死を経験した俺の生きる時間   作:天空を見上げる猫

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四十一話 バイト

とある広場のステージ。そこには幼い子供達や保護者と思われる大人達、中高生の少女達が少なからず集まっており、今か今かと何かが始まるのを楽しみにしていた。そしてその時はやって来た。

 

 

「みんなー!こーんにちはー!」

 

 

『こーんにちはー!』

 

 

ステージ端から赤い帽子と衣装を身を包み、可愛らしい猫のお面を着けて腰まである茶髪を後ろで束ねた小柄な女性が出て来て元気良く挨拶をする。そして其を見ていた子供達も元気良く挨拶をする。

 

 

「おやおや~?元気が足りないぞ~?もっと大きな声で!せ~の!」

 

 

『こーんにちはー!!』

 

 

「はい、良くできました!じゃぁ、みんなは私の名前分かるかな~?」

 

 

『キャットガールちゃん!』

 

 

「正~解!そして何と!今日は私の相棒のラビットム君が来てくれてまーす!」

 

 

『わぁぁぁぁぁぁあ!』

 

 

小柄な女性もといキャットガールが口に出した相棒のラビットム君。その名前を聞いた子供達や中高生の少女達が大きな歓声を上げる。

 

 

「それじゃぁ!みんなでラビットム君を呼んでみよう!せ~の!『ラビットムくーん!』」

 

 

キャットガールと子供達は元気良くラビットム君の名前を呼ぶ。しかし、ラビットム君なる者は現れない。

 

 

「あれれ~?可笑しいな~?じゃぁ、今度はもっと大きな声で呼んでみよう!せーの!『ラビットムくぅぅぅぅん!』」

 

 

「よっ、やぁ!みんな!こんにちは!僕の名前ははラビットム!みんなの夢と笑顔を守る事が僕の仕事だよ!」

 

 

『わぁぁぁぁぁぁあ!!ラビットム君だー!』

 

 

先程よりも元気な声で呼ばれ、アクロバティックな動きで出てきたのはウサギと幽霊が合体した可愛らしいゆるキャラ、PRCのマスコットキャラクターのラビットム君である。因みにボイスチェンジャーを使っている為に可愛らしい声になっている。

 

 

「それじゃぁ、まずはラビットム君ダンスから行ってみよう!」

 

 

「みんなも僕達と一緒に踊ってみよう!」

 

 

『はーい!』

 

 

すると明るい音楽が流れ始めるとラビットムとキャットガールと子供達が音楽に合わせて踊り始める。そしてこの時、ラビットムとキャットガールはある事を思っていた。それは

 

 

((ヤバい…!このバイト、凄く楽しい!子供達の笑顔を見ていると何かこう…浄化される感じがする!))

 

 

曲の終盤に入りラビットムとキャットガール、そして子供達処か保護者や中高生の少女達もテンションを上げていき、ラビットムとキャットガールは観客で見ている人達を楽しませる為にラビットム君ダンスの目玉に移る。

 

 

「行くよ!ラビットム君!」

 

 

「うん!行こう!キャットガールちゃん!」

 

 

ラビットムとキャットガールはステージ上で少し助走をして二人同時にバク転を決め格好良くそして可愛くポーズを決める。

 

 

『わぁぁぁぁぁぁあ!ラビットム君かっこいいー!』

 

 

『キャットガールちゃんかわいいー!』

 

 

((決まった!そして!子供達から贈られる声援や笑顔!そして今の俺は!(私は!)誰が何と言おうとラビットム君だ!(キャットガールよ!)))

 

 

ノリノリでラビットム君とキャットガールを演じるこの二人。実は急遽このバイトをする事になったイチカと鈴である。何故この二人がこの様なバイトをしているかと言うと、それは数日前に遡る。

 

 

数日前

 

♪~♪「電話?しかも義母さんから?もしもs『イチカ!今度の日曜は暇!?暇よね!?お願いだから暇って言ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?』うおっ!?一体何があったんだよ…?」

 

 

『さっきぃ…ラビットム君…イベントォ…担当者ぁ…駆け落ちぃ…連絡ぅ…中の人ぉ…他の人ぉ…バイトォ…鈴ちゃん…都合ぅ…キャットガールゥ…お願いぃ…!』

 

 

「…えーと、さっきラビットム君のイベントの担当してた人が駆け落ちしたって言う連絡があってラビットム君の中の人をする人が他に居ないから俺が中の人のバイトをしてくれ。ついでに鈴の都合も合えばキャットガールもしてくれ?」

 

 

『お願いぃぃぃぃぃぃぃぃい!ラビットム君を待ってる子供達の為にぃぃぃぃぃぃぃぃい!バイト代弾むからぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?』

 

 

「分かったから!空いてるから!鈴にも聞くから!だから落ち着いてくれ!」

 

 

『本当に!?絶対よ!?鈴ちゃんにも確認も宜しくね!?それじゃ私は仕事に戻るから!』ピッ

 

 

「…何か嵐みたいだったな。取り敢えず鈴に聞いてみるか。」

 

 

[だな。おい、噂をすれば何とやらだ。]

 

 

「やっほーイチカー!…ってどうしたのイチカ?何か困り事?もしかしてスコールさんに何か頼まれてついでに私の都合も聞いてくれとか言われたの?」

 

 

「正解。今度の日曜日にラビットム君ショーのバイトをしてくれって頼まれて鈴の都合が合えば一緒にバイトして欲しいってさ。」

 

 

「成る程ね。因みに土日は空いてるから私は大丈夫よ!」

 

 

「了解。なら義母さんに鈴も大丈夫って伝えとく。後で時間とか知らせるから。」

 

 

「分かったわ!」

 

 

ラビットム君ショーのバイトについて楽しく話している二人だが、このバイトがあれほど大事になるとは思ってもいなかった。

 

 

「さぁ!今日のメインイベントのラビットム君との握手と写真撮影会の時間がやって来ました~!」

 

 

「ルールを守って走らず割り込まないようにゆっくり並んでねー!」

 

 

『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!』

 

 

((あぁ…人を笑顔にするって気持ちいいなぁ。))

 

 

キャットガールの言葉に子供達や中高生更には保護者までもテンションが最高潮になっており、その光景を見たイチカと鈴は心が満たされていた。そして最後に並んでいた少女と握手をし写真撮影が終わり、ラビットム君ショーの終わりに近づく。そしてこのタイミングで事件は起きた。

 

 

「みんなー!そろそろラビットム君ショーの終わりの時間が近づi「ここにいる全員動くな!」て?」

 

 

「…ぁ?」

 

 

セリフを遮られ、声が聞こえた方向を見ると慌てている三人組の男性達が居た。一人は拳銃を持ち恐らくこの三人組のリーダーであろう体格の良い男性。もう一人はナイフを持ち平均的な体格の男性。最後の一人はかなり膨らんでいる黒いバックを両肩に持つ小柄な男性。そしてこの時、ラビットム君(イチカ)キャットガール()は自分達の運の悪さを呪いながら三人組に怒りを抱いていた。

 

 

『イチカ!聴こえる!?今、ニュースでイベント会場の近くで銀行強盗が起きたらしいから!そろそろイベントは終わってる時間だと思うけど片付けと帰りの時は気を付けてね!』

 

 

(…絶賛それ(銀行強盗)に巻き込まれてるけどな。さて…この状況をどうすれば被害を極限まで抑え打破出来るか、それが問題だな。)

 

 

(…最悪な事態ね。…子供達や保護者さん達に被害が出ない様に尚且つ素早くあの三人組を仕留めるにはどうすれば?)

 

 

突然の出来事に中高生の少女達や保護者達は不安になり始める。それが子供達にも伝わり始め、次第に子供達は震えながら声を発し始める。子供達の声にリーダーの様な男性はイライラし始め遂には。

 

 

「うるせぇぇぇぇぇえ!!静かにしやがれ!」バァン!

 

 

「「ッ!?」」

 

 

男性はイライラが頂点に達した為に持っていた拳銃を空に向けて発砲する。拳銃の発砲を見た子供達は恐怖のあまり泣き出してしまい、中高生の少女達も声を出してはいないが涙を浮かべている。この光景を見たラビットム君(イチカ)キャットガール()の中で何かが切れた。

 

 

「チッ!静かにしろって言っt「…子供達を泣かすんじゃねぇよ。」なっ!?何時のm「遅い。」がぁっ!?」ドサッ

 

 

ラビットム君は男性の持っていた拳銃を叩き落とし顎に向かって強烈な顎打ちを打ち込み脳震盪を起こしゆっくりと倒す。

 

 

「…!お、おい!此方には人j「…させると思う?」ッ!?このガキ!「こんな拳が私に当たると思うな。」ふざけn「ハァアッ!」ゴハッ!?」

 

 

キャットガールもラビットム君と同じ様に男性の持つナイフを叩き落とし、自身に放たれるパンチを全て回避して男性の顔に強烈な蹴りを繰り出す。

 

 

「…ふ、ふざけんな!何物なんだよお前ら…うっ⁉」ドサッ

 

 

「僕の名前はラビットム。みんなの夢と笑顔を守るのが僕の仕事だよ。」

 

 

「私の名前はキャットガール。ラビットム君を支えるパートナーよ。」

 

 

ラビットム君とキャットガールは小柄な男性との距離を一気に詰めて腹部に目掛けて正拳突きを放ち、男性はゆっくりと膝から崩れ落ちる。そして二人さ何者と聞かれた為にきちんと自己紹介をした。

 

 

「二人共!これ使って!」

 

 

「分かりました!っと、みんな!もう大丈夫だよ!怖いお兄さん達は僕とキャットガールちゃんが何とかしたからスタッフのお兄さんやお姉さん達の言う事をちゃんと聞いてね!」

 

 

二人はスタッフから投げられたガムテープを使い倒れている三人組を拘束していく。そして男性達が持っていた拳銃とナイフ、パンパンに膨らんでいるバックを回収し一つに纏めながら子供達を安心させる為に声を掛ける。

 

 

「それじゃあ!悲しいけどお別れの時間です!今日は怖い事もあったけどそれ以上に楽しかったかな~?」

 

 

『楽しかったー!』

 

 

『ラビットム君とキャットガールちゃんがかっこよかったー!』

 

 

『また見たーい!』

 

 

「「みんなー!ありがとー!それじゃぁ、まったねー!」」

 

 

ラビットム君とキャットガールはショーをお別れの挨拶をすると直ぐにステージの側にあるテントに引き下がり着替える。

 

 

「俺達も片付け手伝います!」

 

 

「イチカ君と鈴ちゃんはこのまま本社に向かって!片付けとか後処理とかは私達に任せて!あ、それから、はい!お弁当とお茶!今日は本当にありがとう!途中危険な事もあったけど二人のお陰で何とかなったから、ゆっくり休んでね!」

 

 

「「ありがとうございます!」」

 

 

イチカは鈴をバイクの後ろに乗せPRCの本社へと向かう。道中で二人は先程のバイトの事を話しており、とても楽しそうにしていた。そして小一時間程でPRCの本社に着くと真っ直ぐスコールの元へと向かう。

 

 

コンコン「義母さん、イチカと鈴だけど。今入っても大丈夫か?」

 

 

「良いわよ~。さて二人共お疲れ様。聞いたわよ、二人の活躍。イベントに乱入してきた銀行強盗を被害無しで鎮圧したそうね。でも銀行強盗と交戦したって聞いた時はヒヤヒヤしたけど二人が無事で何よりよ。」

 

 

「「ア、アハハ…。((い、言えない…、つい頭に来て鎮圧したなんて口が裂けても言えない…。))」」

 

 

「はい、二人共。今日はお疲れ様。本当にありがとうね♪お陰で助かったし、スタッフの皆からもありがとうって。」

 

 

「いえ此方こそありがとうございます。お陰で貴重な体験が出来ました。それに、やっぱり子供の笑顔って良いなって。」

 

 

「そっか。それは良かったわ♪そして、はい。バイト代♪」

 

 

「ありが…?なぁ、義母さん?今日のバイト代って確か一人二万だったよな?何か…厚くないか?」

 

 

「当たり前でしょ?中に十万円入ってるだから。あ、因みに一人五万円ね。」

 

 

「「いや、多いな!?」」

 

 

「ほら、二人が銀行強盗を捕まえてくれたじゃない?だから特別手当で三万円プラスしたの。あ、因みに返金した場合倍にして返すからね。」

 

 

「ハァ、分かったよ。そう言う事ならありがたく受けとるよ。それじゃ、俺達はIS学園に戻るよ。」

 

 

「本当にありがとうございます。」

 

 

そう言うと二人はPRCを出てIS学園へと戻り、イチカの部屋で少しばかり仮眠を取り体を休める。そして夕食時に二人はあるニュースを目にする。

 

 

『次のニュースです。今日、昼頃に○○銀行を襲った三人組をPRCのマスコットキャラクターであるラビットム君とキャットガールちゃんが鎮圧しました。この活躍を切っ掛けに二人の人気は急上昇しています。』

 

 

「「…。(マジか…。)」」

 

 

「あの二人すごいですわね。かなりの実力を秘めていますわ。それにラビットム君もキャットガールちゃんも私好みの可愛さですわ!」

 

 

「うむ、画面越しでも分かる。無力化している動きもそうだが的確に急所を捉えている。そして兎と言うのが私的にもポイント高いぞ!」

 

 

「二人に同感だね。後、これからの二人の活躍が楽しみだよ。」

 

 

「そうですね。これからお二人はくま○ンと並ぶ日本のマスコットキャラクターになりそうですね。」

 

 

「それにしてもラビットム君とキャットガールちゃんの正体は誰なんでしょうか?」

 

 

「う~ん、何故だかあの二人の体運びに既視感を覚えるな。」

 

 

「そうね。(そりゃそうよ!?あれは私とイチカなんだから!?)」

 

 

「ミューゼル君は何方かご存知なんですか?」

 

 

「!…俺も実は知らないんですよ。知ってるのは義母さんと他数名くらいですから。(あっぶねー!?俺ですって普通に言いそうになったぞ!?)」

 

 

「成る程。もしかしたら、と思ったのですがやはり知っている人は極一部なんですね。」

 

 

四人の会話を聞いているイチカと鈴はラビットム君とキャットガールの正体が自分だとバレないか内心焦っていたが表面上は普通にしている。これが夕食が終わるまで続いた。




「イチカ、楽しかったですか?」

「まぁな。鈴が言った通り貴重な体験が出来たし、何より人を笑顔にするって気持良かったしな。」

「それは良かったです。」

「そう言えば作者。」

「何でしょう?」

「次はどんな話にするのか決まってるのか?」

「決まってますよ。因みに夏祭りとイチカが良く知るあの人が登場します。」

「夏祭りと良く知るあの人?」

「永久さんですよ(ボソッ)。」

「ちょっと待て作者。今永久さんって聞こえ「さぁ!今回は此処までです!次回もお楽しみに!」作者!?さっき永久さんって言ったよな!?「はい、時間でーす。」おい!?」

皆さんはどの番外編を読んでみたいですか?

  • 鈴とラウラのお泊まり+束さんの昔話
  • 魔法少女(カオス)
  • 魔女集会で会いましょう(パロ)
  • 笑ってはいけない○○(長編)
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