「あぁ、左腕か。かなり痛むが骨は逝ってない。念の為に後で保健室に行くつもりだ。よっと。ま、今回は俺の負けだ。だけど次は俺が…いや、俺達が勝つ!」
「フフ、いいえ。次も私達が勝利を掴み取りますわ!」
イチカは起き上がりセシリアに右手を差し出しながら笑顔で決意する。セシリアも同じく笑顔で差し出された右手を握り決意を伝える。そして二人の戦いを称えアリーナ内は拍手で包まれた。
「如何でしたか?今回は作中で初めてイチカの敗北を書きました。そして恐怖を克服したセシリアとブルーティアーズが進化したクリアティアーズの初陣は見事完全勝利を納めました。」
「って言っても俺は書かれていないだけで負けたりしてるんだけどな。」
「しかし、今回の敗北はイチカの護りが突破された完全敗北です。後、セシリアとクリアティアーズの初陣はライバルであるイチカと決めていました。」
「成る程な。っとそろそろ時間だな。」
「そうですね。では」
「「次回もお楽しみに!」」
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