「誰もが待ち望んだこの日が!」
「正直、やっとこの日が来た感じがするけど、そこはご愛敬よ!」
「「「何せ、今回の話は結婚!」」」
「ですので、今回の前書きは此処までにします!と言う訳で!」
「「「それではどうぞ!」」」
あの日、私は彼のある言葉を聞いて泣いてしまった。別に悲しくて泣いた訳じゃない。ただ単純に嬉しくて、幸せで、何より彼からの言葉だから泣いているんだ。
本当は何て言われたか言いたいけど、彼から言葉は他の誰の物でも無い。私だけの物。だから何て言われたかはご想像に任せるよ。まぁ、結婚の申し込みだった事は教えて上げるよ♪
うん?何でこんな話をするのかって?そりゃぁ、私と彼が今日、結婚式を挙げるからさ。え?全然嬉しそうじゃない?嬉しいに決まってるじゃないか!それこそ、こんな風にクールにしていないと、嬉しさで死んじゃう位に嬉しいよ!?だって彼と結婚だよ!?憧れの結婚式だよ!?嬉しくない訳がないよ!?
コンコン。今日の主役が若干ポンコツになりかけていると、ドアがノックされ、スーツに身を包んだスコールが部屋に入って来た。
「何してるの?…束?」
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?何でスーちゃんが此処に居るの!?と言うかノックは!?」
「ちゃんとしたわよ。それにしても似合ってるじゃない、その花嫁衣装。」
「ありがとう。それにしてもこの花嫁衣装、凄く私好みだよね?何処で見付けたの?」
「フフ、実はその花嫁衣装ね、マドカがデザインした物よ。」
「だからこんなに私好みなんだね。」
束は手を胸に置き、微笑みながら自分自身の喜びを噛み締めていた。
「…ねぇ、スーちゃん。私って本当に結婚するんだよね?」
「いきなりどうしたのよ?あんなに嬉しそうにしてたのに。もしかしてマリッジブルー?」
「そうじゃないよ。ただね、今この時間が夢なんじゃないかって、今でも怖くなるんだ。目が覚めたら蒼夜君と赤の他人になっちゃうんじゃないかって…。」
「束、こっち向きなさい。」
「え?なn「バシンッ!」ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉお!?おでこが!?おでこがぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
「はい、痛いなら夢じゃない。お分かり?」
「もっと別の方法があったと思うのは私だけかな!?例えば右の頬をつねるとか!?左の頬をつねるとか!?両方つねるとか!?」
スコールは暗くなりかけていた束のおでこに、本気のでこぴんをお見舞いした。束は涙をこらえておでこを抑えながらスコールに訴えていた。
「夢じゃないから良かったじゃない。」
「なんか納得出来ないんだけど!?…でもありがとね、スーちゃん。」
「フフ、どういたしまして。さ、そろそろ時間よ。参りましょうか、花嫁さん?」
「うん。よろしくね、スーちゃん。」
束はスコールに連れられて、控え室から会場へと向かった。そして、束は閉ざされた扉の前で深呼吸をしてスコールに何も言わずに頷いた。それを確認したスコールは何処かに連絡をすると、閉ざされていた扉が静かに開き、束はスコールに連れられてゆっくりとヴァージンロードを歩む。
「お待たせ、蒼夜君。何時も格好いいけど、今日は一段と格好いいね。」
「ありがとう、でもそれ以上に束も綺麗だよ。それこそ女神と見間違う程にね。」
束と蒼夜は、互いに言葉を掛け合う。そして、誓いの言葉が始まる。
「汝、如月蒼夜は、この女、篠ノ之束を妻とし、健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす事を誓いますか?」
「誓います。」
蒼夜は真剣な表情で、神父服に身を包んだオータムに誓いの返答をする。それを聞いたオータムは微笑み、今度は束に誓いの言葉を問う。
「汝、篠ノ之束は、この男、如月蒼夜を夫とし、健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しい時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くす事を誓いますか?」
「誓います。」
「それでは指輪の交換をしてください。」
蒼夜と束は、互いの事を思い、心が高鳴りながら指輪をはめ合う。
「では、ベールを上げてください。神の下で誓いのキスを。」
二人の顔は、互いに赤らめながら少しずつ近付いて行き、やがて二人の唇が触れ合う。そして、スコールが我が子の様に涙を流しながら、静かに手を叩いていた。
「ねぇ、蒼夜君。私と出会って付き合った事、後悔してる?」
「してな…いや、一つだけ後悔した事があったよ。」
「ッ!…それって?」
「もっと早く束に会いたかったな。ってね♪」
「えっ!?あ、うん///わ、私も、も、もっと早くあ、会いたかったな///」
蒼夜の台詞に、束は顔を真っ赤にしながらモジモジしていた。それを見ていた蒼夜は、悪戯が成功した子供の様な表情をしていた。そして、スコールは号泣寸前であった。
誓いのキスも終わり、暫くして会場の外でイチカと鈴は二人で話していた。
「束さん、綺麗だったね。それに物凄く嬉しそうだったし、見てるこっちまでドキドキしちゃった。」
「そうだな。束さんと蒼夜さんの二人なら幸せになれるだろうな。」
(あ!もうすぐブーケトスが始まるみたいですよ!早く行きましょう!ほら、メアも一緒に!)
(シロ!?待て!?俺はブーケトスなんかに興味は無い!離せ!おい、ロリっ子!シロを何とかしやがれ!)
(マスター達は行かなくても良いの?)
「鈴はどうする?」
「私は良いかな。」
「なら俺も。」
(無視してんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!)
色々ありながらも、束によるブーケトスが始まる。
(うん?今一瞬、束さんと目があった様な…。)
「どうしたの、イチカ?」
「いや、何でも無い。」
束は後ろを向き、手に持つブーケを思いっきり放り投げた。会場の入り口前に居る人達は一生懸命手を伸ばしブーケをキャッチしようとしているが手が届かず、ゆっくりと頭上を越えていく。そして、最終的にブーケを手にしたのは…。
「…え?」
「…は?」
…鈴だった。と言うより、鈴の目の前に束が投げたブーケが落ちて来たのだ。
イチカが束の方を見ると、見事なドヤ顔を決めている束の姿があった。その顔を見たイチカは、束が何をしたのかを理解し、更に口パクで何かを伝えている事に気が付いた。
(『つ・ぎ・は・ふ・た・り・の・ば・ん・だ・よ。』…束さんらしいな。)
束は伝えたい事をイチカに伝え終わると、物凄く良い笑顔でウインクをしており、蒼夜は苦笑いをしていた。その光景を見たイチカと鈴は、心の中である事を願った。
『あの二人が何時までも幸せに過ごせます様に。』と
「如何でしたか?束さんと蒼夜さんの結婚式は?」
「私とイチカの結婚式を想像した方には申し訳ないけど、今回の主役はあの二人だから。」
「次回はちゃんとイチカが主役です。さて、今回はこれまで!」
「「「次回もお楽しみに!」」」